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退職金の確定申告は原則不要! 例外ケース解説&申告書の書き方まで網羅

最終更新日: 2019年12月19日

退職金には所得税などの税金がかかりますが、通常は退職した会社で源泉徴収を行うので確定申告は必要ありません。しかし、場合によっては確定申告が必要なケースや、確定申告が不要でもした方がよいケースがあるのをご存知でしょうか。

本記事では、退職金(退職所得)を確定申告すべき具体例をご紹介すると共に、税理士へ確定申告の相談をするメリットもお伝えしていきます。

この記事を監修した税理士

大原政人税理士事務所 - 神奈川県川崎市川崎区

 
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退職金の確定申告は原則必要ない

現金出納帳とは
退職金の確定申告は原則必要ない

退職した会社に「退職所得の受給に関する申告書」の提出をすることで、住民税や所得税が源泉徴収された上で退職金が支給されるため、確定申告が不要になります。

ただし、例外的に確定申告が必要なケースや、確定申告不要でも申告をした方がお得なケースが存在します。次項では、3つの具体例をご紹介します。

退職時に確定申告するべき例外ケース3選

確定申告をすべき3つのパターンとは、

  1. 会社を年度途中で退職した場合
  2. 「退職所得の受給に関する申告書」が未提出の場合
  3. 副業で赤字がある場合

です。本項ではこれらのケースを一つずつ解説していきます。

会社を年度途中で退職した場合(例外①)

年度途中で退職した場合
年度途中で退職した場合

会社を年度途中で退職した場合で再就職していない場合には、払いすぎた還付金が戻ってくる可能性が高いので、確定申告をしたほうが有利になります。

詳しくご説明しましょう。年度途中で退職すると、退職した会社では年末調整を行ってくれません。

年末調整は、1月1日~12月31日までの1年間における所得と所得税を計算しなおして精算する制度です。給料にかかる所得税は、月々源泉徴収されていますが、年末調整で1年分の所得税を計算しなおす時には、源泉徴収時には考慮されない生命保険料や医療費などの各種控除を加味して計算しなおします。

その結果、源泉徴収された税額より所得税が少ない場合については、払いすぎた分について還付が行われるのです。

ところが年度途中で退職した場合には、この年末調整が行われないので所得税の還付も行われないことになります。

退職するまで毎年の年末調整時に還付されていた人については、退職した年も確定申告で控除分を精算することで、払いすぎた所得税が還付される可能性が高いといえます。

逆に今まで毎年の年末調整で還付が行われなかった人でも、年度途中で会社を退職したことで収入が少なくなっているために、確定申告で税金が還付になるケースもあります。

会社は給料から源泉徴収をする時に配偶者控除や基礎控除などを考慮して源泉徴収をしていますが、年度途中で会社を退職したばかりに、配偶者控除や基礎控除などを源泉徴収から控除しきれない場合があるからです。

年度の最初のほうで退職している人であればそれだけ収入が少なくなるので、配偶者控除や基礎控除が源泉徴収で控除しきれない可能性が高くなります。

会社を年度途中で退職して退職金をもらっていて、配偶者控除や基礎控除が給与所得から控除しきれない場合は、その部分を確定申告によって退職所得から引くことになります。

退職金にかかる所得税は源泉徴収で既に会社が代わりに納付しています。確定申告で、控除しきれなかった部分を加味して退職所得を計算しなおすと、退職金にかかる所得税が会社で源泉徴収した所得税の金額より安くなり、税金が還付されることになります。

「退職所得の受給に関する申告書」が未提出の場合(例外②)

通常、会社を退職する時に提出するはずの「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておらず、高い税率で源泉徴収されている場合には、確定申告で還付金が戻ってきます。

「退職所得の受給に関する申告書」とは、退職金を受取る人が会社に提出する書類で、氏名、住所などの事項を記入するものです。

もし退職者が他の会社からも退職所得を受け取っている場合には、他社で受け取った退職金についての源泉徴収票の添付が必要になります。「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出することで、会社は退職金にかかる所得税を正しく計算することができます

。しかし、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出しないと、税務署はその人がほかの会社から退職所得を受取っているかどうかがわからず正しい退職所得がわからないので、20.42%という高い税率で源泉徴収します。

つまり、所得税の払い過ぎになっているわけです。そこで退職金にかかる所得税を計算して確定申告することで、納めすぎた所得税が還付されるのです。

副業で赤字がある場合(例外③)

