パソコンのCPUとその冷却装置であるCPUクーラーとの接触部に塗布するグリスは、パソコン全体の冷却性能に大きく関係する重要な潤滑剤です。
快適なパソコン生活を送るために、CPUグリスの選び方と塗り替えの方法を覚えておきましょう。
CPUグリスとは?
CPUグリスは、CPUとCPUを冷却するクーラーとの接触を良くするための油剤です。両者の接触面に塗布するゼリー上のもので、パソコン起動時に発生するCPUの熱を、ヒートシンクと呼ばれるクーラーの部品に逃がす役割を担っています。
グリスとは潤滑剤の一種
CPUに塗布されるグリス自体は、パソコンを動かす機能を持っているわけではありません。CPUから発生する熱を逃がして、正常にパソコンを起動させる潤滑剤の役割を果たすものです。
新品のパソコンを購入した時点では十分な量が塗布されているため、ユーザーがわざわざグリスを塗る必要はありません。
しかし、中古のパソコンや長期間使い込んだパソコンの場合、グリスが劣化して発生する熱をうまく逃がせなくなる可能性があります。
するとパソコンが熱暴走してしまったり、ファンの音が大きくなってしまったりするなどのトラブルが起こるので、必要に応じて塗り直しが求められます。
グリスに寿命はある?
グリスに明確な寿命はありませんが、2年前後で塗りなおす人が多いです。
パソコンのファンがうるさくなってきたり、熱がこもりやすくなったりしている場合、グリスが寿命を迎えているかもしれません。
定期的にCPUをチェックして、塗り直しが必要か確認しましょう。
グリスの種類はパソコンの性能に合わせる
CPUグリスにはいくつかの種類があるため、はじめて塗り直す人はどれを選んだらよいかわからない場合も珍しくありません。まずは一般的なグリスの種類と、パソコンの性能にあった選び方の基準を知っておきましょう。
標準スペックモデルの場合
パソコンのスペックによって、選ぶべきグリスも変わってきます。たとえばCPUがCore i3程度の標準的なスペックの場合、グリスも標準的なシリコンタイプのものがおすすめです。
シリコングリスはシリコンオイルが原料で、耐熱性や耐寒性に優れており、約250度まで熱に耐えられる仕様になっています。
標準的なCPUの放熱に最適なタイプで、価格は700~1,200円ぐらいが相場となっていますが、安いものであれば500円以下で購入できる場合もあります。
ミドルスペックモデルの場合
Core i5程度のミドルスペックのCPUが搭載されたパソコンでも、基本的にはシリコングリスの塗り直しで問題ありません。
しかし動画編集やゲームなどに使う場合は、高い負荷によって熱を持ちやすくなるので、より冷却効果が高いシルバーグリスを選ぶとよいでしょう。
シルバーグリスは原料に銀が使われている商品です。熱伝導性が良く高い冷却性能を持つのが特徴で、ゲームなどで長期間パソコンを使用しても快適にパソコンを稼働させられます。
価格は1,500~2,000円程度で購入できますが、安いものであれば1,000円以下で買える場合も多くあります。
ハイエンドモデルの場合
Core i7以上のハイスペックなCPUを使用する場合、非常に高い熱伝導率を持っているダイヤモンドグリスを使用するとよいでしょう。
ダイヤモンドグリスは金属より熱伝導性が高いダイヤモンドを使用しており、トップレベルの冷却性能を持っています。
価格は2,000円以上と他の種類に比べて高価ですが、その分持ちがよいです。安定してパソコンを使い続けたいならば、多少価格が高くなっても導入して損はないでしょう。
CPUグリスの選び方
ではCPUグリスの具体的な選び方について、具体的な基準を押さえておきましょう。主な選択基準としては、熱伝導率と塗りやすさ、絶縁タイプか弱導電タイプかがあげられます。
熱伝導率で選ぶ
CPUグラスを購入する際、最も注目すべきなのは熱伝導率です。
標準的なスペックのパソコンにはシリコンタイプを、熱を持ちやすい高スペックのパソコンにはダイヤモンドタイプをおすすめしたように、熱伝導率が高いグリスほど熱を逃がす効果が高くなります。
熱伝導率は「10W/mK」の単位で表現されるのが一般的で、1秒の間にどれぐらいの熱を伝えられるかを示しています。数値が高くなればそれだけ冷却効果の高い商品だとわかるので、選ぶ際の参考にしてみましょう。
塗りやすさやコスパも大切
熱伝導率に加えて、グリスの塗りやすさやコストパフォーマンスも重要な選択基準です。
