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離職率が上がるのはなぜ?社員が去る理由と離職防止のポイント

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最終更新日: 2024年03月05日

離職率が高い会社は優秀な人材が内部に留まらず、何度も採用を繰り返します。離職者が多い企業には、どのような特徴があるのでしょうか?社員が去る理由を知り、会社が取るべき対策を考えましょう。定着率の向上に成功した会社の取り組み例も、紹介します。

離職率とは何か?

時代のニーズにあった事業戦略を立てよう働きやすさや従業員の愛社精神は、その会社の「離職率」から推し量ることができます。採用面接で離職率を聞いてくる応募者もいるため、人事担当者は自社の状況を把握しておく必要があります。離職率の定義と計算方法を確認しましょう。

一定期間に会社を辞めた人の割合

離職率とはある時点における常用労働者数に対し、一定期間に会社を辞めた人の割合のことです。

「常用労働者数」とは企業に所属する従業員のうちで、「期間を定めずに雇用されている人」や「1カ月を超えて雇用されている人」などを指します。総労働者数と常用労働数を混同しないようにしましょう。

離職率の計算時は、「期初~期末までの1年間で離職した人」「入社後3年以内に離職した新入社員」「過去5年間で離職した30代の女性社員」といったように、調査対象や期間が自由に決められます。

離職率の計算方法

離職率の計算方法に明確な定義はありません。ここでは厚生労働省の雇用動向調査で使われている計算方法1と、会社で一般的に採用されている計算方法2を取り上げます。

  • 離職率1=離職者数÷1月1日の常用労働者数×100
  • 離職率2=算出したい期間内の離職者数÷起算日における従業員数×100


雇用動向調査における離職率は、「1月1日の常用労働者数」を「離職者数」で割り、100を乗じたものです。

一方多くの会社では、「算出したい期間内の離職者数」を「起算日に在籍する常用労働者数」で割り、100を乗じて算出する方法を採用しています。

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日本の離職率はどのくらい?

離職率はどのくらい

自社の離職率が高いか低いかを知るには、「日本全体の離職率はどれくらいか」を把握することが重要です。離職率は就業形態や業種、性別によって違いがあります。

就業形態別の離職率

厚生労働省の「令和2年雇用動向調査結果の概況」によると、常用労働者全体の離職率は14.2%です。入職率13.9%に対して、離職率が0.3ポイント上回る結果でした。

離職率を「就業形態別」でみてみましょう。「一般労働者(短時間労働者以外の労働者)」と「パートタイム労働者」の離職率は以下の通りです。

  • 一般労働者:10.7%(入職率10.7%)
  • パートタイム労働者:23.3%(入職率22.2%)


パートタイム労働者は一般労働者よりも離職率が高く、その差は2倍(10.7ポイント)にも上ることが分かります。

参考:令和2年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省

男女別の離職率

日本は雇用に男女格差があります。2020年の常用労働者の離職率は14.2%で、うち男性の離職率は12.8%、女性の離職率は15.9%です。

女性の離職率が高い理由の一つに、非正規雇用の割合が高いことが挙げられます。結婚や出産を機に会社を離職すると、正規雇用での再就職は難しいのが実情です。

厚生労働省の「令和2年雇用動向調査結果の概況」によると、女性は「入職者全体に占めるパートタイム労働者の割合」が年齢に比例しています。

年齢 女性 男性
25~29歳 37.7% 20%
30~34歳 48.5% 18.6%
35~39歳 53% 15.2%
40~44歳 63.4% 18.5%

パートタイム労働者は、一時的な人員補充を目的に採用されることが多く、短時間・短期間の労働になりやすいのが特徴です。「女性は男性よりも安定したキャリアが築きにくい」という日本の現状が窺えるでしょう。

参考:令和2年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省

離職率が高い業種ランキング

離職率は業種ごとに差があります。自社の離職率が高いか低いかを見るときは、全体よりも「業種・業界レベル」で比較するのが望ましいでしょう。

以下は、厚生労働省の「産業別入職・離職状況(2020年)」を参考に、離職率の高い業種をランキング順に並べたものです。

  • 宿泊業・飲食サービス業:26.9%
  • サービス業(他に分類されないもの):19.3%
  • 生活関連サービス業・娯楽業:18.4%
  • 教育・学習支援業:15.6%


個人消費者を相手とする「サービス業」は、離職率が高い傾向があります。その理由の一つとして、勤務時間が不規則で、長時間労働が常態化しやすいことが挙げられるでしょう。

参考:令和2年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省

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離職率が高い会社に共通する特徴とは?