不動産投資などの副業をしていて赤字がある場合も確定申告を検討してください。その赤字を退職所得と相殺できる場合があり、確定申告をすると還付金が戻ってくることがあります。

最近は自由な働き方が推奨されていることもあり、本業の会社員のほかに副業による事業所得がある方が増えています。

その不動産所得や事業所得が赤字の場合には、「損益通算」といって、所得から赤字を引くことができます。

そしてそれでも赤字が残ってしまう場合は、さらに退職所得から引くことができるのです。損益通算をすると退職所得から源泉徴収されていた所得税が還付されますので、申告をおすすめします。

なお、損益通算は赤字をどこから引くことができるかの順序があり、複雑な仕組みの制度です。また、不動産所得や事業所得の計算をするためには会計の専門知識が必要になることもあります。

専門家である税理士に相談しながら確定申告を行うと、節税のアドバイスも受けられますので、相談すると良いでしょう。

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退職所得(退職金)にかかる税金2種類

現物出資には税金がかかるケースがある
退職所得(退職金)にかかる税金2種類

退職時に退職金を受け取った場合、この退職金は「退職所得」といって所得税と住民税の2つの税金がかかります。これらの税金の徴収に関しては、通常は会社が退職金を払う時に源泉徴収を行います。

本項ではそもそも退職所得とはどのようなものなのか、所得税や住民税はどのように計算されるのかについてご説明します。

退職所得とは

退職所得とは、退職時に一時にもらえる所得(お金)のことをいいます。

主なものは、退職した会社からもらえる退職金や解雇された場合の解雇予告手当、会社が倒産した場合に国の未払賃金立替払制度から受け取った未払賃金などがあります。

他にも退職を理由として社会保険制度などから支給される一時金、生命保険会社などから退職を理由として適格退職年金契約に基づいて受け取る一時金も退職所得に含まれます。

退職所得の計算方法

退職所得の計算方法
退職所得の計算方法

退職所得の計算は、退職金が老後の生活を保障するために必要であるという理由から、税金の計算上はほかの所得より優遇されています。退職所得を計算するには、以下の計算式で計算します。

退職所得=(退職金-退職所得控除)×1/2
※法人役員などで勤続年数が5年以下の場合は1/2は適用されません)

計算のポイントは、この計算式のうちの「退職所得控除」です。

退職所得控除がいくらになるのかは、その会社にどれだけ務めたかの勤続年数によって異なります。勤続年数に端数が出る場合には、切上げて計算をします。

退職所得控除の増え方
退職所得控除の増え方

退職所得控除の基準は「勤続年数が20年を超えるかどうか」です。勤続年数が20年以下の場合は、「勤続年数に40万円をかけた金額」が所得控除になります。なお、80万円未満になった場合には80万円が控除額です。

そして勤続年数が20年を超えた場合には、20年までは1年につき40万円として、超えた年数については1年につき70万円として計算します。

例えば勤続年数が25年の人は、(20年×40万円)+(5年×70万円)=1,150万円が退職所得控除となります。

退職時にかかる税金① 所得税

退職所得がある場合の所得税の計算は、退職所得は「分離課税」で計算されるので、ほかの所得と合算されずに独立して計算が行われます。

所得税は累進課税制度をとっているので、ほかの所得と合算されてしまうと所得税が高くなってしまうためです。

退職所得にかかる所得税は次の式と表にあてはめることで、簡単に計算することができます。

退職所得にかかる所得税=退職所得×税率-控除額
※ただし上記に加えて、2.1%の復興特別所得税がかかります

出典:国税庁|退職金と税|平成30年分所得税の税額表

退職時にかかる税金② 住民税

退職所得がある場合の住民税は、退職所得に10%をかけて計算します。この10%の内訳は、市町村民税(特別区民税)が6%と道府県民税(都民税)が4%です。

退職金の確定申告で必要な申告書とその書き方

退職金の確定申告で必要な申告書とその書き方

退職金の確定申告をすることのなったものの、何が必要か分からない・書き方が分からない方もいると思います。ということで、確定申告をする際の必要書類と書き方を説明します。

