PCのビープ音とは?
PCのビープ(BEEP)音とは、マザーボードに実装されているBIOSという機構から発せられる音で、システムに異常が発見された際に鳴るようになっています。まずはビープ音の意味を理解しておきましょう。
PCの問題を知らせる
ビープ音はPC内部のエラーを検知した際に発せられる「ピーピー」という音で、これによってユーザーはPCに何らかの問題が起こっていることを判断できます。元々ビープ音は電子機器が通知のために発する音で、ユーザーに機器の動作状況を伝えるために使用されていました。
PCの場合は内部のシステムにトラブルが発生した際、それをユーザーに知らせるためにビープ音が用いられています。ハードウェアなどが故障している場合もあるので、適切な対応を知っておくことが大事です。
BIOSから発せられる
ビープ音はマザーボード上にあるBIOSが鳴らしており、音の回数や長さによって問題の原因を突き止められるようになっています。
詳しくは後述しますが、比較的簡単に問題を解消できる場合もあれば、システムに深刻なトラブルが起こっているケースもあります。突然PCから音が鳴り出すので驚いてしまう人も多いですが、慌てず落ち着いて対応しましょう。
BIOSとは何か?
BIOSとは「Basic Input/Output System」の略語で、PCのマザーボードに実装されているプログラムです。PCを起動した際、CPUやメモリ、マウスやキーボードなどのハードウェアおよび周辺機器に異常がないかを確認し、起動準備を行います。
ハードウェアに異常が発見された際にビープ音を鳴らす役割もあり、音の長さやパターンなどでユーザーに異常がある場所を知らせてくれます。
BIOSによって音が異なる
ビープ音はBIOSの種類によって音が違ってきます。音の間隔や長さなども変わってくるので、使用しているPCのBIOSの音を覚えておくとよいでしょう。
通常、PCの起動時に異常がなければ「ピッ」と短い音や、「ピー」という長音で知らせてくれますが、異常が発生している場合は短音が2回鳴ったり、長音と短音が組み合わされた音が鳴ったりするように設定されています。BIOSの種類ごとの具体的なビープ音のパターンは後述します。
ビープ音の変更も可能
ビープ音はPCの設定から変更したり、音を消したりすることも可能です。ビープ音を鳴らさない設定にした場合、ハードウェアに何らかの異常が発生しても気付かない可能性があるので、音自体は消さないほうがよいでしょう。
ですが、ビープ音を不快に感じる人も少なくないようなので、その場合は次の手順で音の変更を行いましょう(※Windows 10の場合)。
- 「スタートメニュー」からアプリ一覧を表示させ「W」の項目にある「Windows システム ツール」をクリック
- 「コントロールパネル」を選択
- 「ハードウェアとサウンド」を選択
- 「サウンド」項目の下の「システムサウンドの変更」を選択
- 「サウンド」タブの「プログラムイベント(E)」にある「一般の警告音」をクリック
- 「サウンド(S)」から好みの音を選択して適用
これでビープ音の変更が可能です。なお「サウンド(S)」の項目で「なし」を選択すると、ビープ音を完全に消すこともできます。
ビープ音の種類と原因
BIOSは大きくわけて「AWARD BIOS」と「AMI BIOS」の2種類があり、それぞれ音のパターンが違ってきます。具体的なビープ音の種類と主な原因を確認していきましょう。
なお、それぞれのパターンで簡単な解決法を記載しますが、それでも状況が改善されない場合は機器の故障の可能性があります。その場合は業者に修理を相談しましょう。
AWARD BIOSの場合
AWARD BIOSのビープ音のパターンと主な原因は次の通りです。
- 短音1回:正常起動で特に問題はありません。
- 短音2回:CMOSと呼ばれるCPUを構成する基本回路に、何らかのエラーが起こっている状態です。設定の不具合の場合は、初期化すると解決できる場合があります。
- 長音1回短音1回:メインメモリの異常か、BIOSあるいはマザーボードの不具合の可能性があります。メモリの接続を確認して再起動してみましょう。
- 長音1回短音2回:グラフィックボードとモニターの接続エラーです。接続の状態を確認してみましょう。
- 長音1回短音3回:GPU(グラフィックメモリ)に問題があります。規定の位置に挿入されていない可能性もあるので、正しい位置に挿入されているか確認しましょう。
- 高い長音の場合:PCがうまく冷却されておらず、熱を持った状態です。PC内のごみやほこりを取り除き、冷却ファンの動作チェックをしてみましょう。
