ミツモア

業務委託とは何?企業側のメリットや契約書作成のポイントを解説 社内

ぴったりの労務管理システムをさがす
最終更新日: 2024年06月28日

社内で対応しきれない業務が多くなっているなら、業務委託で仕事を外注するのがおすすめです。業務委託を上手に活用すれば、企業はさまざまな効果を得られるでしょう。業務委託導入のメリットや、契約書作成のポイントについて解説します。

業務委託とは

業務委託 b

業務委託とはどのようなことを指すのか、まずは言葉の意味を具体的に解説します。雇用契約や、派遣契約との違いも理解しておきましょう。

業務を外部の事業者や個人に委託すること

業務委託とは企業が業務を外部に委託することです。自社業務の一部を切り出し、仕事を請け負っている社外の事業者や、個人に業務を遂行してもらいます。

委託者と受託者の関係が対等である点や、業務の遂行・成果物に対して、報酬が支払われる点が、業務委託の大きな特徴です。

コア業務に専念したい場合や、人件費の削減を図りたい場合に、業務委託を行うケースが増えています。意味を混同しやすい「アウトソーシング」や「外注」は、業務委託以外の契約形態も含んだ、広義の意味を持つ言葉です。

雇用契約や派遣契約との違い

雇用契約や派遣契約の場合、雇い主は勤務先の企業や派遣元の企業ですが、業務委託契約には、雇い主が存在しません。

指揮命令権や勤務時間にも、大きな違いがあります。雇用契約や派遣契約では、雇用主に指揮命令権がある上、決められた勤務時間も守らなければなりません。一方の業務委託契約では、委託者に指揮命令権がなく、勤務時間も受託者の自由です。

賃金に関しては、雇用契約や派遣契約が給与、業務委託契約では報酬が支払われます。雇用契約や派遣契約では、成果物の完成責任を負いませんが、業務委託契約では契約の種類により、責任を負う必要があります。

フリーランスや個人事業主との違い

業務委託と意味を混同されやすい言葉に、「フリーランス」があります。特定の企業や組織に属さず、個人として仕事を請け負う働き方が、フリーランスです。

一方の業務委託はあくまでも、契約形態の一種を示す言葉に過ぎません。フリーランスが企業から案件を受注する際は、フリーランスと企業との間で、業務委託契約が交わされるケースが多いでしょう。

フリーランスと似た言葉として、「個人事業主」もあります。フリーランスが働き方を表すのに対し、個人事業主は税法上の区分を指す言葉です。個人が税務署に開業届を提出すれば、「継続して事業を行う個人」を意味する、個人事業主として扱われます。

ソフトウェア比較のイメージイラスト

社員情報の管理や就業規則の整備を効率的に進められるソフト選びなら、ぜひミツモアをご利用ください。従業員数や欲しい機能などの各項目を画面上で選択するだけで、ぴったりの製品を最短1分で自動診断。理想の労務管理システムが見つかります。

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

業務委託の種類

業務委託 a

業務委託契約は契約の性質によって、3種類に大きく分けられます。それぞれの具体的な内容と、関連する民法の条文を知っておきましょう。

請負契約

受託者が受注した業務の成果と引き換えに、報酬を受け取る契約形態が、請負契約です。民法第六百三十二条を根拠としています。

請負契約の目的は成果物の完成であり、目的が達成されるまで、委託者は受託者に報酬を支払う必要がありません。成果物が完成しなかった場合、受託者は報酬をもらえないという結果になります。

例えば営業代行の請負契約を結ぶケースでは、売上が発生して初めて、受託者は報酬を受け取れます。請負契約ではプロセスが無視されるため、たとえ営業活動にかなりの日数を費やしたとしても、売上が発生しない限り、報酬を受け取れません。

参考:第六百三十二条 | 民法 | e-Gov法令検索

委任契約

民法第六百四十三条で定義されている委任契約は、業務の遂行を目的として交わされる契約です。成果物の有無にかかわらず、決められた業務を遂行し終わったら、報酬が発生します。

「9時から15時までの間に商品を10個売る」という契約を例に挙げると、請負契約の場合は、商品を10個売らなければ報酬を受け取れません。一方の委任契約なら、9時から15時まで働けば、売れた個数にかかわらず報酬をもらえます。

