「マンションの給湯器を交換したいけど、費用が気にかかる」「勝手に交換してもいいのか不安」とお悩みではありませんか。
この記事ではマンションの給湯器を交換するときの費用相場や安く抑えるためのコツ、依頼するときのポイントなどについて詳しく解説します。
マンションの給湯器交換にかかる費用は?
本体代、施工費用合計で15〜20万円が相場です。より詳細な費用は設置タイプや機能、号数によって変わります。
マンションの給湯器交換の費用は誰が負担する?
賃貸マンションの場合、給湯器をはじめとする設備の維持・管理は大家が行わなくてはならないので、大家が費用を負担してくれます。一方、分譲マンションの場合、給湯器は住人のものとなるため費用は自己負担となります。
マンションの給湯器交換にかかる費用相場は15〜20万円
給湯器の交換工事にかかる費用は、「給湯器本体+リモコンの価格」「施工費用」「追加費用」の合計金額です。合計すると15〜20万円前後が目安になります。
給湯器本体の価格は機能と号数で変わる
給湯器本体の価格は機能と号数によって大きく変わります。大まかな費用相場は以下の通りです。
【給湯専用】
壁掛け型・16号 | 2.5~5.5万円 |
壁掛け型・20号 | 3~7.5万円 |
壁掛け型・24号 | 5~9万円 |
PS型・16号 | 10~12万円 |
PS型・20号 | 10~17万円 |
PS型・24号 | 13~17万円 |
【オート】
壁掛け型・16号 | 7〜15万円 |
壁掛け型・20号 | 8.5〜16万円 |
壁掛け型・24号 | 9.5〜18万円 |
PS型・16号 | 14〜25万円 |
PS型・20号 | 16〜26万円 |
PS型・24号 | 18〜30万円 |
【フルオート】
壁掛け型・16号 | 7.5〜17万円 |
壁掛け型・20号 | 10〜18万円 |
壁掛け型・24号 | 11〜19万円 |
PS型・16号 | 27〜30万円 |
PS型・20号 | 30〜32万円 |
PS型・24号 | 30〜35万円 |
【給湯暖房熱源機】
壁掛け型・16号 | 12〜17万円 |
壁掛け型・20号 | 13〜18万円 |
壁掛け型・24号 | 13〜19万円 |
PS型・20号 | 27〜31万円 |
PS型・24号 | 30〜32万円 |
給湯器本体は、号数が大きく高機能が豊富に備わっているほど高額になります。給湯器のリモコンとセットで購入することになるので、上記の相場から2万円ほどの上乗せを見ておきましょう。
発売されて間もない製品であれば、メーカー希望小売価格のまま売られている可能性もあります。その場合、上記の相場から15万円ほど高くなる可能性があるので注意しましょう。
工事費用の相場は4〜5万円
本体・リモコンの購入費以外にも、取り付け工事費をはじめ不要となった本体の処分費や、出張料などが必要です。合わせて4〜5万円が相場になります。
以下は標準的な工事内容とおおよその費用相場の内訳です。
出張料 | 3,000円 |
撤去処分 | 5,000円 |
取り付け工事 | 5,000円 |
給水結び替え工事 | 5,000円 |
給湯結び替え工事 | 5,000円 |
ガス結び替え工事 | 8,000円 |
リモコン結び替え工事 | 8,000円 |
点火点検 | 2,000円 |
合計すると41,000円になります。見積書をもらった際は、それぞれの単価を見比べるために参考にしてみてください。
ただし給湯器の機種によっては、工事内容が変わったり費用が上乗せになったりするケースもあります。業者から提示された見積もりを見て、金額に大きな開きがあればその理由についてしっかりと確認しましょう。
給湯器の交換を安くするためのコツ
給湯器の不調のタイミングは正確に予想できるものではありません。急な出費になる可能性が高いため、できるだけ交換費用は抑えたいですよね。
以下の3つを実践すると、給湯器交換を安く抑えることができます。
- 7年未満であれば修理を検討する
- 見積もりの項目を細かくチェックする
- 複数の業者から相見積もりをとる
交換ではなく修理であれば交換費用を安くできます。寿命である10年を経過している給湯器であれば交換が最善です。しかし7年未満であれば故障が頻発する可能性は少ないため、修理でも不具合に対応できることが多いです。
見積もり時には複数の業者から見積もりを依頼し、内容も細かくチェックしましょう。最低でも3社以上から見積もりをとり、それぞれ追加費用はどのくらいかかるのか確認します。
また保証期間が何年になっているかも重要なポイントです。見積もりが高かったとしても、長期間の保証つきで無償の修理を行ってくれる業者であれば、長期的に見れば安く済みます。
マンションで給湯器を交換する流れ(賃貸・分譲)
給湯器を交換するときの流れは、賃貸マンションか分譲マンションかで異なります。賃貸マンションの場合には管理会社に連絡するだけですが、分譲マンションの場合は自分で工事を依頼する必要があるので注意しましょう。
【賃貸マンションの場合】大家や管理会社に確認
賃貸マンションでの給湯器交換の流れ |
