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ふるさと納税は節税になる?メリットや申請方法を丁寧に解説!

最終更新日: 2023年12月28日

ふるさと納税は都道府県・市区町村に寄付をすると、自己負担金2,000円を除いて、寄付額の全額が税金の還付・控除という形で戻ってくる制度です。

先に払った税金があとから戻ってくるため、税金自体が安くなる=税金を節約できるということではありません

しかし、 以下のことから広い意味での節税になっていると言うこともできます。

  • たとえば寄付額78,000円の場合、計算上、返礼品の金額合計は最大23,400円。実質2,000円を負担するだけで、最大23,400円相当の返礼品をもらえる
  • ふるさと納税で商品をもらうと、消費税を払わなくてすむ

「ふるさと納税の仕組みがわからない」「手続きが面倒くさそう」という人に向けて、

  • ふるさと納税の仕組み
  • 税金の優遇措置を受ける方法
  • 自己負担額を最小限に抑えられる寄付上限額

を中心に解説します。

この記事の監修税理士

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風間優作(かざまゆうさく) 1985年千葉県銚子市出身。兵庫県立大学大学院卒業。 上場会社経理部にて経理実務を経験した後、Big4監査法人及び税理士法人にて、公認会計士・税理士としての実務を経験し独立開業。現在は会計監査やIPO支援だけではなく、個人・法人の税務から売上アップ・資金繰りコンサルなど幅広く対応している。

ふるさと納税は、返礼品と税金の優遇措置が付いた寄付制度

ふるさと納税の返礼品
ふるさと納税は、返礼品と税金の優遇措置が付いた寄付制度

「ふるさと納税がお得」といわれる大きな理由は2つ、1つは返礼品、もう1つは税の優遇措置です。

「ふるさとに納税するのだから、税金の納め先が故郷になるだけなんじゃないの?」
「ふるさと納税ってよく聞くけど、そもそも何なのかわからない」

そんな方に、「ふるさと納税」の魅力を簡単に解説します。

 ふるさと納税は税制度ではなく寄付制度

ふるさと納税とは「税金を納める」のではなく、「寄付をする」制度です。総務大臣の指定を受けた都道府県・市区町村から、寄付先を自分で選べます。

ふるさと納税利用者は、2,000円の手数料を使い、自分の好きな都道府県・市区町村へ寄付をします。

それに対して、寄付をしてもらった都道府県・市区町村は、寄付してくれた利用者へお礼の品物やサービスを返送してくれるのです。 

節税になるとも言われているふるさと納税ですが、主に2つの大きなメリットがあります。 

ふるさと納税を利用するメリット1:魅力的な返礼品がもらえる

ふるさと納税を利用して寄付をしてもらった都道府県・市区町村は、寄付者に返礼品を送ります。返礼品の上限金額は寄付額の最大30%と決まっており、特産品やグルメ品、体験イベントや便利なサービスなど、さまざまな返礼品が用意されています。

寄付者はさまざまな返礼品の中から、寄付額に応じて好きなものを選べるのです。 

また、被災地復興支援のための寄付や障害者支援施設などへの協賛や、返礼品を受け取らずに寄付だけをするといったものもあります。ふるさと納税を通して、返礼品に左右されない幅広い支援も行えるのです。 

ふるさと納税返礼品
ふるさと納税返礼品

ふるさと納税を利用するメリット2:税制度で優遇措置を受けられる 

1年間のふるさと納税寄付総額に応じて、所得税や住民税の還付・控除を受けられます。この優遇措置を受けられる寄付総額には上限があり、上限額の範囲内であれば自己負担額は実質2,000円です。

