エアコンの暖房運転をしているのに部屋が寒いこと、ありますよね。これにはエアコンの設定が適切でない、窓からの冷気で部屋が冷えているなどさまざまな原因が考えられます。簡単に試せる対処法と、自力での解決が難しいパターンについて解説します。
【症状別】エアコンの暖房をつけても寒い原因と対処法
エアコンをつけているのに寒いとき、考えられる原因を症状別にまとめてみました。以下4つのうち、当てはまる症状の項を確認してみてください。
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原因のところをクリックすると、詳しい対処法の解説に移動します。
温風が出るのに部屋が寒い
エアコンからはあたたかい風が出ているのに部屋が寒いときは、何らかの原因で部屋に冷気がたまっているか、実際の温度よりも寒く感じているかです。
原因 | 対処法 |
窓からの冷気で部屋が冷えている (コールドドラフト現象) |
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すきま風が入り込んでいる | ドアや窓にすきまテープを貼る |
部屋が乾燥している | 加湿器で部屋の湿度を上げる |
温風の勢いが弱い
温風は出ているものの勢いが弱く、部屋全体をあたためられていない場合もあります。設定の問題か、エアコンの汚れで運転効率が落ちている可能性が考えられます。
原因 | 対処法 |
風速の設定が弱い | リモコンで風速を強くする |
エアコンにほこり・汚れがたまっている | 室内機・室外機を掃除する |
暖房運転がときどき止まる
屋外の気温が特に低いとき、暖房をつけていてもひんぱんに運転が止まって風が出なくなってしまう現象です。
原因 | 対処法 |
室外機が霜取り運転をしている |
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風があたたかくない
送風口から出てくる風があたたかくないときは、設定を間違えているか、エアコン内部に問題がある可能性があります。
原因 | 対処法 |
リモコンの設定が「冷房」「ドライ」「送風」になっている | 「暖房」モードに切り替える |
冷媒ガスが漏れている | 業者に依頼して冷媒ガスを補充する |
まずはエアコンの設定を確認!効率的に暖める方法とは?
エアコンの故障だと思っていたら、リモコンの設定ミスをしていたということもあります。エアコンや室外機の故障を疑う前に、まずは手軽にできることから確認しましょう
「冷房」「ドライ」「送風」モードになっていないか?
意外によくあるのが、「暖房」モードにしているつもりが「冷房」や「ドライ」「送風」モードで運転していたケースです。一度リモコンの画面を見直してみましょう。
リモコンの表示が替わっても、エアコン本体の設定が切り替わっていないこともあります。操作するときはリモコンをエアコン室内機の方向に向けて、ボタンを押したときに「ピッ」と音が鳴ったことを確認しましょう。
設定温度は20度前後がおすすめ
部屋の温度が設定温度に達すると、部屋のあたため過ぎを防ぐためにエアコンは自動的に運転を停止します。
つまり設定温度が低すぎると、あまりあたたかさを感じない状態でエアコンが運転を止めてしまうのです。冬の適切な設定温度は20℃前後です。これよりもだいぶ低く設定している場合、設定温度を上げてみましょう。
電源を入れているのにエアコンから音がしない…というときも、設定温度を変えてみるとまた動き出すはずです。
エアコンの風向は下向きにして、風速を強くしよう
エアコンの風向きは下向き(窓や壁との角度が30度以下)、風速を強めに設定するのがおすすめです。足元まで温風を行き渡らせ、床面をつたって上に上がっていくようにすれば、部屋全体であたたかい空気が循環します。
エアコンの風向はなんとなく上向きにしたほうが部屋に温風が行き渡るイメージを持っていませんか?あたたかい空気は上に向かっていくので、風向を上向きにしてしまうと、部屋の下のほうがなかなか暖かくならないのです。
また、風速が弱いと足元まで温風が届く前に空気が上に向かってしまいます。ある程度強い風を床まで届けるのが大切です。
