工数削減は人件費などのコスト削減に、有効とされています。しかしただ工数を減らしても、業務に支障が出たり質が低下したりするリスクがあるでしょう。適切な工数削減を行うにはどうすればよいのかを、メリットと併せて紹介します。
工数削減を実践するメリット
工数とは一つの作業を完了させるのに、必要な作業量のことです。「作業人数×作業時間」で求められ、スケジュール管理や、見積もりを作成する際に活用されます。ではその工数を削減することで、企業が得られるメリットを見ていきましょう。
コストの削減につながる
工数は作業人数か作業時間、あるいはその両方が多くなるほど増えていきます。つまり工数が多くなれば、一つの作業を完了するまでに時間がかかるだけでなく、作業に伴う人件費や光熱費といった、コストもかさむということです。特に製造業では、工数の増加が原価に影響しかねません。
コストの増大は企業にとって、利益の減少を意味します。しかし作業を効率化した上で、作業人数や作業時間を減らし工数削減を実現できれば、人件費などのコストを抑えることは可能です。
「どうすれば工数削減できるか」を考え、実践するメリットは十分にあるといえるでしょう。
従業員の負担を軽減する
工数が多い原因として、作業に無理や無駄がある可能性も考えられます。例えば同じ業務を複数の部署で行っていたり、必要性の低い業務を慣習だからと、そのままにしていることはないでしょうか。
作業に必要な道具や資料を分散して保管しているために、準備に手間がかかることなども、「無駄」に当てはまります。
一つ一つは小さなことでも、度重なれば時間の浪費になるでしょう。工数が増えるだけでなく、従業員のストレスにもなりかねません。作業の内容を見直し、従業員がスムーズに業務を進められるようにすることで、負担軽減できるだけでなく、工数削減にもつながるのです。
生産性アップも期待できる
生産性を上げるには、間接業務(業務の準備や片付け、書類の作成など直接利益にならない業務)を減らさなくてはなりません。そのためには自動化や、業務の見直しが不可欠になります。
システムやツールの導入は、間接業務の削減に有効です。人の手で行っていたことを自動化すれば、作業に関わる人数や作業時間、つまり工数を減らせます。工数削減によって、企業に利益をもたらす「付加価値業務」の割合を増やすこともできるでしょう。
またこれまでより少ない人数でも、作業時間や内容の質を維持できれば、単に削減しただけでなく、生産性も大きくアップしたといえます。
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工数削減を実践する手順
工数削減にはさまざまなメリットがあります。しかしこれまでのやり方を変えなくてはならないため、手順を踏んで適切に行うことが必要です。
現状の把握と見直し
工数を削減するためには、現状を把握しなくてはなりません。作業のどの部分に時間がかかっているのか、不要な業務はないかなど、問題が分からないままに工数だけを減らそうとすると、かえって効率が悪くなる可能性があるからです。実際に作業にあたる従業員の負担にもなりかねません。
まず現在の業務の流れを細部まで洗い出し、業務ごとに必要な人数や時間をチェックします。どのように作業を行っているか、担当する従業員の能力は適正かなども確認しておきましょう。
確認作業は面倒に感じられるかもしれませんが、問題点や改善のポイント、工数削減に必要な業務の見直しなどができる、現状の可視化は不可欠なプロセスです。
工数削減の詳細を決めて実践
見直しの内容をもとに、削減や自動化、簡略化ができそうな業務をピックアップします。工数削減につながる効果や取り組みやすさなどから、優先順位をつけておくとよいでしょう。
次に工数削減のための作業にあたる従業員を選び、作業内容を指示します。例えば自動化のためのツールを導入するなら、環境整備やテスト、実用などどこまでを担当するか、明確に伝えておく必要があります。
ポイントはいきなり大きな変更や削減をしないことです。これまでとあまりにも違うやり方を導入すると、全体の流れが悪くなったり、携わる従業員の混乱や、ミスを引き起こしたりする可能性もあります。
効果の検証
工数削減は「実践して終わり」ではありません。工数削減によってコスト削減や、従業員の負担軽減など、本来の目的が果たされているかどうか検証が不可欠です。
また業務に支障は出ていないか、品質の低下は起きていないかなどのチェックも必要になります。実際に作業にあたっている従業員からのヒアリングは、必ず行いましょう。
コスト削減の効果が思ったほど得られていない場合や業務上の不具合やマイナスの意見など、改善ポイントが見つかったときは社内で共有し、改善策を検討・実践します。検証も一回限りではなく継続的に行い、常に更新していく姿勢が大切です。
工数削減のポイント
工数削減を行うには、手順を踏むだけでは不十分な場合があります。スムーズに導入するために、押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
従業員の協力は不可欠
工数削減の目的の一つが「従業員の負担を減らす」ことであっても、一方的に命令したのでは、従業員から理解を得ることは難しくなるでしょう。工数削減を行うには、従業員の協力が欠かせません。
事前に工数削減することでどのようなメリットがあるのか、何のために行うのかなどをきちんと説明し、情報を共有しておくことが大切です。
また工数削減に関する作業を担当する従業員には、いつから作業を始めるのか、工数削減を実践するのはいつかなど、必要事項を必ず伝えなければなりません。社内メールや共有フォルダなどを用意して、連絡ミスや伝達し忘れを防ぐようにしましょう。
「ECRSの4原則」を活用
工数削減に活用したいのが「ECRSの4原則」です。業務上の問題を抽出し、改善に活かす手法で、製造の現場をはじめ営業などさまざまな業務で多用されています。
排除(Eliminate):業務の無駄をなくす 結合(Combine):業務をまとめる 交換(Rearrange):業務の手順を入れ替え、効率化を狙う 簡素化(Simplify):業務をシンプルに分かりやすくする |
効果が高い順に並んでいるとされているので、工数削減を検討する際には「E」から始めるとよいでしょう。また定期的な検証や、見直しの際にも活用するのがおすすめです。
工数削減に役立つおすすめツール
工数削減を実践するなら、工数管理ツールの導入も検討してみましょう。工数を可視化したり、業務全体を管理したりする機能で効率化が期待できます。
おすすめの工数管理ツールは以下の記事で紹介しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
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