通年採用は近年、導入する企業が増えている採用方式です。新卒一括採用と異なり、1年を通じて採用活動を行うのが最大の特徴になります。
通年採用のメリット・デメリットや、実際に導入している企業の施策内容など、気になる点を解説します。
通年採用とは?
かつての新卒一括採用の時代から、時期を問わず採用活動を行う企業が増えています。ここでは通年採用の意味や、広がりを見せている経緯について解説しましょう。
会社が年間を通じて行う採用活動
通年採用とは、企業が採用の時期を限定せず、1年を通じて採用活動を行う方式です。欧米では以前から一般的でしたが、春に新卒を一括採用する企業が大半の日本では、新しいやり方といえます。通年採用の導入により、留学生や海外の大学生など、幅広い学生へのアプローチが可能です。
近年は留学生や帰国子女の増加による採用時期の多様化や、少子化による新卒人口の減少などから、国内でも通年採用を導入する企業が増えてきています。
経団連が通年採用拡大を発表
新卒の通年採用拡大の背景は、経団連の方針変更にあります。従来は多くの企業が4月から採用活動を行っていました。学生の就職活動が学業に影響を与えないよう、活動開始時期や採用の手法を経団連が制限していたためです。
しかし、経団連は2021年卒から「一括採用から通年採用へ移行していく」という方針を示しています。社会背景や採用活動の現状に応じて、今後企業による通年採用は増加し、就職活動も多様化していくと考えられます。
通年採用と一括採用の違い
通年採用と一括採用の特徴から見えてくる、それぞれの違いに迫ってみましょう。時代の流れや学生のライフスタイルから考えても、採用の幅が広い通年採用はいろいろな面で有利です。
通年採用の特徴
通年採用は1年を通じて採用活動が行われます。人によって帰国の時期が異なる留学生や第二新卒、即戦力の採用も可能です。時期を制限されないため、志望者の人となりや適性をじっくりと見極められるため、採用後のミスマッチが起きるリスクが減少します。
もし内定辞退者が出ても、通年採用なら必要なタイミングで活動を行えるため、代わりの人員を補完する計画も立てやすくなります。新卒の有効求人倍率が上がり続ける売り手市場の中、少ない働き手から人材確保の必要があるため、採用者の幅が広がる通年採用の流れは加速するでしょう。
一括採用の特徴
新卒一括採用では、同じ時期に各企業が新卒学生を採用します。具体的には、3月から合同説明会や会社説明会が始まり、6月より面接による選考がスタートするスケジュールです。トータルでの採用活動期間は、3~7月のおよそ5カ月になります。
通年採用に対して、内定辞退者が出ると非常に困るのが一括採用です。募集活動の時期が制限されているため、採用時期後に辞退者が発生すると、代わりの人員を確保するのが困難になります。社会や学生のライフスタイルが多様化する現在では、あまり向かない方法といえるでしょう。
通年採用のメリット
新卒一括採用に対して、通年採用は具体的にどこが優れているのでしょうか。ここでは代表的な2点について説明します。
時期にとらわれず柔軟な採用ができる
通年採用は1年を通じていつでも採用ができる、柔軟性が大きなメリットです。急な退職による欠員は予測が困難なため、採用期間が制限されていると、埋め合わせができず人員不足に陥るケースがあります。好きなタイミングで採用が可能な通年採用は、人材不足を解決する近道です。
新卒採用のように、内定辞退者が出ることを想定して、通常より多めに内定を出す必要もなくなります。選考に時間をかけられるため、たとえば学生と座談会を行うなど、適性をじっくりと見極められる機会を設けられるでしょう。
多様な人材を獲得できる期待
通年採用では、留学をしていた学生や帰国子女の学生も応募がしやすくなります。つまり企業にとっては、これまでの新卒採用では出会えなかったタイプの人材を獲得できるかもしれません。
国内外の企業との競争が激しくなる現在は、型にはまるよりも個性豊かな人材が、苦難に打ち勝てる力になる可能性もあります。新卒採用と違い、多様な人材にアプローチできる通年採用は、企業の未来を左右するファクターのひとつといえるでしょう。
内定辞退のダメージを減らせる
ただでさえ人材獲得が難しい状況の今は、内定辞退は企業にとって大きなダメージです。とはいえ新卒採用では複数の企業に応募する学生も多く、本命以外の企業は採用活動後に断られる流れになってしまいます。
新卒採用だと募集期間を過ぎてから辞退者が出た場合、すでに積極的な就活の時期は終わっているため、代わりの人材を補充するのは容易ではありません。通年採用なら365日いつでも採用活動ができるため、一括採用と比較すると内定辞退のダメージは少ないでしょう。
通年採用のデメリット
