スタートアップにおける福利厚生は、従業員への還元だけではなく複数の意味を持つ制度になっています。福利厚生が充実していれば従業員のエンゲージメントが向上するだけでなく、大手企業にも見落とししない採用力を確保することにつながります。
しかしスタートアップでは専任担当者がおらず、どこから手を付けてよいか分からないというケースがほとんどです。予算も運用リソースもない中でも満足度の高い福利厚生を提供するには、適切なサービスを選ぶ必要があります。
スタートアップにおすすめの、低予算でも充実度の高い福利厚生や規模別のおすすめ福利厚生などについて解説します。
【全7サービス】スタートアップにおすすめ福利厚生サービスの比較表
| サービス名 | 福利厚生の種類 |
|---|---|
| miive | ポイント型・プラットフォーム |
| Perk | パッケージ型 |
| OFFICE DE YASAI | 食事補助 |
| チケットレストラン | 食事補助 |
| マイシェルパ | ウェルビーイング支援 |
| FiNC for BUSINESS | ウェルビーイング支援 |
| Schoo for Business | 学習・自己啓発支援 |
従業員数別スタートアップにおすすめの福利厚生
同じ「スタートアップ企業」でも、従業員規模によっておすすめの福利厚生は大きく異なります。従業員数を基準に、おすすめの福利厚生を解説します。
【従業員数~10名】創業期(シード期)
従業員数が10名以下の創業期では、固定費がかかる外部サービスを導入するよりも、税務上のメリットを活かした制度設計がおすすめです。
特におすすめなのは以下の3つです。
- 借り上げ社宅制度
- 初期費用無料のパッケージ型サービス
- ピンポイントのメンタルケア
借り上げ社宅制度
従業員に対し寮や社宅を貸す場合、従業員から1ヶ月の家賃のうち50%以上の額を受け取っていれば、給与として課税されません。
給与として課税されないということは、社会保険料の負担を抑えつつ従業員の手取り額を増やすことになります。
初期費用無料のパッケージ型サービス
採用活動にWantedlyを使っている場合、初期費用ゼロで導入できる「Perk」がおすすめです。Perkは従業員あたり月額280円~利用できるため、最低料金でひとまず「最低限の福利厚生制度がある」状態を作り出すこともおすすめです。
ピンポイントのメンタルケア
創業期のメンバーはハードワークになりがちです。メンバーの心身の健康を守るために、「マイシェルパ」のような低額のカウンセリングサービスを導入することでリスクヘッジになります。
【従業員数10~50名】成長期(シリーズA)
企業が成長期になり、従業員数が増えてくると、バックオフィス業務の効率化が必須になります。この程度の規模になり始めたら、SaaSを活用した自動化とコミュニケーションを促進する仕掛けが重要です。
ポイント型・プラットフォームの活用
「miive」などのポイント型・プラットフォームがおすすめです。食事補助や学習手当などを1つのカードやアプリに集約できるため、従業員の利便性が高くなります。
またfreeeやマネーフォワード等の会計ソフトと連携させることで、経理処理も自動化可能です。面倒な手作業での入力や計算をなくすことで、処理のミスリスクをなくしましょう。
設置型食事補助
「OFFICE DE YASAI」のように、オフィスに設置する対応の食事補助であれば、オフィス内に「食」というコミュニケーションハブが出来上がります。食事を通してメンバー間の交流も進み、業務が円滑に進みやすくなるのがメリットです。
【従業員数50名~】拡大期(グロース期)
従業員が50名を超え拡大期に入ったら、多様な働き方やライフステージに対応できるよう、多様性に配慮し公平性を担保することが重要です。余力があれば企業のカルチャーにマッチした独自の福利厚生制度を創設してもよいでしょう。
重要なことは、この規模になったら画一的な制度ではなく、複数の選択肢の中から自分にあったものを選べる福利厚生サービスや、企業のミッション・バリューを体現する独自制度の導入を検討することです。
研修・学習支援
「Schoo for Business」のような学習支援サービスは、自立的なキャリア形成を支援します。スタートアップ企業に勤める人は向上心が高く、学習や自己研鑽に積極的な傾向が強いです。会社が学習の場を提供することで、従業員の向上心を会社への愛着に転化できます。
独自制度の設計
