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36協定とは?時間的な要件や罰則、対策方法をわかりやすく解説

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最終更新日: 2024年06月28日

36(サブロク)協定とは時間外・休日労働について企業と従業員の間で結ぶ協定のこと。きちんと守らないと企業や従業員が罰則を受けてしまいます。

しかしいざ36協定を守ろうと思っても、業務に集中してしまい「36協定に違反しているかもしれない…」「残業時間が多いけれど大丈夫かな」と悩んでしまう方も多いのでは?

そこで36協定違反に当たる要件や罰則、対策方法についてご紹介。ポイントを押さえて、従業員が生き生きと働ける環境を整えていきましょう。

36協定とは?

36協定とは
時間外労働・休日労働に関する協定、36協定

36協定とは従業員の時間外労働・休日労働について会社との間で取り決めたもので、会社側が従業員に時間外・休日労働をさせる際に必要な協定です。

36協定を結んだ場合の時間外労働の上限は月45時間以下かつ年360時間以下。

36協定は、会社が従業員の過半数の支持を得た代表者、もしくは労働組合と書面によって締結しなければなりません。そして、企業は締結した届けである「協定届」を厚生労働省の機関である「労働基準監督署」に届け出るのです。

労働基準法第36条により、会社は時間外時間外労働、休日勤務を命じる場合は「36協定」を届け出る必要があると定められています。

【労働基準法第36条】

労働者は法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超えて労働させる場合や、休日労働をさせる場合には、あらかじめ労働組合と使用者で書面による協定を締結しなければならない

もしも36協定を届け出ず時間外労働や休日出勤を命じた場合は、会社は罰せられることになるでしょう。

時間外労働と休日労働の基準

時間外労働とは「労働時間は1日に8時間、週に40時間まで」という法定労働時間の基準を超えて仕事をすること。

また休日労働とは「1週間に1日以上、4週間に4日以上の休日が必要」と定められた法定休日に仕事をすることを示します。

従業員に時間外・休日労働をさせるので、36協定では次の2つをあらかじめ決定しなければいけません。

  • 時間外労働をする業務の種類
  • 1日・1か月・1年あたりの時間外労働の上限

「特別条項付き36協定」もある

特別条項付き36協定とは36協定の一種で、時間外・休日労働が通常よりも多くなる場合に結ばれるものです。

特別条項付き36協定は特定の時期に繁忙期があるような職種でよく用いられ、長時間の時間外労働が可能になります。

しかし、長い時間従業員を働かせることになるので、特別条項付き36協定にも上限があり、申請には正当な理由が必要です。

正当な理由の例として「棚卸や決算で年末だけ忙しくなる」「大規模なクレームに対応しなくてはならない」などが挙げられます。

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36協定に違反となる労働時間の上限とは

36協定の上限

36協定を結んだ場合の時間外労働の上限は月45時間以下かつ年360時間以下です。

特別条項付きの36協定を結んだ場合、条件付きで上限時間がさらに延長されます。

時間外労働は月45時間以下かつ年360時間以下を満たす必要がある

36協定を結んだ場合、原則として次の2つの条件を守る必要があります。

  • 時間外労働は1か月に45時間以下
  • 時間外労働は1年に360時間以下

どちらか片方だけでなく、両方とも守らなければいけません。

例えば、8か月連続で45時間の時間外労働をさせた場合、それ以上時間外労働をさせることは違法です。

両方の条件をしっかりと守るようにしましょう。

特別条項付き36協定ではさらに延長される

特別条項付き36協定では通常の場合よりも長時間の時間外労働が可能です。

しかし、次の4つの条件をすべて守る必要があります。

  • 時間外労働は1か月に100時間以内
  • 時間外労働は1年に720時間以内
  • 1か月の時間外労働が45時間を超えてよいのは1年間に6回まで
  • 2~6か月の時間外労働の平均が80時間を超えてはならない
【違反例】

A社では特別条項付き36協定で「1か月に90時間」の時間外労働が可能です。

Bさんは4ヶ月間で以下の労働時間となりました。

4月 5月 6月 7月
時間外労働 70 90 80 90

4月~6月までの時間外労働の平均は80時間なので問題ありません。

計算:(70+90+80)÷3=80

しかし、5月~7月までの時間外労働の平均は80時間を超えてしまい、違法となってしまいます。

計算:(90+80+90)÷3≒86.7

このように1つの条件を守ったとしても、別の条件に反していると、違反とみなされてしまいます。

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36協定に違反したらどうなる?

