人材不足が叫ばれる中、優秀な人材を確保するための採用方法として「ポテンシャル採用」を導入する企業が増えています。
メリットやデメリット、採用基準などの観点もふまえながら「ポテンシャル採用を成功させるためのポイント」を解説します。
ポテンシャル採用とは
ポテンシャル採用とは、求職者の「顕在能力」ではなく「潜在能力」を重視する採用方法です。新卒や第二新卒を含む20代の若手人材が主な対象で、経験や実績・資格よりも熱意やビジョンをふまえて採用の合否を判断します。
ポテンシャル採用は昨今の採用難や人材不足を経て、優秀な人材を確保する採用方法として注目を集めています。即戦力となりうる人材は競争率が高く、確保がますます困難となっているのが現状です。
そうした中、求職者の「今後の成長」に注目することで、最終的なパフォーマンスを向上させようとするポテンシャル採用の考え方が広がりました。
求職者は未経験者であっても自身が希望する業種や職種への挑戦が可能となり、企業からしても自社にフィットした人材を確保できます。このようにポテンシャル採用は、求職者と企業の双方にとってメリットの大きい採用手段といえます。
実績ではなく「伸びしろ」重視の採用
ポテンシャル採用は、いわば「即戦力採用」の対義語にあたります。スキルや実績よりも、人柄や素養、熱意やビジョンなど、今後の伸びしろと可能性を重視した採用方法です。
日本の中途採用はこれまで、現時点でのスキルや経験が重視される即戦力採用が主流でした。各企業が将来を担う若手の価値に注目し、時間を掛けて育成する姿勢がポテンシャル採用の増加につながっているともいえます。
主なターゲット層は20代の若手人材
ポテンシャル採用の対象は「何歳まで」と定められていませんが、新卒や第二新卒を含む20代の若手人材がターゲットとなるケースが多いです。これは企業が期待する能力を発揮するべく、中長期的な育成も加味したうえで人材を確保したいためです。
30代以降の中途採用でポテンシャル採用を行うケースもみられますが、基本的には「即戦力採用」が主流です。
学校卒業後1~3年の第二新卒は重宝される
ポテンシャル採用では、学校を卒業してから1~3年以内の第二新卒が重宝される傾向にあります。卒業のタイミングにもよりますが、25歳までであればおおむね該当すると考えてよいでしょう。
社会人としての基礎的な能力を兼ね備えたうえで、前企業のやり方や考え方に固執しないケースが多いため、採用後も柔軟に成長することが期待されます。
ポテンシャル採用のメリット
ポテンシャル採用は高い意欲や基礎能力を備えた人材獲得につながるなど、さまざまなメリットがあります。
高い意欲を持った人材を採用できる
ポテンシャル採用は高い意欲を持った人材の採用に大きくつながります。
近年は多様な働き方が広がり、優秀な若手人材は自身のキャリアを見極め、自身とマッチする企業に転職したいと考える傾向が強いです。
実際に新卒で入社した後「能力を最大限に発揮できる環境で働きたい」「新しい可能性にチャレンジしたい」と考える若手人材も少なくありません。
成長意欲や仕事へのモチベーションも高いぶん、ポテンシャル採用を実施する企業は教育体制や社内環境の整備を進めて人材採用の受け皿を整えておく姿勢が求められるでしょう。
幹部やマネージャー候補を育成できる
ポテンシャル採用で獲得した人材は、将来の幹部やマネージャー候補として育てられるケースが多いです。
若手社員や人材不足に陥っている企業では、幹部やマネージャー候補が不足する傾向にあります。企業の中長期的な成長を妨げる要因にもなりかねないので、これは多くの企業に根付いた根本的な課題といっても過言ではありません。
「リーダーシップを潜在的に兼ね備えていそうかどうか」「主体的かつ協同的な行動を取ってくれそうか」などの観点から候補者の本質を見抜くことで、中長期的な目線で組織に貢献する人材確保につながります。
20代の人材不足を補える
企業からすれば、20代の人材不足は深刻な課題のひとつです。ただでさえ新入社員の数が不足していく未来が見えている中、定年退職や離職にともなったリソース不足は経営の衰退や事業存続の危機を招きます。
スキルや経験がなくとも、熱意や情熱を持って応募する求職者の受け口を広げていければ、会社の若手社員が増えて活気が生まれます。
将来を見越した若手人材が増えれば、新しく入ったメンバーだけでなく既存社員にとっても刺激になり、事業成長のよいサイクルにつながっていくでしょう。
ポテンシャル採用のデメリット
ポテンシャル採用にはいくつかのデメリットも存在します。育成コストがかかったり、ミスマッチが生じたりする可能性があるので、企業にはこれらを解消する施策や姿勢が求められます。
