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運輸・物流業界のAI活用事例15選!効率化を導くその手法とは

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最終更新日: 2026年01月08日

日本の物流業界は、2024年4月に適用された時間外労働の上限規制、いわゆる2024年問題を経て、さらなる大きな転換点を迎えようとしています。2026年4月に施行予定の改正物流総合効率化法は、これまで努力義務であった物流効率化を法的義務へと昇華させます。

この厳しい経営環境において、物流統括責任者(CLO)候補やDX推進担当者が、法規制をクリアしつつ利益率を維持するための鍵となるのがAI技術です。事業の継続や発展に向けて欠かせないAIの活用方法を、先人達の導入事例をふまえて解説します。

「物流DX」の決定打!AI活用で法改正と人手不足の突破を

2026年4月の法改正において、AIの活用は運輸・物流業界の企業の生存を左右する決定打となります。CLO選任や中長期計画の策定が義務付けられる中、AIは荷待ち時間の削減や積載率の向上、事務コストの大幅な圧縮を実現し、法的要件と経営利益の双方を担保する役割を果たします。

特に重要となる成果は、荷待ち時間の劇的な短縮や、積載率の飛躍的な向上です。これまでの現場の経験や勘に頼ったオペレーションから、データに基づく自動化へとシフトすることが成功の分岐点です。AIは単にトラックを走らせるための技術ではなく、物流という経営資源を最適化し、サプライチェーン全体の強靭性を高める戦略的装置へと進化しています。

運輸・物流業界がAIを活用するべき3つの理由

改正物流効率化法が求める数値目標の衝撃

2026年の法改正における最大の特徴は、物流効率化がコンプライアンス要件となる点です。具体的には、トラックの積載率向上、荷待ち・荷役時間の削減、輸送網の集約といった施策に対し、実効性のある数値目標の達成が求められます。

特に荷待ち時間については、ガイドラインで2時間以内、将来的には1時間以内を目標とする厳格な管理がルール化されます。これらを達成できない企業は法的リスクを負うだけでなく、社会的信頼の失墜にも直結します。

CLO(物流統括責任者)に課される実効性のある計画の策定義務

特定事業者に指定された荷主や物流事業者は、物流統括管理者(CLO)の選任と、中長期計画の策定が義務化されます。この計画は形骸化したものではなく、実効性が問われます。

AIを用いたデータドリブンな意思決定は、計画の妥当性を証明し、進捗を客観的に管理するために不可欠です。計画策定においてAIをどのように組み込み、具体的なKPIをいかに達成するかというロジックこそが、CLOに求められる資質となります。

AI導入をコストではなく法的リスク回避と競争力向上へ転換する

AI導入を単なるITコストとして捉える時代は終わりました。2026年以降、AIは法的リスクを回避し、ドライバーから選ばれる運送会社、あるいは効率的な荷主として生き残るための投資となります。

中には予測精度の向上によりエラーを20%から50%削減できるというデータもあり、AI活用はコスト削減を超えた競争力の源泉となります。法改正をきっかけに、従来の人力依存から脱却し、デジタルを前提とした新しい物流モデルへ転換する好機です。

運輸・物流業界のAI活用事例10選

AI 運輸 物流業の活用範囲は、配送、倉庫、事務、顧客接点と多岐にわたります。各領域における先進企業の成功事例から、具体的な導入成果と最新技術の活用法を整理します。

輸送・配送の最適化(配車・ルート・自動運転)

輸送領域では、ドライバーの拘束時間削減と積載率の最大化が最優先課題です。

ヤマト運輸:ルート最適化

膨大な配送実績データとリアルタイムの交通情報をAIが解析し、配送計画を自動生成します。走行距離の短縮により、最大25パーセントの二酸化炭素排出削減を達成しました。

NEXT Logistics Japan:量子アニーリング

量子コンピュータを活用した積み付けシステムを導入。異業種荷主からの複雑な荷物を瞬時に組み合わせ、積載率と実車率を極大化しています。

ハコベル:配車計画の最適化

AIアルゴリズムを用いて、配車計画の業務を半自動化。路線便やチャーター便の割り振りを自動計算しつつ、ルートの最適化も実施します。

倉庫・在庫管理の高度化(ロボティクス・需要予測)

倉庫内作業の自動化は、人手不足を補うだけでなく、空間効率の向上にも直結します。

アスクル:自動搬送ロボット

商品棚を作業者の元へ運ぶ実行型AIロボットを導入。ピッキング担当者の歩行時間をゼロにし、作業生産性を約2倍に向上させました。

Amazon:高密度保管

AIが倉庫内の最適な商品配置を計算し、ロボットの動線を制御。さらにAI対応ロボットが商品の認識や仕分け、品質検査を実施しています。

NTTロジスコ:画像認識検品

カメラが商品をスキャンし、マスターデータと照合。疲労に左右されない確実な検品により、ミス発生率ゼロを実現しました。

事務・通関・バックオフィスの自動化(生成AI・AI-OCR)

