コンサル会社の利用を検討しているなら、費用の相場を知っておくのがおすすめです。契約形態・規模・業界別の目安を把握しておけば、予算を決める際に役立つでしょう。コンサル会社を利用する際の費用相場や、費用を安く抑えるためのポイントを紹介します。
コンサル会社の契約形態別の費用相場
コンサル会社との契約の形態にはさまざまな種類があり、契約形態ごとに費用相場が異なります。まずは契約形態の種類について理解し、費用相場も併せてチェックしましょう。
顧問契約型
中長期的に経営をサポートする契約形態が、顧問契約型です。クライアント企業への月1~2回の面談や電話・メールでの質問対応、役員会・株主総会への出席などを行います。
顧問契約型の費用相場は、月額20万~50万円です。コンサル会社のサポートを中長期的に受けることになるため、顧問契約型では毎月一定の費用を支払う定額報酬型で契約します。実際にコンサルを受ける時間は、費用に影響を与えません。
顧問契約型の契約は、1年ごとに更新するのが一般的です。コンサル会社によっては、半年間のみ支援を受ける形での契約もできます。
成果報酬型
成果報酬型は、コンサルの成果が出たタイミングで報酬が発生する契約形態です。M&A・営業代行・補助金獲得など、成果が目に見える形で表れるコンサルでよく採用されます。
成果報酬型における報酬の設定は「売上の〇%」「新規顧客獲得数×〇万円」といったものが代表例です。ただし全く成果を得られない場合でも、ほとんどのコンサル会社では最低限の手数料が請求されます。
コンサルで結果が出たときのみ報酬が発生するため、費用を節約できることがメリットです。一方で、コンサルタントが結果にこだわりすぎるあまり中身の伴わない過程になってしまう恐れがあります。
時間契約型
コンサルを行った時間に対して報酬が決まる、時給制の契約形態が時間契約型です。後から実際にかかった時間を計算するケースと、事前に時間を決めて契約するケースがあります。
時間契約型の費用相場は、1時間あたり5,000円~10万円です。担当コンサルタントのスキルや実績により、報酬単価は大きく変わります。
時間契約型がよく利用されているのは、短期間で支援を受けたい場合や単発案件をサポートしてもらいたい場合です。顧問契約型と比べると費用は安く抑えられるものの、経営の根本的な改善には向かないでしょう。
プロジェクト型
プロジェクト型は、プロジェクトごとに費用が発生するコンサル契約です。例えばITシステムの導入や人事制度の見直しを行う際に、プロジェクト型コンサルが利用されます。
プロジェクト型の費用相場は、1プロジェクトあたり10万~100万円です。プロジェクトの内容・規模・期間により、費用は大きく異なります。
より効率的に業務を進めるために、プロジェクト型では複数のコンサルタントでチームを組むことがあります。この場合の一般的な料金体系は「単価×人数×時間」です。
業種・職種特化型
特定の業種や職種に特化したコンサルの契約形態もあります。
業種特化型の費用は、基本的に成果報酬型です。成果に対して報酬の割合が決められているケースが多く、成果によって費用は異なります。報酬の割合は飲食業が30~40%、製造業が10~40%が相場です。業種特化型コンサルタントの大半は、業界の実務経験者であることが特徴です。
職種特化型の費用相場は、月額3万~10万円となっています。公認会計士・税理士・元営業など、特定の業種に関するプロがコンサルタントとして対応することが多く、コンサルタントのスキルの高さに比例して報酬も高くなります。
特定の業種に初めて参入する場合や特定の職種のみ改善を行いたい場合は、業種・職種特化型コンサルの利用を検討するとよいでしょう。
コンサル会社の規模別の費用相場
コンサル会社を規模で分けると、主に大手・小規模・独立系の3種類があります。規模によっても費用相場は異なるため、事前にチェックしておきましょう。規模別の費用相場を、主な契約形態別に紹介します。
大手コンサル会社
大手コンサル会社の特徴として、日本全国や海外に多数の支社を展開していることが挙げられます。コンサルタントの人数が多く、それぞれの担当領域も多岐にわたるため、幅広い問題をサポートしてもらえる点がメリットです。
大手コンサル会社の費用相場は、次のようになっています。
- 顧問契約型:月額100万円以上
- プロジェクト型:年間約1億円
- 時間契約型:1時間10万円~