離職率が高い会社に共通する特徴とは?離職を決める理由は人それぞれですが、離職率が高い会社にはいくつかの共通項があります。「正当に評価がされない」や「労働環境がよくない」など、自分の努力によって状況を変えるのが難しいとき多くの人は離職という選択をするようです。

給与が上がっていかない

離職率が高い会社は、「従業員の給与が上がらない」という共通点があるようです。働きに見合った対価が得られないと、働く意義を見失ったり、仕事に対するモチベーションが低下したりして最終的には離職につながります。

以下は厚生労働省が調査した「令和2年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由(男性)」です。

  • その他の理由(出向等を含む):31.3%
  • 定年・契約期間の満了:16.0%
  • 給料等収入が少なかった:9.4%


「その他の理由」を除くと、男性は「定年・契約期間の満了」で辞める人が最多で、第2位には「給料等収入が少なかった」という理由が上がっています。

参考:令和2年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省

職場の人間関係がよくない

いくら給与が高くても、職場の人間関係が悪ければ離職率は上がってしまいます。

女性は人間関係や働きやすさを重視する傾向があり、「令和2年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由」では、「職場の人間関係が好ましくなかった」が13.3%にも上っています(男性は8.8%)。

個々の人間関係だけでなく、社内で横行するハラスメントも離職増加の要因です。特に日本の職場では「パワハラ」や「セクハラ」が、起きやすいといわれています。

妊娠・出産・育児休業に対する「マタハラ(マタニティハラスメント)」も多く、育児休業をした従業員が、肩身の狭い思いをすることも珍しくありません。

参考:令和2年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省

長時間労働が常態化している

離職率の高い会社は長時間労働が常態化し、従業員の仕事とプライベートのバランスが崩れている可能性があります。

「人手が足りなくて有休が取れない」「サービス残業を強要される」「休憩時間がほとんどない」といった働き方を続けていると、心身に不調をきたすばかりか生きがいや喜びも感じられなくなるでしょう。

会社には労働環境を見直し、従業員が働きやすい職場を作ることが求められています。コンプライアンスの強化と、労働時間の短縮が大きな課題となるでしょう。

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離職が会社に与えるデメリット

離職が会社に与えるデメリット

離職が会社に与えるデメリットは少なくありません。優秀な「人財」が相次いで流出すれば、企業が被る損害は計り知れないでしょう。仲間の離職でモチベーションが下がり、社内全体が停滞したムードになる可能性もあります。

人材が育たない

新入社員の場合、1年目は先輩の足を引っ張ってしまうことも多いでしょう。しかし2年目・3年目になると、責任ある仕事も少しずつ任せられるようになります。

手塩にかけて育てた部下が次々と離職すれば、これまでの労力が無駄になるだけでなく職場の労務構成にゆがみが生じるでしょう。

新卒から3年以内の離職率が高い会社は、ベテラン社員と新入社員の組み合わせが多い構造パターンになりがちです。新人の面倒を見る中堅社員が育たないと、ベテラン社員にしわ寄せがいき結果的には業務全体に影響が及びます。

離職率が高い会社はよくない噂が広まりやすく、優秀な応募者が集まりにくいというデメリットもあります。「ブラック企業」や「使い捨ての会社」というイメージがつけば、採用活動は難航するでしょう。

採用や育成にかけたコストが無駄になる

採用コストには社内で賄われる「内部コスト」と、第三者への依頼によって発生する「外部コスト」があります。

  • 内部コスト:採用担当者の人件費・内定者に支払う交通費など
  • 外部コスト:説明会の会場費用・パンフレット制作費・人材紹介会社への手数料など


入社後は「新入社員研修」をはじめとする、育成コストがかかります。先輩社員は自分の業務時間を割いて新人教育に当たるため、新人が離職すればこれまでの時間や労力が水の泡になるでしょう。

従業員のモチベーションが低下する

頻繁に人が辞める職場は、離職への抵抗感が薄くなる傾向があります。愛社精神が育たない上に、仕事へのモチベーションも上がらず、離職の連鎖が起こりやすいのです。

離職は業務の生産性にも悪影響を及ぼします。欠員を補充するまでは在籍する従業員の業務負担が増大するため、業務効率が下がったり品質が低下したりする可能性があるでしょう。

長時間労働が常態化すれば、退職の意思がなかった従業員までもが、退職に追い込まれてしまうかもしれません。優秀な人材の流出は企業にとって大きな痛手です。

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離職率を下げるための施策は?

