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もう事故報告に悩まない!総務担当者のための社用車事故削減マニュアル

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最終更新日: 2025年09月30日

社用車の事故報告が後を絶たない。保険料は高騰し、経営層からのプレッシャーは強まる一方。現場からは反発の声も聞こえ、何から手をつけるべきか途方に暮れている…これは、多くの総務・車両管理担当者が直面する深刻な課題です。

本記事では社用車の事故削減に向けて明日から着手できる具体的なアクションと、それを成功へ導くための年間計画の策定までをサポートします。

社用車の事故削減は3ステップのロードマップで実現できる

社用車の事故削減アプローチの要諦は、「人」「車両」「管理体制」の3つの要素を、正しい順序で改善していくことに尽きます。成功への最短経路は、以下の3ステップで構成されるロードマップを実行することです。この段階的なアプローチこそが、一過性の対策で終わらせず、安全運転を企業文化として根付かせるための鍵となります。

  • ステップ1:応急処置フェーズ(最初の1ヶ月) コストをかけずに即時実行できる対策で、まずは事故の発生頻度を抑制します。
  • ステップ2:仕組み化フェーズ(3ヶ月〜6ヶ月) ルール策定や研修を制度化し、安全運転を個人の意識から組織の文化へと昇華させます。
  • ステップ3:継続的改善フェーズ(6ヶ月以降) テクノロジーを活用して客観的データに基づいたPDCAサイクルを回し、事故ゼロの状態を維持・向上させます。

なぜ今、社用車の事故対策が急務なのか?放置する3つの経営リスク

事故削減計画の予算を獲得し、全社の協力を得るためには、対策を怠った場合のリスクを明確に言語化し、経営層や従業員と共通認識を持つ必要があります。事故の放置は、単なる「不運な出来事」では済まされない、深刻な3つの経営リスクに直結します。

リスク1:直接的・間接的コストの増大(保険料、修理費、休業損失)

事故が発生すれば、車両の修理費用や保険対応にかかる人件費といった直接的なコストが生じます。しかし、それ以上に経営を圧迫するのが、保険料の高騰です。

事故による保険等級のダウンは、翌年度以降の保険料を大幅に引き上げ、継続的なキャッシュアウトを強いることになります。加えて、ドライバーの休業や代替要員の確保といった間接的な損失も、決して無視できない金額に膨れ上がります。

リスク2:企業信用の失墜とブランドイメージの毀損

街中を走る社用車は「動く広告塔」です。その車が事故を起こせば、たとえ軽微なものであっても、企業の安全管理体制に対する疑念を社会に抱かせます。特に社名が記載された車両の事故は、SNSなどを通じて瞬時に拡散されるリスクも孕んでおり、長年かけて築き上げたブランドイメージや社会的信用を一瞬で失墜させかねません。

リスク3:従業員の安全確保と安全配慮義務違反のリスク

企業は、従業員が安全かつ健康に働けるよう配慮する「安全配慮義務」を法的に負っています。社用車の事故対策を怠り、従業員が死傷するような重大事故が発生した場合、この義務違反を問われ、多額の損害賠償を命じられる可能性があります。従業員の命を守ることは、企業の最も基本的な責務であり、そのための投資は不可欠です。

【ステップ1】コストゼロですぐ始める!応急処置フェーズのアクションプラン5選

本格的な対策の前に、まずはコストをかけずに即効性のある施策で、事故の増加傾向に歯止めをかけましょう。このフェーズの目的は、従業員の安全意識を短期間で引き上げ、組織内に「事故削減に取り組む」という明確なメッセージを発信することです。ここでは、明日からでも始められる5つの具体的なアクションプランを提案します。

① 「ヒヤリハット報告会」を月1で開催し、危険体験を共有する

事故には至らなかったものの「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりした経験は、事故の貴重な予兆です。これらの体験を報告書として集め、月次で共有会を実施してください。他者の経験を疑似体験することで、危険予知能力が向上し、「次は我が身かもしれない」という健全な危機感が醸成されます。

