ミツモア

差し戻しとは?却下との違いから原因と対策、スマートな対応方法まで徹底解説

ぴったりのワークフローシステムをさがす
最終更新日: 2025年09月30日

「また稟議書が差し戻された…」そんな経験に、頭を抱えてはいませんか? 差し戻しは、単に業務の手戻りを生むだけでなく、プロジェクトの遅延、部下のモチベーション低下、さらには部署間の信頼関係にまで悪影響を及ぼす深刻な問題です。

しかし、根本原因と正しい対策さえ知れば、この状況は必ず打開できます。本記事では、「差し戻しとは何か」という基本的な定義から、混同されがちな「却下」との違い、そして最も重要な「差し戻される5つの根本原因」と「それを未然に防ぐ完璧な5ステップ」までを網羅的に解説します。

差し戻しとは?意味・却下との違い・使われ方の基本

差し戻しとは、提出された書類や申請に対して内容の不備や確認事項があるため、承認者が修正や再検討を求めて提出者に戻す行為を指します。重要なのは、再提出が前提であるという点です。これは、提案そのものが否定されたわけではなく、あくまで「より良くするための修正依頼」というニュアンスを持ちます。

一方で、「却下」や「棄却」は、案件そのものの終了を意味する全く異なる用語です。これらの違いを明確に理解することが、適切な対応の第一歩です。

用語 意味 案件の状況
差し戻し 内容の不備や確認不足により、修正を求めて戻すこと 継続(再提出が前提)
却下 内容が不適切、または条件を満たさないため審議しない 終了(門前払い)
棄却 審議はしたが、内容を検討した結果、要求を認めない 終了(内容の否定)

ビジネスシーンでは、以下のような場面で「差し戻し」という言葉が使われます。

  • 稟議書: 「予算の根拠データが不足しているため、この稟議書は一旦差し戻します。」
  • 経費精算: 「規定外の項目が含まれているので、経費精算書を差し戻しました。」
  • 契約書レビュー: 「法務的なリスクが懸念されるため、法務部から契約書案が差し戻された。」

ちなみに、法律や裁判の世界でも「差し戻し」は使われますが、これは上級の裁判所が下級の裁判所の判決を取り消し、審理のやり直しを命じることを意味します。ビジネスシーンとは少し意味合いが異なりますが、「やり直しを命じる」という核となる部分は共通しています。

なぜあなたの書類は差し戻されるのか?承認者が明かす5つの根本原因

差し戻しが頻発する根本原因は、突き詰めると「承認者が判断を下せない」状態にあるからです。その背景には、主に情報の不足、目的の不明確さ、ルール違反、リスク懸念、そして相手への配慮不足という5つの要因が存在します。

原因1:情報の不足・不備(記載漏れ、誤字脱字、根拠データの欠如)

差し戻し理由の中で、最も頻繁に見られるのがこのケースです。承認者が「承認」のハンコを押すためには、その判断を正当化する客観的な情報が不可欠です。

例えば、新規システム導入の稟議書において、導入効果を示すデータや、競合製品との比較表が添付されていなければ、承認者は投資判断を下せません。単純な誤字脱字も、書類全体の信頼性を損ない、「他の箇所も不正確なのではないか」という疑念を抱かせる原因となります。

原因2:目的・ゴールの不明確さ(「で、何が言いたいの?」と思われる)

「この申請を通じて、最終的に何をどうしたいのか」という結論が、冒頭で簡潔に示されていない書類は、確実に差し戻しの対象となります。承認者は多忙です。冗長な背景説明から始まる書類を最後まで読み解く時間はありません。

申請の目的とゴールが不明確な文章は、読み手の思考を停止させ、「結局、私に何を承認してほしいのかが分からない」というストレスを与えてしまうのです。

原因3:社内規定・コンプライアンス違反(ルールを見落としている)

どんなに素晴らしい提案であっても、組織のルールから逸脱していれば承認されることはありません。例えば、「経費精算の上限額を超えている」「本来であれば法務部の承認が必要な契約書なのに、申請ルートに含まれていない」といったケースが典型です。

これは申請者の意図とは関係なく、形式的な不備として機械的に差し戻されます。社内規定や承認フローの事前確認は、最低限守るべき必須事項です。

原因4:費用対効果・リスクの懸念(「本当に儲かるの?」「大丈夫?」という不安)

承認者は、会社の資産を守る責任を負っています。そのため、投資に対するリターンが不明瞭であったり、予見されるリスクへの対策が具体的に示されていなかったりすると、承認の判断を躊躇します。

承認者の頭の中にある「この投資は本当に回収できるのか?」「万が一トラブルが起きた際の対応策は?」といった疑問に対し、先回りして回答を提示できていない書類は、承認者の不安を払拭できず、差し戻しに至るのです。

原因5:承認者の「知らないこと」への配慮不足(専門用語の多用、背景説明の省略)