退職所得の確定申告に必要な書類準備

確定申告をする際には、事前に記入時に必要な書類を集めておきましょう。

  • 給与や退職金の源泉徴収票
  • 生命保険料や寺院保険料などの控除証明書
  • 社会保険料の納付書

特に、退職後に自分で納めた社会保険料(国民健康保険などに加入し、介護保険料と併せて納付した保険料や、夫婦の国民年金保険料など)は忘れずに用意しましょう。

確定申告する際の申告書は

  • 確定申告書様式B
  • 申告書第三表

です。以下のリンク先でそれぞれ申告書用紙のフォーマットをダウンロードできるので、各自印刷しましょう。

参考:【申告書用紙】|国税庁

確定申告書の書き方

確定申告書様式B

確定申告書様式Bの書き方については、下記の記事を参考にして下さい。

参考:【2020年版】確定申告のやり方!基礎知識から申請完了まで詳しく解説|ミツモア

申告書第三表

退職所得がある際の確定申告書の書き方で通常と違うのは、申告書第三表を書く必要があることです。申告書第三表は退職金など分離課税の確定申告をする際に必要になる申告書であり、あまりなじみがない方も多いかもしれません。

なので、本記事では給与所得の他に退職所得がある場合の申告書第三表の書き方を詳しく説明していきます。

申告書第三表のサンプル

申告書第三表に記入するべき項目は、

申告書第三表上の記入欄 記入内容
大項目 中項目 小項目 No.
収入金額 源泉徴収票の「支払金額」
所得金額 69 (源泉徴収票の「支払金額」-「退職所得控除額」)×1/2
税金の計算 課税される所得金額 77 9~25が黒字の場合は、69の1,000円未満の端数切捨て字

9~25が赤字の場合は、69+9-25の計算結果から1,000円未満の端数を切り捨てた数字

税額 85 国税庁のサイトに記載されている税率を参考に計算した税額を記入
退職所得に関する事項 所得の生ずる場所 源泉徴収票の「支払者」の「氏名又は名称」
収入金額 源泉徴収票の「支払金額」
退職所得控除額 源泉徴収票の「退職所得控除額」

です。源泉徴収票に記載されている数字を間違えないように転記しましょう。

確定申告書の記述例を国税庁が作成しているので、参考にしてみてください。

参考:給与所得の他に退職所得がある方の記載例(1)|国税庁

退職金がどの年度分の所得扱いになるか【6ケース】

非居住者で確定申告するか悩む人

退職金がいつの年度分の所得になるかは、原則として退職日の属する年度分の所得として扱われます。

ただし、退職金を受け取る際の状況は人それぞれであり、この状況の違いによって退職金がいつの年度分の所得として扱われるのかが変わるケースがあります。今回はその主な6ケースを紹介します。

1. 役員に支給される退職金

株主総会など正当な権限を持つ機関の決議を要する役員は、退職後にその決議があった日の属する年分の所得とします。

ただし、その決議が退職金を支給することを決定したのみであり、明確な金額が定められていない場合は、退職金の金額が明確に定められた日によります。

2. 退職給与規程の改定による差額に相当する退職金

支給日が定められている場合はその日、定められていない場合は改定の効力が生じた日の属する年分の所得とします。

3. 退職金と見なされる一時金

一時金を支給する基礎となる法令、契約、規程または規約により定められた給付事由が生じた日の属する年分の所得として扱います。

4. 引き続き勤務する者に支払われるもので退職金とされるもの

(1) 役員であった勤続時間に対する退職金については、上記1の決議があった日または金額が具体的に定められた日の属する年度分の所得として扱われる。

(2) 使用人であった勤続期間の退職金については、それぞれ以下に掲げる日の属する年度分の所得として扱います。

  • 退職給与規程等の制定または改正等に伴う退職金→その支給を受けた日
  • 使用人の役員昇格または執行役員就任に伴う退職金→使用人から役員または執行役員になった日
  • 退職給与規程等の制定または改正によりその制定または改正の時に既に役員に就任している人全員に支払う退職金→退職給与規程の制定または改正の日
  • 定年再雇用に伴う退職金→定年に達した日
  • 定年の延長により延長前の定年に達した人に支給する退職金→延長前の定年に達した日
  • 法人の解散後も引き続き清算事務に従事する人に支給する退職金→法人の解散日

5. 年金に代えて支払われる一時金で、退職金とされる場合

退職金の給付事由が生じた日の属する年度分の所得として扱いますが、退職日以降その退職に対する退職金をすでに受けとっている人に一時金が支払われる場合、その退職金のうち最初に支払われたものの支給期の属する年分の退職金として扱います。

確定拠出年金法の規定に基づいて支給される一時金の場合は、最初に支払われた退職金があったとしても、確定拠出年金法の規定により定められた給付事由が生じた日が属する年分の退職金として扱われます。