時給で業務を受注するケースや、診察やコンサルタントのように、働く時間を決めて業務を行うケースが、委任契約の代表例です。

参考:第六百四十三条 | 民法 | e-Gov法令検索

準委任契約

委任契約には準委任契約という形態もあります。委任契約が法律行為を委託するものであるのに対し、準委任契約は、法律を扱う業務以外の業務を委託する契約です。

弁護士に裁判の手続き代行を依頼したり、税理士と顧問契約を結んだりするケースが、委任契約に該当します。一般的なビジネスシーンでは、委任契約より準委任契約の方が多くなるでしょう。

業務の遂行を目的とした契約を、全て委任契約とする場合もありますが、厳密には委任契約と準委任契約を、区別しなければなりません。なお準委任契約の法的根拠は、民法第六百五十六条です。

参考:第六百五十六条 | 民法 | e-Gov法令検索

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

会社が業務委託を行うメリット

業務委託 e自社業務の一部を外部に委託すれば、さまざまな効果を生み出せます。業務委託を行う会社側の、主なメリットを見ていきましょう。

人件費を抑えられる

業務委託の委託先は、専門性の高い職種になるのが一般的です。例えばプログラマーや弁護士に委託したい仕事は、対応できる社員がいなければ、自社では進められないでしょう。

専門性が高い業務のために、自社で人材を雇用する場合、人件費が毎月発生してしまいます。常に専門性が高い仕事があるとも限らず、費用対効果も低くなりがちです。

専門性が高い仕事を、業務委託で外部に任せれば、仕事があるときしかコストがかからないため、人件費を抑えられます。自社の人材を教育する、コストの削減にもつながります。

自社にはない専門スキルを活用できる

自社で専門性の高い仕事が発生した場合、対応できる人材が、常に社内で見つかるとは限りません。むしろ適切な人材がいないケースの方が、多いでしょう。

しかし業務委託で外部の人材を頼ることで、自社の人材が持っていない専門スキルを、活用できます。仕事が発生したときだけ委託すれば、わざわざ雇用する必要もありません。

専門性の高い仕事がどのような分野であっても、業務委託で対応してもらえる企業や個人は、比較的すぐに見つかるものです。一度仕事を頼んでつながりを作っておけば、2回目以降も業務を依頼しやすくなります。

社員がコア業務に集中できる

専門性の高い仕事が発生し、自社の既存社員でなんとか対応できる場合、その社員は本来の業務から、しばらく離れてしまうことになります。

分からない部分を調べながら、業務を進めることになれば、時間もかかってしまうでしょう。コア業務に大きな支障をきたし、会社の生産性にも悪い影響を与えかねません。

一方で専門性の高い仕事を外部に委託すれば、既存社員を頼らずに済むため、社員がコア業務に集中できます。業務委託なら自社の既存社員より、早く仕事を進められる点もメリットです。

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

会社が業務委託を行うデメリット

業務委託 h業務委託を検討する際は、デメリットについても理解しておくことが大切です。メリットとデメリットを整理した上で、自社にとって最適な方法を選択しましょう。

ノウハウや知識が社内に蓄積されない

業務委託を行うデメリットとして、社内にノウハウや知識が蓄積されない点が挙げられます。専門性が高い分野の仕事を、外部に依頼し続けている間、会社はその分野に疎いままです。

単発業務であれば業務委託の方が向いていますが、継続して発生する仕事なら、自社で内製化するのも一つの方法です。新たに人材を雇ったり、社員を教育したりする方が、結果的にメリットが大きくなるケースもあります。

ただし自社で内製化を目指す場合は、時間やコストがかかります。業務委託と内製化のどちらを選べば、自社にとってベストなのか、慎重に検討する必要があるでしょう。

コストが高くなるケースがある

業務委託は専門性の高い仕事を、発生ベースで外部に頼めるため、基本的にはコストを抑えることが可能です。しかし場合によっては、コストが高くなってしまうケースもあります。

報酬が割高になるのは、主に業務の専門性が高過ぎる場合です。専門性が高いほど、対応できる事業者や個人の数は少なくなるため、報酬が低いと、仕事を受けてもらいにくくなります。

依頼したい仕事の特殊性が高い場合も、コストが高くなりがちです。特殊な内容の業務は比較対象が少ないため、報酬の適正額が分からず、相場より高い報酬を支払ってしまう恐れがあります。