- 長音が連続する場合:メモリが正しく接続されていないか破損している可能性があります。接続し直してみましょう。
- 短音が連続する場合:PCに電源がうまく供給されていない状態です。電源周りを確認しましょう。
- 高音と低音が連続する場合:CPUの不具合が疑われます。PCが熱を持っていたり、CPUが正しい場所に接続されているかチェックしましょう。
AMI BIOSの場合
AMI BIOSのビープ音のパターンと主な原因は次の通りです。
- 長音1回:正常起動で特に問題はありません。
- 短音1回:メインメモリの異常です。規定の位置に挿入されているか確認し、再接続を試してみましょう。
- 短音2回:メインメモリのICに問題があるケースです。磁気や静電気の影響で起こる場合もあるので、電源を切ってしばらく放置し、メモリの位置の確認や再接続を試してみましょう。
- 短音3回:メインメモリの不具合の可能性があります。メモリの位置の確認と再接続を試してみましょう。マザーボードのトラブルの可能性もあります。
- 短音4回:システム内の時計(タイマー)の不具合です。BIOSやマザーボードの異常の可能性もあります。マザーボードを掃除してごみやほこりを取ると状況が改善する場合もあります。
- 短音5回:CPUかマザーボードに問題があります。PC内の熱が原因で引き起こされるケースもあるので、放熱を行ってみましょう。
- 短音6回:複数の場所で不具合が生じている場合に起こります。
- 長音2回:CMOSの設定に問題があります。初期化すると状況が改善する可能性があります。
- 長音1回短音2回:グラフィックボードの接続エラーです。正しく接続されているか確認しましょう。
独自のビープ音が設定されている場合も
PCメーカーによっては、独自のビープ音が設定されている場合もあるようです。例えば、有名なメーカーとしてDELLや富士通などが該当します。
各メーカーの取扱説明書やマニュアルなどを確認し、ビープ音のパターンと原因を特定できるようにしておきましょう。メーカーの公式ページなどでPC名を検索し、マニュアルを確認する方法もあります。
ビープ音が鳴った場合の対処法
次に、ビープ音が鳴った場合の一般的な対処法を説明しておきます。基本的にはビープ音のパターンを読み取って、それに応じた対処が必要ですが、電源を入れた直後にビープ音がして起動しないといったトラブルの場合、以下の方法で状況が改善する場合もあります。
PCを再起動してみる
まずはPCの再起動を試してみましょう。PCの電源を切って再起動させ、それでビープ音が鳴らなくなるか確認します。
PCがフリーズしている場合、キーボードやマウスが操作できる場合は所定の操作で再起動を行い、どちらも操作できな場合は、電源ボタンを長押しして強制的に電源を切って再起動を試みてください。
放電作業を行う
PC内に不要な電気が帯電している状態だと、正常に動作せずビープ音が鳴るケースがあります。PCの電源を落として放電作業を行いましょう。
周辺機器を全て取り外し、5~10分ほど放置してから再び周辺機器を取り付け、PCの電源を入れてみます。それで正常に動作すれば問題ありません。
メモリの接触不良を解消する
ビープ音の最も多い原因がメモリの接触不良です。PC自体に問題はなくても、メモリが正しく挿入されていない場合、正しく起動せずビープ音が鳴ります。特に、メモリの交換や増設をした直後に起こりがちなので、一度PCをシャットダウンしてメモリを差し直してみましょう。
また、マウスやキーボード、外付けHDDなどが原因の場合もあるので、周辺機器をすべて取り外して電源を入れ、正常に起動するか確認してください。
BIOSを初期化する
BIOSの設定が原因でビープ音が鳴る場合もあります。いったんPCの電源を切り、再び電源を入れてメーカーのロゴが表示されたタイミングで、キーボードの「F2」キーを複数回押してください。BIOSのセットアップ画面が表示されるので、次にキーボードの「F9」キーを押しましょう。
すると「Load Optimized Defaults ?」と表示されるので「Yes」を選択し、「F10」キーを押します。さらに「Save configuration reset?」と出たら「Yes」を選択して、最後にエンターキーを押してください。これでBIOSが初期化されます。
なおPCメーカーによっては、BIOSのセットアップ画面を表示させるキーが違っている場合もあるので、メーカーのマニュアルや取扱説明書などを確認しておきましょう。
ビープ音が止まらない時は?
