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代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは?代襲相続人の範囲、法定相続分を解説

最終更新日: 2024年06月28日

「代襲相続って何?」「誰が法定相続人になるの?」と思ってはいませんか?

代襲相続は通常の法定相続人がすでに亡くなっている場合に、その子が代わりに相続することです。

本記事では代襲相続の起こるケースや範囲、相続割合について解説します。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・CFP?) 1987年 香川県生まれ 2008年 公認会計士試験合格 2010年 京都大学経済学部経営学科卒業 大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。

代襲相続とは|相続人の順位と相続範囲

代襲相続とは

代襲相続では通常、法定相続人とならない人が代襲相続人として法定相続人になります。法定相続人が変わるということは基礎控除額が変動するということであり、最終的な相続税額に影響を及ぼします。

そのため代襲相続では、法定相続人を適切に判定することが非常に重要です。

相続人より前に被相続人が亡くなったときに起こる相続

代襲相続とは被相続人が死亡した時点において、本来法定相続人である人が亡くなっている場合に発生する相続です。亡くなっている法定相続人の子などが代わりの相続人(代襲相続人)となります。

本来の相続では配偶者や子、親や兄弟姉妹といったように法律によって法定相続人が定められています。しかし代襲相続ではこれらの代襲相続人の判定が異なることに注意が必要です。

法定相続順位

相続が発生した場合、民法で定められている法定相続人の全員が遺産を相続できるわけではありません。法定相続人には、遺産を相続できる順位があります。

(1)配偶者

被相続人の配偶者は必ず相続人となります。この配偶者は法律上、正式に結婚している配偶者に限られるので、事実婚(内縁関係)の場合は相続人になれません。また離婚した元夫や元妻も相続人になれません。

(2)配偶者以外

配偶者は無条件に相続人になりますが、配偶者以外の法定相続人には、相続人となる順位が決まっています。

第1順位

被相続人の子が第1順位です。被相続人の子がいれば、必ず相続人になります。相続における子には、実子だけでなく養子も含まれます。また離婚した元配偶者との間の子も含まれます。

第2順位

被相続人の直系尊属(父母、祖父母)が第2順位です。第1順位の相続人がいない場合に、第2順位に該当する人が相続人となります。

被相続人の父母のどちらかが生存していれば父母が相続人です。父母ともにすでに亡くなっている場合、祖父母のどちらかが生存していれば、祖父母が相続人になります。

第3順位

被相続人の兄弟姉妹が第3順位です。第1順位および第2順位の相続人がいない場合に、兄弟姉妹が相続人になります。

代襲相続人の範囲

全ての法定相続人に代襲相続が発生するとは限りません。どの法定相続人の代襲相続人かで違いがあります。

子の代襲相続人

相続人である子がすでに亡くなっている場合、相続人である子の子(被相続人の孫)が代襲相続人となります。相続人である子の子もすでに亡くなっている場合は、相続人である子の孫(被相続人のひ孫)が代襲相続人です。このように直系の場合の代襲相続人は、どこまでも下の世代に続きます。

兄弟姉妹の代襲相続人

相続人である兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、相続人である兄弟姉妹の子(被相続人の甥や姪)が代襲相続人となります。兄弟姉妹の場合は、代襲相続人となれるのはその子だけです。兄弟姉妹の子がすでに亡くなっている場合、その孫は代襲相続人になれません。

数次相続との違い

数次相続と代襲相続の大きな違いは被相続人が死亡する「前」なのか「後」なのかです。

数次相続とは被相続人が死亡した後に法定相続人が死亡した場合における相続のことです。対して代襲相続は、被相続人が死亡する前に法定相続人がなくなった場合における相続になります。

また代襲相続と数次相続では法定相続人の範囲などが次のように異なります。

代襲相続 数次相続
死亡日 被相続人の死亡「前」 被相続人の死亡「後」
対象法定相続人 子や兄弟姉妹 相続人全員
最終的な法定相続人 死亡した相続人の子 死亡した相続人の相続人全員