人材管理が難しい

業務委託では委託者に指揮命令権がないため、勤務条件や業務の進め方についての、指示が出せません。委託者と受託者はあくまでも対等の関係であり、受託者のやり方に口出しできないのです。

雇用契約や派遣契約を結んでいる場合は、雇い主が人材をコントロールできます。期待している成果を出してもらうように、雇い主は人材を、ある程度管理することが可能です。

一方で業務委託では、委託者が受託者を管理するのが難しいため、受託者と上手にコミュニケーションを取らなければ、思ったような成果が上がらない恐れもあります。

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

業務委託契約書を作成する際のポイント

業務委託 g業務委託契約を結ぶ際は、受託者と契約書を交わしておかなければなりません。業務委託契約書を作成する際の、ポイントを紹介します。

報酬の支払い方法により契約書の種類が違う

業務委託の契約書は、「毎月定額型」「成果報酬型」「単発業務型」の3種類があります。報酬の支払い方法に合ったタイプの契約書を、作成しなければなりません。

毎月同じ金額の報酬を支払う場合に選択するのが、毎月定額型です。成果物や業務遂行についての基準があいまいになると、仕事のクオリティーが下がってしまう恐れがあります。

成果により報酬額が変動するタイプが、成果報酬型です。報酬の基準を細かく定めておかなければ、営業成績の水増しといった、不正が行われかねません。

単発業務型は原則として、1回の業務を依頼する際に使われます。あらかじめ報酬額を決めておくケースが多いため、金額をきちんと契約書に記載することが重要です。

トラブル回避を重視した条項を盛り込む

業務委託契約書を作成する際は、余計なトラブルを予防するために、一般的な契約書でも使われる項目を盛り込みましょう。具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 契約の目的
  • 委託する業務の内容
  • 業務の遂行方法
  • 契約期間
  • 報酬額や報酬の発生条件
  • 知的財産の帰属
  • 禁止事項
  • 秘密保持
  • 損害賠償
  • 契約解除
  • 反社会的勢力の排除
  • 合意管轄(法的トラブルの解決場所)

上記の項目を漏れなく記載しておけば、ほとんどのトラブルをカバーできるでしょう。秘密保持に関しては、別途秘密保持契約書を作成するケースもあります。

責任の範囲を慎重に決める

業務委託契約で特にトラブルに発展しやすいポイントが、責任の範囲です。委託者と受託者の間で認識のズレがあると、深刻なトラブルにつながりやすいため、責任の範囲は慎重に決めましょう。

請負契約の場合は、成果物に欠陥やミスがあったときに、受託者が責任を負わなければなりません。どのような基準でどういった責任を負ってもらうのか、契約書に明記する必要があります。

委託・準委託契約において、受託者に生じるのは、善管注意義務のみです。善管注意義務とは一般的に期待される注意義務のことであり、善管注意義務に違反していなければ、責任は問えないことになります。

収入印紙が必要かどうか確認する

課税文書に該当する文書の作成時には、収入印紙を貼らなければなりません。請負型の業務委託契約書は、課税文書に該当するため、収入印紙が必要です。

印紙代は契約書に記載された契約金額により異なります。ただし契約金額が10,000円未満なら印紙は不要です。委任・準委任契約書は課税文書に該当しないため、印紙を貼る必要はありません。

電子契約で契約書を交わした場合は、契約の種類や契約金額に関係なく、印紙は必要ありません。電子化された文書は課税文書に該当しないためです。

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

違法行為となる「偽装請負」に気を付けよう

注意 a業務委託には偽装請負のリスクがあり、注意しなければ違法行為と見なされてしまいます。偽装請負の意味や、回避のポイントをチェックしておきましょう。

偽装請負とは

表向きは業務委託でありながら、実際には委託者と受託者に指揮命令関係がある場合は、偽装請負と見なされます。本来ならこのような関係は、労働者派遣として扱わなければなりません。

偽装請負が発生する背景には、人件費を抑えたい企業側の思惑が働いています。人材を雇用すると人件費がかさむため、最初から指揮・命令を行うつもりで、業務委託として仕事を発注するのです。

企業側に偽装請負の自覚がないケースでも、偽装請負と見なされれば、処罰の対象となる恐れがあるため、確実に避けなければなりません。

偽装請負が禁止される理由

偽装請負が禁じられている大きな理由としては、労働者が保護されない点が挙げられます。偽装請負で働く人は雇用関係にないため、労働者にさまざまな不利益が生じるのです。

例えば決められた労働時間を超過しても、偽装請負では労働者に残業手当が支給されません。社会保険や雇用保険にも加入していないため、万が一の際は全て自己責任になってしまいます。

