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年間110万円以下の生前贈与を行うときの注意点 非課税とならない場合とは

最終更新日: 2023年01月11日

相続について心配なのはやはり相続税。できるだけ課税額を抑えて相続したいと思うのは当然のことです。かと言って、生前に財産を贈与する場合、贈与税が課されてしまいます。しかし、「年間110万円までの贈与なら贈与税はかからない」という話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

その通りなのですが、場合によっては110万円以下の贈与でも課税されてしまうこともあります。生前贈与と贈与税について、その仕組みと注意点をわかりやすくまとめました。

この記事を監修した税理士

税理士法人better - 東京都中央区日本橋人形町

税理士法人better-東京都中央区 大下宏樹(おおしたこうき)代表社員 1982年香川県高松市出身。明治大学商学部卒業。会計事務所にて相続税申告業務を経験、大手監査法人勤務の後、相続税専門税理士法人better設立。 香川県で3代続く公認会計士・税理士一族の次男。3兄弟全員が同業。独自のシステムである「better相続」により、従来の高額でアナログなサービスを見直し、低額かつ定額の相続税申告を提供。

生前贈与は年間110万円以下なら非課税

生前贈与は年間110万円以下なら非課税
生前贈与は年間110万円以下なら非課税

財産を相続する際に、多額の相続税がかからないように「生前に贈与しておく」という方法があります。「年間110万円以下の贈与なら非課税」という贈与税の仕組みを利用し、毎年110万円ずつ財産を贈与することで、課税されずに財産を渡すという方法です。まずは贈与税の仕組みについて確認しましょう。

贈与税には基礎控除がある

贈与税とは、財産の贈与があった際に受け取った人に課される税金です。贈与税には、相続税よりも高い税率が設定されています。

贈与税は1年間に贈与された額から一定の額を差し引き、残った額に応じた税率をかけて税額を計算します。この贈与額から差し引く額を基礎控除と呼び、年間110万円と決まっています。そのため、年間に贈与された額が110万円以下であったなら、基礎控除ですべて差し引かれるため、課税されることはありません。申告も不要です。

基礎控除は贈与を受ける人1人につき110万円

贈与税は、受贈者(贈与を受けた人)に課される税金であることを誤解しないようにしましょう。

贈与税の基礎控除も「受贈者ごとに110万円」です。例えば、同じ年に両親からぞれぞれ100万円ずつを生前贈与された、といったケースでは合わせて200万円を受け取ったことになります。

贈与額200万円ー基礎控除110万円=90万円

ですから、90万円に対しては贈与税が課されます。贈与者(贈与する人)は、受贈者がその年内にほかに贈与を受けていないかを確認すべきでしょう。

複数の人物に生前贈与することが可能

基礎控除は受贈者ごとですが、贈与自体は、贈与者が複数人に対して行うことが可能です。例えば、子どもが3人いる場合、配偶者と3人の子どもそれぞれに対して110万円以内の贈与を行うことで、「110万円×4人=440万円」以内なら非課税で贈与を行うことができます。

なお、基礎控除を差し引いた後の贈与額にかける税率は、贈与額と受贈者の立場によって異なります。

その年の1月1日時点で20歳以上の人が、自身の直系尊属(父母や祖父母など)から受けた贈与については、特例税率を使用し、その他の場合よりも低い税率で課税される決まりになっています。逆に言うと、贈与者の子・孫以外の人に対する生前贈与は、税率が高くなるということです。

贈与税の速算表(一般税率)

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超~300万円以下 15% 10万円
300万円超~400万円以下 20% 25万円
400万円超~600万円以下 30% 65万円
600万円超~1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超~1,500万円以下 45% 175万円
1,500万円超~3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

贈与税の速算表(特例税率)

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超~400万円以下 15% 10万円
400万円超~600万円以下 20% 30万円
600万円超~1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円超~1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円超~3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円超~4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

相続時精算課税制度との違い

生前贈与には「相続時精算課税制度」という仕組みもあります。110万円の基礎控除を差し引いた年間贈与額に課税する一般的な贈与は、これと区別して「暦年課税」といいます。

