ブロックチェーンを中心にP2Pはさまざまなシーンで使われていますが、仕組みや利点が分からないという人も多いでしょう。P2Pの基礎知識とメリット、実際の導入事例を紹介します。特に仮想通貨に興味のある人は、取引の仕組みも知っておきましょう。
P2Pの基礎知識
P2Pを理解する上で基本となる知識から解説します。P2Pはインターネット上で無数の相手とファイルを共有できるツールですが、危険な方法という認識を持つ人も少なくないようです。まずは正しい知識を身につけておきましょう。
サーバーを介さずデータを共有する技術
P2Pとは「Peer to Peer」の略語で、サーバーを介さず、クライアント同士でファイルをやり取りする技術のことです。より厳密にはファイルを送受信するコンピューター同士が、サーバーとクライアントの両方の役割を持つ通信方法をいいます。
「Peer」とは「対等の立場」の意味で、データをやり取りするコンピューター同士が対等に通信することからこの名が付けられました。サーバーの処理内容をクライアントが利用する形式ではなく、クライアント同士が直接つながる点が特徴です。
P2Pのセキュリティリスクと対策
P2Pを利用すればコンピューター同士で、直接データの送受信が可能です。便利な反面セキュリティリスクが発生するのは避けられません。
特定のセキュリティ管理者がいないため、悪意を持ったユーザーが、コンピューターウイルスを通信相手に直接送り込めてしまうのです。
また著作権的に問題のあるコンテンツでも効率的にばら撒くことが可能なので、違法アップロードの温床になりがちです。
映画や音楽などの違法ファイルがP2Pの技術を使って大量にやり取りされているため、P2P自体を違法性のあるものと認識している人も少なくありません。
しかしP2P自体はファイルを共有するための通信技術であり、セキュリティ対策をしっかりしておけば、便利に活用できます。
P2Pの種類
P2Pは通信方式の違いによって「ピュアP2P」「ハイブリッドP2P」「スーパーノード型P2P」の三つに分けられます。これらはコンピューター(ピア)同士がやり取りするデータ情報の、管理・検索方法の違いによる分類です。
ピュアP2P
P2Pでやり取りするデータ情報を、それぞれのノード(ネットワーク上の機器)が分散して持ち合う方式です。ノード同士が必要なデータ情報を検索し合い、足りない部分を補い合うことでデータを共有します。
P2Pの通信ネットワーク上にあるコンピューターが、やり取りするデータの情報を分散して持ち合い、互いに協力し合って欠落しているデータ情報を検索・取得する仕組みです。
データを一元管理するサーバーを介さずに、クライアント同士でネットワークを構築しています。
ハイブリッドP2P
やり取りするデータの情報を、中央のサーバー(インデックスサーバー)で一括管理する方式です。分散したデータ情報は各ノードが持っているものの、それぞれが足りないデータ情報を検索する際には、インデックスサーバーに問い合わせます。
各ノードは自分が持っているデータ情報を、あらかじめインデックスサーバーに申告しておくため、サーバーに問い合わせれば、必要なデータ情報の所在が分かる仕組みです。
サーバーが持っているデータに対して、クライアントがアクセスしてダウンロードする形式(クライアント・サーバー型)と、P2Pの二つの特徴を兼ね備えているので、「ハイブリッドP2P」と呼ばれています。
スーパーノード型P2P
分散したデータの所在(インデックス情報)を、スーパーノードと呼ばれる特別なノードが分担して持つ方式です。
スーパーノードには挙動が安定している高スペックなコンピューターが選ばれ、ネットワーク上のノード情報を管理し、各ノードから要求を受けて必要なデータの検索を行います。
ハイブリッドP2Pはデータの管理を特定のインデックスサーバーが担当しますが、こちらはスーパーノードが各ノードに分散しているデータ情報の管理・検索をしているのです。
ビデオ通話・音声通話のためのツールとして有名な「Skype」は、かつてスーパーノード型を採用して通信を行っていました。
P2Pを使うメリットは?