「リラックス休暇」や「推し活休暇」など、非金銭的な価値を提供する独自の制度があれば、採用広報に活用しましょう。特別休暇の設定は、コストをかけずに独自の福利厚生制度を作れます。
スタートアップ向け福利厚生サービス7選
スタートアップにもおすすめの福利厚生サービスは以下の7つです。
miive

Visaカードと連携したアプリを通じ、企業が付与したポイントを従業員が自由に利用できるプラットフォームです。「月額400円/人〜」という導入しやすい価格設定と、会計処理の自動化が最大の特徴です。
- 管理工数の極小化: freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトとAPI連携が可能。決済データに基づき、福利厚生費や交際費などの仕訳が自動で起票されるため、経理担当者の負担を劇的に削減します。
- 高い利用率: 専用カードで決済するだけという手軽さから、月次利用率が90%に達する事例もあります。
- 用途の柔軟性: 「ランチ補助」「書籍購入」「リモートワーク備品」など、企業が使途をカスタマイズ可能。領収書精算の手間をゼロにします。
Perk

採用媒体Wantedlyが提供する福利厚生パッケージです。1,000以上のサービス割引や特典を利用できます。
- 圧倒的な導入ハードルの低さ: Wantedlyを利用している企業であれば、追加コストなし(無料)で導入できるケースが多く、採用活動との親和性が極めて高いのが特徴です。
- 運用のアウトソース: 「管理者負担ゼロ」を掲げ、導入時の説明会から利用促進のリマインドメール配信まで、運用サポートが充実しています。
- 若手層への訴求: 映画、カラオケ、フードデリバリーなど、20代〜30代の従業員が日常的に利用するサービスが充実しており、導入直後から高い利用率が期待できます。
OFFICE DE YASAI
オフィスに専用冷蔵庫を設置し、サラダ、フルーツ、惣菜などを提供する「設置型社食」です。
- 手軽な健康経営: 従業員は1個100円から購入可能。コンビニ弁当に偏りがちなスタートアップ社員の食生活を改善します。
- 小規模オフィスに対応: 従業員5名程度から導入可能。大掛かりな食堂設備は不要で、冷蔵庫を置くスペースさえあれば即日開始できます。
- 出社インセンティブ: 「オフィスに行けば安く健康的なランチが食べられる」というメリットを作り、出社回帰や社内コミュニケーションのきっかけとして機能します。
チケットレストラン
全国の飲食店やコンビニで利用できるICカード型の食事補助サービスです。
- 場所を選ばない公平性: 加盟店は全国25万店舗以上。リモートワーク中のランチや、営業先での昼食にも利用できるため、勤務形態がバラバラな組織でも不公平感が生まれません。
- 税務リスクの排除: 食事補助の非課税枠(月額3,500円以下、会社負担率50%以下など)の管理は非常に複雑で、超過すると全額課税されるリスクがあります。本サービスはこのコンプライアンス管理をシステムで担保し、税務リスクを企業から切り離します。
マイシェルパ
臨床心理士などの専門家によるオンラインカウンセリングサービスです。
- スタートアップ特化の料金体系: 従業員数に応じた定額制を採用しており、例えば「10〜50名規模なら月額2万円」で全従業員が利用可能です。
- 利用の心理的ハードル低下: 完全オンラインかつ匿名性が保たれるため、人事や上司に知られずに相談が可能。メンタル不調の早期発見・予防に直結します。
FiNC for BUSINESS
AIと専門家のアドバイスを組み合わせた健康管理アプリです。
- 健康データの可視化: 従業員のライフログ(歩数、食事、睡眠など)をアプリで管理し、健康状態を可視化します。
- 健康経営優良法人の取得: アプリを通じて健康施策の実施状況をデータ化できるため、将来的に「健康経営優良法人」の認定取得を目指す成長期〜拡大期の企業の基盤づくりに適しています。
Schoo for Business
ビジネススキルからIT技術、デザインまで、幅広いジャンルのオンライン動画学習サービスです。
- ID単位のスモールスタート: 1IDあたり月額1,650円程度から導入可能。必要な人数分だけ契約できるため、予算の限られるフェーズでも導入しやすい設計です。
- 自律型人材の育成: 「社員が自ら学びたい講座を選んで視聴する」スタイルにより、スタートアップに必要な自走するカルチャーを醸成します。
スタートアップに必要な福利厚生とは?