相続時精算課税制度では、まず総額2,500万円までは特別控除として贈与額から差し引かれ、課税されません。特別控除を差し引いた後の贈与額に対しては、額にかかわらず一律20%の贈与税が課されます。暦年課税とは異なり、毎年、贈与された額が累積していき、合計した額から特別控除を差し引きます。

暦年課税は受贈者ごとに考えましたが、相続時精算課税制度は贈与者ごとに考えます。両親からそれぞれ相続時精算課税制度による生前贈与を受ける場合は、それぞれ2,500万円で合計5,000万円の特別控除があります。相続時精算課税制度によって贈与された財産は、相続の際(贈与者が亡くなったとき)に、相続財産に加算します(生前に贈与税を課されていた場合、その額は課税された相続税から差し引きます)。

相続時精算課税制度は、本来かかるはずだった贈与税を相続税として精算するという制度です。複雑に思えますが、ケースによっては課税額が有利になります。相続時精算課税制度は60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫への贈与に対してのみ使用でき、一度相続時精算課税制度を利用した贈与者からの贈与は暦年課税に戻すことはできません。

生前贈与の年間110万円の非課税枠を利用した相続税対策

生前贈与の年間110万円の非課税枠を利用した相続税対策
生前贈与の年間110万円の非課税枠を利用した相続税対策

それでは、年間110万円までは非課税であるという生前贈与の仕組みを利用した相続税対策について、具体的に考えてみましょう。

Aさんには、配偶者のBさんと子どものCさんがいます。またAさんには、現預金や不動産などすべて合わせて8,000万円の財産があります。Aさんが亡くなった場合、これらの財産を相続する相続人はBさんとCさんの2人です。

このケースで、生前贈与を行わなかった場合と行った場合で、どのような違いがあるかを見てみます。

生前贈与を行わなかった場合の相続税

生前贈与を行わなかった場合、8,000万円の相続財産をBさんとCさんとで相続します。贈与税に110万円の基礎控除があるように、相続税にも基礎控除があり、その額は3,000万円+法定相続人の数×600万円で算出します。この場合の法定相続人は2人なので、次のように計算します。

相続税の基礎控除額=3,000万円+2人×600万円=4,200万円

課税遺産総額=相続財産8,000万円-4,200万円=3,800万円

BさんとCさんとで法定相続分どおり1/2ずつ相続する場合、それぞれが相続する4,000万円のうち、1,900万円に相続税が課税されます。

相続税計算の正式な手順では、法定相続分どおりに相続した場合の各人の相続税額を計算した後、合算した相続税の総額を実際の相続割合に応じて案分します。このケースでは法定相続分と実際の相続割合が同じなので、各人の課税額1,900万円に対してそのまま税額を計算します。

Bさんの相続税額:1,900万円×15%-50万円=235万円

Cさんの相続税額:1,900万円×15%-50万円=235万円

相続税の総額:235万円+235万円=470万円

相続税額の速算表

法定相続分に応じる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円
1億円超~2億円以下 40% 1,700万円
2億円超~3億円以下 45% 2,700万円
3億円超~6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

ただし、Bさんは配偶者ですので、配偶者の税額軽減という仕組みが適用されます。これは配偶者の取得した財産が法定相続分相当額(今回は4,000万円)以下または1億6,000万円以下であった場合、相続税が課されないというものです。

そのため、Bさんの相続税額は0円となり、結果として相続税総額は235万円です。

毎年110万円の贈与を行った場合の相続税

ではAさんが10年間に渡って110万円ずつを、子のCさんに対して生前贈与していた場合はどうなるでしょうか。この場合、相続財産の一部である1,100万円がすでに贈与されています。

10年間の贈与額=110万円×10年=1,100万円

相続財産=8,000万円ー1,100万円=6,900万円

以下は同様に計算していきます。

基礎控除額=3,000万円+2人×600万円=4,200万円
課税遺産総額=相続財産6,900万円ー4,200万円=2,700万円

BさんとCさんとで法定相続分の1/2ずつ相続する場合、それぞれが相続する3,450万円のうち、1,350万円に相続税が課税されます。

Bさんの相続税額:1,350万円×15%-50万円=152万5,000円
Cさんの相続税額:1,350万円×15%-50万円=152万5,000円
相続税の総額:152万5,000円+152万5,000円=305万円

