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経理の属人化を解消する方法を3ステップで解説!業務が止まる前に行動を

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最終更新日: 2025年09月30日

「この業務は、担当の鈴木さんしか分からない」。もし貴社の経理部門で、このような言葉が常態化しているなら、それは事業継続を脅かす「静かな時限爆弾」を抱えているのと同じです。担当者の突然の休職や退職は、請求業務の停止や資金繰りの混乱といった致命的な事態を招きかねません。

経理の属人化解消は、単なる業務効率化の問題ではなく、企業の根幹を守るための経営マターです。本記事では、明日から着手できる具体的なステップと、外部リソース活用の選択肢を含めた、盤石な経理体制を構築するロードマップを提示します。

経理の属人化が引き起こす「静かな経営リスク」とは?

ノートパソコンをタイピングする男性の

経理業務の属人化がもたらす損害は、主に業務停止、不正・ミスの温床化、そして業務改善のブラックボックス化という3つの経営リスクに集約されます。これらは、問題が顕在化するまで気づかれにくく、静かに企業の競争力を蝕んでいきます。

1. 退職・休職による業務停止

特定の担当者に依存した業務は、その担当者が不在になった瞬間に破綻します。

例えば、月末の請求書発行や月次の資金繰り管理といった基幹業務が、担当者の急な退職によって停止する事態を想像してください。これは売上の回収遅延や取引先からの信用失墜に直結し、事業運営そのものを揺るがしかねません。このリスクは、業務が複雑で代替要員の育成に時間がかかる経理部門において、特に深刻な問題となります。

2. 不正・ミスの温床化

業務プロセスが特定の個人の頭の中にしかない状態は、第三者によるチェック機能が働かないことを意味します。これは、意図的であるか否かにかかわらず、不正や重大な計算ミスが発生する絶好の環境です。

一人の担当者が長年にわたり独自のやり方で業務を続けている場合、外部からの牽制が効かず、問題が発覚したときには手遅れになっているケースも少なくありません。経理の属人化解消は、内部統制を強化し、経営の透明性を確保するための第一歩です。

3. 業務改善のブラックボックス化

「これが昔からのやり方なので」。属人化した業務は、担当者自身も「なぜこの手順なのか」を理解しないまま、非効率な作業を続けていることが頻繁にあります。

結果として、より効率的なツールの導入やプロセスの見直しといった改善活動が進みません。業務がブラックボックス化することで、組織全体としての生産性向上の機会を永遠に失い続けることになるのです。これは、変化の激しい現代において、企業の成長を阻害する深刻な足かせとなります。

【STEP1: 診断】属人化解消の第一歩は「業務の棚卸し」から

経理の属人化解消に向けた最初のステップは、現状を正確に、そして客観的に把握することです。特定の担当者の頭の中にしかない業務内容や手順を、誰もが見える形に「言語化」することからすべてが始まります。

コピペで使える!「業務棚卸しシート」の必須項目と記入例

まずは、以下の項目リストをコピーし、Excelやスプレッドシートに貼り付けて「業務棚卸しシート」を作成してください。そして、経理チーム全員で、思いつく限りの業務を書き出すワークショップを実施しましょう。

このシートの目的は、個人の評価ではなく、業務プロセス上の問題点を発見することです。「誰が大変か」ではなく「どの作業に時間がかっているか」「どこがブラックボックスになっているか」という視点で分析することが、本質的な課題解決に繋がります。

業務内容 担当者 頻度 作業時間/月(目安) 使用ツール/書類 課題・ボトルネック
(ここに業務を書き出してください)
月末の請求書発行・郵送 鈴木 月次 16時間 会計ソフトA、Excel 印刷・封入・投函の手作業に時間がかかる。
鈴木さんが休むと発行が遅れるリスクがある。
経費精算の承認と振込 佐藤 週次 8時間 経費精算システムB 申請内容の不備が多く、差し戻しのやり取りに時間がかかっている。
役員会議用の業績資料作成 鈴木 月次 5時間 Excel, PowerPoint データの集計方法が複雑で、鈴木さんしか手順を知らず、他の人が手伝えない。

【STEP2: 設計】「誰でもできる」に変える業務標準化の3ステップ

業務の棚卸しによって課題が可視化されたら、次はその業務を「特定のスキル」から「誰でも遂行可能なルール」へと転換させる「標準化」のステップに移ります。その鍵となるのが、マニュアル作成、チェックリスト導入、そしてダブルチェック体制の構築です。

1. マニュアル作成:暗黙知を形式知へ

マニュアル作成の目的は、担当者の頭の中にある「暗黙知」を、誰もが理解・実行できる「形式知」に変換することです。単なる手順の羅列ではなく、「なぜこの作業が必要なのか」という目的や、「このエラーが出た場合はどう対処するか」といった判断基準まで言語化することが重要です。

これにより、新しい担当者でも業務の全体像と本質を理解し、自律的に動けるようになります。マニュアルは一度作って終わりではなく、業務内容の変化に合わせて定期的に更新する仕組みも同時に構築してください。

2. チェックリスト導入:品質の均一化

どれだけ詳細なマニュアルがあっても、人間の集中力には限界があり、ミスや漏れは発生します。そこで有効なのがチェックリストです。

請求書発行であれば、「金額は正しいか」「宛名は正しいか」「捺印はされているか」といった確認項目をリスト化し、作業者が一つひとつチェックしながら進めるルールを徹底します。このシンプルな仕組みが、担当者の経験やスキルレベルに依存しない、均一で高い業務品質を担保します。