② 過去の事故事例マップを作成し、危険箇所を可視化・共有する

過去に事故やヒヤリハットが発生した場所を地図上にプロットし、「事故事例マップ」として社内で共有します。特定の交差点や見通しの悪い道路など、危険が潜むエリアを全ドライバーが事前に認識することで、その地点を通過する際の注意力が格段に高まります。

③ 全ドライバーに「安全運転誓約書」を再度提出してもらう

安全運転への意識を再確認させるため、改めて全ドライバーに「安全運転誓約書」へ署名・捺印してもらい、提出を義務付けます。これは単なる形式的な手続きではありません。自らの署名をもって安全運転を誓約する行為は、ドライバーとしての責任感を再認識させ、運転行動に良い影響を与えます。

④ 安全運転標語を社内公募し、車内や駐車場に掲示する

「慣れた道こそ、初心忘れず」など、従業員から安全運転に関する標語を募集します。優れた作品は表彰し、ステッカーにして各車両のダッシュボードや、本社の駐車場など、日常的に目にする場所に掲示しましょう。自分たちのアイデアが形になるプロセスは、当事者意識を高め、安全運転文化の醸成に繋がります。

⑤ 運行前後のアルコールチェックの相互確認を徹底する

飲酒運転の撲滅は、事故防止の絶対条件です。アルコールチェッカーによる検知はもちろんのこと、運行管理者とドライバー本人だけでなく、同僚同士で相互に確認し合う「ダブルチェック体制」をルール化してください。形骸化を防ぎ、組織全体で飲酒運転を許さないという厳しい姿勢を示すことが重要です。

【ステップ2】事故の再発を根絶する!仕組み化フェーズの進め方

応急処置で事故の増加に歯止めをかけたら、次はより持続的かつ根本的な対策、つまり「仕組み化」に着手します。このフェーズでは、安全運転を個人のスキルや意識だけに依存させるのではなく、「人」「車両」「管理体制」の3つの側面から、組織として事故を予防する強固な基盤を構築します。

人への対策:安全運転教育を「イベント」から「制度」へ変える

年に一度の安全講習といった単発のイベントでは、効果は長続きしません。重要なのは、教育を継続的な「制度」として組み込むことです。外部の専門機関が提供する安全運転研修(座学・実技)を階層別(新人、中堅、管理者)に必須化したり、手軽に繰り返し学習できるeラーニングシステムを導入したりと、計画的・継続的な教育体制を構築すべきです。

車両への対策:事故を未然に防ぐための車両管理と安全装備

車両の不具合は、重大事故の引き金になり得ます。誰がいつ、どこを点検したのかが一目でわかる「日常点検チェックリスト」を標準化し、その運用を徹底してください。また、万が一の際の客観的な証拠となるドライブレコーダーや、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備(ASV)の導入は、事故の抑止と被害軽減の両面で極めて有効な投資です。

管理体制への対策:実効性のある「車両管理規程」を作成・改訂する

事故削減の根幹をなすのが、ルールブックである「車両管理規程」です。事故発生時の報告フロー、社用車の私的利用の禁止範囲、そして違反した場合の罰則規定など、盛り込むべき必須項目を網羅し、誰が読んでも解釈に迷わない明確な規程を作成・改訂してください。また、法律で定められた「安全運転管理者」を正式に選任し、その役割と責任を明確にすることも、管理体制を機能させる上で不可欠です。

【ステップ3】データで事故を撲滅!継続的改善フェーズのPDCA実践法

事故削減を一過性の取り組みで終わらせず、継続的に成果を出し続けるためには、勘や経験に頼った指導から脱却し、客観的なデータに基づいた改善サイクルを回し続ける必要があります。この最終フェーズでは、運行管理システムなどのテクノロジーを活用し、科学的アプローチで社用車の事故削減を実現するPDCAの実践法を解説します。

Plan(計画):運行管理システムで客観的データを収集する

まずは、客観的な事実を把握することから始めます。運行管理システムを導入することで、各車両の走行ルートや速度、急ブレーキ・急ハンドル・急発進といった危険運転の発生状況が自動で記録されます。これらのデータは、これまで見えなかった運転リスクを可視化し、具体的な改善計画を立案するための羅針盤となります。