ここで注意したいのは、

・「所得税や住民税自体が安くなる」のではない

・すべて現金で手元に戻ってくるわけではない

ということです。

つまり

・ふるさと納税で所得税や住民税を先払いしている

・先払いした税金は、戻ってきたり(=還付)、税金から差し引かれたり(=控除)する

ということなので、注意しましょう。 

ふるさと納税の優遇措置は手続きをしないと受けられない

ワンストップ特例の申請書
ふるさと納税の優遇措置は手続きをしないと受けられない

所得税や住民税の還付・控除を受けるには、自分で手続きをしなければいけません。手続きは2種類。職業や控除の状況などによって、手続きの方法が変わります。

また寄付総額によっては自己負担額が2,000円ですまず、負担額が増えることに。

ここでは2種類の手続きと、還付・控除可能な範囲について解説します。 

還付や控除を受けるための手続きは2種類 

ふるさと納税の税制上の優遇措置、還付や控除は、自分で手続きしないと受けられません。

この手続きには2種類あり、1つはワンストップ特例の利用、もう1つは確定申告です。それぞれの手続きは利用できる人に条件があり、必ずしも好きな方を選べるというわけではありません。

確定申告をする場合は、寄付先の都道府県・市区町村から送られてくる「寄付金受領証明書」が必要です。ワンストップ特例を用いて手続きするつもりでいても、あとから確定申告が必要になる場合もありますので、きちんと保管しておきましょう。 

サラリーマンはワンストップ特例がオススメ!

申請できる条件 ・寄付を行った年の所得について確定申告をする必要が無い人
・1年間のふるさと納税納付先自治体が5つまでの人
申請時期 寄付のたびに行う(申請書と個人番号や本人確認書類が必要)
申請締め切り 寄付の翌年1月10日必着
控除のタイミング 寄付をした翌年の6月から翌々年5月の1年間で、住民税が減額される
メリット 申請手続きが簡単
デメリット ・利用できる人が限られている
・1年間の寄付先は、5ヵ所を超えてはいけない

ワンストップ特例は手続きが簡単で、確定申告をする必要のないサラリーマンや公務員などにオススメです。 

寄付を申し込むときにワンストップ特例の申請をすると、「寄付金受領証明書」とともに申請書が送られてきます。この申請書に必要事項を記入し、翌年1月10日までに都道府県・市区町村に送り返すだけ。

申請書の返送を忘れていたり、12月末に寄付を申し込んで期日までに申請が間に合わなかったりしたら、どうしたらいいのでしょうか?その場合は確定申告を行うと、通常通り税金の還付・控除を受けられます。

ワンストップ納税
ワンストップ納税

個人事業主は確定申告のときに手続きしよう 

申請する人 ・確定申告をしなければいけない
・確定申告で税金の還付を受ける予定がある
・1年間の寄付先が6ヵ所以上
・ワンストップ特例の申請が間に合わなかった
申請時期 毎年の確定申告(寄付金受領証明書が必要)
申請締め切り 確定申告の終了日(3月15日)まで
控除のタイミング ・寄付をした翌年の確定申告後に、還付金として指定した口座に振り込まれる
・寄付をした翌年の6月から翌々年5月の1年間で、住民税が減額される
メリット 1年間で何ヵ所に寄付をしてもよい
デメリット ・確定申告に不慣れな人にとっては面倒
・寄付金受領証明書がないと申請できない
(なくしてしまった場合は、再度送付してもらうなどの対処が可能)

確定申告をしなければいけない人や、する予定のある人は、ワンストップ特例を利用できません。主に次のような人が、確定申告での申請対象です。

・個人事業主

・不動産収入がある人

・副業で20万円を超えている人

・給与が2,000万円を超えている人

・仮想通貨での利益がある人

・医療費控除や社会保険料控除、住宅ローン控除の申告をする人

毎年2~3月の確定申告で、他の申告と同時に申請します。その際、「寄付金受領証明書」が必要なので、かならず保管しておきましょう。

確定申告
確定申告

【注意】控除金額には上限がある

ふるさと納税での税金の還付・控除には上限があります。その上限内で寄付を行うと、自己負担額は2,000円のままです。

しかし、上限額を超えて寄付を行うと、どうなるのでしょう?なんと超えた分の寄付金は税金の還付・控除は行われず、すべて自己負担となります。

つまり自己負担額は

上限額範囲内での自己負担額2,000円 + 上限を超えた分の金額

となり、2,000円を超えてしまって損になります。

ふるさと納税で自己負担額を2,000円にしたいのなら、寄付額の上限を超えないことが大切です。

ふるさと納税の自己負担額
ふるさと納税の自己負担額

控除金額の上限は世帯によって違う

ふるさと納税寄付上限額:3人家族のケース
控除金額の上限は世帯によって違う

自己負担額を2,000円に抑えられる寄付上限額は、世帯状況によってそれぞれ異なります。税金の還付・控除額の上限は所定の計算式で算出され、そこから寄付上限額がわかるのです。

