パソコンの動作が遅くなるのは、メモリ不足や起動アプリの負荷などが原因かもしれません。すぐに解消できる場合もありますが、ハードウェアが故障していると原因に応じた対応が必要です。この機会に原因と対処法を理解しておきましょう。
パソコンが遅くなる原因は?
パソコンを使っていると、急に動作が遅くなってしまうことは珍しくありません。再起動などで簡単に改善する場合もありますが、内部の故障やメモリの不具合によって、一向に状況が改善されない場合もあります。
できるだけ早く状況を改善するために、パソコンが遅くなってしまったときの対処法を知っておきましょう。まずは動作が遅くなる主な原因から解説していきます。
メモリの不足
パソコンの処理が遅くなってしまう原因として最も多いのは、メモリ不足によって処理が追いつかなくなってしまうケースです。
メモリはソフトウェアを実行したり、データを記憶したりする役割を担っています。記憶容量が大きければそれだけ多くのプログラムを実行でき、データを記憶しておくことが可能です。
このメモリの容量を超えるデータが必要になった場合、コンピューターは命令された処理を実行できません。容量を超えなくても、複数のタスクを同時に動かすことで、処理がスムーズに進まないケースもあります。
パソコン自体の故障・不具合
メモリが故障してしまったり、ハードディスクに不具合が起こったりして、パソコンの動きが著しく悪くなる場合もあります。
特にハードディスクにはアプリ上で扱うデータだけでなく、OSのシステムファイルも保存されています。このハードディスクに不具合が生じると、パソコン自体がうまく動作しません。
またパソコンの内部にたまったホコリが原因で、動作が遅くなるケースもあります。エラーが頻発したり突然電源が落ちてしまったりする場合は、内部のホコリを掃除してみましょう。
アプリによる高負荷
同時に多数のアプリを起動させるとシステムに高負荷が掛かります。あまり多くのアプリを起動しているとメモリを圧迫してしまい、動作が鈍くなってしまうかもしれません。
自動で起動・動作するアプリもありますので、ユーザーの目には見えない部分で動いているアプリにも注意が必要です。タスクマネージャーなどを使って、バックグラウンドアプリの状態をチェックしてみましょう。
ウイルス感染
パソコンがコンピューターウイルスに感染することで、動作に悪影響が出る可能性もあります。これまで何の問題もなく使っていたところ、急にメモリの消費が多くなったり、CPUの処理速度が低下したりした場合、パソコンがウイルスに感染しているかもしれません。
セキュリティソフトを使って、パソコンがウイルスに感染していないかチェックしましょう。セキュリティソフトを導入していない場合は、早急にインストールすることをおすすめします。
パソコンが遅い場合の対処法
パソコンの処理が遅い場合は、具体的にどのような対処を行えばよいのでしょうか。挙動が重くなる原因はさまざまなので、一つ一つ原因を探っていきましょう。
不要なプログラムを終了する
パソコンの動きが遅いと感じたら、まずは不要なプログラムを終了させてみましょう。同時に多数のアプリを起動させている場合、メモリが圧迫されて動作が鈍くなっている可能性があります。
使わないプログラムを終了させて容量を確保できれば、パソコンは正常な動きを取り戻すはずです。特に、複数のアプリを使ってマルチタスクをしている人は、同時に起動させ過ぎないように注意しましょう。
再起動をする
不要なプログラムを終了させても状況が改善しない場合は、パソコンを再起動させてみましょう。動作が遅くなった場合に限らず、多くの不具合はシステムを再起動することで解消します。
再起動は最も手っ取り早い方法なので、優先的に試してみましょう。なお、パソコンを長時間使っているだけで、メモリにデータがたまって重くなる場合もあるので、定期的に再起動を心掛ける必要があります。
ウイルスチェックを行う
再起動してもパソコンが重い場合は、一度セキュリティソフトを使ってウイルスチェックをしてみましょう。万が一、ウイルスに感染していた場合、セキュリティソフトがウイルスプログラムを隔離・削除してくれます。
不審なメールやファイルを開いたり、怪しいサイトにアクセスしたりしていない限り、コンピューターがウイルスに感染する確率は高くはありません。
しかし、もしウイルスに感染していた場合、挙動がおかしくなるだけでなく、個人情報が外部に流出したり、他の端末やネットワークに被害をもたらしたりする可能性もあるので、十分に注意が必要です。
パソコン内部を掃除する
パソコンは精密機器なので、ホコリや塵がたまっていると不具合を起こしやすくなります。熱がこもり続けることで、パソコンが正常に起動しなくなるケースもあります。
パソコン本体が熱を持っていたら、内部を確認してみるのも一つの手です。内部のホコリまで丁寧に取り除き、熱を放出しやすい状態を保ちましょう。
また室温が高い環境では、熱がこもりやすくなる点にも注意が必要です。できるだけ高温多湿な場所での使用は避けましょう。
それでも状況が改善しない場合は?
