経理アウトソーシング(経理代行)を比較する

日々発生する記帳作業や請求業務、売掛・買掛管理など経理に関わる業務を外注するのが、経理アウトソーシングサービスです。経理業務はどの企業にも発生する業務ですが、複雑で手間が掛かるため一定の社内リソースが必要になります。また専門性の高い業務のため、人材の確保に頭を悩ませる企業も多いのではないでしょうか。

経理アウトソーシングでは簿記検定所持者や実務経験豊富なスタッフが業務を代行するため、正確な経理業務ができるだけでなく社内リソースをコア業務に集中させることが可能です。生産性の向上と経理業務の属人化防止に役立ちます。

経理アウトソーシングが対応できる業務の範囲はサービスによってさまざまですが、主に利用することの多い業務は以下の4つです。

請求書や領収書の作成から発送

日々の取引から請求書や領収書を作成し、発行と発送を行う業務ではオンラインでのアウトソーシングと訪問型、常駐型で対応が異なる場合があります。オンライン型では主にクラウドシステムを通じて発行しますが、訪問型や常駐型で代行する場合は紙での発行や発送に対応も可能です。

代金回収/消込作業

売掛金や買掛金の管理を行うサービスは多くありますが、代金回収と消込作業まで対応できると経理担当者の負担を大きく削減できます。

与信業務/与信枠設定

取引先の経営状態などの情報を収集し、信頼して取引できるかを調査するのが与信業務です。また調査の結果、取引先ごとに確実に回収できる額を「与信枠」として設定することで不良債権を防止します。

与信管理には高い情報収集能力や分析力、継続的な見直し作業が必要ですが、それぞれを満たす人員の確保が難しいのが現状です。また適切な与信管理のためには属人性を排除しなくてはいけません。そのためにも与信業務のアウトソーシングは有効です。

資産管理

経理アウトソーシングで行える資産管理は主に「固定資産管理」です。不動産や土地、機械設備、備品などの固定資産の管理は複雑で手間がかかり、杜撰に管理されているケースが少なくありません。資産管理をアウトソーシングすることであらゆる固定資産を正しく管理でき、減価償却や税務調査にスムーズに対応できます。

請求業務が効率化される

細かな数字を扱う請求業務は、ミスやモレが発生しやすい業務のひとつです。また専門的な知識が必要なため、経理業務に慣れていない従業員が行うとよりミスが起こりやすくなるでしょう。

経理アウトソーシングでは実務経験が豊富なスタッフや、簿記や各種資格の保有者が業務を行うためミスを大幅に削減できます。またチーム体制で確認を行うサービスならミスやモレにいち早く気づき、早急なリカバリーが可能です。迅速で確実な業務が実現し、経理業務が効率化されます。

未回収リスク対策が可能

企業間の取引はほとんどが信用取引(掛け取引)で成り立っています。しかし信用取引には未回収リスクがつきものです。与信管理を徹底していれば未回収リスクを低くできますが、従業員が与信管理を兼任している企業では継続的な見直しが困難でしょう。

経理アウトソーシングで与信管理を代行するとこまめな見直しが可能になるほか、与信管理に長けたスタッフが担当するため適切な限度額設定ができます。また督促業務まで代行できるサービスなら取引先との関係を悪化させることなく、確実な代金回収が可能です。

取引先・販売機会の拡大につながる

中小企業では経理や財務、人事などバックオフィス業務をひとつの部署で兼任している場合が少なくありません。場合によっては社長自らが経理を担当しているケースもあるでしょう。そのような場合日々の事務作業でリソースが削られ、コア業務に注力できない事態が発生します。経理アウトソーシングは日々発生する細かな事務作業を代行し、コア業務への注力を促します。

また決算間近や年末調整時期など、経理の繁忙期のみ人員を増やしたい場合にも経理アウトソーシングは有効です。繁忙期に他部署へヘルプを要請する必要がなくなり、販売機会喪失の防止と販路拡大に繋がるでしょう。

不正防止に役立つ

専門的な知識が必要で企業ごとにフローの異なる経理業務は、同じ人物が長期間担当することが多く属人化しやすい業務です。また個人が金銭を扱うため、情報のブラックボックス化による不正が発生しやすくなります。

しかし経理をアウトソーシングすると、契約を結んだ上で業務委託するため業務の透明性を確保できます。必要に応じて情報開示を求めることも可能なので、不正防止に役立つでしょう。

入れ替え作業に時間がかかる

これまで自社で行っていた業務を外部にアウトソーシングするため、マニュアルの作成や準備に時間が必要です。日々の業務を行う中でのマニュアル作成となるため、一時的に担当者の業務負担が増加するでしょう。

