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密葬には香典が必要? 密葬における参列者と遺族のマナーをそれぞれ解説

最終更新日: 2024年06月28日

家族や親族などの身近な人だけで行われる「密葬(みっそう)」や「家族葬(かぞくそう)」ですが、香典の扱いについて知らない人は多いのではないでしょうか。密葬で香典を準備するかどうかは、遺族が「香典辞退の申し出を行っているか否か」で変わります。

本記事では「密葬とは?」という基礎的な部分から、参列するときの香典の有無、喪主側になったときの香典の扱いなどを解説しました。香典の相場もご紹介していますので、自分が喪主になったときに「密葬・家族葬での香典の扱いはどうしたらいいのか」と焦らないためにも、ぜひご覧ください。

香典辞退の連絡があった時は何もしないの?

香典辞退の連絡があった時は「何もしない」ことが一番の可能性が高いです。香典の受付業務に手が回らないといった理由があることが考えられます。

香典の辞退の連絡がない時はどうすればいいの?

香典の辞退の連絡がない時は「とりあえず持参していき、渡すかどうかの最終判断は葬式会場で行う」のがよいでしょう。

密葬とは

密葬とは
密葬とは

まずは密葬の詳細について、家族葬との違いと一緒に見ていきましょう。

密葬とは

密葬とは、人が亡くなったときの訃報(ふほう)や葬儀の案内を広く知らせず、限られた遺族や親しい間柄の人たちのみで行う小規模の葬儀のことです。

正確には、親しい人たちの内々で行う「密葬」と、後日にあらためて死亡を通知して大々的に行う「本葬」の2つを合わせて密葬と呼びます。また著名人や芸能人の場合は、本葬を「お別れ会」と呼ぶこともあります。とはいえ人数の定義はないため、親族や友人の数次第では、数十人~数百人で執り行われるケースも存在します。

なぜ密葬という形式を取るのか、主な理由を以下でまとめました。

密葬を行う理由・状況 詳細
葬儀の式場や人数が大規模になる可能性があるとき
  • 多くの参列者が見込まれ、準備や式場のセッティング・費用の負担が重い
  • 故人が企業の会長や社長、有名人である
家族だけでゆったりと故人とお別れしたいとき
  • 葬儀の準備に追われて、故人との別れを偲べないことを回避したい
故人が生前に密葬を希望していたとき
  • 葬儀の負担を家族に残したくない
  • 親しい人だけで送ってほしい
故人が事件や事故に巻き込まれていたなど、あまり公にしたくないとき
  • 風評被害を防止したい

経済的事情や核家族の増加、葬儀への価値観の変化などで、密葬を選択する人たちは増えています。

密葬と家族葬の違い

家族葬とは、個人の家族や親族、非常に親しい友人などの極限られた人だけで執り行う葬儀です。密葬との大きな違いは「本葬(通夜・告別式)を行うかどうか」になります。家族葬は本葬を行いません。一般的に親族だけで執り行う密葬は、こちらの家族葬を指すことが多いです。

また火葬して埋葬するだけの葬儀を「直葬」と呼びますが、こちらも「死者を弔う儀式(通夜・告別式)」行わないことから、密葬とは異なります。

「密葬」の意味に注意

密葬は広い意味で使われることも多く、葬儀社によっては家族葬を密葬と称しているプランもあります。葬儀社に密葬の相談を行うときは、プラン内容をチェックすることをおすすめします。密葬の正しい意味は、世間的にもそこまで広まっていません。喪主として案内するときは、詳細や香典の扱いについて具体的に記載しておきましょう。

密葬に参列するときに香典は必要?

密葬に参列するときに香典は必要?
密葬に参列するときに香典は必要?

密葬に参列するときに香典が必要かどうかは、喪主・遺族の意向や気持ちに配慮しつつ、様子を窺いながらの判断になります。一般的な香典のマナーは押さえつつ、シチュエーションに合った振る舞いを心がけましょう。

<香典の一般的なマナー>

  • 香典袋(不祝儀袋)を用意する
  • 宗教・宗派に合った表書きにする(御霊前・御香料・御香典・御神前など)
  • 中袋には氏名・住所・金額を書く
  • 夫婦は夫の脇に妻の名前、2~3人一緒のときは連名、それ以上は代表者の名前+他◯人
  • (新札はできるだけ避ける)

では以下より、シチュエーション別で密葬に参列したときの香典の扱いを解説していきます。

香典の辞退の有無で判断する

密葬への参列をお願いされたとき、喪主・遺族が香典辞退の表明(香典を受け取るか受け取らないか)を行います。その辞退の有無で、香典が必要かどうかを判断しましょう。以下では辞退の連絡が「ないとき」と「あるとき」の両方を解説します。