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賃貸マンションに住んでいる場合、給湯器は設備の1つなので大家側に維持管理の責任があります。給湯器が経年劣化して修理・交換が必要になったら、大家や管理会社に連絡しましょう。
ただし借主の無闇な使い方が原因で故障した場合、借主が交換費用を負担するケースもあります。
また分譲マンションの所有者から部屋を借りている形式であれば、マンション全体の管理会社ではなく別の管理会社がいるので注意しましょう。
【分譲マンションの場合】自分で業者に依頼
分譲マンションでの給湯器交換の流れ |
|
給湯器のメンテナンスは、部屋を所有している世帯主の責任で行う必要があります。各戸に引かれ個別に利用している給湯器は、専有部分にあたります。集合住宅の構造によってはまれに共有部分として扱われるケースがありますが、たいていは専有部分です。
費用も自己負担ですが、可能な限りで設置する機種を選べる点はメリットです。
【管理組合への連絡も忘れずに】
分譲マンションの場合には、給湯器の交換工事をする前に管理組合への連絡が必要になるケースがあります。
給湯器そのものは専有部分にあたりますが、設置場所については共有部分にもあたるので微妙なところです。
工事前には申請書の提出が必要になる場合もあります。提出の有無は規約に書かれているので、一度確認してみることをおすすめします。
また設置できる号数やタンク容量、色などについても、細かい規約が定められていることも多いです。区分所有者が勝手に変更できない点もあるので、工事の着手前にきちんと管理組合に連絡しましょう。
機能によって交換にかかる時間は変わる
給湯器の交換工事は依頼から1週間前後でできるケースが多いです。しかし10~2月の繁忙期には品薄状態になるため、お取り寄せに数週間かかることも。
マンション給湯器の交換に要する時間は機能によって変わります。
給湯専用 | オート/フルオート | 給湯暖房熱源機 |
1〜2時間 | 2〜3時間 | 4〜5時間 |
給湯専用はリモコンが1カ所だけという比較的簡便な造りになっているため、交換にそれほど時間がかかりません。
オートとフルオートは追い焚き配管用の作業行程がプラスされるため、給湯専用よりも1〜2時間ほど長くなるのが一般的です。お湯張りや追い焚きチェックなどの試運転も交換作業に含まれます。
最も時間がかかるのが給湯暖房熱源機です。給湯器本体が重く、床暖房リモコンの交換や浴室暖房乾燥機の試運転テストも行わなければなりません。そのため全体で4〜5時間かかります。
給湯器交換は設置タイプ・機能・号数をチェック
給湯器の交換は、既存の製品と同じ仕組み・同じ大きさのものを選ぶことが基本です。またマンションの場合はPS(パイプシャフト)タイプという埋め込み型が多く、設置スペースの関係でメーカーも絞られてしまうケースもあります。
まずは現在使用している給湯器の種類を確認しましょう。
給湯器の5つの設置タイプ
ベランダ壁掛 | ベランダの壁面に設置する |
PS標準 | 玄関・廊下の壁面にあるPS(パイプシャフト)に埋め込まれている |
PS扉内・前方排気 | PS(パイプシャフト)の扉に隠れている。排気管は扉の上から見える |
PS扉内・後方排気 | PS(パイプシャフト)の扉に隠れている。排気管は扉の外からは見えない |
屋内壁掛 | 屋内に設置する。室外からは排気管だけが見える |
マンションに設置されている給湯器は、主に上記のような取り付け方が一般的です。交換する給湯器は、現在と同じ設置方法のものを選ぶ必要があります。
なおマンションでは、屋外の地面に設置する「屋外据置タイプ」は選ぶことができない点に注意しましょう。
給湯器の3つの機能
給湯専用 | 追い焚きができない |
オート | 追い焚きができる。自動お湯張り、自動追い焚き、自動保温などの機能がある |
フルオート | オートの機能に加え、自動足し湯や自動配管掃除などができる |
給湯暖房熱源機 | 給湯や追い焚きに加え、床暖房や浴室暖房などの機能がある |
機能についても、現在使っている給湯器と同じ種類のものを選びましょう。
もし「給湯専用からオートに変えたい」という場合は、浴室リフォームや配管工事が行われます。その場合は、まず管理会社や管理組合に相談してみましょう。
給湯器の号数
ガス給湯器は「号数」という指標によって性能が示されています。「水温+25度」のお湯を、1分間に何リットル供給できるかを示すものです。
号数を確認するときには、給湯器本体に貼られたシールの品番を確認しましょう。そのとき最初に出てくる数字が号数で、例えば「GT-202…..」なら20号となります。
号数が上がるほど給湯機能も上がりますが、その分サイズが大きくなります。とくにPSタイプの場合はスペースが限られているので、大きなサイズへの変更は難しいケースが多いです。
ちなみに電気給湯器など「貯湯式」の場合には、お湯を溜めておくためのタンク容量があります。ただしこちらはマンションに設置することはまれです。
給湯器交換のタイミングは?