【温風が出るのに寒い】窓の冷気による寒さ(コールドドラフト現象)
室内のあたたかい空気が冷たい窓ガラスに触れて急激に冷やされ、冷たくなった空気が部屋の下のほうに流れてたまることがあります。これをコールドドラフト現象といいます。
この現象は特に断熱性の低い古い住宅で起こりやすいです。外から冷たい空気が入ってくるのではなく、室内の空気が窓ガラスに当たって冷やされているので、すきま風対策をしても効果がありません。
室内の熱の約50%が窓から奪われているともいわれるので、コールドドラフト現象の対策は重要です。ここでは代表的な5点を解説します。
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エアコンの送風を下向きにする
前述の通り、空気の性質上、エアコンの風向きを上向きにするとあたたかい空気が上部にとどまって部屋に行き渡りません。部屋全体をあたためるためには、エアコンの風を下向きにしましょう。
ただし身体に直接風を当ててしまうと、寒さを感じやすくなるので、直接体に当たらない位置に風向きを調節するようにしましょう。床まで温風を届けるイメージです。
すそが長く厚いカーテンにする
室内のあたたかい空気と窓ガラスの間に、厚手ですその長いカーテンを引くのもおすすめです。室内のあたたかい空気と窓ガラスの間にカーテンで仕切りを作り、冷気にかわるのを防ぎます。
さらに、夜になったら雨戸やシャッターを閉めれば、より室内の温度を温かく保つことができます。太陽が出ている昼間は、日光の暖かい熱を室内に取り込むため、雨戸やシャッターは開けておきましょう。
サーキュレーターで空気を循環させる
先ほども解説した通り、あたたかい空気と冷たい空気は分離してたまりがちです。サーキュレーターや扇風機を使って、あたたかい空気を部屋全体に循環させましょう。
あたたかい風が下りてくるあたりに向けてサーキュレーターを置き、壁に空気をあてるようにするとうまく循環します。
サーキュレーターを扇風機の電気代はほとんどかかりません。どちらも1時間あたり0.5円です。8時間使い続けても4円程です。これを1か月続けたとしても124円程しか上がらないので、エアコンとの併用をするとよいでしょう。
窓下にパネルヒーターを置く
パネルヒーターを使って窓自体をあたためることで、部屋の空気が冷気にかわるのを防止できます。
パネルヒーターだけでは部屋全体の温度を上げる力はありませんが、エアコンと併用して効率的にあたたかくすることができます。
窓の下に置くだけで設置もかんたんです。1.5~3万円程度で手に入るので、断熱性の高い窓にリフォームするよりも手軽に試せますよ。
窓に断熱シートを貼る
窓に断熱シートを貼ることで、冷たい外気をシャットアウトして室内の空気が冷えるのを防げます。比較的コストが低く取り入れやすい方法です。
粘着剤が付いていてそのまま貼れるシートなら、窓の大きさに合わせてカットするだけで手軽に貼り付けられます。水で貼る種類は手間がかかるものの、窓に跡が残りにくいのがメリットです。
水貼りタイプを使うときは霧吹きでガラスに水をかけ、カットしたシートを貼った後に乾かせば作業は完了です。
【温風が出るのに寒い】すきま風が入り込んでいる
隙間風が入り込んでいると、外からの冷たい空気が入り込んで来てしまっているため、室内が冷えにくくなってしまいます。どうしたら隙間風を防ぐことができるのでしょうか。
隙間テープを使う
サッシに隙間テープを貼りましょう。わずかな隙間から入ってくる風もブロックでき、窓まわりが冷えて室温が下がるのを防ぎやすくなります。サッシとはガラス窓に使われている金属製の窓枠のことです。
壁やドアなど窓以外の場所から吹き込む冷気にも、隙間テープの活用がおすすめです。ろうそくの火や線香の煙で風が入っている場所を確認して、隙間テープを貼れば寒さがやわらぐはずです。
【温風が出るのに寒い】部屋全体が乾燥している
部屋全体が乾燥していると、寒さを感じやすくなります。湿度を高めると、暖かさを感じやすくなります。ではどのように湿度を高めれば良いのでしょうか?
