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中小企業の会計ソフトは「規模」と「好み」で選ぼう。3つの正解と失敗しない選び方

ぴったりの会計ソフトをさがす
最終更新日: 2025年11月26日

会計ソフトの新規導入や乗り換えを考えているけれど、結局どれが自社に合うか分からないとお悩みではありませんか?実は、会計ソフト業界において「中小企業向け」の会計ソフトはなく、「大企業向け」とそれ以外の製品であるのが実情です。

大企業向けの製品を除けば、あとは経理担当者の好みや使いやすさ、税理士との連携のしやすさなどの観点で選んでしまって問題ありません。

おすすめの会計ソフトだけでなく、自社にとっての正解を最短で見つけるための選び方のコツも解説します。

そもそも「中小企業向け」の会計ソフトとは何か?

「中小企業向け」と謳われる会計ソフトは数多くありますが、実は明確な定義は存在しません。市場の実態を知ることで、自社に合うソフトを見つけやすくなります。

実態は「大企業向け(ERP)以外」のすべて

会計ソフト市場は「大企業向けERP」と「それ以外」の二極構造になっています。ERPとは、会計だけでなく販売管理や人事給与などを統合した基幹システムのことです。

ERPと中小企業向けソフトの違いは以下のとおりです。

項目 大企業向けERP 中小企業向けソフト
初期費用 数百万〜数千万円 無料〜数万円
月額費用 数十万円〜 数千円〜数万円
主な機能 連結決算、多通貨対応、高度な承認フロー 仕訳入力、決算書作成、銀行連携
運用体制 専任SE・運用担当が必要 経理担当者1人でも可能

SAP S/4HANAやOracle NetSuiteなどのERPは、多拠点展開や上場企業向けの製品です。従業員数十名〜数百名規模の企業であれば、freeeやマネーフォワード、弥生などのソフトで十分対応できます。

選ぶ基準は「クラウドかインストールか」だけでいい

会計ソフトを選ぶ際の最大の分岐点は「クラウド型」か「インストール型」かという点にあります。2023年のインボイス制度と2024年の電子帳簿保存法の義務化以降、クラウド型の優位性が高まっています。

項目 クラウド型 インストール型
法改正対応 自動でアップデート 手動で更新が必要
銀行連携 APIで自動取込可能 手入力が基本
動作速度 ネット環境に依存 高速
利用場所 どこからでもアクセス可 インストールしたPCのみ
費用体系 月額・年額のサブスク 買い切り+保守料

経理担当者が1人で業務を回す場合、銀行明細の自動取込やインボイス対応が標準装備されているクラウド型が効率的でしょう。一方、入力スピードを最優先したい場合や、ネット環境が不安定な場合はインストール型が適しています。

迷ったらこれで決まり。シェア8割を占める「クラウド3強」の使い分け

クラウド会計ソフト市場は「freee」「マネーフォワード」「弥生」の3社が大半のシェアを占めています。3社とも機能面では大きな差がないため、設計思想やUIの違いで選ぶのがポイントです。

経理を自動化し、経営を見たいなら「freee会計」

出典:「freee会計(法人プラン)公式サイト」

freeeは「借方・貸方」という複式簿記の概念を画面上から隠し、経理の専門知識がなくても使える設計が特徴です。

freeeが向いているのは以下のようなケースです。

  • 簿記の知識に自信がない
  • 経費精算や請求書発行も一元管理したい
  • 銀行明細から仕訳を自動生成してほしい

一方、仕訳の裏側が見えにくいため、経理経験者や税理士からは「ブラックボックス化しやすい」という声もあります。税理士に相談する際は、freee対応の事務所かどうか事前に確認しておくと安心です。

拡張性と連携重視、経理のプロがいるなら「マネーフォワード クラウド会計」

出典:「マネーフォワード クラウド会計」公式サイト

マネーフォワードは、従来の会計ソフトに近い「振替伝票入力」や「仕訳帳入力」の画面を備えています。簿記の知識がある経理担当者にとって、違和感なく操作できる設計です。

マネーフォワードが向いているのは以下のようなケースです。

  • 簿記3級以上の知識がある
  • 他社製の勤怠管理や給与計算ソフトと連携したい
  • 将来的にIPOを見据えている

2,300以上の金融機関やWebサービスとのAPI連携が強みで、既存のシステムと柔軟につなげられます。税理士業界での支持も厚く、データのやり取りがスムーズに進みやすいでしょう。

安心感とサポート、初心者なら「弥生会計 Next」

出典:「弥生会計Next」公式サイト

弥生はデスクトップ版で圧倒的なシェアを持つ老舗ブランドです。「弥生会計 Next」は、そのノウハウをクラウドに移した次世代製品として2025年から本格展開されています。

弥生会計 Nextが向いているのは以下のようなケースです。

  • 初めてクラウド会計を導入する
  • 操作に困ったとき電話で相談したい
  • 顧問税理士が弥生を指定している

最大の強みは電話・チャット・メールによるサポート体制にあります。操作方法だけでなく、仕訳の相談まで対応してくれるプランもあり、経理初心者にとって心強い存在です。また、全国の税理士事務所の多くが弥生のデータに対応しているため、税理士との連携でトラブルが起きにくいでしょう。