マンションに住み始めてしばらく経つと、給湯器に不具合が起こるものです。機器にはそれぞれ耐用年数があるため、どこかのタイミングで調子が悪くなるのは仕方ありません。
給湯器を交換すべき主なタイミングは以下の2つです。
- 給湯器故障のサインが見られたとき
- 寿命の10年を過ぎたとき
給湯器故障のサインが見られたとき
以下のような症状が見られたら、給湯器が故障している可能性が高いです。
給湯器故障のサイン |
|
今までは気にならなかった音が本体から出るようになったら、故障を疑いましょう。異音がしたらすぐに点検するべきです。
煙が出てくるケースもあります。白い煙であれば排気と水蒸気が混ざったものなので心配は不要です。しかし黒い煙の場合、不完全燃焼が生じている可能性があります。
水温調整や追い焚きが機能しない場合は、給湯器のリモコンが故障しているかもしれません。給湯温度が安定しなかったり、追い焚きボタンを押してもお湯の温度が上がらなくなったりしたら注意が必要です。
給湯器の配管からの水漏れもよくある故障のサインです。水漏れは給湯器下の配管と給湯器内部で発生します。この2箇所から水漏れが起きている場合は、早めに相談・対処しなければいけません。放置しておくと修理費が高額になるほか、マンションの階下にも被害が及ぶ可能性があります。
故障が発生しやすい7年を過ぎたとき
一般的な給湯器では使用開始から7年程度で不具合が起こるようになり、10年以上経過すると故障が連続して発生する傾向があります。給湯器に何か異変を感じたときは、設置後7年以内であれば修理、7年以降であれば交換を検討してみることをおすすめします。
使用している給湯器が10年を超えている場合は、交換が難しくなるので注意が必要です。
給湯器を製造・販売しているメーカーは、新しいモデルをおよそ10年サイクルで市場に投入します。新製品が登場すると、それまでの型は廃盤となるケースがほとんどです。
そのため旧型の部品の在庫は少なくなってしまいます。モデルが変わってから時間が経つと、修理しようにも部品を取り寄せられないというケースが生じるのです。また部品を特注するため、修理費用が割高になることもあります。
寿命を超えて使用し続けるリスクについては、以下の記事を参考にしてください。
マンションの給湯器を交換するときの注意点
マンションの給湯器交換で注意するべきポイントは以下の2点です。
- マンション規約で給湯器の指定の有無を確認する
- 現在使用しているタイプと同じ給湯器に交換する
交換の前には規約を確認する
交換の前には、マンション規約に設置可能な号数やタンク容量、色の指定が書かれていないか確認することが大切です。マンションに設置されている給湯器の大半は細かい指定があります。
【号数を変更したいときは管理人に連絡する】
マンション給湯器の号数を変更したい場合、まず規約を確認した上で管理組合・管理人に連絡する必要があります。マンション全体のガス供給量が定められている場合、規約内で号数を変更することが禁止されていることが多いです。
号数を上げる「号数アップ」が可能であれば、ガスメーター能力の確認に移りましょう。
ガスメーター能力の指標には2.5号、4号、6号、8号の4種類があり、このうち一般家庭でよく見られるのは4号と6号です。
4号ガスメーター | 20号給湯器まで交換可能 |
6号ガスメーター | 24号給湯器まで交換可能 |
4号ガスメーターを採用している家庭では、20号の給湯器までしか使用することができません。そのため「16号から24号に交換」「20号から24号に交換」したい場合は、事前にガスメーターの能力を確認することが必要です。
なお号数を下げる「号数ダウン」については、ガスメーターの能力に関係なくどの号数でも変更することが可能です。
基本的に種類の変更はできない
規約を確認したら、指定条件に合わせて現在使用している同じ設置タイプ・機能に交換するのが基本です。
もし管理組合や管理会社からOKが出て、給湯器の種類を変更する場合には追加工事が必要です。
燃料をガスから電気へ替えたり、追い焚き可能な機種に替えたりなどの工事をする場合は配管工事が必要です。浴室の工事も必要になるケースがあり、工事に1日以上かかってしまうこともあります。その際、工事中には浴室を使えなくなるので注意しましょう。
当然追加工事に応じて費用が加算されるので、複数社の見積額をしっかり見比べることが大切です。無駄な費用や請求が発生するのを防ぐためにも、事前に事業者と確認を取っておくようにしましょう。
給湯設備の交換についても、現在使っている仕様と同じものに交換することが基本です。そのため、戸建てであれば可能なガス給湯器からエコキュートへの交換はできません。また電気温水器からエコキュートへの交換もできないケースがほとんどです。