資本力が少ないスタートアップで大企業と同じように福利厚生を充実させることは困難です。スタートアップの福利厚生を考えるときは、従業員のニーズの高いものについて知る必要があります。
法定福利厚生と法定外福利厚生の違い
福利厚生と一言で言っても、法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類があります。法定福利厚生は以下の6つが挙げられ、これらを提供しないことは法律違反です。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労働災害補償保険(労災保険)
- 子ども・子育て拠出金
一方で法定外福利厚生とは、法定福利厚生以外のサービスを指します。住宅補助や特別休暇、保養所などの提供などは法定外福利厚生です。企業ごとに異なるユニークなサービスが提供されることもあります。一般的に「福利厚生」と言う場合、法定外福利厚生を指すことが多いです。
満足度が高い福利厚生の例
法定外福利厚生は企業ごとに自由に設定できます。そのため従業員のニーズにマッチしていない制度を導入してしまうこともしばしばあります。スタートアップでは福利厚生にかけられるコストが少ないことがほとんどなので、福利厚生サービスを導入する前に必ず、満足度の高い福利厚生とその内容について知っておきましょう。
自由度が高く無駄が発生しづらい「ポイント型・プラットフォーム」
ポイント型・プラットフォームの福利厚生とは、企業が従業員に対して付与したポイントを、専用アプリ等を通じて全国の店舗やオンラインで自由に使えるサービスを指します。
従業員のニーズに応じて様々な福利厚生を利用でき、管理者の運用工数も低いことから、「次世代の福利厚生」として注目を集めています。
全国の店舗で使えるポイントを付与することから、完全リモートワークなど出社をしない働き方をしている従業員でも福利厚生サービスを利用しやすいことも押さえておきましょう。多様な働き方が認められる傾向のあるスタートアップ企業における利点の1つです。
低コストだがメニューが充実している「パッケージ型」
低コストでも充実した福利厚生サービスを提供したいのであれば、パッケージ型福利厚生サービスがおすすめです。宿泊やレジャー、自己啓発、育児・介護支援など様々なサービスの優待や割引をひとまとめにして提供するため、従業員は自分に必要なサービスを選んで利用できます。
パッケージ型は予算の見通しが立てやすく、従業員全員が同じメニューを利用できるため公平性が保たれます。ただし個別具体的なニーズには対応が難しい点には注意が必要です。
物価高の中で注目されている「食事補助・社食サービス」
2021年頃から日本の物価は上昇傾向にあるものの、賃金上昇がそれに追いついていない「スタグフレーション」の状態に陥っています。このような状況下で注目されているのが、食事補助・社食サービスです。
2022年3月には、働く人の3割が勤務日に昼食を抜いているという報道がされています。当時よりも物価上昇が深刻化している現在では、さらに多くの人が昼食を抜いている可能性があります。
食事補助により安価に質のよい食事をとれるようになると、従業員が健康になるだけでなく、仕事への集中力増加や企業への愛着形成など、様々なメリットがあります。
2026年度(令和8年度)には税制が見直され、食事補助に関する福利厚生費の非課税額が3,500円から7,500円に引き上げられる見通しです。そのため福利厚生として食事補助の導入・見直しを進める企業が増えています。
ワークライフバランスをサポートする「ウェルビーイング支援」
ヒューマンホールディングス株式会社の調査によると、20~29歳は働くうえで「ワークライフバランスを保ちながら働く」ことを重視している人が多く、18.1%に上りました。また「メンタルヘルスを守りながら働く」と答えた人も5.6%に上り、心身に負担をかけずに効率よく働くことが重視されていることが分かります。
ワークライフバランスを保ち、メンタルヘルスに気を使って働きたいと考える従業員を満足させるには、ウェルビーイングの考え方が重要です。ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に充足し、幸福感を感じている状態を指します。
福利厚生でウェルビーイング支援をするのであれば、フィットネスジムへの補助やメンタルヘルスサービスの割引プランなど、様々な方面からの支援を検討しましょう。答えはひとつではなく、企業のカルチャーによっても異なるので、従業員にアンケートを取って決定することも重要です。
成長意欲に応える「スキルアップ・自己啓発」
