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EVMとは?考え方の基本と導入効果、具体的な管理方法を解説

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最終更新日: 2024年06月28日

プロジェクトの進捗状況を正確に把握し、改善すべき点を早期に発見するには、EVMの導入がおすすめです。EVMの導入効果、実践方法を解説します。将来、プロジェクトリーダーを目指している人は、EVMの基本となる考え方を知っておきましょう。

EVMとは?

ビジネス

EVM(Earned Value Management)とは、プロジェクトマネジメントの手法のひとつで、プロジェクトの進捗をさまざまな指標で定量的に管理するやり方を指します。

代表的な指標としては、各工程にかかる予算や出来高、計画とスケジュールとの差異などがあり、プロジェクトの進捗度合いやコストの状況などを客観的に把握できるのが特徴です。

EVMの基本となる考え方

ほかのプロジェクト管理手法とEVMとの明確な違いは、コストを軸に管理をする点です。通常、プロジェクト管理といえば、時間を評価の軸に据える場合が多いですが、EVMでは進捗管理の単位をコストに設定します。

つまり「何をいつまでに終わらせる」といった進捗管理ではなく、プロジェクトの各工程で「必要なコストはどれぐらいか」「どの程度のコストがかかっているか」など、コストベースで進捗状況を捉えます。

これによってスケジュールとコスト、そして投入したリソース(労力)の観点からプロジェクトを評価できるようになるため、費用対効果をより客観的に把握できるようになります。

EVMが生まれた背景

もともとEVMはアメリカの政府機関で1960年代に初めて導入されたもので、90年代に入って、ほかのさまざまな組織でも本格的に活用され始めました。

日本では2003年に経済産業省や情報処理振興事業協会(現・情報処理推進機構)によってEVMの活用ガイドラインが公開され、コストベースでプロジェクトを管理する企業が出てきたようです。

いまだに時間をベースにプロジェクト管理をしている企業は多くありますが、大手企業を中心にEVMによるプロジェクト管理のシミュレーションも盛んに実施されるようになってきています。今後さらに多くの企業にEVMによる管理が広がるでしょう。

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EVMの指標(構成要素)

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ではEVNに活用される代表的な指標を確認していきましょう。コストベースでプロジェクト管理をするならば、EVMを構成する以下の要素は頭に入れておきましょう。

PV(Planned Value):計画予算

PV(Planned Value)は「計画予算」や「計画価値」などと訳されており、プロジェクトの特定の時点までに終わらせるべき作業にかかる予算コストの合計値です。 

例えばソフトウェアの開発において、1カ月の間に必要なコストはいくらになるかを算出したもので、開発を担当するエンジニアの人件費などを予想して概算します。PVを基準として、プロジェクトの進捗度合いを確認するのがEVMの基本です。

AC(Actual Cost):発生コスト

AC(Actual Cost)はプロジェクトの進捗において、実際に発生したコストです。プロジェクト内の任意の時点までに投入されたコストの合計で、当初のスケジュール通りにプロジェクトが進んでいるならば、PVと同じ数値になります。

例えばプロジェクトの発足後、1カ月で要したコストは〇〇万円といったように、実際の数字で算出します。

EV(Earned Value):成果の実績値

EV(Earned Value)はプロジェクトの達成度合いを示す数値で、任意の時点での出来高を金銭的価値で示したものです。EVMの肝となる数値で、プロジェクトの進捗を時間ではなく、金銭的価値(コスト)で表すための数値といえます。

例えば、プロジェクトの予算総額が900万円(納期は半年)だとすれば、開始から2カ月の時点でのPVは通常、300万円となります。しかし、実際は2カ月経過時点での進捗度合いは20%で、その時点でのAC(発生したコスト)は500万円だったとしましょう。

すると、EVは900万円×20%=180万円となる計算です。つまり2カ月経過時点で、本来要すべきコストは180万円である一方、実際に発生しているコストは既に500万円なので、かなりコストがかさんでいることが分かります。