配偶者Bさんは税額軽減により税額0円であるため、相続税の総額は152万5,000円。生前贈与をしなかった場合と比べて相続税額が82万5,000円減りました。

年間110万円以下の生前贈与を行うときの注意点

年間110万円以下の生前贈与を行うときの注意点
年間110万円以下の生前贈与を行うときの注意点

年間110万円以下の生前贈与を行うことで、相続税を抑えられることがわかりました。

相続税が心配な方は、ぜひ活用していただきたいのですが、いくつか注意したいポイントがあります。方法を誤ってしまうと、生前贈与による節税の恩恵を受けられないばかりか、贈与税を課されることになってしまうおそれがあります。

定期贈与とみなされると110万円以下でも課税される

年間110万円以下なら課税されないからといって、生前に毎年110万円ずつ贈与を行う行為には注意してください。このような贈与は「定期贈与」とみなされてしまう可能性があります。

定期贈与とは、文字通り定期的に贈与を行うことで、全体でひとつの贈与契約と考えます。毎年110万円を10年間、贈与していると「毎年110万円ずつを贈与するという定期贈与の約束をした」とみなされるおそれがあります。結果として、1,100万円から基礎控除110万円を差し引いた990万円に対して贈与税が課税されます(子・孫に対する特例税率の場合で、税額207万円です。なお、後から指摘された場合は延滞税などが加算される可能性もあります)。

贈与契約書を作成する

定期贈与とみなされないためにはどうすれば良いのでしょうか。最初の年に定期的に贈与する約束をしたのではなく、毎年、新たに贈与が発生したという形にしなくてはなりません。この形式を連年贈与といいます。そのためには、毎年贈与契約書を作成するのがポイントです。

贈与とは、贈与者が贈与の意思表示をして、受贈者がそれを承諾することによって成立する契約だとされます。口約束でも契約は成立するのですが、書面に残しておくほうが確実です。贈与の内容を贈与者と受贈者間で合意したことを示すのが贈与契約書で、決まった形式はありませんが、以下のような形が一般的でしょう。

贈与契約書の作成例
贈与契約書の作成例

贈与契約書は、贈与額が110万円以内で非課税であっても、作成してください。

贈与は現金手渡しではなく銀行振り込みで行う

金銭を実際に贈与するときは、銀行振り込みを利用しましょう。贈与が実際にあったこと、そしてその金額をはっきりと記録に残すことができるからです。

贈与契約書を作成したとしても、現金を手渡しでやりとりしてしまうと、本当に契約書どおりの金額が動いたのかどうか後から証明できません。契約書では110万円以下の生前贈与とされているが、実際はそうではなかったのでは?と疑われるリスクがあります。

そこで銀行振り込みを利用することで、金融機関という第三者による金額の記録が残り、万一、贈与額を疑われても証明できます。

贈与を受けた人が認識している必要がある

贈与は「贈与者が贈与の意思表示をして、受贈者がそれを承諾することによって成立する契約」だとお伝えしました。法律的には、この「受贈者がそれを承諾」したかどうかという点が重要です。贈与者が受贈者の同意を得ずに勝手に渡したお金は贈与とみなされません。

その意味でも、贈与契約書の作成が重要です。契約書に受贈者の署名・押印があれば、受贈者が贈与されることを認識し、それに同意していたことが明らかだからです。相続時に問題にならないよう、生前贈与があったこと、贈与額は110万円以内であったことなどを証明するものになります。

銀行口座の管理は贈与を受ける人が行う

贈与のお金を入金する銀行口座も、受贈者本人の口座でなくてはなりません。単に名義が受贈者であるというだけでなく、受贈者が開設し、通帳や印鑑の管理も受贈者が行っている口座にしましょう。そうでないと、名前だけの「名義預金」とみなされるおそれがあります。

名義預金とは、たとえば、祖父が孫のために孫の名前で口座を開き、孫が大人になったときに渡せるようお金を預けているが、通帳は祖父自身が管理している(時には、孫はその存在さえ知らない)といった預金口座のことです。この場合、口座内のお金は孫への生存贈与とはみなされず、祖父の相続財産として相続税の課税対象になります。

名義預金は相続財産とみなされてしまい、「生前贈与はなかった」ことになりますから、110万円の基礎控除もありません。贈与額がすべて相続財産に加算され、相続税計算を行うことになります。

