企業の評判がインターネットの掲示板やSNSなどで、簡単に広まってしまう昨今、CSRの重要性がますます高まっています。企業が果たすべき社会的責任を示す、CSRの具体例や、CSR活動が企業にもたらすメリットなどを解説します。
CSRとは何か?
企業は自らの利潤を追求するのみならず、CSR(Corporate Social Responsibility)を果たすべく、さまざまな活動をすることが推奨されるようになりました。
CSRの活動に注力している企業は、社会的にも評判が良くなり、イメージの向上や優秀な人材の獲得につながるといわれています。CSRとは何を指すのか、基本的なところから押さえておきましょう。
企業の果たすべき社会的な責任
CSRは日本語にすると、「企業の社会的責任」となります。営利組織として利潤を追求するだけではなく、さまざまな利害関係者(ステークホルダー)の求めに応じて、適切な対応を取らなければならないという考え方に基づいた概念です。
例えば環境への配慮や社員の労働条件の改善、地域への貢献など、社会的に意義があると考えられる活動に注力することが求められています。
21世紀に入って積極的に議論され始めた考え方です。CSRに注力する企業は、その活動がメディアにも取り上げられるなどして、結果的に売り上げの向上にもつながっています。
CSRが注目されるようになった背景
近年特にCSRが注目されるようになった背景としては、企業の不正行為、社会的に強く問題視されるようになった点が挙げられます。例えば消費期限や商品の産地偽装などの問題が、大きく取り上げられるようになりました。
さらにSNSの発展によって、企業の不祥事が経営危機に至るほど深刻な事態に発展する可能性が高くなり、ちょっとした事件でもSNSで拡散されることで、大きな問題として扱われやすくなった点も理由にあるでしょう。
消費者の監視の目が強まったことで、企業は利潤を追求するのみならずクリーンで社会的に意義のある活動をすべき、といった価値観が社会に浸透しつつあります。
SDGsとの違いは?
CSRと似た文脈で語られるようになった言葉に、いわゆる「SDGs(Sustainable Development Goals)」があります。
日本では「持続可能な開発目標」と訳されており、2015年に開催された国連サミットで採択されました。2016年から2030年までの間に達成すべき目標として、クリーンエネルギーや産業基盤の確立、国家間格差の是正など、17の項目が設定されています。
その中でも特に、企業は環境と社会、経済のバランスを取るための重要な役割を持つとされています。
CSRとSDGsの違いはCSRが利潤追求のビジネスとは別に社会的に意義のある活動に参加するのに対し、SDGsでは利潤追求のビジネスの過程の中に社会に貢献できる要素を組み込んでいるということです。
事業活動を通じてこれらを持続可能な状態にする義務があるという認識が広まっており、CSRの活動によって世の中全体のサステナビリティーに寄与することが期待されているのです。
CSRの具体的な活動
ではCSRの具体的な活動として、どのようなものがあるでしょうか。さまざまな活動がCSRの観点から提唱されていますが、現状は主に環境保護活動と、文化支援活動の2本柱となっています。それぞれ確認していきましょう。
環境保護活動
現状最も多くの日本企業がCSRとして取り組んでいるのが、環境保護活動です。環境汚染や地球温暖化の防止、希少生物の保護などが挙げられます。
工場排水を抑えたり、植林活動を行ったりして、地球に優しい組織を掲げて活動している企業が目立つようになりました。環境に配慮した商品の開発に、注力している企業も少なくありません。
文化支援活動
CSRの一環として、文化支援の活動をしている企業も多くあります。例えば各地域の文化財の保護や、歴史的建造物の修繕など、その地域の人々と共に、価値ある文化を継承する活動に従事しています。
地域特有のイベントやお祭りに協賛したり、資金的な支援をしたりをすることを、CSRの活動と捉えている企業もあるようです。
またいわゆる「メセナ」と呼ばれる活動もあります。これは企業が資金を投じて、文化や芸術に関する活動を積極的に支援する取り組みで、これまで公益社団法人企業メセナ協議会によって、企業メセナの認定制度と顕彰事業が展開されています。
CSR活動が企業にもたらす効果
CSRの活動が企業にもたらすメリットを解説します。社会的な批判を受けないためにCSRに従事する、といったネガティブな見方もありますが、企業が積極的にCSRに取り組むことで、さまざまな恩恵を受けられます。
企業イメージの向上
CSRに注力することで企業イメージが良くなり、顧客やクライアントとの関係も良好になります。高度な情報化社会においては、企業イメージが売り上げに直結しやすいため、社会的にポジティブなイメージを持ってもらうことが企業戦略としても重要です。
消費者の中には環境や文化などに配慮した商品・サービスを、積極的に購入したいと考える人も多いので、CSRの活動がメディアなどに取り上げられれば、それだけで十分なプロモーション効果が期待できます。
さらに社会的な評価を高めることで、株主とも良好な関係を築きやすくなり、株価にも良い影響が出るでしょう。
従業員満足度の向上
従業員満足度の向上にもCSRの活動は役立ちます。社会に対してしっかりと価値を提供していると感じられれば、社員の仕事へのモチベーションも向上し、結果として業務効率化や生産性アップにつながるでしょう。
社会に貢献している実感を得られることで、一人一人の社員の自信にもつながり、さらに良い商品・サービスを提供するために、創意工夫を重ねようとするインセンティブも生まれます。多くの企業の課題となっている、離職率の低下も期待できるでしょう。
優秀な人材の獲得
CSRの活動が社会的に評価されれば、仕事に積極的にやりがいや意義を求める優秀な人材を得やすくなります。
優秀な人材は報酬面や福利厚生なども重視しますが、それ以上に自分の仕事が社会にどのように役に立っているか、しっかりと価値を提供しているかを重視する傾向にあります。
CSRの活動は人材の獲得競争が激しい業界においても、自社の強力なプロモーション要素となるでしょう。
CSRの実践事例
それでは有名企業のCSRの実践例を紹介します。いずれの企業も、自社を取り巻くニーズや、環境の変化を敏感に察知し、自らに求められた役割を果たすべく、CSRに注力しています。
富士フイルム
富士フイルムホールディングスではサステナブル社会の維持のため、さまざまな観点からCSRの活動を考えているようです。
自然環境保護のための再生可能エネルギーへの転換や、被災地支援、社会インフラを維持するためのAI(人工知能)の導入などにも従事しています。
ステークホルダーとのコミュニケーションを通じ、社会の要請や期待に適切に応えるための活動を重視しているようです。
KDDI
KDDIでは各国・各地域の法制度や慣習、文化的背景を理解し、それぞれの社会と良好な関係を築くために、企業倫理委員会をグループ会社に設けることで、コンプライアンスに関する啓発を行っています。
またサステナビリティー経営を掲げて、環境保全活動を積極的に進めており、被災地の復興支援や、地域のコミュニティーづくりに力を入れています。
CSRは企業価値の向上につながる
CSRは企業の社会的責任を指し、営利組織として利潤を追求するのみならず、全てのステークホルダーに対して責任を負うべきという考え方です。
さまざまな活動が考えられますが、日本企業の場合は環境保護活動や文化支援活動をしているケースが多くあります。
企業イメージの向上だけでなく、従業員満足度の向上や、優秀な人材の獲得にもつながるので、企業戦略としても積極的にCSRの活動に注力すべきといえるでしょう。
相応のコストはかかりますが、それ以上のリターンが得られるはずです。まずは自社を取り巻く環境や課題を把握しどのような活動がふさわしいか考えてみましょう。
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