加湿器を使う
部屋が乾燥している場合、加湿器を使うのがおすすめです。加湿器をセットするだけで湿度を高めることができます。
湿度を高めすぎるとカビが発生しやすくなります。ちょうどよい湿度は40~60%です。湿度計で部屋の湿度を調整するようにしましょう。
【温風の勢いが弱い】エアコンにほこり・汚れが溜まっている
エアコンの室内機・室外機にほこりや汚れが溜まっていると、運転効率が下がって部屋があたたまりにくくなります。
長年放置しておくと、エアコンの効きが悪くなるだけでなく、負荷がかかることによってエアコンの寿命が短くなってしまいます。
また室外機の近くにものを置いて吹き出し口をふさぐのも、運転効率が下がる原因です。一度周りの状況を確認しましょう。
くわしいエアコン掃除の手順は以下の記事を参考にしてみてください。
室内機の掃除
エアコンの運転効率を保つためにも、「フィルター」「本体カバー」「風向ルーバー」の3か所は掃除しましょう。
エアコンを使っている期間は2週間~1か月に1回程度は掃除をするのが理想的ですが、せめてシーズンが始まる前に一度きれいにしておきましょう。
まずフィルターを外して掃除機で表面のほこりを吸い取ります。汚れがひどい場合はシャワーなどで洗い流し、乾かしましょう。
フィルターを外したときに、むき出しになったフィンのほこりもモップや掃除機で取り除いておくとよいです。
風向きを調整するルーバー付近と本体カバーをぞうきんで拭いたら、最低限のお手入れは完了です。
室外機の掃除
室外機は室内機とは違って、年1~2回ほどの掃除で充分です。その代わり使用頻度が高くなる時期よりも前に行うようにしましょう。推奨の時期は5~6月・10~11月です。
掃除の際はまず室外機の周辺にあるものをすべて移動させます。まわりに何もない状態になったら掃除機やほうきを使い、室外機の表と裏にあるゴミやホコリを取っていきましょう。
網目になっている金属の板は、室外機の中にある熱交換器にホコリが入らないようにブロックするパーツです。網目の間に入ったゴミやホコリを取り除くと、空気の通りやよくなって暖房効率が上がります。
掃除が終わった後は周辺にできるだけ物を置かないよう、室外機まわりの環境を整えましょう。
【運転がときどき止まる】室外機の霜取り運転をしている
寒い時期に暖房運転が15分ほど止まってしまう…それは室外機が「霜取り運転」をしている可能性が高いです。屋外が特に寒いときは室外機本体が凍ってしまうので、本体をあたためて霜を溶かすのです。霜取り運転をしている間は、室内機から温風が出ません。
霜取り運転は故障ではないので待つしかありませんが、運転効率が下がると霜取り運転の頻度が上がるので、こまめな掃除が大切です。
20分待つ
エアコンの運転ランプが点滅して温風が出なくなった場合には、焦らず、まずは20分ほど待ってみましょう。霜取り運転は多くの場合、20分以下で終わります。
20分待っても運転ランプが点滅している場合は、室内機や室外機に汚れがたまっている可能性があります。フィルターの掃除や室外機にたまっているゴミを掃除しましょう。「フィルターの掃除」と「室外機の掃除」をすることが大切です。
フィルターを掃除する
暖房を毎日使っている場合には2週間に1回、フィルターの掃除をしましょう。水洗いで丁寧にフィルターの汚れを落とすことが望ましいです。
2週間に1回もフィルターの掃除をする手間がないという方は掃除機でホコリを吸い取ってあげましょう。
【風があたたかくない】冷媒ガスが漏れている
エアコンからあたたかくないただの風が出てくる場合、リモコンの設定ミスでなければガス漏れや故障の可能性があります。
この場合は自力で直すことができません。無理に対処しようとすると故障の悪化や事故のおそれがあるので、必ずエアコン業者に依頼するようにしましょう。
エアコンは「冷媒ガス」の力で空気の温度を調整している
エアコンは冷房運転でも暖房運転でも、「冷媒ガス」と呼ばれる物質が温度を変えながら配管を通ります。冷媒ガスが蒸発するときにはまわりの空気を冷やし、逆に液体となるときは空気を暖める仕組みです。
配管に傷が付いて冷媒ガスが漏れ出してしまうと、部屋に送る空気を温められなくなってしまいます。ガス漏れは配管を直さなければ解決しません。
ほかの部分に故障があった場合と同様、メーカーやエアコン業者の力が必要です。設置をした業者に頼めるなら、期間内なら修理保証が適用されて費用がかからないケースもあるでしょう。
修理にかかる費用相場
エアコンの修理保証が用意されていない・保証の期間が過ぎているという場合は、自分で修理業者を選ぶ必要があります。エアコンの修理は作業内容によって費用が変わってくる点に注意しましょう。