全体の進捗が遅れているだけでなく、このままプロジェクトを進めてもさらにコストがかかることが予想されるため、予算や開発プロセスの見直しなどが求められるでしょう。

このようにEVを算出すれば、プロジェクトが予算内に収まっているかチェックできるわけです。

BAC(Budget At Completion):完成時の総予算

BAC(Budget At Completion)は、プロジェクトの完了に必要な総予算です。プロジェクト開始時に算出され、EVを計算するために必要な数値であり、BACが正確なほどプロジェクトのパフォーマンスを正確に算出できます。

大雑把な数値でプロジェクトを開始してしまう企業も少なくありませんが、EVMを用いて正確にプロジェクト管理をするためには、全体の予算から正確に見積もらなければいけません。

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EVMの導入効果

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プロジェクト管理にEVMを導入することで、以下のメリットを享受できます。企業のマネジメント層にとっても、現場のエンジニアにとっても恩恵のある手法です。

現状を客観的に把握できる

EVMの導入によって、プロジェクトの現状を客観的に把握できるようになります。

スケジュールとコストに関する指標が明確なので、予定通りプロジェクトが進んでいるか、予算オーバーになっていないかなど、正確に数値で把握できるのは大きなメリットといえるでしょう。

プロジェクト管理は緻密な計画と臨機応変な対応が不可欠ですが、EVMは当初の計画とのズレを認識しやすいので、軌道修正もしやすいのが特徴です。

プロジェクトの進捗予測が立てられる

従来のプロジェクト管理の指標に加えて、EVMでは投入コストの指標も参照するため、より正確なプロジェクトの進捗予測が立てられるようになります。

必要なエンジニアの技術や時間、人件費などの要素も考慮するため、期間中のリソースの調整も利きやすくなるでしょう。現場で開発を進めるエンジニアはもちろん、資金を管理するマネジメント層にとっても、将来の見通しが立てやすくなります。

環境の変化によっては、納期を延長したり、一時的にプロジェクトをストップしたりする決断も必要になるかもしれません。いずれにしても、プロジェクトのかじ取りがしやすくなるのが大きなメリットといえるでしょう。

指標による進捗管理が可能になる

プロジェクトには問題やトラブルの発生がつきものですが、EVMでは予算とスケジュールの進捗率を指標によって正確に把握できるので、早めの改善や修正が可能です。

従来のプロジェクト管理では、納期からどのぐらい前倒しになっているか、あるいは当初の予定より遅れているかという点でのみ、プロジェクトの管理が可能でした。

しかし、プロジェクトの運営に必要な資金やコストが計算に入っていないものが多かったため、費用対効果を正確に把握するのは困難だったといえるでしょう。

一方、EVMでは時間とコストの双方からプロジェクトの進捗が把握できるので、より客観的かつ合理的な判断ができるようになります。

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EVMの実践方法

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それでは、開発プロジェクトにおけるEVMの実践方法を解説します。あくまでも一例ではありますが、多くのEVMは以下のプロセスで運用されています。

WBSによる工程分けとPVの見積もり

まずはプロジェクトの進捗をできるだけ正確に把握するために、WBSによる工程分けを実施しましょう。

WBSはプロジェクトの管理において、作業を分解して構造化する方法として知られています。WBSによって分割された作業を基準に、プロジェクトのスケジュールを作成することで、全体の工数が把握しやすくなります。

さらに、それぞれの工程に必要となる予算やコストを見積もり、PV(Planned Value)を設定しましょう。どれだけ正確にPVを見積もれるかでEVMの精度が決まってくるので、相応の時間をかけてプランニングをすることが大事です。

EVの把握とCVの算出

プロジェクトが開始したら、任意の時点でEV(Earned Value)を測定しましょう。PVとEVとの差が当初の計画と実際のスケジュールとの差異になります。

さらに、その時点までに投入した人材やそのほかのリソースにかかったコストとPVとの差が、プロジェクト全体の想定コストと実際のコストとの差であり、CV(Cost Variance)です。これもEVMの成否を測る重要な指標のひとつです。

EVMグラフの作成

プロジェクトの進捗とコストの状況を正確に把握するために、EVMグラフも作成してみましょう。

EVMグラフとは、EVとAC(Actual Cost)、PVの推移をグラフ化したものです。それぞれの値の関係をひとつのグラフで俯瞰すれば、プロジェクト全体の状況が把握しやすくなります。

