近年、企業の福利厚生施策としてスポーツジムの導入が注目を集めています。背景には、従業員の健康管理への意識の高まりと、経済産業省が推進する健康経営の普及があります。企業にとって従業員の健康は重要な経営資源であり、心身の健康維持・増進を支援することは、生産性の向上や企業価値の向上につながります。
福利厚生の充実は人材確保の面でも重要な要素となっており、特に若い世代の求職者からの注目度が高いことがわかっています。
企業が福利厚生でスポーツジムを導入する意義
健康経営の観点から見ると、スポーツジムの導入は極めて重要な施策といえます。経済産業省が推進する健康経営は、従業員の健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを重視しています。従業員の健康増進は単なるコストではなく、企業の生産性や業績向上につながる投資として捉えられています。
実際、健康経営に取り組まない企業では、体調不良による遅刻や早退、欠勤が増加したり、従業員の離職率が高まったりするリスクがあります。従業員のモチベーション低下により業績が悪化する可能性も指摘されています。業績が好調な企業であっても、健康管理への取り組みを怠ると、従業員の負担が増大し、最終的には生産性の低下を招く恐れがあります。
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企業が福利厚生でスポーツジムを導入するメリット
スポーツジムの導入は、企業と従業員の双方にとって大きなメリットをもたらします。具体的なメリットを以下に詳しく解説していきます。
従業員の健康増進
スポーツジムでの定期的な運動は、従業員の身体的・精神的な健康増進に大きく貢献します。運動習慣を持つことで、生活習慣病の予防や改善、ストレス解消、メンタルヘルスの向上などの効果が期待できます。厚生労働省の調査によると、運動習慣のある人は虚血性心疾患や高血圧、糖尿病などの発症リスクが低いことが明らかになっています。
運動によって分泌されるセロトニンには気分を安定させる効果があり、メンタルヘルスケアの観点からも重要です。定期的な運動習慣は、オンとオフの切り替えを円滑にし、ワークライフバランスの改善にも役立ちます。
生産性の向上
健康的な身体づくりは、業務効率の向上にも直結します。運動習慣により体力が向上すると、長時間のデスクワークによる疲労が軽減され、集中力の維持が容易になります。
適度な筋力トレーニングは姿勢の改善にも効果があり、腰痛や肩こりなどの職業性疾病の予防にもつながります。
運動による心身のリフレッシュは、クリエイティブな発想力や問題解決能力の向上にもつながります。業務の質と効率が向上し、企業全体の生産性向上が期待できます。
コミュニケーション活性化
スポーツジムの利用は、従業員間のコミュニケーション活性化にも効果があります。通常の業務では接点の少ない部署間の従業員が、運動を通じて交流する機会が生まれます。共通の趣味や目標を持つことで、自然な会話が生まれ、職場の垣根を超えた人間関係の構築が可能になります。
コミュニケーションの活性化は、業務上の情報交換をより円滑にし、部署間の連携強化にもつながります。上司と部下が運動を通じて交流することで、より開放的な関係性を築くことができ、職場の雰囲気改善にもつながります。
採用力の強化
福利厚生としてのスポーツジム導入は、採用活動においても大きな強みとなります。マイナビの調査によると、就職活動中の学生が企業選びで重視するポイントとして「福利厚生の充実」が上位に挙げられています。特に健康増進に関する福利厚生は、企業の従業員に対する配慮や投資の姿勢を示す指標として、求職者から高く評価されています。
健康経営に積極的に取り組む企業としてのブランドイメージの向上は、中途採用市場においても優位性をもたらします。経験者採用において、職場環境や福利厚生の充実度は、給与水準と並んで重要な検討要素となっているのです。
企業が福利厚生でスポーツジムを導入する課題
ジム導入には多くのメリットがある一方で、いくつかの課題も存在します。課題を事前に認識し、適切な対策を講じることが重要です。
コスト面の負担
スポーツジムの導入には、相応の費用負担が発生します。社内にジムを設置する場合は、設備投資や運営維持費用が必要となります。具体的には、トレーニング機器の購入費用、スペースの確保、定期的なメンテナンス費用、そして専門スタッフの人件費などが含まれます。
外部のジムと法人契約を結ぶ場合でも、従業員一人当たりの会費や入会金の負担が必要です。福利厚生サービスを利用する場合は、サービス利用料が発生します。費用を企業規模や予算に応じて適切に設定し、長期的な運営が可能な計画を立てることが重要です。
利用率の偏り
スポーツジムの導入において、最も注意すべき課題の一つが利用率の偏りです。従業員全員の利用機会が平等だとしても、実際の利用者が一部に限られてしまう可能性があります。運動習慣の有無や、仕事とプライベートの時間配分、通勤経路など、個人的な要因によって生じます。
特に注意すべきなのは、福利厚生費として経費計上する場合、全従業員が利用できる環境を整備する必要があるという点です。一部の役職者や特定の部署のみが利用している状況では、税務上の観点から福利厚生費として認められない可能性があります。
企業が福利厚生でスポーツジムを導入する方法
スポーツジムの導入方法には、大きく分けて3つのアプローチがあります。各方法にはそれぞれ特徴があり、企業の規模や目的に応じて最適な方法を選択する必要があります。
