相続税申告を税理士に依頼したときの基本報酬の目安は、遺産総額の0.6%~1.5%です。日本の遺産総額の中央値は1,600万円なので、80,000円~160,000円ということになります。


しかし実際にミツモアで相続税申告を税理士に依頼した場合、報酬額は250,000円~497,575円(※)と目安の金額よりも高額であることが分かります。
相続税の税理士報酬が、基本報酬の目安額より高くなることにはいくつかの原因があります。税理士報酬の詳細を知って、実際に払う報酬額の目安を確認してみましょう。
※ミツモアにおける「相続税申告に強い税理士」サービスの成約価格より算出。(2024年1月1日~12月31日)
相続税申告の税理士報酬の相場
相続税申告を税理士に依頼した場合、支払う報酬額の相場は250,000円~497,575円(※)です。
基本報酬の目安は遺産総額の0.6%~1.5%です。加算報酬については、以下の表を参考にしてください。
加算報酬の内容 | 費用相場 |
---|---|
土地・建物の財産評価 | 30,000円~40,000円 |
非上場株式の財産評価 | 100,000円~132,000円 |
外国資産の財産評価 | 40,000円~60,000円 |
※ミツモアにおける「相続税申告に強い税理士」サービスの成約価格から算出。(2024年1月1日~12月31日)
相続人の人数が2人以上の場合、1人増えるごとに追加料金が発生することがあります。その場合の加算割合は、0%~22%まで幅広いです。相続人が複数人いる場合は、見積もりを取った際に加算料金があるか詳細について必ず確認しましょう。
※ミツモアにおける「相続税申告に強い税理士」サービスの成約価格から算出。(2024年1月1日~12月31日)
相続税の税理士報酬が高くなりやすい条件
相続税の税理士報酬が基本報酬の範囲で収まらない理由には「加算報酬」が挙げられます。
加算報酬は以下の条件に当てはまると発生することが多いです。
① 相続財産に土地や非上場株式・海外資産など評価が難しい財産が含まれている
相続税を算出するときには、相続する財産の「相続税評価額」をまず計算します。相続税評価額は各財産の金銭的価値のことです。
相続する財産が預貯金などの現金、上場企業の株式など現金への換算がしやすいものであれば、評価額の算出は比較的容易で、手間も少ないです。
しかし以下に挙げる財産は評価額の算出方法が難しいです。
- 土地・家屋など不動産
- 非上場株式
- 海外資産
たとえば不動産のうち、土地であれば「路線価方式」または「倍率方式」など2種類の計算方法があります。さらに土地の評価には現地調査や役所での資料収集などを行う必要があり、大きな手間がかかります。
評価額の難しい財産の評価計算にかかる加算報酬の目安は、1項目あたり50,000円~100,000円です。ただし、加算報酬の額は税理士ごとに異なるので、見積もり時に必ず問い合わせましょう。
② 2人以上の相続人がいる
相続人が複数人いる場合、加算報酬が発生することが多いです。
- 戸籍謄本など必要書類収集の手間が大きくなる
- 各相続人への説明の負担が大きくなる
- 遺産分割協議の調整などの業務が増える
相続人同士の関係が複雑で、遺産分割が難航している場合はさらに追加の報酬が必要になることが多いです。そのため、相続は「争族」と揶揄されることがあります。
③ 相続税の申告期限が近い
相続税の申告・納税は、被相続人がなくなったことを知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。
申告期限が迫った段階で依頼をすると「特急料金」などの追加報酬が発生するケースが多いです。主に3か月以内の対応を依頼すると追加報酬が発生します。
| 申告期限までの日数 | 割増費用例 |
| :—- | :—- |
| 1か月以内 | 50% |
| 1か月~2か月 | 30% |
| 2か月~3か月 | 10%~20% |
短期間で正確な申告書を作成するには、税理士が他の業務を調整して集中的に作業を行わなければなりません。相続が発生したらできるだけ早く税理士に相談することで、余計な出費を抑えられます。
④ 相続税の物納・延納など特別な手続きが必要
相続税は原則的に現金で一括納付をします。しかし現金での一括納付が難しい場合は、不動産などを納める「物納」や分割で収める「延納」をします。