顧問契約型・プロジェクト型・時間契約型のいずれも高額になる傾向があり、大きな予算をつけられなければ依頼しにくいでしょう。ただし、各分野に精通したコンサルタントが所属しているため、コンサルが成功する確率は高くなります。
小規模コンサル会社
複数のコンサルタントでチームを組む大手コンサル会社と異なり、小規模コンサル会社は基本的にチームではなく1名のコンサルタントが担当になります。契約形態別の費用相場は、以下の通りです。
- 顧問契約型:月額3万~20万円以上
- プロジェクト型:年間120万~360万円以上
- 時間契約型:1時間5,000円~3万円以上
どの契約形態でも、大手コンサル会社に比べると費用相場は安い傾向があります。結果を出せるコンサルタントが担当した場合、高い費用対効果を期待できるでしょう。
小規模コンサル会社の中には、気軽な相談を受け付けているケースもあります。1時間5,000円程度で、簡単なコンサルを受けられる可能性がある点が魅力です。
独立系コンサル会社
独立系コンサル会社とは、日本国内で独立した企業としてコンサルを行っている会社のことです。中小企業や海外進出の支援を得意としているなど、独自のノウハウを持っているという特徴があります。
独立系コンサル会社の費用相場は、次の通りです。
- 顧問契約型:月額20万~30万円
- プロジェクト型:年間180万~550万円以上
- 時間契約型:1時間3万~5万円以上
ほとんどの独立系コンサル会社では、小規模コンサル会社のように短時間の相談を受け付けるサービスは提供していません。独立系コンサル会社の時間契約型は、顧問契約型やプロジェクト型の前段階で行うコンサルという位置付けです。
コンサル会社の業界別の費用相場
コンサル会社の費用相場は、どの業界を対象にするかによっても異なります。コンサルの対象となる業界は多岐にわたり、専門性が高ければ高いほど費用もかさみがちです。コンサル会社を業界別に分けて、費用相場を見ていきましょう。
経営コンサルタント
クライアント企業が自社の経営全体を改善したい場合は、経営コンサルタントが担当になります。経営コンサルタントに依頼した場合は、月額20万~100万円が費用相場です。
経営コンサルタントは中小企業診断士や公認会計士などの資格を保有していることが多いため、報酬のベースが高くなります。依頼内容の難易度によっては、費用がさらに高くなることもあるでしょう。
経営コンサルタントが経営者のビジネスパートナーのようなポジションになるだけなら、コストは安く抑えられます。一方で、役員会や株主総会への出席を求めたり経営方針の立案以外にもサポートを依頼したりする場合、コンサル費用は高くなります。
ファイナンシャルコンサルタント
ファイナンシャルコンサルタントとは、お金に関するさまざまなアドバイスを行う専門家を指します。ファイナンシャルコンサルタントの費用相場は、月額30万~60万円です。
経営コンサルタントと同様に、ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)などの資格保有者が多いため、料金のベースが高い傾向があります。保険・税金・不動産など複数分野のコンサルを同時に受けると、費用はより高額になるでしょう。
ファイナンシャルコンサルタントにサポートを依頼する場合は、領域を絞ってコンサルを依頼できないか検討することが重要です。自社が弱い部分を明確化し、その領域のみでサポートを受ければ、費用を安く抑えられます。
人材コンサルタント
企業の人事課題を分析し、適切なアドバイスを行うプロが人材コンサルタントです。費用相場は月額10万~50万円、依頼内容により費用が変わります。
例えば採用に関する戦略立案のみを行う場合は、費用を安く抑えられるでしょう。一方で、面接や選考で同席を求めたり教育制度の企画を依頼したりするなら、50万円以上の費用が必要になるケースもあります。
人材コンサルタントの費用を抑えるためには、内製化できる部分を自社で行うのがポイントです。実務まで依頼すると費用が高くなりやすいため、自社で可能な業務は従業員に任せましょう。
ITコンサルタント
近年はさらなる業務効率の改善を目指し、IT化を進める企業が増えています。ITに関する課題解決をITコンサルタントに依頼した場合の費用相場は、月額40万~60万円です。
ITコンサルタントへの依頼内容は、アプリの開発やシステムのセキュリティ向上といったものが多くなっています。そのため、ITコンサルはプロジェクト型で契約するのが一般的です。