また外部に委託することで、業務フローがこれまでと変更になります。委託に際してクラウドシステムを導入するケースもあるでしょう。運用を開始してしばらくは従来の業務フローとの違いに戸惑う従業員が出ることを想定し、対処法を準備しておくことが必要です。

自社のノウハウが蓄積されずらい

経理は専門性の高い業務のためアウトソーシングによって得られる恩恵が多い一方、経理業務に関するノウハウを自社に蓄積できないデメリットがあります。外部に業務委託することで、経理業務に携わる自社社員がいなくなり教育の機会が失われます。

社内で人材育成をしたい場合は全てをアウトソーシングせず、経理業務の一部を委託するなどの方法を取ると良いでしょう。

内部情報漏洩の危険性を考慮する必要がある

業務のアウトソーシングは、第三者へデータを受け渡したり第三者が社内のデータにアクセスしたりするため情報漏洩の危険性が高まります。経理業務は経営にかかわる重要な数字を扱うため、情報漏洩のリスクは最小限に留めないといけません。

セキュリティ意識の高さや信頼性を確認したうえで委託先を選ぶことが重要です。

どこまで代行するか業務範囲を明確にする

経理アウトソーシングで代行できる業務には請求書業務から売掛・買掛管理、給与計算など、多くのものがあります。経理に関わるほとんどの業務をトータルで代行できるサービスから特定の業務に特化したサービスまでさまざまです。

「必要な業務に対応していなかった」「代行を求めていない業務の分までコストがかかってしまった」などのトラブルを防ぐために、自社がアウトソーシングしたい業務を明確にした上で選びましょう。

利用限度額や与信審査の回数をチェックする

与信業務を代行できるサービスには、調査できる回数が決まっているものがあります。そのため自社が求める与信審査回数を満たしているかを確認することが大切です。また取引先の経営状況の変化で、急遽審査が必要になった際に対応できるかどうかも確認しておくと安心です。さらに与信限度額の設定が適切か、自社の取引規模に合致しているかも合わせてチェックしておきましょう。

未回収時にどこまで保証されるか

売掛金の回収を代行できるサービスを選ぶ際は、未回収時のリスクを考慮した上で選ぶことが大切です。未回収が発生した際に全額の保証が受けられるのか、それとも一部のみなのかを明確にしておきましょう。

また売掛債権を買い取ってもらい、回収した金額から手数料を払うタイプのサービスもあります。どちらが自社にとって最適かを見極めて選ぶと良いでしょう。

どんな外部システムと連携できるか

オンライン型のアウトソーシングサービスでは、クラウド会計ソフトを利用するものがほとんどです。自社が既存で使用しているシステムと連携ができなかったり、新たな費用や業務が発生します。

スムーズにアウトソーシングを導入するためにも、連携可能な外部システムの確認は重要です。

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運用費が予算に見合っているか

経理のアウトソーシングは多くが企業ごとにカスタマイズされるため、見積もりを取らないと費用がわからないことがほとんどです。ただし代行形態によってある程度の増減は予想可能です。完全オンライン型は派遣型や常駐型に比べて、利用料が低い傾向にあるでしょう。オフライン業務が多くなると費用が加算されるサービスも存在します。

また回収代行を依頼する場合には、未回収リスクに備えて毎月保証料が掛かることがあります。未回収時の保証範囲によって保証料が異なるため、リスクヘッジと予算のバランスを考慮した上で選びましょう。

導入・運用サポート体制が整っているか

企業によって経理業務の内容やフローが異なるため、アウトソーシングの導入に際して入念なヒアリングが必要です。ヒアリングを疎かにするサービスでは求める業務レベルを満たすことは難しいため、導入前のサポートが充実しているサービスを選びましょう。

またアウトソーシングを担当するスタッフが自社に合わない場合や業務レベルに疑問がある場合に人員変更などの対応が取れるかも重要です。定期的に担当者とミーティングを行ったり、レポート制度があったりするサービスだと安心して利用できるでしょう。

専門的な知識が必要だったり、毎月多くのデータを扱い担当者の負担になったりと煩雑な経理業務においてアウトソーシングは企業の経理を最適化する大きな手助けになります。また属人化しがちな業務を透明化し、退職リスクや不正の防止に役立つでしょう。

ただしひとくちに経理のアウトソーシングと言っても、請求業務だけを代行するものから税理士とのやり取りまで対応できるものと、さまざまなサービスが存在します。完全オンラインが適しているのか、オフィスに常駐してもらうのが良いのかでも選ぶアウトソーシングは異なります。

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