代襲相続が起こるケース

代襲相続が起こるケース

以下のケースでは代襲相続が発生します。

被相続人の子が亡くなっている場合

被相続人の子が亡くなっている場合は代襲相続が発生します。この場合、本来の法定相続人の子(被相続人の孫)が代襲相続します。

例えば被相続人に配偶者、子がいる場合において子が既に亡くなっている場合、法定相続分は次の通りです。

法定相続人 法定相続分
配偶者 1/2
被相続人の孫 1/2

被相続人の兄弟姉妹がすでに死亡している場合

被相続人の兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合も、代襲相続が発生します。この場合、被相続人の兄弟姉妹の子(被相続人の甥や姪)が代襲相続人になれます。

代襲相続人がすでに死亡している場合【再代襲】

相続が発生した際に、すでに代襲相続人も亡くなっている場合は、その下の世代にあたる、代襲相続人の子が代襲相続人になれる場合があります。

このように、代襲相続人の子が代襲相続することを再代襲相続といいます。

ただし兄弟姉妹の子が代襲相続人の場合は、再代襲はできません。

被相続人の養子がすでに死亡している場合

養子についても実子と同じ扱いで、第1順位で遺産を相続する権利があり、法定相続分も実子と同じ割合です。その養子がすでに亡くなっている場合も、基本的には実子と同じように代襲相続ができます。

しかし養子の場合、養子の子が代襲相続人になれるかどうかは、その子がいつ生まれたかによって違ってきます。

養子縁組の前に生まれた子

養子縁組の前に生まれた子、いわゆる連れ子は代襲相続人になれません。この子は被相続人にとって親族とは認められないためです。

養子縁組の後に生まれた子

養子縁組の後に生まれた子は、親族と認められ実子の子と同様に代襲相続人になれます。

法定相続人が相続欠格・廃除された場合

法定相続人であっても相続欠格や相続廃除の場合は、相続人になれません。しかし法定相続人が相続欠格や相続廃除の場合でも、法定相続人が事前に亡くなっている場合と同様に、その子などが代襲相続人になることができます

相続欠格とは次のような犯罪による欠格事由により、相続人としての権利が失われることです。欠格事由に該当すれば何も手続きをしなくても、自動的に相続人としての権利がなくなります。

【相続欠格の事由】

  1. 故意に被相続人、または、相続について先順位もしくは同順位にある者を殺害、あるいは殺害しようとしたため、刑に処せられた。
  2. 被相続人が殺害されたことを知って、告発/告訴しなかった。
  3. 詐欺または強迫によって、被相続人に遺言書を作成させたり、撤回/取り消し/変更させた。あるいは、被相続人の意思によるそれらの行為を妨げた。
  4. 遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した。

また相続廃除とは次のような廃除事由がある場合、被相続人からの請求に基づいて、家庭裁判所が相続人としての権利を剥奪することをいいます。この相続廃除の請求は、被相続人の遺言でも行なえます。

【相続廃除の事由】

  1. 相続人に対して虐待をした。重大な侮辱行為を行なった。
  2. 相続人に対して、その他の著しい非行があった。

なお相続廃除は被相続人からの請求に基づくので、逆に被相続人からの請求により相続廃除を取り消すこともできます。相続廃除が取り消された場合は、相続人としての権利が復活するため代襲相続ではなくなります。

法定相続人にならないケース【甥姪の子・相続放棄】

×の札をもつ人

代襲相続では一定範囲の親族は代襲相続人となりません。また相続放棄などの一定の手続きをおこなっている場合においても、代襲相続が発生しないケースもあります。

甥や姪の子は代襲相続人にはならない

代襲相続の場合、代襲相続人となるのは被相続人の甥や姪までです。そのため、被相続人甥や姪の子は代襲相続人にはなりません。

ただし相続人の直系親族であれば、どこまでも下の世代が代襲相続人となります。例えば被相続人の子が先に亡くなっている場合「被相続人の孫」が代襲相続人となり、その孫も亡くなっている場合は「被相続人のひ孫」といったように下の世代に代襲相続人が続いていきます。

相続放棄の場合は代襲相続は発生しない

法定相続人が相続放棄を行った場合は、子がいたとしても代襲相続できません。相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったことになるからです。