自社専用のシステムを開発する場合は、相場よりも費用が高くなるケースが多くなります。プロジェクトの内容や参画人数によっても金額が変わるため、事前に相見積もりを取るのがおすすめです。
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なぜコンサル会社の費用に差が出るのか
コンサル会社の費用相場には大きな幅があります。コンサル会社の費用に差が生じる理由を理解すれば、コストの節約に役立てられるでしょう。契約形態・規模・業界の違い以外で、費用に差が出る主な理由を紹介します。
実績のある会社は料金のベースが高いため
コンサル会社の費用の幅が広い理由の1つに、豊富な実績を持つ会社は料金のベースが高いことが挙げられます。ブランド力や知名度が報酬を底上げしているためです。
豊富な実績があるということは、多くのクライアント企業を成功に導いていることの証明になります。結果を出す自信があるからこそ、料金を高くしているともいえるでしょう。
しかし料金が高いからといって、必ずしも実績が豊富であるとは限りません。まずはコンサル会社の実績を確認し、料金が高くても許容できるかを検討することが重要です。
コンサルの難易度も費用を左右するため
コンサル会社の費用は、依頼内容も大きく影響します。コンサルの難易度が高くなれば、相応のノウハウやマンパワーが必要になり、費用も高くなるためです。
コンサルの難易度は、コンサル会社が成果を出す過程でどれくらいの労力・時間を割くと想定するかによっても変わります。求める結果は同じでも、コンサル会社により想定する難易度が違うことがあるため、見積もりを慎重に比較することが大切です。
なおコンサル期間を短くしようとする場合も、難易度が上がるため費用が高くなります。短期間で結果を出すことと費用を抑えることのどちらを重視するのか、検討する必要があるでしょう。
コンサル会社の費用を抑えるためのポイント
何も考えずにコンサル会社を利用すると、余計な出費が発生することにもなりかねません。コンサル会社の費用を抑えるために、押さえておきたいポイントを紹介します。
依頼目的を明確化する
コンサル会社の費用を安く抑えたい場合は、依頼目的を明確にすることが大切です。自社の経営課題を明確にした上で、何をコンサルに依頼するかを考えましょう。
依頼目的が決まらないままコンサルを利用した場合、コンサルの対象が無駄に広がってしまい、自社にとって必要のないコンサルまで受けてしまう恐れがあります。
目的の認識がコンサルとずれてしまうと、工数が増えてしまうことにもなりかねません。経営課題を明確にできたら、課題を解消した後に何を目指すのかも考えておく必要があります。
コンサルによって生産性が上がるか精査する
複数のコンサルタントが参画する場合は、コンサルによって生産性が上がるかをチェックしましょう。自社のみで取り組んでも、結果が変わらないケースがあるためです。
コンサルと同じ内容を自社で行った場合の成果予想を出し、コンサルを利用するケースと比較してみましょう。コンサルにより、生産性が2倍以上になるかどうかが1つの目安です。
コンサルタントの単価や稼働時間も見積もりでチェックし、想定以上の人数が参画するようならその理由も聞く必要があります。
コンサルタントの人柄・やる気も確認する
コンサル会社の費用を節約したい場合は、自社とコンサルタントの相性を確認することも重要です。人柄が自社の社風とマッチしているか、モチベーションは高いかなどをチェックしましょう。
コンサルタントの人柄ややる気は、実際に会うことでより分かりやすくなります。電話やメールのみでやり取りするのではなく、契約前に面談する機会を作りましょう。
契約時にコンサルの費用を抑えようとすると、コンサルタントのやる気が下がることもあります。費用ばかりにこだわるのではなく、コンサルタントとの関係性を築いて課題解決のモチベーションが上がるよう働きかけることも。
費用対効果の高いコンサル会社を見極めよう
コンサル会社の費用相場は、契約形態・規模・業界により異なります。コンサル会社の実績やコンサルの難易度も、費用に大きな影響を与える要素です。
コンサル会社の費用を抑えるためには、依頼目的を明確化した上でコンサルの効果を精査し、コンサルタントとの相性も確認する必要があります。あらゆる角度からコンサル会社を比較し、費用対効果の高い会社を選びましょう。
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