香典の辞退の連絡がない場合

香典辞退の連絡が喪主・遺族からないときは、「とりあえず持参していき、渡すかどうかの最終判断は葬式会場で行う」ようにしましょう。「自分だけ香典がなくて申し訳ない思いをした」という事態を回避するためです。持参した上で香典を渡す意思を遺族に伝え、その返答次第でどうするかを決めてください。

気をつけるべきポイントは以下の通りです。

  • 低姿勢で「ご迷惑でなければ」というニュアンスを崩さないこと
  • 辞退の申し出があれば素直に従うこと
  • 無理に押し付けないこと

あくまで遺族の意向に従うことが鉄則です。

香典の辞退の連絡があった場合

香典辞退の連絡があった場合は、香典を持ち込まずに参列します。「お悔やみの気持ちだから受け取ってほしい」という想いは、逆に遺族にとって負担になるかもしれません。なぜ辞退したのか、という背景を察することが大切です。

  • 香典の受付業務まで手が回らないから
  • 後日の香典返しの手間を省きたいから

また香典を渡す場面を見た他の参列者が、「自分も出さなくては」とプレッシャーに感じる可能性もあります。

親族の密葬に参列する場合

親族として密葬に参列するときも香典の用意はしたほうが無難です。はっきりと辞退の申し出がない限りは準備しておき、当日に受け取ってもらえるか確認を取ります。

密葬にどの範囲の親族が参加するのかですが、これは遺族が「故人との関係性」や「葬儀の規模など」を考慮して判断します。手元に参列の案内が届けば参列し、届かなかった場合は後日あらためて弔問する・手紙を送るなどの対応を取りましょう。

密葬が終了したあとの事後通知が届き、なおかつ香典の辞退の申し出がないケースは、香典を遺族の自宅に持参・郵送などして渡しましょう。こちらもあらかじめ遺族にどうしたらよいか聞いておくとスムーズです。

友人や会社の関係者として密葬に参列する場合

密葬の場合は遺族側からのお願いがない限り、友人・会社関係の人たちの香典や弔問は控えるべき、というのが一般的なマナーです。参列をお願いされたときの香典渡しは、親族と同じく「辞退の申し出がない限りは準備し、当日に遺族側に確認する」だとスムーズです。

とはいえ、密葬に参列することが少ない友人・会社関係の人が香典を渡すタイミングは、弔問のときがほとんどになるでしょう。このときも無理矢理ではなく、遺族の意向に従って渡すかどうかを決めてください。

渡すにしても、香典は「友人・社員一同」とまとめることをおすすめします。他の友人・社員を一つひとつ分けて渡すと、遺族に香典返しの負担を与えてしまうためです。「家族ではなく友人・会社仲間の立場」という距離感を守るのがマナーの1つといえます。

香典以外で弔意を伝える方法

香典辞退の旨を聞いているものの、どうしても弔意を伝えたい場合は、香典以外のものを送ります。

  • 場所のスペースを取らない程度の「徒花」
  • 式の宗教・宗派に合った「供え物」

ただし、徒花や供え物に関しても、事前の案内にて辞退していることもあります。渡す場合も、簡単なメッセージ等で「お返しは不要です」と伝えることも大切です。

どうしても香典を渡したい場合は?

もしどうしても香典を渡したいときは、後日、弔問に訪れた際にその旨を伝えてみましょう。ただし、その際も無理やりではなく、遺族側の気持ちを尊重することが大切です。もしくは後日に、香典ではなく「御花代」という形で渡す方法もあります。この際は返礼不要と伝えたり、高すぎる金額を包みすぎたりしないようにするなど、遺族の方に気を使わせすぎないよう配慮します。

喪主や遺族は密葬で香典は受け取るべき?

喪主や遺族は密葬で香典は受け取るべき?
喪主や遺族は密葬で香典は受け取るべき?

もし参列者から香典を渡された場合、喪主・遺族は受け取るのが基本です。ただし事前に辞退の旨を通知しているときはこの限りではありません。ここからは自分が喪主になったときに、「香典を遠慮するケース・受け取るケースそれぞれの振る舞い方」「親族や関係者への周知について」を解説します。

香典を辞退する場合ははっきりと伝える

香典を辞退することは、あらかじめ電話や案内状ではっきりと伝えましょう。中途半端に伝えると、参列案内の連絡と勘違いされたり、無理に香典を用意させてしまったりなどのトラブルが考えられるためです。また、密葬や家族葬についてあまり知らない人への配慮でもあります。

ただし香典には故人への感謝や遺族の金銭負担を助けるという意味が込められています。伝えるときは、相手の「香典を渡したい」「感謝を伝えたい」という気持ちを汲むことが大切です。例文は以下の通りです。