Do(実行):データに基づいた個別指導で「クセ」を直す

収集したデータは、個々のドライバーの運転特性、つまり「クセ」を浮き彫りにします。「Aさんは特定の交差点で急ブレーキが多い」「Bさんは高速道路での車間距離が不十分な傾向がある」といった具体的な事実を基に、一方的な叱責ではなく、客観的データを示しながら対話形式で指導を行うことで、ドライバーは納得感を持って自らの運転を見直し、改善に取り組むことができます。

Check(評価):安全運転スコアで努力を可視化・評価する

システムのデータを基に、各ドライバーの運転を自動でスコア化し、安全レベルを可視化します。このスコアを月次で集計し、個人別や部署別でランキング形式で開示することで、安全運転への取り組みが「見える化」されます。これにより、ドライバー間に健全な競争意識が生まれ、ゲーム感覚で楽しみながら安全運転スキルを向上させる効果が期待できます。

Act(改善):表彰制度を導入し、モチベーションを高める

データに基づいた評価は、インセンティブと結びつけることでさらに強力な効果を発揮します。年間を通じて無事故・無違反を達成したドライバーや、安全運転スコアが特に優秀だった個人・チームを表彰する制度を設けましょう。「安全運転をすれば、正当に評価される」という文化を醸成することが、持続的な改善活動の強力なエンジンとなります。

対策が失敗する根本原因は「現場の反発」。全従業員を巻き込む3つのコツ

どんなに優れた計画やシステムも、現場のドライバーの協力なしには絵に描いた餅に終わります。「監視されているようで不快だ」「面倒なルールが増えるだけだ」といった反発は、対策が失敗する最大の要因です。全従業員を巻き込み、主体的な取り組みを促すためには、導入プロセスにおいて以下の3つのコツを徹底することが極めて重要です。

コツ1:一方的な「管理」ではなく「安全を守るための投資」だと説明する

新たなルールやシステムの導入目的が、従業員を「管理・監視」するためではなく、不幸な事故から「従業員自身とその家族を守る」ための重要な投資であることを、経営層から真摯に説明してください。目的が罰することではなく、守ることにあると理解されれば、現場の受け止め方は大きく変わります。

コツ2:導入前に説明会を開き、プライバシーへの懸念を払拭する

特にドライブレコーダーや運行管理システムの導入に際しては、プライバシーに関する懸念が必ず生じます。本格導入の前に必ず説明会を開催し、データの取得範囲や利用目的を明確に開示してください。

「業務時間外のデータは記録されない」「データは事故防止と安全指導以外の目的には絶対に使用しない」といったルールを明文化し、誠実な対話を通じて従業員の不安を払拭することが不可欠です。

コツ3:一部の部署からスモールスタートし、成功事例を作る

全社一斉に導入するのではなく、まずは協力的ないくつかの部署で試験的に導入し、成功事例を作ることが賢明です。

「事故が実際に減った」「運転日報の作成が楽になった」といったポジティブな成果や声を集め、それを社内に展開することで、「自分たちにもメリットがありそうだ」という雰囲気を醸成できます。この成功体験が、全社展開時の心理的な抵抗を和らげる最も有効な手段となります。

まとめ:事故削減は企業の成長戦略。ロードマップを手に今日から始めよう

本記事では、社用車の事故を削減するための具体的な3ステップのロードマップを解説しました。

  • ステップ1では、コストをかけずに即時実行できる応急処置で現状の悪化を食い止めます。
  • ステップ2では、教育、車両、管理体制の仕組み化によって、安全運転の強固な土台を築きます。
  • ステップ3では、データを活用したPDCAサイクルを回し、継続的な改善を実現します。

そして何より重要なのは、これらの対策を成功させるために「現場の協力」を取り付けることです。

社用車の事故削減は、単なるコスト削減やリスク管理に留まる問題ではありません。従業員の安全を守り、企業の社会的信用を維持し、ひいては生産性を向上させる、極めて重要な「成長戦略」です。

このロードマップが、貴社の課題解決に向けた最初の一歩となれば幸いです。まずはステップ1のアクションプランの中から、明日実行する項目を一つ、あなたの計画書に書き出すことから始めてください。行動こそが、未来を変える唯一の力です。

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