ビープ音は長音と短音の長さや回数、組み合わせによってPCの不具合の状況を推測できるようになっています。しかし、状況によってはビープ音が止まらなくなってしまうケースもあります。
回数が多い場合は故障の可能性
ビープ音が止まらなくなったり、異常な回数繰り返されたりする場合、PCが故障している可能性が高いです。故障が考えられる場所はさまざまですが、CPUやメモリ、マザーボードやグラフィックボード、キーボードやディスプレイなどの周辺機器が考えられます。
そのまま放置しているとPCが起動しなくなってしまう恐れもあるので、上記の基本的な対策を試してみて、状況が改善されない場合は修理を検討しましょう。
素人が修理するのは避けるべき
これまで説明してきたように、ビープ音が鳴る場合、PCが故障している可能性がありますが、素人が下手に修理しようとするのは避けたほうが無難です。業者に相談することを検討しましょう。
業者に依頼する
メモリの差し直しや再起動、BIOSの初期化などで状況が改善しない場合、個人では対応できないトラブルのケースが多いので、専門業者に依頼する必要があるでしょう。特に、異常なほどビープ音が鳴る場合は、ハードウェアなどが故障している可能性があるので、修理には分解が必要な場合もあります。
素人が安易に作業しようとすると、状況がさらに悪化してしまう可能性があるので、専門業者に任せるようにしましょう。簡単な修理で済む場合、パーツを交換するよりも安く済むことは少なくありません。
修理費用の目安
修理費用は故障の部位や症状によって変わってきますが、大体の目安としては次の通りです。
- 診断にかかる費用:3,000~10,000円程度
- マザーボードの修理:5,000~10,000円程度
- マザーボードの交換:15,000円~
- CPUの交換:6,000円~
- メモリの交換:3,000円~
これらの費用はあくまでも目安であり、業者によって具体的な費用は変わってきます。修理や交換費用に加えて、基本料金が発生する業者もあるので、複数の業者に見積もりを取って比較検討することが大事です。修理実績や評判などを確認し、信頼のおける業者に任せるようにしましょう。
ビープ音を利用した詐欺警告もある
最後に、ビープ音を悪用した詐欺警告を紹介しておきます。インターネットを使用していると、特定のWebサイトにアクセスした際、突然PCからビープ音が鳴り、「セキュリティシステムが破損しています」「ウイルスに感染しました」といったアラートが表示される事例が多発しています。
これらは、実際にPCに問題が発生しているわけではありません。画面の指示にしたがって「更新」ボタンやドライバーなどをインストールしてしまうと、不要なソフトウェアを購入させられたり、マルウェアをインストールしてしまったりする危険があるので注意しましょう。
システム警告(詐欺警告)の対処法
詐欺警告が表示された場合、アラートとして表示されたウィンドウは完全に無視しましょう。更新ボタンや「OK」ボタンなどをクリックしないように注意してください。
ブラウザを閉じるか、フリーズして閉じられない状態になった場合は、タスクマネージャーを使用してブラウザを閉じましょう。その後は普通にブラウザを利用して問題ありません。詐欺警告が表示されたWebサイトにはアクセスしないように気を付けましょう。
ビープ音の対処法を理解しよう
PCからビープ音が鳴る場合の原因と対処法を解説しました。ビープ音はPCに問題が発生した場合に鳴るBIOSの機能です。BIOSの種類によって音のパターンは違ってきますが、メーカーによっては独自のビープ音を設定している場合もあります。マニュアルや取扱説明書などで確認してください。
ビープ音が鳴った場合には回数で原因を特定し、適切な対処をする必要があります。あまりにも回数が多い場合は、故障の可能性があるので業者に相談するようにしましょう。
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