スタートアップ企業に入社する人は、成長に対して貪欲で向上心が高い人が多いです。そのためスキルアップや自己啓発に関する福利厚生を取り入れることもおすすめです。
動画などで気軽に学べるeラーニング形式のシステムであれば、場所や時間を選ばず従業員が勉強したいと思ったタイミングで利用できます。
スタートアップに導入する福利厚生サービスを選ぶポイント
スタートアップ企業で充実した福利厚生サービスを導入するには以下3つのポイントに着目しましょう。
運用にかかる管理コストが低い
専任の福利厚生担当者を置けるスタートアップは稀です。経営者や採用担当者が兼務する「一人人事」体制でも回る仕組みでなければ、制度はすぐに形骸化します。
- スマホ完結: 従業員からの申請・承認がスマホアプリで完結するか。
- API連携: 給与計算ソフトや会計ソフト(freee、SmartHR、マネーフォワード等)とAPI連携し、仕訳データや給与明細への反映が自動化されているかを確認してください。特に食事補助などの現物給与が発生するものは、この連携が必須です。
固定費が高すぎない
固定費が高すぎず、組織の急拡大・縮小に合わせて柔軟にプラン変更ができるかが鍵です。
- 従量課金・ID課金: 入退社に合わせて1ID単位で契約数を変更できるSaaS型を選びます。
- 税制優遇の活用: 単なる支出ではなく、「借り上げ社宅」や「食事補助(月額3,500円以下の非課税枠)」など、節税メリットのある制度を優先的に導入し、実質的なROI(投資対効果)を高めます。
従業員のニーズとの合致
「導入したが誰も使わない」という事態を避けるため、全従業員が公平に恩恵を受けられるかを検証します。
- 利用場所の柔軟性: リモートワーク社員、出社社員、外回り社員の全員が使えるか(例:全国のコンビニで使える食事補助カードなど)。
- 属性への配慮: 独身、子育て中、介護中など、特定のライフステージに偏らない選択肢(カフェテリアプランやポイント制)があるかを確認します。
スタートアップならではのユニークな福利厚生制度の例
資金力がなくても、アイデアとカルチャーで差別化は可能です。先進企業は、金銭的な報酬以上に「会社が従業員を大切に思っている」というメッセージを制度に込めています。
メルカリ:「時間」と「安心」を提供する制度設計
メルカリでは、法定の年次有給休暇を入社初日に付与するほか、「リラックス休暇」などの独自休暇を整備しています。また、卵子凍結費用の補助や、認可外保育園の差額補助など、社員だけでなくその家族やパートナーも含めたライフイベントを支援する姿勢を明確に打ち出しています。
これは「安心して長く働ける環境」自体を強力な採用ブランドに昇華させた好例です。
サニーサイドアップ:「体験」を支援する独自性
「たのしいさわぎ創造支援」制度のように、映画、ライブ、イベントなどのエンタメ体験費用を会社が補助するユニークな制度を展開しています。
PR会社として業務上のメッセージと福利厚生をリンクさせることで、社員のスキルアップとリフレッシュを同時に実現しています。
ローコストで今すぐできる福利厚生のアイデア
- 特別休暇の名称変更: 単なる有給休暇に「推し活休暇」「バースデー休暇」「失恋休暇」と名付け、取得推奨日を作るだけで、会社の遊び心と配慮が伝わります。
- シャッフルランチ: 部署の異なるメンバー同士のランチ代を補助(月1回など)するだけで、組織の縦割りを防ぎ、意外なイノベーションの種が生まれます。
スタートアップの福利厚生を投資にするための活用戦略
福利厚生を単なる経費(コスト)と捉えていては、福利厚生を導入しただけで終わってしまいます。魅力的な福利厚生を戦略的投資に変える視点を持つことが重要です。
採用・広報で徹底的に活用する
導入した制度は、求人票の福利厚生欄に一行書くだけでは不十分です。Wantedlyのストーリーや採用資料で、「なぜその制度を導入したのか(Why)」を語ってください。「社員の健康を第一に考えるから、野菜を配布している」「自律性を重んじるから、学習費を補助している」という背景のストーリーこそが、カルチャーマッチした人材を惹きつけます。
節税効果と手取り収入向上の最大化を図る
借り上げ社宅制度や食事補助の非課税枠活用は、会社にとっては社会保険料の削減、従業員にとっては所得税・住民税の削減につながります。同じ原資を使っても、給与として支給するより実質的な手取り額が増えるため、給与競争力を高めるための財務戦略として活用すべきです。
ぴったりの福利厚生サービス選びはミツモアで

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