一括採用に比べてメリットの多い通年採用ですが、いくつか気になる点もあります。いざ導入した後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、しっかりと理解しておきましょう。
採用コストが年間を通じてかかる
通年採用で気になるのはコスト面の負担です。まずは求人のための広告費用が年間にわたり発生する可能性があるでしょう。場合によっては、転職市場並みの予算になるケースも想定されます。採用の対象期間が長いため、予算の計画やコントロールもより細かな管理が必要です。
採用時期がバラバラになると、面接や試験をまとめて実施できなくなり、その都度費用が発生するのもマイナス面です。入社後の研修も、社員を入れるごとに行う必要があるため、集団研修に比べてコストは高くなってしまうでしょう。
説明会・入社後の説明会など効率性の低下
新入社員が同じスタートラインから始められる新卒採用に比べ、採用時期が定まっていない通年採用は、効率面でも不利になる場合があります。担当する社員の負担が増え、残業代などの人件費が多くかかる可能性があります。採用専門の人材を置けるリソースがない小規模企業の場合、採用活動中は兼任により通常業務まで手が回らない事態も考えられるでしょう。
採用後の説明会や研修も、集団より個別に近い形になるため、教育係の担当人数で考えると効率面の悪さは否めません。人材に余裕のある企業でない限り、人員配置の重要性はさらに増すでしょう。
中小企業には厳しくなる面も
通年採用が注目されているとはいえ、まだまだ新卒の一括採用をないがしろにはできません。採用活動の解禁に合わせて十分な広報活動を行わないと、学生の目に留まらず優秀な人材確保のチャンスは遠のきます。
一括採用と通年採用によるコスト的、人的な負担の増大は、体力のない中小企業にとっては厳しいものです。多くの社員と豊富な予算を持つ大手企業が、より有利になりがちなのも、通年採用のシビアな実情といえます。
通年採用の導入事例
さまざまな企業が通年採用を導入するムーブメントが起きています。ここでは知名度の高い、3社の通年採用について解説していきましょう。
株式会社ファーストリテイリング
カジュアル衣料品の「ユニクロ」でおなじみのファーストリテイリングは、新卒・既卒の枠にとらわれない通年採用を行っています。特徴的な施策は、大学1~2年から応募が可能で、仮に不合格になっても翌年に再チャレンジができる点です。
インターンシップに参加して審査に通過すれば、ユニクロパスポートと呼ばれる認定証が発行されます。ユニクロパスポートを3年以内に提示すればいつでも最終面接を受けられるなど、オリジナリティあふれる採用システムです。
楽天株式会社
楽天は2015年にエンジニアの新卒採用を廃止してから、職種別の通年採用を実施しています。応募時点で職種やサービスを選択できるなど、即戦力となる人材を求めているのが特徴です。2010年から英語を社内公用語にしており、早くから社内のグローバル化も行っています。
楽天ペイなどフィンテック分野にも進出している楽天は、革新的なサービスを作り出せるエンジニアを求めているのが特色です。年齢や就業経験も問われないため、新卒や既卒に関わらず、実力があれば力を発揮できる環境を整えています。
Softbank株式会社
ソフトバンクの通年採用は「ユニバーサル採用」と名付けられています。30歳未満の新卒・既卒・就業者を対象にしており、入社時期は完全に自由ではなく、4月・7月・10月の3回です。年齢制限はあるものの、新卒や第二新卒にとらわれず、広く門戸を開いています。
ソフトバンクはかつては大手求人サイトでプロモーションを展開し、広く人材を募る方式を採っていました。ですが自社の採用力に限界を感じ、必要なときに必要な人材を確保する通年採用に切り替わっています。
自社の体制に合った採用スタイルを
日本で主流だった新卒一括採用は、時代の変化や学生の多様化により、通年採用に切り替わりを始めています。通年採用とは、文字通り時期にとらわれず1年を通して採用を行う方式で、時期に縛られないためじっくりと採用活動を行えるのが特徴です。
通年採用では留学生も採用しやすく、従来より多様な人材確保のチャンスが広がります。内定辞退者が出ても、いつでも採用活動ができるため、一括採用ほどダメージを負いません。反面、採用コストの上昇や、採用時期がばらけるため研修などの効率性低下などが気になる点です。
通年採用はメリットが多く、ファーストリテイリングや楽天、ソフトバンクなど大手企業も採用しています。自社の体制やリソースを見極めて、適切な採用スタイルを取り入れましょう。
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