育成コストがかかる
ポテンシャル採用で企業に入った人材が成果を発揮するまでには、ある程度の時間と教育が必要です。業界知識や職務内容など、必要なスキルを徐々に身につけていかねばなりません。
そしてその分、企業にはスキルをゼロから習得できる教育体制の構築が求められます。新入社員は自己研鑽に努め、会社ができる限りのサポートに徹するなど、お互いに支え合う姿勢が大切です。
ミスマッチが生じる可能性がある
ポテンシャル採用では、求職者と企業の間でミスマッチが生じる可能性も否めません。そしてミスマッチは多くの場合、相互理解が十分になされていないことが原因で生じます。
たとえば、求職者は企業のカルチャーや環境、各種制度や職務内容を正しく把握できていないと「思っていたのと違った」といった気持ちを抱いてしまいかねません。
また企業からすれば、面談や面接のわずかな時間で得られる情報は限られており、候補者の「ありのままの姿」をとらえることは困難です。
双方の認識ズレによるミスマッチを防ぐためには、面談や面接の時間を有効に活用するのが1番です。オンライン媒体や書類からは見えない気になる情報をお互いに質問するなど、双方向のコミュニケーションベースで相互理解を深めていく姿勢が大切だといえます。
ポテンシャル採用を成功に導く3つのポイント
ポテンシャル採用を成功に導くために必要な3つのポイントを紹介します。求職者と企業の双方がこれらのポイントを押さえたうえで選考を進められれば、ミスマッチを防いだWin-Winの採用が実現するでしょう。
求人媒体やSNSをもれなく活用する
ポテンシャル採用を成功させるためには、求人媒体やSNSをもれなく活用する姿勢が大切です。各企業による若手人材の取り合いが加速している今、求職者は膨大な求人情報に翻弄されているといっても過言ではありません。
そのため、まずは企業側が自社ホームページの求人情報を更新・整備したり、求人媒体に情報を掲載したりするなど、露出を増やしつつアクセスのしやすさを担保する必要があります。X(旧Twitter)やWantedlyなどのSNSを活用しつつ、求職者とのより身近な接点を作っていくことも求められるでしょう。
求職者はこれらの情報が「更新されているかどうか」「わかりやすいかどうか」などの観点も踏まえながら、さまざまな情報を事前に収集しておくことが大切です。
公開情報を通じた双方の歩み寄りによって、最初の相互理解を深めていきましょう。
企業が求めている「ポテンシャル」を明確にする
企業が求めているポテンシャルを明確にしておくことは、いわばポテンシャル採用の基本ともいえます。
「潜在能力の高さを見極める」といえど、そのままではあまりにも漠然とした状態です。判断基準とする部分の認識がお互いに取れていない状態では、選考を通じて相互理解を深めることはできません。
企業が求職者に求めるものは「論理的思考力」や「コミュニケーション能力」、「チャレンジ精神」や「リーダーシップ」などさまざま。求人媒体の掲載を確認したり、面談や面接のコミュニケーションで認識をすり合わせておくなど、お互いの価値基準を事前にあわせておけば、ミスマッチの防止に大きくつながります。
キャリアビジョンのすり合わせを行う
ポテンシャル採用を進めていく中で、キャリアビジョンのすり合わせも欠かさず行いましょう。求職者と企業が思い描く道のりにギャップがあっては、それぞれの「ありたい姿」を実現できません。
入社にいたったとしてもお互いに不幸になってしまうので、面談や面接など選考を進めていく中で双方の考えを必ず伝えておきましょう。
ポテンシャル採用の採用基準
ポテンシャル採用の判断基準となる「ポテンシャル」は潜在的なもので、すぐに気づけることではありません。
企業がどのような観点からポテンシャルを見極めているのかを4つのポイントから紹介します。
自ら学習しているかどうか
自ら学ぶ「自学自習」の精神が根付いているかどうかは、ポテンシャル採用において非常に重要な採用基準のひとつです。もはや、この姿勢そのものがポテンシャルの高低につながるといっても過言ではありません。
たとえばエンジニアを志望している場合、プログラミング言語など希望分野の勉強を実施しているかどうかは大きなポイントです。さらに、実際に自分でやってみた成果物やポートフォリオがあれば、なお評価されやすいでしょう。
インプットやアウトプットを実際に行っていることがわかれば、これからの仕事に対する熱意が伝わります。
もちろん、専門分野やスキルの学習に限ったことではありません。パソコンスキルや英語など、ビジネスで役立つあらゆる知識の学習意欲に関しても、人材価値に投影されます。