代襲相続人の法定相続分

代襲相続人の法定相続分

代襲相続の場合、相続順位や代襲相続人の人数などによって法定相続分が変動します。

孫が代襲相続した場合の割合

子がすでに亡くなっている場合は、孫が代襲相続人になります。次のケースを例にとり、孫が代襲相続した場合、法定相続分がどうなるか見ていきます。

【事例】

  • 被相続人(夫)
  • 配偶者(妻)
  • 子(長男) ※既婚かつ既に死亡
  • 子(長女) ※未婚
  • 孫A(長男の子)
  • 孫B(長男の子)
通常の相続
(子(長男)が死亡していない場合)
代襲相続
法定相続人 法定相続分 法定相続人
代襲相続人
法定相続分
配偶者 1/2 1/2
子(長男) 1/4
子(長女) 1/4 1/4
孫A(長男の子) 1/8
孫B(長男の子) 1/8

代襲相続の場合は法定相続人である親の相続分を引き継ぐことになるため、子(長男)の法定相続分である「1/4」を孫Aと孫Bで分け合います。

甥や姪が代襲相続した場合の割合

兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、甥や姪が代襲相続人になります。次のケースを例にとり、甥や姪が代襲相続した場合、法定相続分がどうなるか見ていきます。

事例

  • 被相続人(夫) ※被相続人には子はいない
  • 配偶者(妻)
  • 兄A(被相続人の兄) ※既婚かつ既に死亡
  • 甥(兄Aの子)
  • 姪(兄Aの子)
通常の相続
(兄Aが死亡していない場合)
代襲相続
法定相続人 法定相続分 法定相続人
代襲相続人
法定相続分
配偶者 3/4  〇 3/4
兄(被相続人の兄)  〇 1/4
甥(兄の子)  〇 1/8
姪(兄の子)  〇 1/8

代襲相続の場合は法定相続人である兄弟姉妹の相続分を引き継ぐことになるため、兄(被相続人の兄)の法定相続分である「1/4」を甥と姪で分け合います。

代襲相続人の遺留分

代襲相続人の遺留分

相続人には、民法で保証された最低限受け取れる相続分があり、それを遺留分といいます。被相続人の配偶者や子および直系尊属に遺留分があり、その遺留分割合は相続人によって違います。

代襲相続人の遺留分

代襲相続人は、被代襲者の相続に関する地位をそのまま受け継ぎます。そのため被代襲者に遺留分があれば、代襲相続人にも遺留分があります。

各々の相続人の遺留分の割合は、以下の計算式で求めることができます。

各々の相続人の遺留分の割合=相続財産に占める遺留分の割合(相続人全員の遺留分の合計割合)✕遺留分権利者法定相続分
相続財産に占める遺留分の割合は、相続人が直系尊属(父母、祖父母)のみの場合は1/3、その他の場合は1/2と定められています。下記に、相続における代表的なケースについて、各相続人の遺留分について見ていきます。
相続人 相続財産に占める遺留分の割合

(相続人全員の遺留分の合計割合)

配偶者の遺留分 子の遺留分 直系尊属の遺留分 兄弟姉妹の遺留分
配偶者のみ 1/2 1/2
配偶者と子 1/2 1/4 1/4を人数で割る
配偶者と直系尊属 1/2 2/6 1/6を人数で割る
配偶者と兄弟姉妹 1/2 1/2 遺留分なし
子のみ 1/2 1/2を人数で割る
直系尊属のみ 1/3 1/3を人数で割る
兄弟姉妹のみ 遺留分なし 遺留分なし

兄弟姉妹やその代襲相続人には遺留分はない

配偶者と子、直系尊属、兄弟姉妹が相続人になれますが、この中で兄弟姉妹には遺留分がありません。代襲相続人は、被代襲者の相続に関する地位をそのまま受け継ぐので、兄弟姉妹の代襲相続人である甥や姪にも遺留分はありません。

 