それでも状況が改善しない場合は、どのように対処したらよいのでしょうか。これまで説明してきた方法で改善されない場合は、以下の方法を試してみましょう。
不要なアプリをアンインストールする
不要なアプリをアンインストールすれば、メモリ容量に余裕ができ、動作がスムーズになる場合があります。
インストールした時点では必要だと思っていたアプリでも、時間が経つと全く使用しなくなってしまうケースは珍しくありません。いつの間にか使わないアプリがどんどん増えていき、ハードディスクの容量を圧迫している場合があります。
使用していなくてもパソコンに負荷を掛けるアプリは少なくないので、一度時間を取って、使わなくなったアプリを削除してみましょう。
自動メンテナンスを停止する
自動メンテナンス機能が原因で、動作が遅くなっている可能性もあります。
自動メンテナンス機能とは、Windowsに標準搭載されているもので、設定した時間にシステムチェックや、ソフトウェアの更新作業などを自動で行う機能です。
この機能が実行されている間は動作が重くなってしまいます。作業中にパソコンの動作が遅いと感じたら、自動メンテナンスが起動していないか確認しましょう。
自分でシステムチェックやソフトウェアの更新作業を行う習慣を付けておけば、無効化してしまっても特に問題ありません。重要な作業時のみ、無効化するのも有効です。
バックグラウンドアプリにも目を向けよう
Windowsには、ユーザーの目に触れないところで動作しているプログラムが多くあります。動作が重いと感じたら、バックグラウンドプログラムについても確認してみましょう。
バックグラウンドプログラムの無効化
Windows 10でバックグラウンドプログラムを無効化するには、スタートメニューの「設定」から「プライバシー」をクリックします。次に、左側にあるメニューの「バックグラウンドアプリ」を選択しましょう。
すると、バックグラウンドアプリが一覧表示されるので、起動する必要のないものは「オフ」にしておけば、パソコン全体の動作を軽くできます。
ただし、OSのシステムに関わるプログラムは無効化しないように注意が必要です。
スタートアップアプリの無効化
スタートアップアプリはパソコンが起動された際に、自動で立ち上がるアプリです。インストール時にスタートアップフォルダに格納されることで、パソコンの起動時に自動で起動するようになります。
スタートアップに登録済みのアプリは手動で立ち上げる必要がなくなりますが、パソコンを長く使っていると、さまざまなスタートアップアプリが起動するようになり、動作が遅くなってしまう可能性があります。
日頃ほとんど使用しないアプリも多いため、起動が遅いときは、スタートアップアプリを無効にしてみましょう。
Windows 10の場合、スタートボタンの「設定」から「アプリ」を選択し、左側のメニューにある「スタートアップ」から無効化が可能です。
視覚効果の無効化
Windowsでは、操作性を高めるために視覚効果が設定されています。
例えば、画面の最大化・最小化の際にアニメーションが付けられていたり、特定のアプリのアイコンがサムネイルで表示されたりなど、ユーザーの目を惹き付ける効果が多く実装されています。
これらは見た目の向上やユーザビリティを高める効果がありますが、システムの動作が遅くなる原因にもなります。特に必要がなければ無効化しても問題ありません。視覚効果をなくすだけで、動作がスムーズになる可能性があります。