贈与税の申告を行う

贈与額が年間110万円以内、つまり基礎控除額110万円を差し引いて0円以下になれば、贈与税は課税されないため申告も不要です。そこで、あえて110万円を少し上回る額の贈与を行い、少額の贈与税の申告・納税を行うという方法もあります。

なぜそんなことをするかというと「贈与を受けた」という事実を残すためです。贈与税率は贈与額が200万円以下であれば10%ですので、111万円を贈与した場合は税額1,000円です。

ただし、この方法が税務調査を防ぐ方法として効果があるかどうかは、専門家の間でも意見が分かれるようです。定期贈与とみなされないために贈与契約書を作成することが重要なのは間違いありませんので、この「あえて申告」を行う場合でも、生前贈与にあたっては贈与契約書の作成を必ず行うようおすすめします。

監修税理士からのコメント

税理士法人better - 東京都中央区日本橋人形町

暦年贈与について、税務署が確認することは下記2点になります。 ①受贈者と贈与者の意思表示があること ②贈与者から受贈者へ実際に財産の移動があること ①については贈与契約書であり、②については現金の場合、銀行間取引により証明できます。贈与を行う上で、上記2点を行うことが重要であり、例え贈与税申告を行った場合でも、この2点が行われていない場合には、否認される可能性があります。このため、あえて110万円超の贈与を行う必要性はないと思います。

贈与から3年以内に相続があった場合には相続税の課税対象となる

贈与契約書を作成して連年贈与を行った場合でも、相続が開始前3年以内に贈与された財産については、相続財産に含めるというルールがあります。これを生前贈与加算といいます。贈与額が110万円以内であっても生前贈与加算は行われます。生前贈与加算は死期を悟った人が駆け込みで生前贈与を行い、相続税の課税を逃れることを防ぐために設けられている決まりです。

ただし、この決まりが適用されるのは、相続または遺贈で財産を受け取った人に限られます。

例えば、亡くなる3年前までに子どもに生前贈与をしていた場合、この贈与財産は子どもが相続した財産に加算されて相続税を計算する対象になります。ですが孫に贈与をしていた場合、子が生きていれば、孫には特に遺言で指定しない限り相続されません。この場合、孫は相続・遺贈で財産を取得していないため、3年以内に生前贈与されていたとしても、この決まりは適用されないのです。

また、生前贈与加算があって相続税が課された場合、生前贈与に対して支払っていた贈与税があれば、課された相続税額から差し引くことができます(二重課税にならないためです)。

基礎控除以外の生前贈与の非課税特例

基礎控除以外の生前贈与の非課税特例
基礎控除以外の生前贈与の非課税特例

贈与税には年間110万円の基礎控除とは別に、条件に応じて贈与税が非課税になるさまざまな特例があります。生前贈与と合わせてこうした非課税特例を使うことでも、贈与税や相続税を節税できますので、知識としておさえておきましょう。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

父母・祖父母が、子・孫に住まいの購入または新築・増改築のための費用として資金を生前贈与した場合、一定額までは非課税になります。

贈与者 直系尊属(父母・祖父母)
受贈者 贈与年の1月1日時点で20歳以上の子・孫

※合計所得金額が2,000万円以下である場合に限る

贈与の目的 自己の居住の用に供する住宅用家屋の取得、新築、増改築などの対価にあてるための資金

※住宅を配偶者や親族などの関係者から購入する場合は対象外

非課税額 住宅の種類などにより1,000万円~1,500万円(受贈者ごと)

※暦年課税の110万円または相続時精算課税制度の2,500万円の控除額と併用可能

教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

父母・祖父母が、子・孫に教育資金を生前贈与した場合、一定額までは非課税になります。そもそも教育資金は、そのつど贈与するときは、110万円を超えても非課税とされています(入学金200万円が必要になったので、200万円贈与するなど)。

この制度を利用する場合は、その都度贈与するのではなく、最初にまとまったお金を金融機関に預けます。お金は金融機関で信託財産として管理され、受贈者が教育資金として使うごとに引き出すという形で利用します。使い切らずに相続が開始すると、残額は相続財産に加算されます。

