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遺言書作成を行政書士に依頼したときの費用は?専門家別のメリットも

最終更新日: 2023年06月06日

遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言があります。どちらも正しく作成しないと、無効になったり、遺言執行時にトラブルになったりします。遺言書作成を行政書士などの専門家に依頼すれば、正しいものが作成できますが、費用はどのくらいなのでしょうか?

遺言書作成を依頼できる専門家とメリット

遺言書の作成

遺言書の作成を依頼できる代表的な専門家の特徴と、それぞれのメリットについて解説します。専門家・事務所によって得手不得手があるので、遺言書作成の経験が豊富なところに依頼しましょう。

行政書士

行政書士に遺言書を依頼するメリットは、司法書士・弁護士よりも登録者数が多く、相談しやすい点です。他の専門家に比べて費用が安い傾向にあるので、敷居が低いともいえます。

行政書士は一定の法律知識を持っており、遺言書作成に関する必要書類の取り寄せも依頼可能です。遺言執行者に選任することもできるので、作成から執行まで一貫して任せられます。

行政書士は遺言者の意思通りに文案を作成し、公正証書遺言の手続きの一部を代行できます。ただし内容の相談はできないため、相続人が少なく、複雑な分割がない場合に依頼するとよいでしょう。

司法書士

司法書士は不動産登記を得意としています。そのため自宅・土地など、相続財産に不動産が含まれる場合は司法書士が向いています

土地の境界線や、所有者の権利関係を定める法律文書を作成するプロなので、相続で起こり得るトラブルの予防につながるでしょう。所有している不動産・財産の特定情報の、把握ミス・記載ミスを防げます。

また必要書類の取り寄せや公証人とのやりとり、遺言書の保管まで依頼可能です。自筆証書遺言書保管制度の利用支援もしてくれます。

司法書士に遺言執行者を依頼すれば、スムーズに遺言の執行ができるでしょう。

弁護士

弁護士に遺言書作成を依頼するメリットは、遺言内容について相談できることと、トラブルの解決まで対応できる点です

行政書士・司法書士は、遺言者の思い通りに遺言書を作成できますが、内容自体のアドバイスはできません。弁護士ならトラブルにならないように、相談しながら遺言書作成ができます。

また遺言執行時にトラブルになってしまった場合は、解決まで対応してくれます。相続人が多い場合や、財産の分け方で揉める可能性がある場合は、弁護士に依頼すると安心です。

行政書士・司法書士同様に、遺言執行の依頼もできるので、作成から執行まで任せられます。

金融機関

金融機関は「遺言信託」という商品名で、遺言書作成や保管、遺言の執行をサポートする複合サービスを扱っています。遺言書の内容についての相談や、見直しのサポートもしてもらえます。金融機関が遺言内容を実現してくれるので安心です

相続割合や遺留分のアドバイスもしてくれるので、適切な内容の遺言書を作成できる点がメリットです。遺言書の保管や遺言執行も依頼できるので、相続トラブルを防ぎやすいでしょう。まとまった資産がある人は、金融機関に依頼するのがおすすめです。

ただし金融機関の遺言信託は、不動産の名義変更や、相続税の税務申告まではサポートしていません。これらはそれぞれの専門家に外注することになるので、別途費用が発生します。

遺言書作成の費用を専門家別に比較

専門家ごとに得意分野と費用は異なります。相続財産の評価額によって変わるケースが多いため、依頼前に相談したり見積もりを取ったりして、確認しておく必要があります。

遺言書作成費用の相場

専門家ごとの遺言書作成費用の相場は、どれくらいなのでしょうか?財産の種類や評価額、相続人の人数などを考慮して、ふさわしい専門家に依頼しましょう。

「行政書士・司法書士」

  • 自筆証書遺言:5万~10万円
  • 公正証書遺言:10万~20万円

「弁護士」

  • 自筆証書遺言:10万~50万円
  • 公正証書遺言:20万~50万円

「金融機関」

  • 遺言信託(作成から執行):相続財産の総額の1~2%(最低報酬額30万~150万円)

専門家・事務所によって、設定している金額はまちまちです。遺言書作成以外にも、相談費用や遺言書保管費用など、追加料金がかかるケースも多く見られます。

金融機関については、遺言書作成から遺言執行までの相場です。行政書士・司法書士・弁護士よりも、高額になる傾向にあります

遺言執行者報酬の相場

遺言の執行については、おおよその金額で決めているところと、相続財産評価額の数パーセントと設定しているところがあります

金融機関については、上記で紹介した金額に含まれているため、こちらでは割愛します。

「行政書士」

  • 20万~40万円
  • もしくは財産評価額の1%前後

「司法書士」

  • 20万~100万円
  • もしくは財産評価額の1~3%程度

「弁護士」

  • 30万~100万円
  • 財産が300万円以上の場合:24万~204万円+財産評価額の0.5~2%

財産評価額によって費用が変動するので、事前にしっかり確認しておきましょう。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い遺言書