そのため、最初に支払われたものの支給期の属する年分にはなりません。

6. 一つの勤務先の退職により2つ以上の退職金の支払いを受ける場合

勤務先を退職し、その勤務先から退職金をもらう他に、企業年金基金などからも退職金と見なされる一時金を受け取ることになった場合や、退職により退職金の支払いを受けた人が、その後退職給与規程の改訂などにより退職金の差額の支払いを受けることになる場合が考えられる。

このように一つの勤務先を退職することにより2つ以上の退職金の支払いを受ける権利を有し、退職金が別の年分として扱われる場合、2つ以上の退職金のうち、最初に退職金を受け取った日の属する年分の退職金として扱います。

退職金はふるさと納税の控除対象になる場合がある

退職金はふるさと納税の控除対象になる場合がある

お得に特産品などを手にできるふるさと納税。退職金を退職所得として確定申告する場合には、ふるさと納税の税額還付・控除の対象となる場合があります。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附を行うと、税金還付・控除上限額内であれば2,000円を超える部分について税金が控除され、さらにその自治体から返礼品が届くというしくみです。

つまり、税金還付・控除限度内で寄付をすれば、2,000円で好きな地域の特産品をもらえるとてもお得な制度というわけです。

ふるさと納税の税金還付・控除の限度額は個々人の所得金額などから算出されます。下記のリンクに詳細な限度額を算出する方法を紹介しているのでぜひご参考ください。

参考:ふるさと納税の税金還付・控除の限度額について|ミツモア

退職金によって控除上限が増えるかは在住地区の自治体次第

退職金にかかる住民税や所得税は分離課税に該当するため、源泉徴収の対象となります。そのため、自治体によって、上限額に影響する場合としない場合があります。そのため、ふるさと納税を利用する際は、事前に自治体に問い合わせ上限額を把握してからのほうが無難でしょう。

退職所得の確定申告で不安なら…税理士におまかせ

退職金の確定申告で還付を受けられかが不明な場合や、確定申告の方法や必要書類がわからない場合には、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

税理士に依頼すると、節税などの相談から確定申告の代理まで行ってくれるので、手間が省けるとともに正確な確定申告が可能となります。

監修税理士のコメント

大原政人税理士事務所 - 神奈川県川崎市川崎区

以上、退職金の源泉徴収について解説しましたが、退職金に対する税金は給与・賞与に対する税金に比べて格段に安くなっています。もし、法人を経営されている場合にはこの制度を上手に利用し、将来に対する税金をもちろん合法的に安く節税する事も可能になります。その場合には短期的な視点ではなく長期的に考えてタックスプランニングを考える必要があります。
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退職時の確定申告は税理士に相談を

退職時の確定申告は、原則として不要と思われている方が多いのですが、確定申告をすることで還付を受けることができるケースがあります。

しかし、税務署に問い合わせると事情をよく確認しないで「確定申告をする必要はない」という回答が行われ、本当は確定申告をすると還付を受けることができるのに、還付を受けそびれる方も多くいます。

また、退職金について確定申告をしたほうがよいのかどうか、どのくらいの税金が還付されるのかわからない、確定申告の際に必要書類をどのように用意すればよいかかわからない──確定申告に関する悩みをお持ちの方は、専門家である税理士に相談すれば最適な解答を提示してくれるでしょう。

確定申告に強い税理士を選ぼう

確定申告の相談をするなら、「確定申告の経験が豊富な税理士」を選びましょう。経験を元に確実かつ迅速に確定申告を済ませてくれるのはもちろん、節税策を授けてくれるかもしれません。

そして確定申告に強い税理士をお探しの方におすすめしたいのが、「ミツモア」というサービスです。2分程度で希望条件などを入力するだけで、最大5社の確定申告に強い税理士から見積もりが届きます。

口コミもあるので、他の人の評価を見ながら選ぶことができるのも安心です。ミツモアを上手に活用して、退職時の確定申告を任せられる税理士さんを見つけてみてはいかがでしょうか。

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大原政人税理士事務所 - 神奈川県川崎市川崎区

大原政人(おおはらまさと) 1975年茨城県土浦市出身。法政大学経営学部経営学科卒業。 法人税申告約1500件、相続案件は約200件、確定申告案件は約1200件(開業から過去17年実績) セミナー、研修会講師 年間30回新聞、専門誌への原稿執筆多数、毎月無料の起業相談会を2回実施しています。
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