あなたの常識は、他部署の承認者の常識ではありません。特に、経理や法務、役員など、畑違いの相手に説明する場合、専門用語を多用したり、プロジェクトの背景説明を省略したりすると、相手は内容を正しく理解できません。

理解できないものに「承認」の印を押すことは不可能です。読み手が予備知識を持っていないことを前提とし、誰が読んでも理解できる平易な言葉で記述する配慮が欠けているケースは、意外なほど多く見られます。

差し戻しを未然に防ぐための完璧な対策5ステップ【もう悩まない】

差し戻しを防ぐためには、書類作成のプロセスを根本から見直す必要があります。目的の明確化、情報の構造化、ファクトチェック、承認者視点でのレビュー、そして事前相談という5つのステップを踏むことで、差し戻しのリスクを限りなくゼロに近づけることが可能です。

ステップ1:目的の明確化 – この書類で「誰に」「何を」承認してほしいのか?

書類作成に着手する前に、まず「この書類を通じて、誰に、何を承認してほしいのか」を一行で言語化する習慣をつけましょう。例えば、「営業部長に、新規マーケティングツール導入の予算300万円を承認してほしい」のように、具体的であるほど効果的です。

この一行が、書類全体の「背骨」となります。この軸がブレなければ、記述内容が脱線することはなくなり、常にゴールを見据えた論理的な文章構成が可能になります。

ステップ2:情報の構造化 – 結論ファーストとPREP法でロジックを組む

多忙な承認者のために、文章は必ず結論(Point)から書き始めてください。その上で、理由(Reason)→具体例(Example)→結論の再提示(Point)で構成される「PREP法」を徹底します。

この型に沿って情報を整理するだけで、格段に分かりやすく、説得力のあるロジックが完成します。承認者が最も知りたいであろう結論を最初に提示することで、相手の思考をスムーズに導き、短時間での理解を促すことができるのです。

ステップ3:ファクトチェック – データ、金額、誤字脱字をゼロにする

書類の信頼性は、細部の正確性によって担保されます。提出前には、記載されているデータ、金額、固有名詞に誤りがないか、必ず一次情報に当たって確認してください。誤字脱字も同様です。

自分一人のチェックでは見落としが発生しやすいため、可能であればチーム内でダブルチェックする仕組みを構築することを強く推奨します。セルフチェックと他者チェックの二段構えで、ケアレスミスを撲滅しましょう。

ステップ4:「承認者の視点」でのセルフレビュー – 仮想の承認者になりきる

書類が完成したら、一度申請者の立場を離れ、「もし自分が承認者だったら」という視点で全体を読み返してみてください。そして、「どこに疑問を感じるか?」「どの部分に追加の説明が欲しくなるか?」「どんなリスクを懸念するか?」を自問自答するのです。

この仮想レビューを行うことで、説明が不足している点や、論理の飛躍がある箇所を客観的に発見できます。この一手間が、差し戻しの確率を劇的に下げるのです。

ステップ5:事前相談(根回し) – 申請前のコミュニケーションが勝負を分ける

特に予算規模が大きい、あるいは複数の部署が関わるような重要な案件では、書類を提出する前の非公式なコミュニケーション、いわゆる「根回し」が極めて有効です。キーパーソンとなる承認者に事前に概要を説明し、懸念点をヒアリングしておくことで、致命的な論点のズレを未然に防げます。

この事前相談によって、相手を「いきなり書類を送りつけられた審査員」から、「一緒にプロジェクトを前に進める当事者」へと変えることができるのです。

万が一差し戻されたら?信頼を勝ち取るスマートな対応フロー

どれだけ万全の対策を講じても、差し戻しを100%なくすことは困難です。しかし、差し戻された後の対応次第で、状況を好転させ、むしろ承認者からの信頼を高めるチャンスに変えることができます。

そのためには、冷静な現状把握、迅速なコミュニケーション、的確な修正、そして感謝の報告という4つのフェーズを意識することが重要です。

フェーズ1:冷静な現状把握 – 差し戻し理由と修正依頼の意図を正確に理解する

差し戻しの通知を受けると、感情的になってしまいがちですが、まずは冷静になることが肝心です。承認者が記載したコメントを注意深く、そして最後まで熟読してください。

事実として「何が指摘されているのか」を客観的に把握し、その指摘の裏にある「承認者が本当に懸念していることは何か」という意図を読み解こうと努める姿勢が、的確な修正への第一歩となります。

フェーズ2:迅速なコミュニケーション – 必要であれば直接ヒアリングする

コメントを読んでも修正の意図が明確に分からない場合、決して推測で作業を進めてはいけません。時間を置かずに、すぐに承認者へ確認のアポイントを取りましょう。メールやチャットで済ませるのではなく、可能であれば直接会って話を聞くことが理想です。

対面でのコミュニケーションは、テキストだけでは伝わらない細かなニュアンスや、承認者の真の懸念点を引き出す絶好の機会となります。迅速な行動は、あなたの問題解決への意欲を示すことにも繋がります。