「自学自習」の精神は「ポテンシャル」の源泉となる部分です。自ら主体的に学び、自ら行動に移していける人材こそが、入社後も活躍できるチャンスをつかみ取れるといえるでしょう。
最新情報を取りにいく姿勢があるかどうか
ポテンシャル採用では、最新情報を取りに行く姿勢があるかどうかも採用基準のひとつとして捉えられます。
インターネットを中心に様々な情報が目まぐるしく発信される現代において、ビジネス関連の最新情報や知識も活発にやり取りされるようになりました。また近年ではX(旧Twitter)やFacebookなどのSNSで、個人で情報発信をする人物も増えてきています。
あふれる情報をつかみ取ってインプットしない限りは、自分自身を最新状態にアップデートすることもままなりません。業界のトレンドや最新の動向をキャッチして、自身の行動や判断を的確にとっていける人材が、企業に重宝されるのです。
目的意識があるかどうか
目的意識があるかどうかも人材判断のひとつの基準として用いられます。これからの新しいキャリアを考えていくにあたり「目的があるのかないのか」そして「前向きかどうか」といった部分の考え方によっては、今後の行動や意思決定に大きな影響を及ぼします。
たとえば「前職の業務がつらくてやめた」「前職の職場環境が合わなかった」などの退職理由は、前向きな考えではありません。
自分に合わないことや環境から身を引くのは、決して悪いことではないです。しかし、明るい未来を見据えて前を向いている人のほうが高いポテンシャルを秘めていることは明白でしょう。
そもそも「新しいことをはじめたい!」と思って、新しい業界や職務にチャレンジすること自体が前向きな姿勢を示しています。「プロダクト開発を通じて困っている人を助けたい」「マーケティングの力で社会の仕組みを変えていきたい」など、自分が何を実現したいのかを掲げてみましょう。
胸に秘めた熱い想いをアクションに結びつけることができれば、入社後も高いモチベーションで活躍できるはずです。
会社のビジョンや環境とマッチしているかどうか
ポテンシャル採用の決め手となりうる採用基準が、求職者と会社の双方が掲げるビジョンや理想とする環境がマッチしているかどうかです。
スキルや実績などの明確な指標を持たないため、最終的に頼りになるのはお互いが目指す方向性です。つまり「この先に見たい世界が、お互いに一致しているかどうか」ともいえるでしょう。
そのためにも自分が「何を実現したいのか」「どうありたいのか」といった部分を、面談や面接で伝え合うことが大切です。それぞれの方向性が納得の行く形で一致したときに、一緒に歩みたいパートナーとしての未来が見えてくるのです。
ポテンシャル採用の企業事例
ポテンシャル採用をいち早く導入している「ヤフー株式会社」と「サイボウズ株式会社」の企業事例を紹介します。
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、2016年10月から新卒一括採用を廃止し、ポテンシャル採用を導入しています。
新卒や既卒にかかわらず、対象は30歳以下とし、新卒一括採用を行っていた時には出会うことがなかった優秀な人材の獲得に力を入れています。
柔軟な採用方法は、世界をリードするヤフーにとって重要な取り組みであることは間違いありません。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社は「人には色んな可能性がある」との考えから、年齢や過去の経験にとらわれないポテンシャル採用を導入しています。
未経験でも知識が習得できる体制をしっかりと整え、営業や人事への採用はもちろん、スキルを持っていない方でもITスキルを身に着け働くことができます。
会社と共に成長して活躍の可能性を高めよう
応募者の現段階のスキルや経験よりも、潜在能力や将来性を重視するポテンシャル採用は、若手の人材採用を中心に取り入れる企業が増えてきています。
ポテンシャル採用を成功させるためには、求職者と企業が双方向で歩み寄って相互理解を深めていく姿勢が何よりも大切です。そしてそれはもちろん、採用にいたった場合でも変わりません。
お互いに「どうありたいのか」「何を実現したいのか」といった部分の共通認識を持ち、それを叶えるだけの環境が整っていれば、人は自ずと成長していきます。求職者と企業が共に成長していくことで、さらなる飛躍の可能性を高めていきましょう。
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