代襲相続の手続きに必要なもの【戸籍謄本】

代襲相続が発生したときに必要な戸籍謄本

ここでは、代襲相続が発生した時に必要な戸籍謄本について説明します。

戸籍謄本とは

戸籍は夫婦と未婚の子によって構成され、子が結婚すれば別の戸籍が作られます。その戸籍に記載されている全員の身分を証明するものが戸籍謄本です。結婚などにより別の戸籍になるため、出生から死亡までの戸籍謄本が必要な場合は、複数の戸籍謄本を取得する必要があります。

代襲相続に必要な戸籍謄本

通常の相続手続きにも戸籍謄本が必要で、被相続人および相続人全員の戸籍謄本を取得する必要があります。また兄弟姉妹に相続権がある場合、第1順位(子)、第2順位(直系尊属)の相続人がいないことを示す戸籍謄本も必要です。

代襲相続の場合は、上記に加えて、次の戸籍謄本が必要です。

  • 被代襲者の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 代襲相続人全員の現在の戸籍謄本

戸籍謄本の取得手続き

次の方法により、戸籍謄本を取得します。

①請求者

戸籍謄本を請求できる人は次の通りです。

  • 請求する戸籍に名前のある本人
  • 本人の配偶者、直系血族である祖父母、父母、子、孫等
  • 委任状を持った代理人

②請求先

戸籍謄本を申請する先は、本籍地のある市区町村役場です。

③請求方法

請求に方法には、次の4つの方法があります。

  • 直接役所に出向いて請求する
  • 代理人が請求する
  • 郵送で取り寄せる
  • コンビニで発行する(対応していない市区町村もあり)

相続関係の戸籍謄本は、特に代襲相続がある場合では、必要な戸籍謄本の種類が多く複雑です。そのため直接役所に出向いて役所担当者に聞きながら申請するか、代理人(税理士など)に任せるのが良いと思われます。

代襲相続でありがちなトラブルと予防法

代襲相続の際のトラブルに注意

代襲相続は、通常の相続にもましてトラブルが起こりやすいと言えます。

代襲相続の際に起こりがちなトラブルとは

相続では相続人の間の関係が良くないことがトラブルの主な原因です。代襲相続の場合は、相続人同士の関係が疎遠なのでより起こりやすくなります。

代襲相続では、被相続人の孫や甥姪が相続人となります。また、離婚した前妻との間に子がある場合は、前妻との間の子の子が代襲相続する場合も考えられます。通常の孫であれば会う回数も少なくなく、関係が良好な場合が多いと思いますが、甥や姪の場合は疎遠であったり、前妻側の孫に至っては会ったことがない場合もあるでしょう。

通常の法定相続人である配偶者や子どもたちには、被相続人に深い思い入れがあり、後々の親族関係を悪くしたり、付き合いを断ったりしてまで相続争いをすることは避けたいと考えるのが普通です。一方、疎遠になっている代襲相続人にとっては、それほど被相続人に思い入れはなく、縁を切ってしまっても構わない、もらえるものはもらいたいと考えるかもしれません。

代襲相続人を含めて遺産分割協議を行なうことになりますが、代襲相続人とその他の相続人の間で利害が相反することになり、相続トラブルとなってしまう場合が多くあります。

代襲相続のトラブルを防ぐには

相続人間の疎遠な関係が引き起こす代襲相続のトラブルを防ぐには、普段から良好な親族関係を築いておくことが大事です。しかし甥姪や前妻側の孫と日常的に交流して、良好な関係を築いておくことは困難と思われます。

このような状況で、被相続人の意思に沿った円満な遺産相続をするには、遺言書を残しておくことが重要です。遺言書で、代襲相続人を含めた法定相続人への遺産分割を明示しておくことにより、相続トラブルが回避できます。ただし相続人によっては遺留分があるので、注意して遺言書を作る必要があります。

遺言書の内容が遺留分を犯す場合は、相続人に遺留分を放棄してもらうことも可能です。

相続した遺産に税金はかかる?【相続税の基礎控除額で判断】

代襲相続があったときの法定相続人の数は?