もし管理組合や管理会社からOKが出て、給湯器の種類を変更する場合には追加工事が必要です。
自分で業者を選ぶときのポイント
給湯器交換を依頼できる業者は以下の通りです。
- ガス会社
- 給湯器メーカー
- 給湯器交換業者
- 量販店・ホームセンター
どの業者を選べばいいか分からないという方のために、安心して任せられる業者を探すポイントを紹介します。
ポイント①必要な資格があるか
給湯器の交換ではガスや電気を取り扱います。非常に専門的な作業が必要になるため、業者として仕事をするにはさまざまな資格が必要です。
給湯器交換に必要となる主な資格には以下のようなものがあります。
- ガス可とう管接続工事監督者(都市ガスの場合)
- 液化石油ガス設備士(プロパンガスの場合)
- 都市ガス会社へ登録している簡易内管施工士(都市ガスの場合)
水道や電気については、以下のような資格が求められます。
- 給水装置工事主任技術者(無資格の作業員の場合は指定工事店管理であること)
- 第二種電気工事士または同等以上の資格
上記のほかにも、状況によってはさまざまな資格が必要です。
まれに無資格で施工する業者も存在します。依頼するときには、有資格者かどうかチェックすることが肝心です。
ポイント②相見積もりをとる
1社だけの見積もりでは、見積書に記載された金額が適正かどうか判断できません。相手が素人であることを利用して、不当に高額な金額を提示してくる業者も存在します。
妥当な価格で発注するには、相見積もりをとることをおすすめします。数社に相談してそれぞれから見積もりを提出してもらい、その内容を比べましょう。
見積もり依頼するときのチェックポイントは以下の通りです。
- リモコンは給湯器本体の金額に含まれているか
- 給湯器の割引率
- 工事費は納得できるか
- 出張費の有無
- 現地調査の有無
- 保証期間
商品価格と工事費がひとまとめに提示されている見積書には注意が必要です。詳細な費用項目が記載されていない場合は、出張費や撤去費、消費税が別表記されている可能性が高いです。
安さに飛び付かず、提示された見積もりの細かい項目までしっかり目を通しましょう。
ポイント③十分な施工事例があるか
十分な施工事例を有しているかどうかも、重要な判断材料になります。施工事例を確認することによって、業者の実績や工事の質などを確認することができるので安心です。
施工事例とともに、実際のユーザーの声やレビューが公開されている業者も信頼できる指標になります。
ポイント④保証内容
工事の保証には「製品保証」と「工事保証」の2種類があります。
製品保証は給湯器本体につく保証のことです。メーカー保証は2年が一般的ですが、業者によっては、追加費用で延長保証をつけているケースも見られます。給湯器は7年を目安に不具合が生じることが多いため、延長保証サービスの有無を考慮して業者を選ぶと良いでしょう。
ただし延長保証サービスを確認するときは、信頼できる保証会社による保証をつけているかどうかを確認してください。
工事保証は工事自体につく保証のことを指します。工事終了後も保証が有効で、かつアフターサービスが充実している業者に依頼すると安心です。
調子が悪いと思ったときに試すべき対処法
「なんだか給湯器の調子が悪い」と感じたら、まずは以下の5点について確認してみることをおすすめします。
- 給水元栓・ガス栓は十分開いているか
- 電源プラグは抜けていないか
- 凍結していないか
- 水抜き栓フィルターにゴミが溜まっていないか
- 停電していないか
給水元栓・ガス栓が閉まっていたら、全開にすることで給湯器の不調が改善します。
電源プラグが抜けている場合は、コンセントを電源プラグにしっかり差し込むことで対処可能です。給湯器の凍結が起きているときも電源プラグを確認しましょう。外気温が低いと凍結予防ヒーターが自動的に作動しますが、電源プラグが抜けていたら作動せずに凍結が起きます。
水抜きフィルターにゴミが溜まっていることが確認できた場合は、以下の手順でゴミを取り除きましょう。
水抜きフィルターのゴミを取り除く手順 |
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停電していると、当然ですが給湯器は使用できません。給湯器を使っているときに停電が起きたら給湯栓を閉めておきましょう。停電時は自動的に運転が停止されるので、給湯栓が開いたままだと水しか流れません。
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