冷媒ガス漏れだと、機種やガスが漏れている原因(配管の腐食や接続部分のズレなど)によって15,000〜50,000円程度が相場になります。故障しているパーツが他にもあるなら、さらに料金は上がると考えましょう。
業者によっても費用に差が出るため、依頼先選びは大切です。高い出張費用がかからないエリアで業者を探せば、料金を抑えて修理を頼無ことができます。
地域密着型のプロが多く登録しているミツモアでは、住んでいるエリアを入力すると近場の業者とのマッチングが可能です。条件に合うプロを何人か比較して、納得のいくサービスを受けられる依頼先を選べます。
エアコンと他の暖房器具・グッズの併用もおすすめ
エアコンだけではどうしても肌寒く感じてしまう場合、他の暖房器具を一緒に使う手もあります。コストやあたためたい部分に応じて選びましょう。
湯たんぽ
メリット |
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デメリット |
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暖房器具をもう1つ買うほどではないけど、エアコンだけだと物足りないという方は、湯たんぽを取り入れてみてはいかがでしょうか。作業をするときや寝るときにあたたかさをプラスしたい方におすすめです。
足に履けるブーツ型や、椅子に置く座布団型など、あたためたい部位に応じてさまざまなタイプが販売されています。お値段は数百円で買える手ごろなものから、1万円以上するハイグレードなものまで幅広いです。
こたつ
メリット |
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デメリット |
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冬と言えばこたつを思い浮かべる方も多いでしょう。部屋でゆっくりするときにあたたかさを取り入れたい方におすすめです。
電化製品ですが、一度あたためるとこたつ布団で内部が保温されるので、他の暖房器具と比べて消費電力が小さく省エネです。オフシーズンは普通のテーブルとして使えるこたつテーブルも販売されているので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
ホットカーペット
メリット |
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デメリット |
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ホットカーペットは電気を通して足元の広範囲をあたためるアイテム。ローテーブルやソファのある場所で、足元の寒さが気になるときにおすすめです。
エアコンで空気をあたため、ホットカーペットで足元をあたためることで、部屋全体がぽかぽか過ごしやすくなるでしょう。
電気ストーブ
メリット |
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デメリット |
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電気ストーブは電気の力で発熱して周囲をあたためます。ほかの暖房器具と比べて置き場所の制約が少ないのが魅力です。
パワーはやや弱く、部屋全体をあたためる力はないので、エアコンと併用して特にあたためたい場所に置くのがおすすめです。
石油ストーブ・石油ファンヒーター
メリット |
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デメリット |
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石油ストーブや石油ファンヒーターは、灯油を燃料として稼働する暖房器具です。どちらもすぐに部屋があたたかくなる上にパワーが強いのが利点です。石油ストーブは電気を使用しないので、停電時や災害時にも使うことができます。
使用するときににおいが発生し、空気も汚れるので、1時間に1~2回は換気をしましょう。
寒い原因を対処して暖かい冬を過ごそう
寒い時期にエアコンの暖房がなかなか効かないと、つらい冬越しになってしまいます。まずは暖房をつけても部屋が暖かくならない理由を調べて、対処法を考えましょう。
コールドドラフト現象や隙間風なら窓まわりの断熱対策、室内機のフィルターや室外機に汚れがあって効率が落ちているなら掃除が効果的です。
ただ配管に不具合があってガス漏れが起きているケースや、エアコンのどこかに故障があって暖房が効かない場合は業者への依頼が必要です。状況に合わせて適切な対処法を選び、エアコンをつけても寒い状態を直しましょう。