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相続手続き代行は誰に依頼する?費用相場や専門家の選び方を解説

ぴったりの相続税申告に強い税理士をさがす
最終更新日: 2024年06月28日

相続の手続きは複雑なため、専門家に代行を依頼するとスムーズですが、誰に何を依頼すればよいのか分からないという人もいるでしょう。どの専門家に依頼するのかによって、費用や依頼できる内容が変わります。代行先の選び方や、費用の相場などを解説します。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

 

相続手続きを代行できる専門家

相続に関する手続きを代行できる専門家は、以下の5種類です。

  • 弁護士
  • 税理士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 銀行(信託銀行)

弁護士

弁護士は相続人同士の紛争解決や、裁判所手続きの代理ができることが強みです。相続人同士でトラブルが発生しているときは、弁護士に相談しましょう。

基本的に「相続手続きに関する全般」に対応できることから、遺言作成時に遺言執行者として名前が挙げられていることも、少なくありません。

ただし相続登記や相続税の申告には対応できません。登記に関しては司法書士、税務に関しては税理士に依頼する必要があります。

税理士

税理士には、相続に際して発生する税金の申告や節税について相談できます。

相続税申告の他、故人の所得税の確定申告を行う準確定申告や、生前贈与をしていた場合にかかる贈与税の申告なども、税理士の専門分野です。

多額の相続税が発生する場合は、どうしたらできる限り税金の負担を抑えられるのか助言をもらうこともできます。

ただし相続人同士の紛争解決や財産の名義変更の依頼はできないので注意しましょう。

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司法書士

司法書士は相続人や相続財産の調査・遺言書の検認・不動産の名義変更などを行えます。特に不動産の名義変更登記は司法書士にしか対応できません

遺言書の作成のサポートも可能で、遺言執行者に選ばれるケースもあります。

ただし弁護士とは違い、相続人同士の争いへの対応はできません。遺産分割協議書の作成に関して、登記業務に限定された範囲で仕事をする点も弁護士との違いです。

相続人同士のトラブルが何もない状態で、相続財産の調査や名義変更などを代行してほしい場合には、司法書士に依頼するとよいでしょう。

行政書士

行政書士は行政機関への手続きに関連する業務を専門分野としています。

例えば相続手続きで必要になる、相続人の調査や戸籍などの証明書類の収集代行、遺産分割協議書の作成などです。

預金口座の解約なども依頼できますが、相続登記や税金に関する業務などは行えない点に注意しましょう。

不動産の名義変更は司法書士、相続税の手続きは税理士に依頼することになります。

また相続人同士に強い争いがあり、相続人同士で解決できない場合も、行政書士だけでは対応できません。

相続人同士の話し合いで円満に解決できそうな場合や、不動産名義の変更、相続税の手続きなどを必要としない場合におすすめです。

銀行(信託銀行)

銀行や代行業者は、相続の内容に応じて司法書士や税理士などを紹介してくれます。

銀行や代行業者が直接相続手続きを行ってくれるわけではなく、実際に手続きをする専門家は別にいる点がポイントです。

個別に専門家を探す手間が省けますが「仲介手数料」が発生するため、個別で頼むよりも費用がかかる点に注意しましょう。

できるだけ費用を抑えたいと考えている人は、各専門家を自分で探す方がよいといえます。

自分で専門家を探す時間や労力がかけられない場合は、銀行への依頼を検討しましょう。

相続に必要な手続きの種類と代行費用の相場

依頼する手続きの内容によって、専門家に支払う報酬額が異なります。おもな手続きの種類と、それぞれにかかる費用の目安をまとめました。

内容 依頼できる専門家 費用相場
遺言書の作成 行政書士
司法書士
弁護士
8万~20万円
遺産分割協議書の作成 行政書士
司法書士
弁護士
3万~10万円
戸籍・住民票の収集 行政書士
司法書士弁護士
2万~5万円
不動産の名義変更 司法書士 5万~10万円
預貯金・株式の名義変更 行政書士
司法書士
弁護士
3万~10万円
自動車の名義変更 行政書士 3万円程度
相続税申告 税理士 遺産総額の0.5~1.0%

遺言書や遺産分割協議書などの作成

遺言書や遺産分割協議書などの書類作成に対応できる専門家は、行政書士・司法書士・弁護士です。

遺言書作成にかかる費用の相場は8万~20万円程度ですが、事務所によっても異なります。

遺産の額に応じて費用が設定されているケースもあり、一概にいくらとは言い切れない側面があります。遺産分割協議書の作成の相場は、3万~10万円程度です。弁護士による交渉が必要な場合には、一般的に別途費用がかかります。

また遺産分割に関する手続きに必要となる、相続関係図の作成にかかる費用の相場は、2万~5万円程度です。相続関係図の作成は、戸籍や住民票の収集とセットになっているケースが少なくありません。