自筆証書遺言と公正証書遺言には、どのような違いがあるのでしょうか?遺言書を作成する前に、それぞれの違いについて把握しておきましょう。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は文字通り、自筆で作成する遺言書です。作成にあたって基本的に費用はかからず、書き直せる点がメリットです

PCでの作成や代筆は認められておらず、遺言者本人の自筆に限られます。紙の種類や大きさ、筆記具に決まりはありません。しかし文字が消えてしまうシャープペンシル・鉛筆は、避けた方がよいでしょう。

自筆証書遺言は気軽に作成できますが、要件を満たしていないと無効になるケースがあります。また第三者による書き換えや隠匿、紛失のリスクがあるうえ、死後見つけてもらえない可能性もあります。

2020年7月から、法務局による「自筆証書遺言書保管制度」が開始されました。法務局が遺言書の原本を、1件3,900円で預かってくれる制度で、上記リスクを防げます。また自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、相続時に裁判所による検認が不要になります。

参考:自筆証書遺言書保管制度|法務省

公正証書遺言

公正証書遺言は公証役場で、2人以上の証人に立ち会ってもらいながら、公証人に作成してもらう遺言書です。公証人とは、長い法律実務がある準国家公務員のことです。

財産をもらう人・その直系家族などは証人にはなれないので、行政書士・司法書士・弁護士などに証人になってもらうよう依頼する人は少なくありません。

公正証書遺言は遺言者が口頭で伝える内容で、公証人が書類を作成します。遺言者と証人が内容を確認して署名押印し、公証人が署名押印して完成です。公正証書遺言の原本は公証役場で保管されるので、紛失の心配がありません。

自筆証書遺言と違い必要書類は決まっていますが、公証役場により異なることがあるので、あらかじめ確認しておきましょう。

公証人への手数料は相続財産により変動し、5,000~24万9,000円です。さらに超過額ごとに、追加手数料が加算されていく仕組みになっています。なお証人への費用は、1万円前後が相場です。

参考:12手数料|日本公証人連合会

遺言書作成後に無効・トラブルを避ける方法

せっかく遺言書を作成しても、記載ミス・抜け漏れなどがあると、無効になったりトラブルに発展したりします。スムーズに遺言を執行するための方法を解説します。

遺言書作成時から専門家に関わってもらう

遺言書に抜け漏れがあると、遺言執行時のトラブルにつながってしまいます。例えば不動産の調査が不十分だと、持っていることを忘れている土地の所有権が、後から発覚するようなケースもあります。

遺言書に記載されていない財産は、遺言書で相続できないため、相続人全員から署名押印をもらわなければなりません。

また自筆証書遺言を作成した場合でも、専門家にチェックしてもらえば、「ルールに則っていないから無効になってしまった」という事態を防げます。無効・トラブルを避けるためにも、遺言書作成時から専門家に関わってもらいましょう

遺言執行者として専門家を指名しておく

遺言書の内容を実現するために、遺言執行者を選任しておくとスムーズです。遺言執行者がいないと、相続人全員で遺言を執行することになります。不満のある相続人がいると、遺産執行手続きが難航する可能性が生じます。

遺言執行者は遺言作成時に指定可能です。遺言執行者の業務は、戸籍謄本の収集・登記申請・金融機関での手続きなど、多岐にわたります

身内・知人を指定することもできますが、時間と労力がかかるうえ、専門的な知識が必要な場面も多くあります。そのため行政書士・司法書士・弁護士などの専門家を指名しておくと、遺言執行がスムーズに進むでしょう。

遺言書作成は専門家に任せると安心

自筆証書遺言は自分で自由に作成できる遺言書ですが、厳格な作成ルールに則っていないと、無効になってしまいます。

公正証書遺言は作成に費用・手間がかかりますが、2人以上の証人に立ち会ってもらい、公証人が作成する遺言書なので、無効・トラブルの心配がありません。

どちらを作成するときも、行政書士・司法書士・弁護士などの専門家に作成ごと依頼するか、チェックをしてもらうと安心です

どの専門家に依頼するかを決めたら、相見積もりを取って、作業内容・料金を比較検討しましょう。「ミツモア」なら簡単な質問に答えるだけで、相見積もりが取れます。ミツモアで信頼できる専門家を見つけて、正しい遺言書を作成しましょう。

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