偽装請負であると判断された場合、委託者はさまざまな法律違反の対象になりかねません。委託者だけでなく、受託者もペナルティーを受ける恐れがあります。

偽装請負を回避するポイント

偽装請負を防ぐためには、受託者に対して直接指揮命令を下さないようにしましょう。技術指導が指揮命令と見なされるレベルにまで、達しないようにすることも重要です。

受託者に出社してもらう場合は、既存社員と同一視されないように、注意しなければなりません。現場責任者にもその旨を伝えておく必要があります。

委託先が個人ではなく企業なら、実際に働いてもらう労働者を、指定したり評価したりするのもNGです。誰に仕事をしてもらうのかは、相手企業に決めてもらわなければなりません。

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

個人事業主やフリーランスと契約する場合

業務委託 c実際に業務を外部へ委託する場合は、個人事業主やフリーランスなどの、個人に仕事を依頼するケースも多いでしょう。個人と業務委託契約を交わす際の、注意点を紹介します。

稼働できなくなった場合の代替案を用意する

個人と業務委託契約を結ぶ場合は、相手が稼働できなくなった場合のことまで考えておきましょう。病気やケガで仕事ができなくなったら、業務が滞ってしまいます。

個人事業主やフリーランスは、個人で仕事をしているため、業務ができなくなると基本的には代わりがいません。契約不履行になる問題とは別に、業務をとにかく進めるための、代替案を用意しておく必要があります。

すぐに対応できるようなマニュアルを作成したり、自社でも業務を引き継げる体制を整えたりしておくことが、重要です。

関連法規で禁止されている行為に注意

政府はフリーランスを保護するために、ガイドラインを作成しています。ガイドラインでは独占禁止法や、下請法に抵触する行為が禁止されているため、注意が必要です。

例えば自社が、資本金10,000,000円を超える企業に該当する場合、商品やサービスの不当な返品や、報酬の不当な減額が下請法で禁止されています。

下請法では発注内容の書面化が、義務づけられている点もポイントです。ガイドラインにきちんと目を通し、関連法規で禁止されている行為に注意しましょう。

参考:フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン | 厚生労働省

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

業務委託を上手に活用しよう

業務委託 w業務委託で仕事を外部に依頼すれば、人件費カットを実現できます。自社にはない専門スキルを活用できる点や、社員が本来の業務に集中できる点も、メリットです。

業務委託契約書を作成する際は、責任の範囲を慎重に決めた上で、トラブル回避を重視した条項を盛り込む必要があります。個人と契約する場合の注意点も意識し、業務委託を上手に活用して、業績アップにつなげましょう。

ぴったりの労務管理システム選びはミツモアで

ミツモアロゴ

労務管理システムは製品によって特徴や機能もさまざま。「どの製品を選べばいいかわからない・・・」といった方も多いのではないでしょうか。

そんなときはミツモアにおまかせ。最短1分の自動診断で、ぴったりの労務管理システムが見つかります。

ぴったりの労務管理システムを最短1分で無料診断

従業員数や欲しい機能などの項目を画面上で選択するだけで、最適な労務管理システムを最短1分で自動診断。もちろん費用はかかりません。

ぴったりの料金プランも一緒にお届け

希望条件に沿った料金プランも製品と一緒に診断します。概算金額を見積もりからチェックして、理想のプランを探してみましょう。

診断結果は最大5製品!比較・検討で最適な労務管理システムが見つかる

最大で5製品の診断結果をお届けします。検討していた製品だけでなく、思わぬ製品との出会いもあるかもしれません。

ミツモアなら、ぴったりの労務管理システムがすぐに見つかります。

ぴったりの労務管理システムを無料で診断する

サービス提供事業者さま向け
ミツモアにサービスを
掲載しませんか?
ミツモアにサービスを掲載しませんか?

ミツモアは依頼者さまと事業者さまをつなぐマッチングサイトです。貴社サービスを登録することで、リードの獲得及びサービスの認知度向上が見込めます。 さらに他社の掲載サイトとは違い、弊社独自の見積システムにより厳選されたリード顧客へのアプローチが可能です。 もちろん登録は無料。 ぜひミツモアにサービスをご登録ください。