贈与者 直系尊属(父母・祖父母)
受贈者 30歳未満の子・孫

※合計所得金額が1,000万円以下である場合に限る

贈与の目的 教育資金(学校の入学金・授業料、教材費、塾や習い事の費用、留学渡航費など)
非課税額 1,500万円(受贈者ごと)

※うち学校以外に支払うものについては500万円まで

※暦年課税の110万円または相続時精算課税制度の2,500万円の控除額と併用可能

結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

父母・祖父母が、子・孫に結婚・子育て資金として贈与を行った場合、一定額までは非課税になります。教育資金の一括贈与と同様に金融機関を通じた信託の形で贈与を行います。

贈与者 直系尊属(父母・祖父母)
受贈者 20歳以上50歳未満の子・孫

※合計所得金額が1,000万円以下である場合に限る

贈与の目的 結婚に関する費用(結婚式・披露宴の費用、結婚にともなう引っ越し費用など)

子育てに関する費用(妊娠・出産の費用、子どもの医療費・保育費など)

非課税額 1,000万円(受贈者ごと)

※うち結婚費用は300万円まで

※暦年課税の110万円または相続時精算課税制度の2,500万円の控除額と併用可能

110万円を超える生前贈与をした方がいい場合とは?

110万円を超える生前贈与をした方がいい場合とは?
110万円を超える生前贈与をした方がいい場合とは?

連年贈与により、110万円以内の生前贈与を繰り返すのが、相続税や贈与税を抑えるには最適の場合が多いです。しかし相続財産が大きい場合や、贈与できる相手が限られている場合、110万円以内にこだわっていると生前贈与で十分に相続財産を減らすことができず、結果的に節税効果が十分でない場合があります。

そのような状況では、110万円を超える贈与を行い贈与税を払ったほうが、トータルでは節税できるというケースもあります。

具体的に見てみましょう。

被相続人が配偶者と子1人に相続するケースで、相続財産は1億7,000万円だった場合で試算します。

  • 生前贈与を行わずすべてを相続した場合
  • 10年間に渡って110万円ずつ生前贈与した場合
  • 10年間に渡って310万円ずつ生前贈与した場合

で、それぞれの税額を計算したものが以下の図表です。

生前贈与を行わず全財産を相続した場合 10年間に渡って110万円ずつ生前贈与した場合 10年間に渡って310万円ずつ生前贈与した場合
生前贈与額 0円 110万円×10年=1,100万円 310万円×10年=3,100万円
贈与税額 0円 0円 200万円
相続開始時の相続財産 1億7,000万円 1億7,000万円-1,100万円=1億5,900万円 1億7,000万円-3,100万円=1億3,900万円
相続税額 1,220万円 1,055万円 770万円
贈与税額+相続税額 1,220万円 1,055万円 970万円

※相続は被相続人の配偶者と子1人が1/2ずつ相続したものとして計算。法定相続人は配偶者と子の2人(相続税の基礎控除4,200万円)。生前贈与は相続開始3年前には完了しているものとする。

10年間に渡って310万円ずつ生前贈与した場合、毎年20万円の贈与税を支払うことになりますが、それを含めても、トータルの相続税・贈与税は、生前贈与をしなかった場合と比べて250万円抑えられています。

生前贈与の相談は税理士に行おう

生前贈与の相談は税理士に行おう
生前贈与の相談は税理士に行おう

相続税が心配な場合、生前贈与を活用することで節税ができることをお伝えしました。特に、贈与税が非課税となるよう110万円の基礎控除を活用するのが有効です。しかし、実際に行う場合は、税理士に相談することをおすすめします。素人判断でやってしまうと、十分な節税ができないばかりか、過少申告とみなされてしまうおそれもあります。

生前贈与をどのように行うのが有利かは、相続財産の額や、年齢、家族構成などによって変わってきます。実際にシミュレーションしながら考えるべきですが、具体的な税額計算をともなうアドバイスは、税理士法により税理士しか行うことができません。

専門家である税理士の助言を取り入れ、安心できる相続準備を行いましょう。

監修税理士のコメント

税理士法人better - 東京都中央区日本橋人形町

相続税対策の中で生前贈与は非常に有効な手法ですが、保険・不動産を利用した節税方法などと一体的に検討を行うことが重要です。相続税の節税対策をすでに実施済みの方、これから検討する方は一度、相続税の専門家にお話をお聞きすることをオススメします。

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