相続税の計算においては種々の特例があり、その特例の中に、相続財産から法定相続人の数に応じた控除額を差し引けるものがあります。相続税の基礎控除額と生命保険金の非課税限度額、死亡退職金の非課税限度額がこの特例にあたります。

法定相続人が多ければ多いほど、それぞれ控除額も多くなります。。

代襲相続人も法定相続人として数える

本来の相続人が亡くなっていて代襲相続があったときは、被代襲者に代わって、その代襲相続人である孫や甥、姪を法定相続人としてカウントできます。そのため被代襲者の子が2人以上いる場合は、法定相続人の数が増えることになります。

【例】
相続人:
配偶者(妻)
長男(既婚) すでに死亡
長男の子A⇒代襲相続人
長男の子B⇒代襲相続人
長女(未婚)

上記の例では、長男が生存していれば法定相続人の数は3人ですが、代襲相続が発生した場合は、長男の代わりに長男の代襲相続人2人を加えて、合計4人となります。結果的に代襲相続により、法定相続人の数が1人増えたことになります。

相続税の基礎控除額

相続税は、基本的には預貯金や不動産といったプラス財産から負債などのマイナス財産を引いた相続財産に対して課税されます。

この相続税の計算においては、法定相続人の数に応じて控除ができる基礎控除額があり、相続財産から差し引けます。基礎控除額は法定相続人の数によって決まっており、人数が多くなればなるほど基礎控除額は大きくなり、その分相続税は少なくなります。相続財産が基礎控除額を超えなければ、基本的には相続税の申告は不要です。

相続税の基礎控除額は次の計算式で求めます。

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円✕法定相続人の数

例として、相続人が配偶者、長男(死亡)の子2人、長女の場合を考えます。相続人の数は、長男の代襲相続人2人を加えて、合計4人です。

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×4人=5,400万円

相続財産から5,400万円を控除できるので、5,400万円を超える部分に相続税がかかります。

生命保険金の非課税限度額

詳細な説明は割愛しますが、相続人が受け取った生命保険金はみなし相続財産として、相続税の対象になります。しかし生命保険金は遺族の生活資金という色合いが濃いため、受け取った生命保険金から控除できる非課税枠があります。

生命保険の非課税限度額=500万円✕法定相続人の数

例として、相続人が配偶者、長男(死亡)の子2人、長女の場合を考えます。相続人の数は、長男の代襲相続人2人を加えて、合計4人です。

生命保険の非課税限度額=500万円✕4人=2,000万円

全ての相続人が受け取った生命保険金の合計額のうち、2,000万円を差し引いた金額が相続税の課税対象になります。なおこの生命保険金の非課税の特例は、相続人に対して適用されますが、相続人以外の人が受け取る場合は非課税枠はありません。

死亡退職金の非課税限度額

生命保険金と同様に、死亡退職金についてもみなし相続財産として相続税の対象になりますが、受け取った死亡保険金から控除できる非課税枠があります。

死亡退職金の非課税限度額=500万円✕法定相続人の数

例として、相続人が配偶者、長男(死亡)の子2人、長女の場合を考えると、相続人の数は、長男の代襲相続人2人を加えて、合計4人です。

死亡保険金の非課税限度額=500万円✕4人=2,000万円

死亡退職金のうち、2,000万円を差し引いた金額が相続税の課税対象になります。

まとめ

まとめ

人生100年時代と言われ、2019年の日本人の平均寿命は、女性87.45歳、男性81.41歳となり、女性に限っては過半数が90歳まで生きると言われています。このような長寿社会では、不幸にして、お子さんが早世してしまうケースも増えてくるものと思われます。

今回は代襲相続について見てきましたが、代襲相続そのものについては、それほど難しくはありません。しかし再代襲相続、相続放棄、養子縁組、離婚などの要素が加わってくると、状況が複雑になりトラブルが起こることもあります。

代襲相続については、トラブル防止策含めて、生前に準備できることが多くあると思います。「備えあれば憂いなし」です。ご自分で検討されることも可能ですが、セカンドオピニオンとしての意味合いでも良いので、相続の専門家である税理士のアドバイスを受けるようにしてはいかがでしょうか?

監修税理士のコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

相続は、遺産が多ければトラブルになるというわけではなく、むしろ遺産が少ない場合の方がトラブルになることが多いと言われています。それほど多額の遺産があるわけではない場合でも、一度相続人の整理などをしておくのも良いかもしれません。

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