ここではふるさと納税の税金還付・控除額の仕組みについて、具体的なシミュレーションもしながら解説していきます。 

控除金額の上限は年収や家族構成などで細かく変化 

ふるさと納税の控除金額は、次のような条件から総合的に判断されます。

・年収

・家族構成

・未婚か既婚か

・共働きか(扶養控除を受けているか)

・高校生以上の子どもがいるか

・年金をもらっている人がいるか

・ふるさと納税以外の控除がされているか(医療費控除、社会保険料・生命保険料控除、住宅ローン控除、iDeCoのような個人型確定拠出年金控除など)

自己負担額2,000円を除いた全額が控除される寄付上限額の目安が、総務省ふるさと納税ポータルサイトにまとめられています。一部を抜粋したものが次の表です。

  家族構成
給与収入 独身または共働き(配偶者控除なし) 夫婦(配偶者控除あり) 共働き+高校生1人 夫婦+高校生1人 共働き+高校生1人+大学生1人 夫婦+高校生1人+大学生1人
300万円 28,000 19,000 19,000 11,000 7,000
400万円 42,000 33,000 33,000 25,000 21,000 12,000
500万円 61,000 49,000 49,000 40,000 36,000 28,000
600万円 77,000 69,000 69,000 60,000 57,000 43,000
700万円 108,000 86,000 86,000 78,000 75,000 66,000
800万円 129,000 120,000 120,000 110,000 107,000 85,000
900万円 151,000 141,000 141,000 132,000 128,000 119,000
1,000万円 176,000 166,000 166,000 157,000 153,000 144,000

注1:年収と家族構成のみを参考にしたものであり、あくまで目安です。
注2:中学生以下は還付・控除額に影響ありません。
(例)夫婦+小学生1人 → 夫婦と同額
夫婦+中学生2人 → 夫婦と同額
夫婦+中学生1人+高校生1人 → 夫婦+高校生1人と同額

この表を見ると、寄付上限額は

・年収が高くなるほど上がる

・扶養家族が多いほど下がる

・扶養控除をもらっていると下がる

という傾向があるとわかります。

 税金の還付・控除額の詳しい計算方法

所得税・住民税の還付・控除額と、自己負担額が2,000円ですむふるさと納税の寄付上限額は、次の計算式で求められます。 

所得税控除額:(ふるさと納税額 - 2,000円)✕ 所得税税率

正確には、復興特別所得税額=(ふるさと納税額 - 2,000円)✕ 所得税税率×復興特別所得税率2.1% が所得税控除額にプラスされる

(控除対象のふるさと納税額上限:総所得額などの40%)

住民税控除額(基本分):(ふるさと納税-2,000円)✕10%

(控除対象のふるさと納税額上限:総所得額などの30%)

住民税控除額(特例分):(ふるさと納税 - 2,000円)✕(100%-基本分10% - 所得税税率(%))

正確には、住民税控除額(特例分)から①の復興特別所得税額が引かれる

(住民税控除額(特例分)の上限:住民税所得割額 ✕20%、ふるさと納税のみに適用)

●自己負担額が2,000円となるふるさと納税の寄付上限額=① + ② + ③ + 自己負担額2,000円

都道府県・市区町村への一般的な寄付で行われる控除は①と②。ふるさと納税の場合のみ、さらに③の控除が加わります。 

ふるさと納税サイトには、寄付上限額のシミュレーションが用意されています。年収と家族構成だけでわかる目安の金額や、各種控除も考慮したより詳細な金額が簡単にわかるのでオススメです。

なおシミュレーションで使う年収は、ふるさと納税を行う年の年収であることに注意してください。

<シミュレーション>年収700万円、3人家族の場合

実際に税金の還付・控除額と寄付上限額のシミュレーションをしてみましょう。

<<モデル>>

・年収700万円

・3人家族:夫(自分)・妻(共働き)・子ども1人(高校生)