中間管理職の負担を軽減する方法離職率を下げるには、その場しのぎの対策を取るのではなく評価制度や労働環境を根本から見直す必要があるでしょう。従業員との面談を設け、「何にストレスを感じているのか」「どのような働き方を希望しているのか」をヒアリングすることも大切です。

人事評価制度を改定する

求人票には給与が明示されているため、最初から辞めるつもりで会社に入社する人はほとんどいません。成果に見合った収入が得られないと分かると、「自分を正当に評価してくれる会社で働きたい…」と転職を考えるようになります。

有能な従業員の離職を防ぐためには、「人事評価制度の見直し」が欠かせません。とりわけ「年功序列制度」を導入している会社は、若手の働きぶりが給与や昇進に反映されにくいようです。

近年は年功序列制度に代わり、1人の従業員を複数の立場の人が評価する「360度評価」や、目標の達成具合を評価する「MBO(目標管理制度)」を、取り入れる企業が増えています。

適材適所の人員配置をする

自分に合った仕事をしている従業員は、モチベーションが維持しやすく、仕事へのやりがいを感じやすいようです。個々の特質や能力を見極めた上で「適材適所の人員配置」ができれば、定着率は向上します。

黙々と作業に取り組むのが得意な人もいれば、人とコミュニケーションを取るのが好きな人もいます。面談の機会を定期的に設け、その人の強みやスキルを確認しましょう。

採用後の離職が相次ぐケースでは、面接官が自社に合った応募者を、見極められていない可能性が考えられます。採用のミスマッチは早期離職につながるため、面接官のスキル向上や、評価基準の見直しに努めましょう。

多様な働き方を認める

生き方やライフスタイルが多様化している現代、企業にはその変化に対応する柔軟性が求められています。全ての社員に同じ働き方を求めるのではなく、自分に合った働き方が選択できるような仕組みを作るのが理想です。

企業の中には「フレックスタイム制」や「裁量労働制」を積極的に取り入れ、従業員のワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を後押しするところもあります。

フレックスタイム制とは1日の出退勤時間を、従業員が自由に決められる働き方です。本人の事情に合わせて働けるため、子育てや介護で会社を辞める必要がなくなります。

裁量従量制とは実働時間ではなく、労使間で契約した時間分を報酬として支払う制度です。仕事が効率よくこなせる人であれば、労働時間の短縮が可能となるでしょう。

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定着率が向上した企業の取り組み事例

中間管理職の役割離職率を下げ、優秀な人材を確保することは、多くの企業の課題です。離職率が減り、定着率が向上した企業では、どのような取り組みを行っているのでしょうか?

互いに成果給を贈る「社内ポイント制度」

「社内ポイント制度」とは従業員同士で評価をし、成果給としてポイントを贈り合う制度です。導入するシステムにもよりますが、貯まったポイントは金券や商品に交換ができます。

通常の人事評価制度と違って、日常のちょっとした行動や助け合いが評価対象となるため、普段あまり目立たない「縁の下の力持ち」がきちんと評価されるのがメリットです。称賛が習慣化されれば職場の雰囲気が明るくなる上、仲間への愛着心も醸成されるでしょう。

社内ポイント制度による組織風土の改善は、離職率の低下につながる可能性があります。

関係性を強化する「部活動制度」

社員同士の関係性を強化するため、部活動を導入する企業もあります。グループウェアの開発・提供を行うサイボウズ株式会社は2005年、部署をまたぐ5人以上で部活動を結成できる「部活動制度」を導入しています。

部活動のメリットは業務以外でのコミュニケーションが活性化し、良好な人間関係が構築されやすいことです仲間ができれば会社への帰属意識も高まるでしょう。

仕事のストレスを発散するよい機会にもなり、「明日もまた頑張ろう」という気持ちが沸いてきます。

参考:ワークスタイル | サイボウズ株式会社

残業ゼロを評価する「ノー残業手当」

企業の中には、残業ゼロの日を設ける「ノー残業デー」や、残業ゼロを評価する「ノー残業手当」を導入するところもあります。

ビジネスパーソン向けのスーツ・関連用品を販売する、株式会社はるやまホールディングスは2017年、月間の残業時間ゼロを達成した社員に、月15,000円を一律支給する「No 残業手当制度」をスタートしました。心身への過重なストレスを削減し元気に働ける労働環境を作るのが狙いです。

残業が減るとプライベートの時間が確保でき、生活にメリハリが生まれます。過労や仕事のストレスがうまく発散できるので、離職率の低下が期待できるでしょう。

参考:残業しない社員の評価制度を新設!「No 残業手当」導入スタート 実働残業手当は完全支給。新制度で残業時間ゼロを推進!!

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離職率低下の鍵は企業の努力にあり

努力業界・業種の離職率と比べて「自社の離職率は高い」と感じた場合は、従業員が離れる要因を調査する必要があります。

会社側に問題があるケースは意外と多く、男性は「給料の低さ」、女性は「職場の雰囲気や人間関係の悪化」が離職の引き金になることが少なくないようです。

定着率が向上した企業はさまざまな取り組みを行い、従業員のエンゲージメントを高める努力をしています。「長く働ける会社」を目指し、自社でできる対策を考えてみましょう。

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