フェーズ3:的確な修正と改善提案 – 指摘箇所+αの配慮で期待を超える

修正作業においては、指示された箇所をただ機械的に直すだけでは不十分です。承認者の指摘の意図を深く汲み取り、「なぜこの指摘があったのか?」を考え抜きましょう。

そして、指摘箇所だけでなく、関連する部分も自主的に見直し、グラフを追加して視覚的に分かりやすくしたり、専門用語に注釈を加えたりと、+αの改善を加えるのです。この「期待を超える」姿勢が、承認者に「この人は信頼できる」という強い印象を与えます。

フェーズ4:感謝と報告の再申請 – 「ご指摘ありがとうございます」の一言を添える

修正した書類を再申請する際は、必ず感謝の言葉を添えましょう。「先日はご多忙の中、ご確認いただきありがとうございました。ご指摘いただいた点を踏まえ、〇〇の通り修正いたしました。」といった一言があるだけで、受け取る側の心証は大きく変わります。

差し戻しを「貴重なフィードバックの機会」と捉え、感謝の意を示すことで、円滑な人間関係が構築され、今後の承認プロセスもスムーズに進むようになります。

今すぐ使える!稟議書・申請書差し戻し防止チェックリスト

この記事で解説した要点を、提出前にご自身で確認できるチェックリストにまとめました。ぜひブックマークし、日々の業務にお役立てください。

カテゴリ チェック項目
1. 目的・結論 □ この書類で「誰に」「何を」承認してほしいか明確か?
□ 結論が冒頭の3行以内で簡潔に述べられているか?
2. 論理・構成 □ PREP法(結論→理由→具体例→結論)に沿った構成になっているか?
□ 話の飛躍や、論理的に矛盾する点はないか?
3. 情報・ファクト □ 記載されたデータや数値の根拠は明示・添付されているか?
□ 金額、日付、固有名詞に誤りはないか?
□ 誤字脱字はないか?(声に出して読むと効果的)
4. 承認者への配慮 □ 専門用語や社内用語に、注釈や分かりやすい説明はついているか?
□ 想定されるリスクと、その対策は具体的に示されているか?
□ 費用対効果(メリット)は、客観的なデータで示されているか?
5. ルール・手続き □ 社内規定やコンプライアンスに違反する点はないか?
□ 本来必要な承認部署・承認者が、申請ルートに含まれているか?
□ 重要な案件の場合、キーパーソンへの事前相談は済ませたか?

まとめ:差し戻しは、あなたの仕事をレベルアップさせる成長の機会

本記事では、差し戻しとは何かという基本から、その原因、そして具体的な対策と対応フローまでを詳しく解説してきました。

頻発する差し戻しは、決してあなた個人の能力だけの問題ではありません。それは、組織のコミュニケーションや業務プロセスに潜む課題を可視化してくれるサインでもあります。差し戻しを単なる「失敗」や「手戻り」と捉えるのは、非常にもったいないことです。

むしろ、差し戻しは、承認者の視点や思考プロセスを学び、自身の論理構成力を鍛え、提案内容をより強固なものへと磨き上げるための、絶好の成長機会に他なりません。

今回ご紹介した5つの予防策と、万が一の際のスマートな対応フローを実践することで、あなたの書類作成スキルは飛躍的に向上するはずです。差し戻しを恐れるのではなく、それを成長のバネとして活用し、組織から絶対的な信頼を寄せられるビジネスパーソンへと飛躍してください。

ぴったりのワークフローシステム選びはミツモアで

ミツモアロゴ

ワークフローシステムは製品によって特徴や機能もさまざま。「どの製品を選べばいいかわからない・・・」といった方も多いのではないでしょうか。

そんなときはミツモアにおまかせ。最短1分の自動診断で、ぴったりのワークフローシステムが見つかります。

ぴったりのワークフローシステムを最短1分で無料診断

従業員数や欲しい機能などの項目を画面上で選択するだけで、最適なワークフローシステムを最短1分で自動診断。もちろん費用はかかりません。

ぴったりの料金プランも一緒にお届け

希望条件に沿った料金プランも製品と一緒に診断します。概算金額を見積もりからチェックして、理想のプランを探してみましょう。

診断結果は最大5製品!比較・検討で最適な製品が見つかる

最大で5製品の診断結果をお届けします。検討していた製品だけでなく、思わぬ製品との出会いもあるかもしれません。

ミツモアなら、ぴったりのワークフローシステムがすぐに見つかります。

ぴったりのワークフローシステムを無料で診断する

サービス提供事業者さま向け
ミツモアにサービスを
掲載しませんか?
ミツモアにサービスを掲載しませんか?

ミツモアは依頼者さまと事業者さまをつなぐマッチングサイトです。貴社サービスを登録することで、リードの獲得及びサービスの認知度向上が見込めます。 さらに他社の掲載サイトとは違い、弊社独自の見積システムにより厳選されたリード顧客へのアプローチが可能です。 ぜひミツモアにサービスをご登録ください。

サービスを掲載する