物納や延納で相続税を納めるには、税務署への申請書の提出や担保の提供などの煩雑な手続きが必要です。
税理士にこれらの手続きを依頼する場合、申告書の作成とは別に特別な報酬が発生します。手続きの難易度に応じて、10万円以上の追加報酬がかかることもあります。
相続税の税理士報酬を安く抑えるコツ
相続税申告の税理士報酬を安くするには4つのコツがあります。税理士探しを始める前に、安く抑えるコツをチェックしてみましょう。
① 複数の税理士から相見積もりを取る
2002年(平成14年)に税理士法が改正され、「税理士報酬規程」が廃止されました。これにより税理士報酬は各税理士事務所が自由に設定できるようになり、同じ相続内容でも依頼する税理士によって報酬額が大きく異なります。
複数の税理士事務所から相見積もりを取って、費用やサービス内容を比較しましょう。3~5の事務所から見積もりを取って比較することで、自分に合った税理士事務所を見つけやすくなります。
② 相続税専門の税理士に依頼する
税金には様々な種類があり、それぞれ内容が複雑です。そのため、税理士ごとに得意分野が異なります。相続税の申告をするときは相続税を専門に扱っている税理士に依頼しましょう。
相続税の申告は専門性が高いです。経験豊富な税理士に依頼することで、自分では見つけられなかった節税対策などのアドバイスを受けられる可能性が高いです。
また、相続税専門の税理士事務所であれば、行政書士など他士業との連携をしていて効率的に申告作業を進められる傾向にあります。
③ 自分でできる作業は自分で行う
税理士に依頼する業務範囲を無理のない範囲で限定することでも、税理士報酬を安く抑えられます。
- 被相続人・相続人の戸籍謄本の取得
- 金融機関の残高証明書の収集
- 固定資産税評価証明書の取得
書類の取得・収集まで税理士に依頼してしまうとその分手数料がかかってしまい、支払う税理士報酬が高額になります。
事前に必要書類についてまとめたリストをもらい、なるべく自分や家族で必要書類を集めておくことで、税理士の負担を減らせます。税理士の負担が小さくなればその分報酬を安くできるので、無理のない範囲で手伝ってみましょう。
④ 財産の分割方法をあらかじめ決めておく
相続税申告書には、だれがどの財産をどれだけ相続するのかを記した「遺産分割協議書」を添付します。
相続人たちの間で、遺産の分割方法についての話し合いがまとまっていないと、税理士は申告書作成だけではなく分割案の提案やシミュレーションなどのコンサル業務を行うこととなり、追加報酬が発生します。
税理士に依頼する前に相続人全員で話し合い、遺産分割の方法をある程度決めておきましょう。
相続税の申告に強い税理士を選ぶポイント
相続税申告に詳しい、専門性の高い税理士を選ぶには、以下6つのポイントを重視しましょう。
① 相続税専門の税理士であるか
税理士の業務は相続税だけではなく、法人税や所得税、消費税など様々あります。税理士はすべての税に詳しいのではなく、いくつかの税を専門的に取り扱っていることが多いです。
相続税専門の事務所に所属している税理士や、相続税申告の実績が多い税理士に依頼しましょう。相続税専門の税理士であれば、相続に関する最新の税制や特例にも詳しく、安心して任せられます。
② 二次相続を見据えたアドバイスをしてくれるか
人生の中で相続は複数回行われることがあります。
たとえば、Aさんという男性が亡くなったときには、Aさんの妻であるBさんとその子供たちに「一次相続」が行われます。その後Bさんも亡くなった場合、子供たちに相続をさせると「二次相続」となります。
二次相続では一次相続と比較した場合に、相続税の負担が重くなりやすいです。そのため二次相続を見据えた遺産分割を提案してくれる税理士は、相続に関して知識が深いといえます。
長期的な視点で家族全体の納税額が最も安くなる提案をしてくれる税理士を選びましょう。
- 法定相続人が減るため基礎控除額が少なくなる
- 配偶者控除が使えない
- 小規模宅地等の特例が使えない場合がある
③ 不動産評価・資産評価に長けているか
土地などの不動産は相続財産の中でも特に評価が難しいです。土地の評価額は税理士の知識と経験によって大きく変動するため、相続税額に大きな影響を与えます。