3. ダブルチェック体制の構築:牽制とミスの防止

最終的なアウトプットに対して、必ず別の担当者が確認する「ダブルチェック体制」を構築します。これは、単純なミスを発見するだけでなく、相互牽制による不正防止にも絶大な効果を発揮します。

重要なのは、「誰が」「いつ」「何を」チェックするのかを明確にルール化することです。この体制は、業務の透明性を高めると同時に、担当者一人ひとりが「見られている」という健全な緊張感を持つ文化を醸成し、経理の属人化解消を組織レベルで定着させます。

【STEP3: 実行】中小企業の味方!月額数千円から始めるITツール活用術

業務の標準化と並行して、ITツールを活用することで経理の属人化解消は劇的に加速します。高価な専用システムを導入しなくても、多くの企業で既に使われている身近なツールを少し工夫するだけで、業務は大きく効率化できます。

経理の「あるある」な悩みを解決するツール活用アイデア3選

ここでは、経理担当者が直面しがちな具体的なお悩みシーン別に、ツールの活用アイデアを紹介します。

【お悩み1】「あの請求書の支払い、もう済みましたっけ?」という確認が多い

  • 解決策: タスク管理ツール(Trello, Asanaなど)で進捗を可視化する。
  • 解説: 「請求書処理」という案件一覧(ボード)を作成し、「未処理」「確認中」「支払依頼済」「完了」といった進捗ステータスを列として設定します。受け取った請求書をカードとして登録し、進捗に合わせてカードを動かすルールにするだけで、誰がどの請求書をどこまで処理したかが一目瞭然になります。口頭やメールでの無駄な確認作業は、ほぼゼロになるでしょう。

【お悩み2】営業担当からの領収書提出が遅れ、月初の処理が大変…

  • 解決策: ビジネスチャットツール(Slack, Chatworkなど)で提出を習慣化する。
  • 解説: 「経費精算・領収書アップロード」といった専用チャンネルを作成します。営業担当者が外出先で領収書を受け取ったら、その場でスマートフォンで撮影し、チャンネルにアップロードするだけで提出が完了するルールを徹底します。経理担当者は紙の原本を待たずに処理を開始でき、月初の業務集中を平準化できます。

【お悩み3】「最新の申請フォーマットはどれ?」という問い合わせが頻発する

  • 解決策: クラウドストレージ(Google Drive, Dropboxなど)で情報を一元管理する。
  • 解説: 「経理部共有フォルダ」内に「各種申請フォーマット」フォルダを作り、常に最新版のファイルだけを置くようにします。ポイントは、ファイル名に「【2025年9月版】経費精算申請書」のようにバージョンが分かる名前を付けることです。古いファイルは「旧バージョン」フォルダに移動させることで、全員が迷わず正しいフォーマットにアクセスできるようになります。

専門家への依頼も有効!経理アウトソーシングの活用

社内での体制構築と並行して、あるいはリソースが限られている場合に極めて有効なのが、経理業務そのものを外部の専門家に委託する「経理アウトソーシング」です。これは属人化のリスクを根本から、かつ迅速に断ち切るための強力な選択肢となります。

1. プロセスの標準化と専門性の確保

経理アウトソーシング会社は、いわば「経理業務標準化のプロフェッショナル」です。数多くの企業の業務を請け負う中で最適化された業務プロセスを確立しており、それを導入することで、自社で試行錯誤するよりも早く、高品質な業務フローを構築できます。

また、頻繁な法改正やインボイス制度への対応といった専門知識が求められる領域においても、常に最新の知見に基づいた正確な処理が期待できます。

2. コア業務へのリソース集中

請求書発行、経費精算、記帳代行といった定型的なノンコア業務を外部に委託することで、社内の経理担当者をより付加価値の高いコア業務へ再配置できます。

例えば、事業計画策定のためのデータ分析、資金繰りの最適化提案、コスト削減の戦略立案など、企業の競争力強化に直結する業務にリソースを集中させることが可能になります。これは、経理部門を守りの部署から攻めの戦略部門へと変革させることに他なりません。

3. アウトソーシング検討時の注意点

ただし、アウトソーシングは単なる「丸投げ」であってはなりません。成功の鍵は、「どの業務を、なぜアウトソースするのか」を社内で明確に定義することです。委託範囲の曖昧さは、後のトラブルの元凶となります。

また、委託先の情報セキュリティ体制が信頼に足るものか、そして社内の担当者と委託先との間で円滑な連携フローを構築できるか、といった点も厳しく見極める必要があります。外部の力を最大限に活用するためには、自社の課題を深く理解し、主体的にパートナーシップを築く姿勢が不可欠です。

まとめ:属人化解消は、守りから攻めへの転換点

経理

経理の属人化解消は、単にリスクを回避するための「守り」の施策ではありません。それは、非効率な業務から担当者を解放し、より付加価値の高い分析業務や経営支援業務へとシフトさせる「攻め」の経営改革の第一歩です。

本記事では、内製化による改善ステップ—【診断】業務の棚卸し、【設計】業務の標準化、【実行】ITツールの活用—に加え、もう一つの強力な選択肢として【外部化】経理アウトソーシングの活用を提示しました。

貴社のリソースや課題に応じて、これらの手法を適切に組み合わせることが、盤石で持続可能な経営体制を築くための最も確実な道筋となります。まずは第一歩として、チームメンバーと共に「業務棚卸しシート」を作成し、ブラックボックスの扉を開けることから始めてください。

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