遺産の名義変更

不動産の名義変更は、登記業務の専門家である司法書士に依頼しましょう。費用の相場は5万~10万円程度です。

預貯金・株式の名義変更は、行政書士・司法書士・弁護士が行えます。手続きが必要な金融機関の数によって費用が異なるのが一般的で、相場は3万~10万円程度です。

また自動車やバイクなどの名義変更を行政書士に依頼する場合、3万円程度の費用がかかります。

戸籍謄本・住民票の収集

戸籍謄本や住民票などの公的書類の収集は、行政書士・司法書士・弁護士に依頼しましょう。

費用の相場は2万~5万円程度です。公的機関へ出向き、書類を取得する際にかかる手数料は1通数百円程度です。

相続財産や相続人の調査をする際は、故人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本が必要になります。

必ずしも1カ所にまとまっているわけではないため、全てそろえるのは手間がかかるものです。

また相続放棄限定承認など、状況によっても必要な書類は異なります。そろえる書類の種類や数が多いほど、費用も増える点を押さえておきましょう。

相続税の申告

相続税がかかる場合、税理士に申告の代行をしてもらえます。税理士に支払う報酬の相場は税理士事務所によって異なりますが、一般的に遺産額の0.5~1.0%程度が目安です。

相続税は遺産の詳細な調査を行い「相続税評価額」を算出して決定します。遺産の種類や総額が多いと、それだけ計算に時間がかかるので、料金が高くなるのが一般的です。

相続税は控除や特例を適用することで、負担を軽減できます。できるだけ少ない額で済むよう相談するのも1つの方法です。

相続の手続きを専門家に代行してもらうメリット

相続の手続きを代行してもらうとその分費用がかかるので、自分で何とかしたいと考える人もいるでしょう。

  • 不備なく正確に相続手続きができる
  • 手間や労力がかからない

不備なく正確に相続手続きができる

遺産相続についての知識や経験が豊富な専門家に依頼すれば、不備なく正確に手続きを行なうことができます。

相続手続きと一口に言っても、相続人の特定や遺産分割協議、相続財産の評価、相続財産の名義変更、相続税申告など、かなり多くの作業が必要になります。

十分に知識がないと、手続きに漏れや間違いが発生しかねません。

各機関によって、必要な書式や届け出の方法は異なります。

親族を亡くした悲しみが癒えないうちに書類を集めたり、確認したりするのは精神的な負担も大きいでしょう。

知識がないと、法律上不適切な行動を取ってしまうことも考えられます。専門家に代行を依頼すれば、確実な手続きを進められます。

手続きの時間を短縮できる

専門家に代行してもらうと、手続きにかかる時間を短縮できるところもメリットです。相続手続きには期限があるため、できるだけ早めに行った方がよいといえます。

ほとんどの人は、相続の手続きをした経験がないはずです。

自力で手続きを進めようとすると、何から始めるべきか分からず対応が遅れたり、戸籍謄本の収集や書類の作成などに時間がかかったりします。

資料の収集や申告をするにも、さまざまな場所に出向く必要があります。

役所や金融機関は基本的に平日の日中しか開いていないので、仕事が忙しい方には大変な作業です。代行を依頼すれば、手続きの負担が抑えられます。

相続手続き代行の依頼先を選ぶポイント

同じ資格を持った専門家の中から依頼する相手を選ぶとき、何を判断基準にすれば良いのでしょうか。確認すべきポイントはおもに以下の2つです。

  • 相続手続きの実績が豊富
  • 相談時の対応が良い

相続手続きの実績が豊富

士業の資格を持った人であれば、誰でも相続に精通しているわけではありません。

専門家にもそれぞれ得意分野があるので、遺産相続手続きの実績が豊富な人を探しましょう。

有資格者であれば手続き自体は可能ですが、未経験の分野を依頼するとスムーズに進まない原因にもなりかねません。

一般的に、弁護士事務所や行政書士事務所などのホームページを見ると「相続に強い」「離婚に強い」など、強みとする分野が記載されていることが多いです。

専門分野もしっかりと確認して依頼しましょう。

相談時の対応が良い

相続の手続きは、1回の打ち合わせで完了するような簡単なものではありません。

親身になって相談に乗ってくれる相手の方が、ストレスなく代行を依頼できるものです。

「専門用語を分かりやすい言葉に言い換えてくれる」「気持ちに寄り添ってくれる」などの対応をしてくれるかどうかも、チェックしたいポイントです。

分かりにくい点を質問しやすい人の方が、安心して手続きを任せられます。

最初の問い合わせのときに、コミュニケーションが取りづらいと感じるような事業者は、避けた方が無難といえます。

監修税理士のコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

相続手続きには期日があります。相続税の申告が必要ない場合でも、相続放棄や限定承認を行なう場合には期日があるため、相続が発生する前に「どの仕事を」「誰に依頼するのか」を決めておくと、スムーズに手続きを進められ、混乱を避けることにもつながります。

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複雑な相続の手続きは専門家に任せるととても楽です。

相続の手続きはやるべきことが多く、相続人との関係が複雑な場合や、遺産額が多い場合には大変な労力を必要とします。

故人の戸籍謄本を集めるだけでも、時間がかかるケースは少なくありません。

不動産の名義変更や、税金の計算・相続関連の申告など、専門的な知識がないとスムーズに手続きできない場面も多いので、専門家に依頼した方が賢明です。

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口コミからはサービスの質や人柄などがうかがえることが多く、金額以外の判断材料も得られるので安心です。

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この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・1級FP技能士)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。