  • 故人の遺志により、御香典は辞退させて頂いております
  • 誠に勝手ながら、御香典(御供花・御供物も)は固くご辞退申し上げます

「香典返しが負担になるので遠慮します」という伝え方は失礼にあたるので、控えるようにします。また、香典や徒花を含めて「ご厚意」と表現すると、受け取り手によっては伝わりづらくなります。何を断るかをしっかり明言することをおすすめします。

どの範囲の親族を呼ぶかを決める

密葬(家族葬)で呼ぶ親族の範囲はとくに決まっていません。とはいえ、人によっては親族の範囲が広くなるため、あらかじめ「どこまで声をかけるか」の目星をつけることをおすすめします。

ただし、事前に家族や親しい友人のみで行う旨を周知しておかなければ、声をかけなかった親族とトラブルになる可能性があります。迷うときは呼ぶほうがよいですが、葬儀の規模や故人との関係性を考慮しながら慎重に選択することが大切です。

故人のパートナーや子どもはもちろん、直系の家族・兄妹などの二親等までが目安です。密葬の規模によって、さらに絞るか広げるかを判断します。「故人が会いたい人だったかどうか」も1つの基準です。

故人の関係者の死亡の旨を周知する

密葬に参列しない故人の会社・友人関係への周知は、葬儀の終了後にハガキで行うことがマナーです。葬儀後の1~2週間後に、死亡通知状にて葬儀が無事に終了したことや、生前の感謝の気持ちを通知します。年末が近い時期のときは、喪中ハガキでも可能です。

もし葬儀前に知らせるときは、電話や案内状にて「家族や身内だけで行うこと」「参列をご遠慮いただくこと」を濁さずに伝えます。通知相手に「参列したほうがいいのかな」という迷いを与えないためです。参列の案内と勘違いする可能性もあるため、はっきりと周知します。

香典を受け取った場合は香典返しを送る

密葬で香典を受け取った場合は、普通の葬儀と同じく香典返しを送ります。半返し(もらった香典の1/3~半分程度の金額)が一般的です。香典返しでよく送るものは以下の通りになります。

  • お茶や海苔、洗剤など日持ちして使いきれるもの(悲しみが消えてなくなるという意味)
  • 白いタオルやシーツ(白装束を表す)
  • カタログギフト(参列者好きなものを選んでもらえる)

渡すタイミングは、「四十九日が終わった忌明けのあと」と「その日に渡す(即日返し)」の2パターンです。後日渡すときは挨拶状と一緒に送るか、直接出向いて手渡します。また香典返しとは別に、葬儀に来てくれた人への感謝を表す「会葬御礼品」も忘れないようにしましょう。

万が一、香典返しの受け取りを辞退された場合は、無理に渡すのではなくお礼状などで済ませます。

密葬の香典の相場は?

密葬の香典の相場は?
密葬の香典の相場は?

密葬の香典の相場は、普通の葬儀と同じくらいが一般的です。地域や宗教によってローカルルールがある可能性もありますが、基本的に大きな違いはありません。包む金額は故人との関係性によって変わります。大体の相場を以下の表にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

故人との関係 香典の相場
両親・義両親 30,000~100,000円
兄弟姉妹・義兄弟姉妹 30,000~50,000円
伯父・伯母・叔父・叔母 10,000円前後
その他親戚 3,000~20,000円
故人の勤務先の社員(その家族も) 5,000~10,000円
友人・知人 5,000~10,000円
参考:一般社団法人 終活・相談窓口|密葬とは?密葬の場合の費用や香典の相場など

密葬は少人数で行われるため、香典を多めに包むという人もいます。死や苦労を連想させる「4」「6」の数値は避けるようにしてください。

密葬の香典は喪主や遺族の意思を尊重するのがマナー

密葬の香典は喪主や遺族の意思を尊重するのがマナー
密葬の香典は喪主や遺族の意思を尊重するのがマナー

密葬(家族葬)の香典は無理に送らず、喪主・遺族の意思を尊重するのがマナーです。金銭的支援の側面もありますが、香典返しや受付などは遺族側に負担がかかるので、本当に渡していいかどうかの事前確認は必要です。

また密葬への参列は、たとえ親族であっても「案内が来た人のみ」に留めるのがマナーになります。後々のトラブルにつながる可能性もあるため、大人の対応を心がけてください。あくまで「故人・遺族のための儀礼」という側面を忘れないようにしましょう。

さらに喪主・遺族の立場から見ると、密葬の準備だけでなく、故人の相続手続きも進めなければなりません。密葬はトラブルなく進められるよう、お互いに協力し合う姿勢が大切です。

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