ネットワーク上のコンピューター同士が直接データをやり取りできるP2Pは、使い方次第で、さまざまなメリットを受けられます。
ゼロダウンタイムを実現する
クライアント・サーバー型では、各クライアントに情報を提供しているサーバーが停止してしまうと、クライアントは情報を受け取れません。
その結果ネットワークシステム全体が使えなくなってしまう、「ダウンタイム」が生じてしまいます。
一方P2Pの場合は、クラアント同士が分散してつながり合っている仕組みです。特定のクライアントが稼働を停止しても、他のクライアント同士のつながりは残されます。
これによりシステム全体が止まってしまう事態が起こらないため、「ゼロダウンタイム」が実現可能なのです。
管理コストがかからない
P2Pはサーバーが不要のシステムで、ネットワーク上のコンピューター同士はすべて対等の関係にあるため、管理コストがかからないというメリットがあります。
それぞれのコンピューターがデータ情報を分散して持ち合うため、特定の端末がデータを独占管理することはありません。
クライアント・サーバー型のシステムでは、相応のコストをかけてサーバーを運用しなければいけません。
P2Pの場合はネットワークに参加しているすべての端末が、サーバーとクライアントの両方の役割を持つため、特定の端末を管理する必要がないのです。
P2Pの活用事例
P2Pの活用事例をいくつか紹介します。安定的かつスピーディーな通信を実現できるため、今後さらにさまざまな用途に使われる技術であることは間違いありません。
コミュニケーション手段として
P2Pはファイルの共有だけでなく、コミュニケーション手段としても活用できます。例えばSkypeはかつて、P2Pの技術を使った代表的なビデオ会議ツールとして有名でした。
サーバーダウンによる通信障害が発生するリスクがないため、いつでも安定した通信ができる点が強みだったのです。
しかし2005年にMicrosoft社に買収されて以降、通信方式が変わってしまったため、すでに同サービスでP2Pの技術は使われていないようです。
現在P2Pを活用したコミュニケーションツールとしては、8000万人以上のユーザー数を誇る「LINE」が有名でしょう。
仮想通貨
「Bitcoin」などの仮想通貨をやり取りするネットワークシステムとしても、P2Pが使われています。厳密には仮想通貨の取引を記録するための「ブロックチェーン」の運用に活用されているのです。
ネットワークに参加しているユーザーのすべてが、取引情報のデータを分散して持ち合う仕組みになっています。現在P2Pの技術がもっとも注目されている分野といえるでしょう。
日本ではBitcoinの取引所として「bitFlyer」「Coincheck」「GMOコイン」「bitbank」などが有名です。また世界中で3000を超える仮想通貨が取引されており、今後さらに増えていくことが予想されています。
動画やファイルの共有
P2Pはもともと動画をはじめとした大容量ファイルの共有に使われていました。
ネットワークに参加しているユーザー同士で、簡単かつスピーディーにファイルのやり取りができるため、メールによる情報のやり取りが主流だった頃から、大容量ファイルの共有方法として活用されていたのです。
しかし簡単にデータの共有ができることから、映画や音楽など著作権のあるコンテンツファイルの違法なやり取りに使われるようになり、社会的な問題になった経緯もあります。
現在もP2P自体を問題視する人も少なくありませんが、正しい使い方をする限りにおいては、非常に便利な技術といえるでしょう。
P2Pはデータ共有の手段の一つ
P2Pの概要と仕組みを解説しました。サーバーを介さずにネットワークに参加しているクライアント同士でデータのやり取りができるP2Pは、仮想通過の取引システムをはじめとして、さまざまな分野で使われています。
違法アップロード・ダウンロードの温床になっている側面はあるものの、うまく活用すれば、管理コストをかけずに通信ができる便利な技術です。
今後さらに数多くの分野で活用されると予想されるので、この機会に基本的な仕組みやメリットを覚えておきましょう。
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ファイル共有の手段の1つであるP2P。管理コストがかからずうまく使いこなせれば便利ですが、活用に自身の無い方は、まずはセキュリティ面で強いオンラインストレージの利用を検討するのもよいでしょう。
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