物流に伴う膨大な書類処理は、AI-OCRと生成AIの組み合わせで劇的に効率化されます。

TradeWaltz:AI-OCR貿易実務

大規模言語モデルを活用した非定型帳票の読み取りを導入。商業インボイスにおいて98パーセントという高い読取精度を達成し、入力工数を大幅に削減しました。

佐川急便:伝票入力自動化

配送伝票の入力作業にAIを適用。月間8,400時間という膨大な作業工数を削減し、リソースの再配分を可能にしています。

CX向上と再配達削減(ラストワンマイル・顧客接点)

ラストワンマイルの課題である再配達の撲滅に向け、情報の先取りが行われています。

佐川急便・東京大学:電力データ活用

スマートメーターの電力データから在宅状況をAIが予測。不在配送を20パーセント削減し、ドライバーの無駄な労働時間を抑制しています。

日本郵便:ルート自動生成・チャットボット

配達ルートの自動生成に加え、AIチャットボットによる配送変更受付を自動化。顧客満足度の向上と現場負荷の軽減を両立させました。

法改正要件別・AI技術の選び方

荷待ち・荷役時間の削減に効くAIツールとは

2026年改正法の核心である荷待ち時間削減には、トラック予約受付システム、いわゆるバース予約システムが最も即効性があります。Hacobuが提供する「MOVO Berth」の事例では、平均1時間を超えていた待機時間が、導入後に30分へと短縮されました。

これはAIが車両の到着時間を分散させ、庫内作業の進捗と同期させることで実現します。デジタル化された入退場記録は、行政への報告における改ざん不可能な証拠としても機能します。

積載率の向上と共同配送を実現するデータプラットフォーム

積載率向上には、企業枠を超えたデータの統合と高度な組み合わせ計算が不可欠です。NEXT Logistics JapanやF-LINEが実践しているように、異なる荷主の荷物情報を一つのプラットフォームに集約し、AIが最適な混載・ルートを導き出す仕組みが必要です。

これは、2026年以降に強く求められる「荷主連携」の具体的なソリューションとなります。

ドライバーの安全確保と労務管理を自動化するAIドラレコ活用

法改正では労働環境の改善も厳格に問われます。たとえばAI点呼システムでは、顔色や声の調子から健康状態を客観的に判定し、過労運転を未然に防止します。また、AI搭載のドライブレコーダーによる危険運転の自動検知と指導は、事故リスクを低減させ、ドライバーが安全に長く働ける職場環境の構築に寄与します。

運輸・物流業界におけるAI導入の5つのステップ

Step1:現場のアナログデータをデジタル化し、ボトルネックを特定する

AI導入の成否はデータの質で決まります。まずは紙の伝票やFAX、ホワイトボードによる管理を廃止し、すべての情報をデジタルデータとして蓄積してください。現状の待機時間や積載率が不透明な状態では、AIは機能しません。アナログ情報のデジタル化こそが、ボトルネックを可視化するための第一歩です。

Step2:改正法の中長期計画にAIによる効率化を組み込む

2026年に義務化される中長期計画の策定において、AIを「達成の根拠」として位置づけてください。例えば「バース予約システムの導入により荷待ち時間を〇〇パーセント削減する」といった、具体的な技術名と期待数値を計画に盛り込みます。これにより、計画の実現性が担保され、経営層や行政に対する説得力が増します。

Step3:PoC(概念実証)で終わらせないために現場を巻き込む

AI導入が失敗する典型的なパターンは、現場の抵抗による形骸化です。ツールを導入する前に、それがどのようにドライバーや倉庫スタッフの負担を減らすかを丁寧に説明し、現場の意見を反映させるプロセスを設けてください。小さな成功体験(クイックウィン)を早期に共有し、現場がメリットを実感できる環境を整えることが、全社展開への鍵です。

Step4:複数のAI(予測・認識・生成)を統合する自律型物流への拡張

最終的には個別のシステムを連携させ、自律的に最適化が回る「自律型物流」を目指します。需要予測AIが導き出した出荷量に基づき、配車AIがルートを組み、倉庫のロボットが自動で準備を行うといった統合的なアプローチです。

2030年を見据えたフィジカルインターネットの実現に向け、段階的にシステム間のデータ連携を深めていくことがCLOの役割です。

まとめ:2026年、AIと共に「選ばれる物流」へ進化する

2026年の改正物流効率化法の施行は、物流をコストセンターから戦略部門へと進化させる転換点です。本記事で紹介した事例が示す通り、運輸・物流業のAI活用は、法規制のクリアという守りの側面だけでなく、生産性の劇的な向上という攻めの側面を併せ持っています。

AI活用によって、ドライバーにとっては「過度な待機がなく、安全に働ける職場」となり、荷主にとっては「低コストで確実な配送を提供してくれる信頼のパートナー」となることができます。激変する市場環境への適合に向けて、AIの利活用を進めていきましょう。

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