仕事をする会社員

36協定に違反し、上限を超えて時間外労働をさせると、企業や労働監督責任者に重たい罰則が科されます。

また近年、36協定に大幅に反した時間外労働を従業員に課したため、企業の代表らが書類送検されるニュースを目にすることも多いのでは無いでしょうか?

そのように、36協定の違反してしまうと書類送検や懲役、罰金といった刑事罰だけでなく、会社の社会的な立ち位置を壊してしまいかねません。

刑事罰の他に、社会的信頼度も落とすことになる

36協定に違反した場合、次の2つの罰則を受けることになります。

  • 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 企業名の公表

36協定に違反したという理由で企業名が公表されると、企業の社会的な信頼が傷ついてしまいます。

「ブラック企業」と認識され人事採用の障害となったり、近年では不買運動につながるなど会社存続の危機にもなりかねません。

企業と労働監督責任者が罰則の対象になる

36協定に違反した場合の罰則の対象は、企業と労働監督責任者です。

労働監督責任者は「経営者と同じ立場」の人のことで、社長や工場長のような組織の長を指します。

労働監督責任者とは決して管理職のことではないので、注意しましょう。

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36協定を違反しないための対策法5つ

36協定を守るための方法を考える女性

「気づいたら残業時間が増えている」「36協定の時間を超えそうでヒヤヒヤしている」という方も多いのではないでしょうか?

36協定に違反しないための取り組みは「勤怠管理をしっかりと行う」「特別休暇をもらう」など5つの方法があげられます。

勤怠管理をしっかりと行う

従業員が時間外労働をしすぎないようにするには、企業も従業員も勤怠管理をしっかりと行うことが重要です。

自身の残業時間や労働時間がどのくらいなのかを把握し、会社や上長と共有しておくことが必要でしょう。

おすすめはインターネット上で管理できる、勤怠管理システムの利用。勤怠管理システムはひと目で労働時間が確認できる上、組織内で共有も可能です。また36協定に対して超過しないようアラートがついているシステムまで登場しました。

便利なツールを利用することでより正確に、より簡単に勤怠管理を行うことができるでしょう。

次の記事ではおすすめの勤怠管理システムを紹介しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。

関連記事:勤怠管理システムおすすめ46選!特徴や機能で徹底比較

特別休暇をとる

36協定に違反しないよう、特別休暇をとるのも1つの方法です。

休日出勤の振替休暇制度を使用したり、例えば心身の回復を目的とした「リフレッシュ休暇」などの申請を行うとよいでしょう。

適度な休暇は36協定超過を防止できるだけでなく、作業効率の上昇も期待できます。

残業を減らせるよう環境づくりに励む

そもそも時間外労働をする必要がないように、残業を減らせるような環境づくりに励むことが重要です。

自分のタスク量を可視化して、同僚や部下に均等に仕事を割り振るとよいでしょう。

また社内で「残業を減らそう」といった姿勢をとることで、より積極的に会社全体の残業を削減できます。

正しく勤務時間を申請し、賃金をもらう

時間外・休日労働をした際には、正しい割増賃金をあたえることが義務です。

そのため、必ず正しく勤務時間を申請し、賃金をもらう必要があります。

時間外・休日労働の賃金は次のように定められているため、多大な残業時間が発生した場合企業にも経済的コストが発生するでしょう。

  • 法定労働時間外を超えた労働:25%の割増賃金
  • 法定休日の労働:35%の割増賃金

しっかりと従業員は正しい勤怠時間を申請することで、金銭的面でも不必要な残業の抑止力となるのがわかりますね。

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政府が定めた健康項目を意識する

特別条項付き36協定では社員の健康を保つ措置を取ることが義務付けられています。

時間外労働をさせる際にはしっかりと社員の健康に注意することが必要です。

政府が具体的に次の10個の項目をあげていますので、頭に入れておくと良いでしょう。

一 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。

二 労働基準法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1箇月について一定回数以内とすること。

三 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。

四 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。

五 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。

六 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。

七 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。

八 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。

九 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること。

(適用除外等)

引用:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省

【労務担当者向け】36協定を締結するには

36協定の締結
(画像提供:PIXTA)