グリスには粘度の高いものと低いものがあります。一般的に粘度が低めのほうが塗りやすくなっていますが、性能のよいものほど粘度が高くなる傾向にあります。
CPUとクーラーの接触面には均等にグリスを塗らなければならないため、慣れないうちは性能よりも塗りやすさを重視して、粘度が低めの商品を選択するとよいでしょう。
また種類だけでなく量によってもグリスの値段は変わってきます。粘度と使用できる量を考慮しながら、最もコストパフォーマンスの高いものを選択することが大事です。
初心者には絶縁タイプがおすすめ
CPU用のグリスには絶縁性のタイプと、導電性のタイプがあります。
導電性は電気を通すため、塗布した際のはみ出しやにじみなどによって、CPUがショートして壊れてしまう恐れがあるので十分注意しましょう。
どちらのタイプもうまく塗布すれば問題ありませんが、初心者には電気を通さない絶縁性のグリスがおすすめです。
おすすめのCPUグリス3選
それでは、おすすめのグリスをいくつか紹介します。価格はもちろん種類や熱伝導率、塗りやすさなどを考慮しながら自分にあった商品か判断しましょう。
Ainex 「シリコングリス GS-02」
300円程度の価格で購入できる注射器タイプのシリコングリスです。1.8W/mKの熱伝導率で、標準スペックのパソコンであれば問題なくCPUの冷却ができます。
内容量は1gですが、ほかのシリコングラスに比べて非常にリーズナブルで、はじめてグリスを塗り直す人にもおすすめです。お試しに使ってみるのもよいでしょう。
ARCTIC 「MX-4」
一度の塗布によって、最長で8年間効果が持続するとされているカーボンタイプのグリスです。熱伝導率が8.5W/mKと非常に高く、高いスペックのパソコンでも問題なく効果を発揮します。
さらに絶縁タイプなので、もし塗りがはみ出てしまった場合でも、CPUがショートしてしまうことはありません。1,200円程度の手頃な価格で購入できるのも魅力です。
サンワサプライ 「CPUグリス ナノダイヤモンド TK-P3D」
扱いやすい注射器タイプのダイヤモンドグリスです。熱伝導率は8.3W/mKとかなり高く、国内の有名メーカーの商品で信頼性もあります。
メーカーの標準価格は1,958円(税込)ですが、家電店や通販などでは1,000円以下で買えることも多く、かなりコストパフォーマンスの高い商品になっています。絶縁タイプではないので塗り漏れには注意しましょう。
CPUグリスを塗り替える方法
CPUにグリスを塗る方法を解説します。具体的な手順さえ覚えれば塗り直しは難しい作業ではありませんが、ハードルが高いと感じる人はプロの業者に依頼する方法もあります。
自分で塗り替える場合
グリスを塗り替える方法を説明します。
【用意するもの】
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【手順】
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グリスの量が多くても少なくても、十分な冷却性能が得られません。気泡が発生しないように気を付けながら、十分な量を塗布して薄く伸ばしましょう。
作業に慣れれば5~10分程度で塗り直しができるはずです。
不慣れな場合はプロに依頼しよう
日頃からパソコンのメンテナンスをしたことのない人は、ほかのパーツの点検や内部の清掃なども含めて、業者に依頼するのもよいでしょう。費用はかかりますが、グリスの塗り漏れによる故障のリスクを回避できます。
細かい作業が苦手な人や自分で塗るのが不安な人は、ミツモアでパソコンの修理業者を探して、グリスの塗り直しを依頼してみましょう。
ミツモアなら地名や郵便番号から専門業者を簡単に検索できます。複数の業者から見積りも取れるので、依頼する業者をスムーズに決められるでしょう。
CPUグリスを塗り替えて快適なPC生活を
CPUグリスの役割と寿命、パソコンのスペックに応じた選び方を解説しました。
標準スペックのパソコンならばシリコンタイプ、ミドルスペックやハイスペックのパソコンの場合は、シルバーグリスやダイヤモンドグリスなど、基本スペックや用途に応じて種類を選択するのが基本です。
また、熱伝導率や塗りやすさも重要な選択基準となります。初心者の場合は、塗りやすい粘度が低めの商品を選ぶことをおすすめします。自分で塗り直すのが不安な人は、パソコンの点検も含めて、業者に依頼するとよいでしょう。
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