・前出「自己負担額2,000円を除いた全額が控除される寄付上限額の目安」表により、年収700万円の寄付上限額は78,000円

・医療費控除や社会保険料控除などは考慮しない

・年収と家族構成のみで大まかな目安の金額を算出

①所得税控除額:(ふるさと納税額 - 2,000円)✕ 所得税税率 に復興特別所得税額をプラス

所得700万円の所得税税率は、国税庁のサイトより23%。

モデルケースでは

(78,000円-2,000円)✕23%=17,480円

となり、所得税控除額は17,480円です。

正確な額を算出してみましょう。ここからさらに復興特別所得税額も合わせて控除されるため、

17,480円×2.1%=367円(端数切り捨て)

所得税控除額と復興特別所得税額を足して、

7,480円+367円=17,847円

となるため、所得税控除の合計額は17,847円です。

 ②住民税控除額(基本分):(ふるさと納税-2,000円)✕10%

モデルケースでは

(78,000円-2,000円)✕10%=7,600円

となり、住民税控除額(基本分)は7,600円です。

 ③住民税控除額(特例分):(ふるさと納税 - 2,000円)✕(100% - 基本分10% - 所得税税率(%))

①と同様、所得税税率は23%なので、 

(78,000円-2,000円)✕(100%-10%-23%)=50,920円

となり、住民税控除額(特例分)は50,920円です。

この金額から復興特別所得税額367円を引いて、正式な額を算出すると

50,920円-367円=50,553円

なので、住民税控除額(特例分)は50,553円となります。

ふるさと納税の合計税金控除額=所得税控除額+住民税控除額(基本分+特例分)なので、 

所得税控除額17,847円+②住民税控除額(基本分)7,600円+③住民税控除額(特例分)50,553円=76,000円

モデルケースの場合、所得税と住民税で還付・控除される金額は合計76,000円となります。

つまり、 

税金控除額76,000円 + 自己負担額2,000円 = 寄付上限額78,000円

となるのです。

実際の控除額は通知書で確認できる

ふるさと納税の申請で実際に還付・控除された金額は、次の通知書でそれぞれ通知されます。

1、所得税の還付額:所得税還付金額通知書

還付金振込通知書
還付金振込通知書

2、住民税の控除額:住民税の決定通知書

(都道府県民税40%・市区町村民税60%の割合、例外あり)

住民税額決定通知書
住民税額決定通知書

ワンストップ特例の場合は、全額住民税から控除されるので、2の住民税の決定通知書だけで確認できます。

確定申告の場合は所得税と住民税に分かれて還付・控除されるので、1の所得税還付金額通知書と2の住民税の決定通知書、この両方で確認可能です。

手元に通知書が届いたら、ぜひ確認してみてください。

ふるさと納税はどういう人・使い方が特をするの?

ふるさと納税は広く捉えると節税になる
ふるさと納税はポイントを押さえて利用すると、広い意味での節税になる

ここまで見てきたように、ふるさと納税をすることで直接税金が安くなるわけではありませんが、さまざまな恩恵が受けられます。

ここではふるさと納税でより恩恵を受けられるのはどのような人なのかについてまとめます。

 ふるさと納税はどういう人・使い方が特をするの?

ふるさと納税は広い意味での節税ではあるものの、世帯によって寄付上限額が異なるため、実感度もまちまち。よりお得感を得られるのは、主に次のような場合です。 

・年収が多い人ほど寄付上限額が上がり、多く寄付ができる

・より還元率の高い返礼品をもらう

・普段家計から支出しているもの(米や肉、調味料など)をもらう

・クレジット決済ができる場合は、カードのポイントももらう

ふるさと納税は寄付上限額の範囲内でうまく使うと、家計をサポートしてくれるお得な制度といえます。

監修税理士のコメント

風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川

ふるさと納税は広く知られた制度となりつつありますが、まだ実施をされたことがない方はこの記事を読まれたことを機に、1万円でも2万円でもご自身の限度額を計算して、実施してみることをお勧めいたします。限度額の範囲内であれば不利になることはないので、少額から試してみるとよいかもしれません。

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