社内施設に設置する
自社内にジムを設置する方法は、最も本格的な導入方法です。オフィスビル内や社屋の一部にトレーニングスペースを確保し、必要な機器を導入します。方法のメリットは、従業員が時間を有効活用できる点にあります。昼休みや就業前後の時間を利用して気軽に運動できるため、利用のハードルが低くなります。
社内に設置することで、企業独自のプログラムやイベントを開催しやすく、より主体的な健康経営の推進が可能になります。ただし、初期投資が大きく、継続的な維持管理費用も必要となるため、主に大企業向けの選択肢といえます。
外部ジムと法人契約する
既存の外部ジムと法人契約を結ぶ方法は、中小企業でも導入しやすい選択肢です。大手フィットネスチェーンなどと契約することで、全国各地の施設を利用できるようになります。従業員は法人会員として通常より割安な料金で利用できるほか、企業が費用の一部または全額を負担することで、より利用しやすい環境を整えることができます。
選定の際は、店舗数や立地やプログラムの内容、利用可能な時間帯、料金体系などを総合的に評価することが重要です。従業員の居住地や通勤経路なども考慮し、実際に利用しやすい施設を選ぶ必要があります。
福利厚生サービスを活用する
福利厚生サービス会社を利用する方法は、導入の手間を最小限に抑えられる選択肢です。福利厚生サービス会社は、複数のジムやフィットネスクラブと提携関係を持っており、施設を包括的に利用できる権利を提供しています。企業は契約手続きや利用管理の負担を軽減でき、従業員は多様な施設から自分に合った場所を選択できます。
福利厚生サービスを利用することで、ジム以外の様々な福利厚生メニューも同時に導入できる点も魅力です。ただし、サービス利用料が発生するため、費用対効果を十分に検討する必要があります。
企業が福利厚生でスポーツジムを導入するポイント
効果的なジム導入のためには、以下のポイントに注意を払う必要があります。
ニーズ調査の実施
導入に先立ち、従業員のニーズを正確に把握することが重要です。アンケート調査や面談を通じて、運動習慣の有無、希望する運動の種類、利用したい時間帯、通いやすい場所などの情報を収集します。調査結果を基に、より多くの従業員が活用できる環境を整備することができます。
予算計画の策定
導入にかかる費用を詳細に試算し、長期的な予算計画を立てることが必要です。初期費用だけでなく、継続的な運営費用や、利用状況に応じた費用の変動なども考慮に入れます。
従業員の自己負担額の設定や、企業負担の範囲についても明確に定める必要があります。
運用体制の整備
効果的な運営のために、管理担当者の選定や利用ルールの策定が重要です。特に、利用資格や利用時間、予約方法、費用精算の方法などを明確に定めた規程を整備します。
安全管理や緊急時の対応方針についても、事前に検討しておく必要があります。
周知・広報の実施
導入した制度を従業員に効果的に周知することも重要です。社内報やイントラネット、説明会などを通じて、利用方法や利用のメリットを分かりやすく伝えます。
利用促進キャンペーンの実施や、部署ごとの利用コンテストの開催など、従業員の参加意欲を高める工夫も効果的です。
効果測定の設計
制度の効果を定期的に測定し、改善につなげる仕組みも必要です。利用率や利用者の満足度調査に加え、健康診断結果の推移や業務効率の変化なども評価指標として活用できます。測定結果を基に、必要に応じて制度の見直しや改善を行うことで、より効果的な運営が可能になります。
ジムを導入する費用と経費処理
スポーツジムの導入費用は、選択する方法によって大きく異なります。以下に主要な導入形態別の費用目安をまとめました。
【法人契約の場合の一般的な費用例】
chocoZAP | 月額料金 ~2,500円/人 |
コナミスポーツクラブ | 1回1,320円~ |
GOLD’S GYM | 1回550円 |
費用は、一定の条件を満たせば福利厚生費として経費計上が可能です。
まず、全従業員が利用できる環境を整備することが必須条件となります。特定の役職者や一部の従業員のみが利用できる状況では、福利厚生費として認められません。法人名義での契約が必要で、個人での契約は対象外となります。
就業規則への明記や利用規程の作成、利用状況の記録保管なども重要です。要件を満たすことで、企業は支出した費用を経費として計上でき、税務上のメリットを享受することができます。
まとめ
福利厚生としてのスポーツジム導入は、企業と従業員の双方にとって大きな価値をもたらす施策です。従業員の健康増進や生産性向上といった直接的な効果に加え、社内コミュニケーションの活性化や採用力の強化といった副次的な効果も期待できます。
導入に際しては、自社の規模や予算、従業員のニーズなどを総合的に考慮し、最適な方法を選択することが重要です。単に導入するだけでなく、継続的な運営体制の整備や効果測定の実施により、制度の実効性を高めていく必要があります。
特に重要なのは、従業員全体が公平に利用できる環境を整備することです。税務上の要件としても必要ですが、それ以上に、福利厚生本来の目的である「従業員の生活の質の向上」を実現するために不可欠な要素といえます。
今後ますます重要性を増す健康経営の観点からも、スポーツジムの導入は検討に値する施策です。適切な計画と運営体制の下で実施することで、企業の持続的な成長と従業員の幸せな働き方の実現に貢献することができるでしょう。
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