あえて「インストール型」や「特化型」を選ぶべきケース

クラウド型が主流となった現在でも、インストール型や特化型ソフトを選ぶべき場面があります。コスト面や税理士との連携面で、あえてクラウド以外を選ぶ合理的な理由を解説します。

ランニングコストを極限まで抑えたい場合

クラウド会計は月額・年額のサブスクリプション方式のため、使い続ける限り費用が発生し続けます。固定費を抑えたい企業には、買い切り型のインストールソフトが選択肢になります。

買い切り型とクラウド型の5年間コスト比較は以下のとおりです。

項目 買い切り型 クラウド型
初期費用 2〜3万円 0円
年間費用 0円〜2万円程度 約4万円
5年間の総コスト 約5〜10万円 約20万円

「わくわく財務会計」や「会計らくだ」は2〜3万円程度で購入でき、法改正がない年は保守契約なしでも運用可能です。ただし、インボイス制度や電帳法への対応は別途オプションや外部ストレージが必要になる場合があるため、事前に確認しておきましょう。

顧問税理士が指定している場合

顧問税理士から特定のソフトを指定されている場合は、それに従うのが最も安全な選択です。JDL IBEX会計やMJSは、税理士事務所との「データ連携」に特化した設計になっています。

税理士がこれらを指定する主な理由は以下のとおりです。

  • 独自フォーマットでデータを直接取り込めるため、変換作業が不要になる
  • 文字化けや科目変換エラーが起きにくい
  • 監査や決算作業がスムーズに進む

税理士事務所側の工数が減ることで、顧問料の交渉余地が生まれる場合もあります。無理にfreeeやマネーフォワードを導入して税理士との関係が悪化するリスクを考えると、指定ソフトに従うのが得策でしょう。

導入前の最終確認!失敗しないためのチェックリスト

「クラウド=便利・全自動」というイメージで導入すると、思わぬ失敗を招くことがあります。契約前に以下の3点を必ず確認しておきましょう。

顧問税理士は対応しているか?

会計ソフトを選ぶ前に、顧問税理士への確認は必須です。税理士がクラウド会計に難色を示すケースは珍しくありません。

税理士に確認すべき3つの質問は以下のとおりです。

  • 「〇〇(ソフト名)を導入しても対応可能か?」
  • 「クラウド化によって顧問料や契約内容は変わるか?」
  • 「未対応の場合、データはどの形式で渡せばよいか?」

税理士がクラウド会計を嫌がる理由として、「自動登録で間違った仕訳が大量に入ると修正工数が増える」という実務上の問題があります。ソフト選定は税理士と二人三脚で進めるのが理想的でしょう。

自社の「ITリテラシー」に合っているか?

会計ソフトには「設計思想」の違いがあり、経理担当者との相性が重要です。

経理担当者のタイプ別に適したソフトを整理すると以下のようになります。

経理担当者のタイプ おすすめソフト
簿記の知識がない・ITに強い freee
簿記3級以上の知識がある マネーフォワード
クラウド初心者・サポート重視 弥生会計 Next
入力スピード最優先 インストール型

freeeは独自の操作体系を持つため、簿記経験者がかえって戸惑うケースもあります。無料トライアル期間を活用して、実際の使い勝手を確認してから契約しましょう。

銀行口座・クレカとの自動連携は必要か?

クラウド会計の最大のメリットは銀行明細の自動取込ですが、すべての金融機関が対応しているわけではありません。

銀行連携で確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • メインバンクがAPI連携に対応しているか
  • 法人向けインターネットバンキングの追加契約が必要か
  • 電子証明書が必要な口座かどうか

地方銀行や信用金庫の中にはAPI未対応のところもあり、連携が頻繁に切れたり、別途月額費用がかかったりする場合があります。導入前に自社のメインバンクの対応状況を各ソフトの公式サイトで確認しておくことが大切です。

【比較表】中小企業におすすめの会計ソフト一覧

ここまで紹介した会計ソフトのスペックを一覧で比較できるようにまとめました。

クラウド型(SaaS)の主要ソフトスペック比較

クラウド3強と、その他の主要ソフトを比較した表です。価格は税込表示で、2025年時点の情報となります。

ソフト名 年額費用の目安 無料トライアル インボイス・電帳法 主なターゲット
freee会計 35,760円~477,360円 30日間 完全対応 スタートアップ、簿記知識なし
マネーフォワード クラウド会計 29,760円~77,760円 1ヶ月 完全対応 経理経験者、効率化重視
弥生会計 Next 34,800円~84,000円 最大1年 完全対応 クラウド初心者、サポート重視
ジョブカン会計 月額2,750円〜 30日間 完全対応 ジョブカンシリーズ利用者

freeeは従業員数や利用機能によってプランが細分化されているため、見積もりを取ることをおすすめします。

インストール型・買い切りの主要ソフトスペック比較

ランニングコストを抑えたい場合や、税理士から指定がある場合に検討するソフトの比較表です。

ソフト名 価格体系 インボイス・電帳法 主なターゲット
JDL IBEX会計 月額3,000円前後〜 対応 JDL使用の税理士の顧問先
わくわく財務会計8 買い切り24,180円前後 対応 小規模事業者、コスト重視
会計らくだ 買い切り1〜2万円台 一部対応 個人〜小規模、記帳のみ

インストール型はインボイス・電帳法への対応が限定的な場合があるため、導入前に必ず確認してください。

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