土地の形状や周辺環境を考慮して評価額を減額できる特例の適用や現地調査を丁寧に行うことで、評価額を適正に下げられる場合があります。
不動産評価に長けている税理士かどうかは、面談の際に評価方法について具体的な質問をしてみましょう。以下の項目に着目すると、不動産評価に強い税理士かをある程度見分けられます。
- 不動産の相続税評価の経験が豊富
- 現地調査・役所調査を重視している
- 不動産売買に関する知識が豊富
- 不動産鑑定士など他の専門家と連携できる体制がある
④ 申告実績が豊富であるか
税理士事務所全体でこれまでどのくらいの相続税申告を行ってきたか、具体的な申告実績数もチェックしましょう。
申告実績が豊富であれば、様々な事例に対応してきた経験があると判断できます。ホームページの実績ページや利用者の口コミ評価が参考になります。
税務調査の経験が豊富な税理士であれば、税務署がチェックしやすいポイントを熟知しており、調査が入りにくい申告書を作成してくれます。
⑤ 報酬体系が明確になっているか
契約を結ぶ前に、税理士の報酬体系が明確に示されているかを必ず確認しましょう。
基本報酬に何が含まれていて、どのような場合に加算報酬が発生するのか、その金額はいくらなのか、といった点が書面で具体的に提示されることが重要です。
各作業について詳細な内訳を丁寧に説明してくれる税理士は信頼できます。不明な点があれば遠慮なく質問し、納得できるまで説明を求めましょう。
⑥ 親身な対応をしてくれるか
相続は手続きの複雑さだけでなく、家族を亡くした悲しみや相続人同士の感情的対立など、精神的な負担も大きい出来事です。
相続税に関する専門的な知識だけでなく、依頼者の気持ちに寄り添って親身に話を聞いてくれる税理士であれば、相続という精神的負担の大きい出来事であってもうまく切り抜けていけるでしょう。
専門用語を多用せず、分かりやすい言葉で説明してくれる、こちらの質問や不安に真摯に耳を傾けてくれるなど、税理士の人柄がよく相性が良いと感じたのであれば依頼する候補になりえます。
相続税の申告が必要かチェックする方法
遺産を相続した場合、必ず相続税の申告が必要なわけではありません。
相続税は、遺産の総額が法律で定められた基礎控除額を超えた場合にのみ申告・納税の義務が発生します。
以下の方法で、相続税申告の要否を簡易的にチェックできます。
- 法定相続人の数を確定させる
- 基礎控除額を計算する
- 遺産の総額を概算する
- 遺産の総額から基礎控除額を引く
- 遺産の総額が基礎控除額を上回った場合は相続税の申告を行う
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。たとえば法定相続人が4人いたら、基礎控除額は3,000万円+600万円×4=5,400万円になります。
相続税申告の要否について、より正確に判断したいのであれば国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」を使いましょう。
税務署から「相続についてのお尋ね」が届いた人が、税務署への回答を作成する場合にも利用できます。
相続税が0円でも申告が必要なケース
遺産の総額が基礎控除額を超えていても、税金の特例控除を適用することで最終的な納税額を0円になることがあります。
特例控除を適用した結果、相続税の納税額が0円になる場合でも、相続税の申告手続きは必要です。
申告をしなければ特例の適用は受けられず、相続税を納税していないことになります。後から多額の延滞税等を請求される可能性があるので、注意してください。
配偶者の税額軽減とは、配偶者が相続した財産のうち、法定相続分または1億6,000万円までの部分には相続税がかからないという制度です。
小規模宅地等の特例とは、亡くなった人が住んでいた土地などを相続した場合に、その土地の評価額を最大80%減額できる制度です。
これらの特例を適用するためには期限内に必ず、相続税の申告書を提出しなければなりません。
相続税申告に強い税理士は一括見積もりで見つかる
相続税申告は税理士に依頼することをおすすめします。税理士ごとに得意分野は異なるので、相続税申告に強い税理士を探しましょう。
相続税申告に強い税理士は一括見積もりで見つけましょう。ミツモアでは質問に答えるだけで相続税申告に強い、最大5人の税理士から見積もりが届きます。