例えばグラフ上でEVがPVとACを上回っているならば、当初の予定よりもプロジェクトの進捗が早いことが分かるでしょう。一方、EVがPVやACを下回っているならば、当初の予定よりも遅れが生じていることになります。

ほかにも出来高とコストの差なども把握できるため、早期に工程の修正や改善の施策を打てるようになるのも、EVMグラフで状況を俯瞰するメリットです。

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EVMのポイント

ビジネスとネットワーク

それでは、EVMで効率的にプロジェクトを管理するためのポイントを解説します。慣れないうちは、試行錯誤を繰り返してプロジェクトの精度を上げていくほかありませんが、以下の点に留意すれば、よりプロジェクトの成功率を上げることが可能です。

EVを正確に算出する

EVMではプロジェクトの出来高(EV)をどれだけ正確に算出できるかで、工数管理の正確性が変わってきます。EVを正確に把握できなければ、スケジュールに遅れが生じやすくなり、プロジェクトにかかるコストも増大する可能性が高まります。

肥大化したコストはプロジェクト全体の失敗の引き金になりかねないので、EVの根拠となる人的リソースの能力や、成果物の品質を定量的に計測する方法を考えましょう。

人的能力や品質を正確に測るには、人事評価制度や品質評価制度などを充実させる必要があります。

プロジェクト管理ツールを活用する

EVMに必要な指標を正確に測定するには、プロジェクト管理ツールの活用がおすすめです。

従来、工数管理にExcelを使っている企業は多くありましたが、近年では情報入力の効率性や分析機能の充実度などを鑑みて、プロジェクト管理ツールを導入する企業が増えています。

一般的なプロジェクト管理ツールでもEVMは可能ですが、EVMに特化したツールも多くリリースされているので、積極的に導入・利用するとよいでしょう。

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EVMを実践できるプロジェクト管理ツール

では、最後にEVMの運用におすすめできるプロジェクト管理ツールを紹介しておきます。いずれも多くの企業が利用しており、プロジェクトの状況を効率的に把握できるツールです。

ProjectExceller

ProjectExcellerは、ExcelをベースとしたEVM用のプロジェクト管理ツールです。プロジェクトを工程ごとに分類し、それぞれのタスクの実施予定と実際の着手日などを入力すれば、簡単にEVM分析ができます。

Excelの使いやすさがそのままツールに反映されているので、初めてプロジェクト管理をする人でも問題なく使いこなせるでしょう。

定期的に最新版がリリースされており、機能や使い勝手が良くなっています。60日間全機能が無料でお試し利用できるので、まずは使い勝手を確認してみましょう。

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Clarizen

Clarizenはクラウドベースのプロジェクト管理ソフトウェアで、全世界の企業に導入・利用されています。プロジェクトにかかるリソースやコスト、品質や納期をまとめて「見える化」できるのが特徴で、ワークフローの自由なカスタマイズが可能です。

海外ベンダーのサービスですが、直感的で分かりやすいインターフェースで、初心者でも使いやすいでしょう。期間限定でデモ版の利用もできます。

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Time Krei

Time Kreiは管理職と従業員、そして経営者の視点から情報を管理・分析可能なプロジェクト管理ツールです。それぞれの立場で知りたい情報が可視化でき、プロジェクトの進捗やコストの状況を正確に把握できます。

さらに、予実管理機能やグループウェア、ワークフローなどの機能も備えており、外部のシステムとの連携もできます。各社員の業務進捗状況の確認もできるため、日常業務の効率化も実現できるでしょう。30日間の無料トライアル版も利用可能です。

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EVMでプロジェクトの進捗を把握

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EVMとは「Earned Value Management」の略語で、企業のプロジェクトを予算とコストの観点から分析・把握するための手法です。EVMを積極的に取り入れることで、プロジェクトの費用対効果の把握や客観的な予測が可能になります。

EVMを成功させるには、人事評価制度や品質評価制度を充実させ、できるだけ正確に出来高(EV)を算出できるようにしましょう。

プロジェクトを時間だけでなくコストの面から把握することで、プロジェクトの進捗やパフォーマンスを定量的に分析できるようになります。

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