視覚効果を無効化するには、スタートメニューの「設定」から「簡単操作」を選びましょう。「ディスプレイ」にある「Windowsのシンプル化と個人用設定」の部分の項目から、視覚効果のオン・オフ設定が可能です。
定期的に実施しておきたい対策方法
パソコンを安定的かつスムーズに動作させるために、日頃からやっておくべき対策も紹介しておきます。
具体的には、ディスククリーナップやデフラグを定期的に行い、システムに保存されている不要なデータを削除したり、データの断片化を解消したりする必要があります。
定期的にディスククリーンアップをする
日常的にパソコンを使用していると、徐々に不要なファイルがシステムに蓄積されます。
例えば、ファイルへのアクセス履歴を記録したログファイルや、一時的なデータを記録しておく一時ファイルなどは、後から使用することはほとんどないでしょう。
これらの不要なファイルを削除する機能が「ディスククリーンアップ」です。数カ月に一度はディスククリーンアップを行うことで、不要ファイルによるメモリの圧迫を防ぎ、快適にパソコンを使えるようになります。
デフラグを実施する
デフラグ(デフラグメンテーション)とは、ファイルの断片化を解消する作業です。
パソコンがデータの読み書きを繰り返す中で、一つ一つのファイルが多数の領域に分断されてしまうケースがあります。これをファイルの断片化と言い、処理が遅くなる原因とされています。
デフラグをすることでファイルの断片化が解消され、ファイルの読み込みや書き込みの速度が速くなるのです。結果的にパソコン全体の動作もスムーズになるので、ディスククリーンアップと同様、定期的にデフラグ処理も行いましょう。
パソコンを修理に出す際の注意点
パソコンの挙動が遅い場合の対処法を解説してきましたが、それでも一向に状況が改善されない場合は、メモリの増設や業者への依頼を検討しましょう。
パソコンを修理に出す際の注意点を紹介します。
データのバックアップを取る
修理に出す際は、事前にデータのバックアップを取っておきましょう。修理の過程でデータが初期化されると、重要なデータが消えてしまう可能性があります。
データ量が多くない場合は、USBタイプのストレージやSDカードなどにデータを保存しておくとよいでしょう。大容量のデータをバックアップしたい場合は、外付けのHDDやクラウドストレージ(オンラインストレージ)サービスなどを利用すると便利です。
もしパソコンを買い替える事態になっても、バックアップを取っておけば、すぐにデータを利用できます。
複数の業者から見積もりを取ろう
業者に点検や修理を依頼する場合、複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。一社だけだと、料金が適正かどうか判断するのは困難です。
複数の業者から見積もりを取って比較すれば、おおよその相場を理解できるでしょう。さらに、見積もりを出すときの対応を確認すれば、信頼できる業者かどうかもチェックできます。
業者と依頼主をつなぐプラットフォームである「ミツモア」を利用すれば、最大5件の見積もりを比較して、お得にパソコンの修理依頼ができます。業者の口コミも確認できるので、この機会に利用してみましょう。
パソコンの挙動を早くして快適に使う
パソコンが遅くなる原因はさまざまで、単純なメモリ不足や起動アプリによるシステムへの負荷、ウイルス感染などが考えられます。
不要なプログラムの終了や再起動などで改善する場合もありますが、それでも重い場合は、バックグラウンドプログラムを終了させるなどの対策が有効です。
これらの対策を試しても状況が変わらない場合は、メモリの増設や業者への相談を検討しましょう。