36協定を結ぶにはどうようにすればよいのでしょうか。

36協定は従業員の過半数を超える人々から信任された組織・人と書面で締結することができます。

しかし、36協定を結ぶことのできる組織・人には条件があるので注意が必要です。

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【労働組合がある場合】労働組合と書面で締結する

労働組合がある会社の場合、36協定は労働組合と書面で結ぶことができます。

従業員の信任を受けた労働組合が代表として36協定を結ぶということです。

【注意】労働組合は全社員の過半数で構成されていることが必要

労働組合として認められるのは全社員の過半数で構成された組織だけです。

全社員には正規社員だけでなく、アルバイトやパートなども含まれます。

36協定を結ぶ際は全社員数と労働組合数を確認して、過半数であるかチェックしましょう。

【労働組合がない場合】全社員の過半数を代表する人と書面で締結する

労働組合がない会社の場合、36協定は全社員の過半数を代表する人と書面で結ぶことができます。

全社員には正規社員だけでなく、アルバイトやパートなども含まれるので注意しましょう。

【注意】代表者になれるのは「管理職でなく、正式に選出された人」

36協定を結ぶことのできる代表者は「管理職でなく、正式に選出された人」です。

例えば部長や工場長のような人は正式に選出されたとしても代表者にはなれません。

また代表者を選ぶ際には投票や挙手などの公正な方法で選ぶ必要があります。

【申請前に知っておきたい】36協定届けの新様式

行政に提出する書類は煩雑だ
(画像提供:Lesterman/Shutterstock.com)

2021年4月1日、36協定を労働基準監督署に提出するための「36協定届」の様式が変更となりました。

変更となったポイントは以下の通りです。

  • e-Govから電子申請が可能に
  • 押印・署名が不要に
  • 協定当事者のチェックボックスが新設

e-Govから電子申請が可能に

従来、36協定届は労働基準監督署に提出が必要でしたが、e-Gov でアカウント登録→必要事項を入力だけで申請をすることができるようになりました。

また社内に複数事業所がある場合、1つ1つの事業所ごとに36協定届を提出する必要がありましたが、電子申請であれば本社一括届も可能になっています。

押印・署名が不要に

36協定届へは、必ず使用者(企業の代表者)の署名や押印をする必要がありましたが、こちらも廃止されています。

わざわざ押印署名のために出社したり、書類を回したりする必要がなくなり、より申請しやすくなったと言えるでしょう。

協定当事者のチェックボックスが新設

協定当事者とは、従業員の過半数から選ばれた「代表者」のこと。

その代表者がどういった内容で締結するのか確認できる、チェックボックスが新設されています。

36協定届の書き方 

36協定の書き方

36協定届を作成する際におすすめなのが厚生労働省の「作成支援ツール」です。

作成支援ツールでは必要項目を入力するだけで、労働基準監督署に提出可能な書類を作成してくれます。

また36協定の入力データを保存することができるので、36協定を更新する際に過去のデータを呼び出して書き換えることが可能です。

36協定は何度も更新する必要があるので、作成支援ツールを利用すると次回以降の申請も手軽にできるでしょう。

次の厚生労働省の記事に作成支援ツールの使い方についての動画や説明が載せてあるので、作成支援ツールの利用を検討している方は参照してください。

参考:作成支援ツール(36協定届、1年単位の変形労働時間制に関する書面)について

36協定届の提出

36協定届の提出方法

36協定届を提出するにはどのようにすればよいでしょうか。

36協定届は政府のサービス「e-Gov」から電子申請すると手間が省けるのでおすすめです。

また36協定届は適用する期間の前日までに提出することが必要なので、注意しましょう。

e-Govを利用しよう

36協定届は政府のサービス「e-Gov」から電子申請しましょう。

e-Govを利用すれば労働基準監督署に持ち込む手間が省けるのでおすすめです。

e-Govの使い方についてはe-Govの公式HPに詳しい説明が書かれているので安心して利用できます。

参考:電子申請 | e-Govポータル 

労働基準監督署に直接持ち込むのも可能

労働基準監督署に36協定届を直接提出することもできます。

不明な点があれば窓口で質問することもできるので、36協定の申請について不安な方はおすすめです。

注意すべき点として、労働基準監督署は平日のおよそ9時~17時しか開いていません。

提出しに行く際は該当地域の労働基準監督署が開いているかどうか必ず確認しましょう。

【注意】36協定届は適用する期間の前日までに提出しよう

36協定届は適用する期間の前日までに提出することが必要です。

【具体例】

36協定の適用期間:4月1日~12月31日

A社でこのように36協定を定めたとします。

A社はこの36協定届を4月1日に提出したとすると、従業員の時間外・休日労働が可能になるのは4月2日からです。

そのため誤って4月1日に時間外・休日労働をさせてしまうと違法になってしまいます。

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