マンションの買い替えをしたいと思ったとき、タイミングが適切か分からなくなることがあります。できるだけよい条件で買い替えた方が、後々の生活が楽になるでしょう。マンションの買い替えのタイミングや、売却と購入の流れを紹介します。
マンション買い替えのタイミング
マンションの買い替え時期が分からないと、自信を持って計画できません。あまりにも迷いすぎると、時間がたってしまい後悔する可能性があります。買い替えのタイミングについて見ていきましょう。
ライフステージの変化
マンション買い替えを検討するタイミングは、ライフステージの変化によるものが多いといえます。例えば以下のような理由が一般的です。
- 子どもが増えたので子ども部屋を作りたい
- 転勤や転職のため
- 親との同居
- 子どもの独立
- 自分自身の加齢
マンションの購入時から時間が経過し、ライフステージが変化することで不便を感じる場合があります。中でも家族の人数の変化は、住み替えを検討する大きな理由の1つです。
働き方が変わり、職場の近くに住まなくてもよくなったタイミングで、買い替えを検討する人もいます。加齢により郊外での暮らしが大変になって、便利な都心に移ろうとする人もいるでしょう。
マンションの築年数
ライフスタイルの変化以外に、築年数や住宅ローン控除が終了するタイミングで、買い替えを検討する場合もあります。マンションを売却するタイミングは、築10年が1つの目安です。
住宅ローン控除が終了する時期である点と、需要が高い築浅のうちに売った方が高値で売れやすい点を押さえておきましょう。
マンションの購入から10〜15年がたつと、修繕積立金が高くなります。売却を考えている場合、出費が増えないうちに売りたいと考える人が一般的です。
物件が古くなると売れにくくなりますが、人気が集中しているエリアで高い需要が見込める場合は、そこまで値段が下がらない可能性もあります。
人気エリアなら築15年でも大幅な値下がりがない場合もあるので、築年数や社会情勢などを確認しながら、売るタイミングを見極めましょう。
マンション買い替えの流れ
マンションの買い替え方法には、主に売り先行と買い先行の2つがあります。それぞれの特徴や買い替えの流れを見ていきましょう。
売り先行の場合
売り先行とは住んでいるマンションを売却してから、新居の購入や引越しをする方法です。以下の流れで進めていきましょう。
- マンションの売り出し
- 引き渡し・代金受け取り
- 新居探し
- 新居の購入契約
- 新居のローン手続き
- 新居へ入居
マンションを売却してから新居を購入するので、資金計画が立てやすい点がメリットです。実際には売り出しと新居探しを同時並行で進めることになりますが、売却の引き渡しが、購入の引き渡しよりも先になります。
資金に余裕がない場合や、初めてマンションの買い替えをする場合に選択されることが多い傾向です。
買い先行の場合
買い先行は新居を購入してから、住んでいるマンションを売り出す方法です。具体的な流れを見ていきましょう。
- 新居探し
- 新居の購入契約
- 新居のローン手続き
- 新居へ入居
- マンションの売り出し
- 引き渡し・代金受け取り
買い先行の場合は、新居探しに十分な時間をかけられるところがメリットですが、どのように購入資金を用意するかがポイントになります。
売却と並行して新居探しをしなくてよいので、手続きや引越しなどは楽です。売却するマンションのローンが残っていて、新居もローンで購入する場合は、ローンが二重になる点がデメリットといえます。
住宅ローン残債がある場合の対応
マンションを買い替えたくても、住宅ローンが残っている場合はどうすればよいのか、疑問に感じる人もいるでしょう。残債があっても買い替えは可能です。どのような対応方法があるのか、見ていきましょう。
売却額で一括返済する
マンションの住宅ローンが残っている場合、売却額で一括返済するのが一般的です。査定を受けて販売額がいくらになるのかを知り、残りのローンの額を正しく把握しましょう。
売却金額よりも残債が多い場合は、自己資金で返済する必要があります。ローンを完済しないと抵当権を抹消できないため、売却ができません。
抵当権は債権者である金融機関などが、ローンの契約者が返済できなくなった場合に備え、担保として不動産を差し押さえる権利のことです。
住み替えローンを利用する
住み替えローンはマンション売却時に残ったローンを、新しいマンションの住宅ローンに上乗せする方法です。
自己資金が不足しているが住み替えをしたい場合に選択されます。利用するには、売却と購入の決済を同時に行わなければなりません。
ローンが一本化される点はメリットですが、通常のローンに比べて審査が厳しく、残債が多額すぎると断られるケースがあります。返済額が多いと生活が苦しくなるリスクがある点にも、注意しましょう。
マンション買い替えにかかる費用・税金
マンションの売却と購入それぞれにかかる費用や税金をチェックしておくと、総合的な費用を算出しやすくなります。どのようなものがあるのか見ていきましょう。
売却時の費用・税金
マンションの売却時にかかる、主な費用と税金をチェックしましょう。
- 仲介手数料
- ローン完済手数料
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
- 司法書士への報酬など
上記以外にも引越し代やリフォーム代、クリーニング代などがかかることがあります。
不動産会社に支払う仲介手数料は上限額が決まっていますが、具体的な金額は不動産会社によって異なります。少しでも安くしてもらいたい場合は、交渉しましょう。
登録免許税は不動産に関して登記を行う際に必要です。手続きを司法書士に依頼する際の報酬も別途必要となります。
譲渡所得税は、不動産売買により利益が出たときに課されるものです。課税譲渡所得金額は、『譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額(一定の場合)』で計算できます。
購入時の費用・税金
新居の購入時に必要な主な費用や税金もチェックしましょう。
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 住宅ローン事務手数料
- 司法書士への報酬
不動産取得税は『取得した不動産の価格(課税標準額)×税率』で計算しましょう。
不動産取得税率は原則として4%ですが、2008年4月1日〜2024年3月31日に取得した土地と家屋(住宅)については、3%に引き下げられています。
固定資産税はその年の1月1日に不動産を所有している人が支払うものです。年内に売却すると、固定資産税の負担を減らせます。
マンション買い替え時に適用される税金の控除特例
居住用の不動産を売却したときや、買い替えしたときにかかる税金の負担が大きくなりすぎないように、控除の特例が設けられています。マンションの買い替え時に使える、控除の特例を見ていきましょう。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
所有期間の長さに関係なく、譲渡所得から3,000万円を上限額として控除できる特例です。特例の適用を受けるための主な要件として、以下のものが挙げられます。
- 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
- 売った年、その前年および前々年にマイホームの買い替えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと
- 売主と買主が、親子や夫婦などの関係でないこと
特例を受けるためには、要件をすべて満たす必要があります。また居住用財産を売却した翌年には確定申告が必要です。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
長期譲渡所得の税額を、通常の場合よりも低い税率で計算する軽減税率の適用を受けることができる特例です。特例の適用を受けるための主な要件として、以下のものが挙げられます。
- 日本国内にある自宅を売るか、家とともにその敷地を売ること
- 売った年の1月1日において、売った家や土地の所有期間がいずれも10年を超えていること
- 売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと
この特例は、『居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例』との併用もできます。
特定の居住用財産の買換えの特例
マンションを2023年12月31日までに売って買い替えたとき、譲渡益に対する課税を将来に持ち越せる特例です。特例の適用を受けるための主な要件として、以下のものが挙げられます。
- 対象は一定のマイホーム(居住用財産)を2023年12月31日までに売って、代わりのマイホームに買い替えた人
- 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
- 売ったマイホームと買い替えたマイホームは、日本国内に存在するものであること
- 買い替える建物の床面積が50平米以上、買い替える土地の面積が500平米以下
- 売却代金が1億円以下であること
『居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例』とは併用ができないので、どちらがよいかよく検討する必要があります。
賢くマンションを買い替えよう
マンションの買い替えのタイミングを逃すと、修繕積立金や固定資産税などの費用が多くかかってしまったり、売却価格が安くなったりするリスクがあります。
家族の人数が増減したときや、働き方が変わったときなどが、買い替えのタイミングです。住宅ローンの残債や自己資金の有無によって、ローンの返済方法や組み方が変わります。
税金の額を抑えるには、控除特例をうまく利用する方法がおすすめです。損をしないタイミングを見計らい、賢くマンションを買い替えましょう。