請求書の発行について、「どのように書けばいいのか」「どのタイミングで発行すればよいのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
最終更新日: 2024年11月26日
この記事では、請求書の必要性から、発行のタイミング、注意点、さらには効率的に請求書を発行する方法について詳しく解説します。
なぜ請求書の発行が必要なのか
請求書の発行が必要な理由は主に以下の通りです。
- 取引の証明となる
- 代金回収をスムーズに行える
- 経理処理に必要
それぞれ詳しく見ていきましょう。
取引や納品をした証明となる
請求書は、商品やサービスを提供したことを証明するための重要な書類です。取引内容や金額を明確に記載することで、自社と取引先との認識相違を防ぎます。
たとえば、取引先とのトラブルが発生した場合、請求書があれば具体的な根拠として使えるため、スムーズに解決することが可能です。請求書がない場合、口頭の約束だけでは信頼性に欠け、トラブルが長引く原因となります。
代金回収をスムーズに行える
請求書を発行することで、支払いの期限や金額が明確になります。これにより、代金回収がスムーズに行えるようになります。また、請求書を適切に管理することで請求漏れを防ぐこともでき、企業のキャッシュフローを安定させられます。
たとえば、毎月一定の期日で請求書を発行することで定期的な収入を見込むことができ、経営の計画も立てやすくなるでしょう。
経理処理に必要
請求書は、正確な経理処理や税務申告を行うために必要な資料です。企業は税務署に対して適切な申告を行う義務があり、その際に請求書が必要となります。
請求書が整然と管理されていることで、経理業務の効率化にもつながります。請求書の管理がしっかりしている企業は経理ミスが少ない傾向にあるため、信用も得やすくなるでしょう。
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請求書の発行は義務ではない
実は、請求書を発行することは法律上の義務ではありません。特に小規模な事業者やフリーランスの場合、請求書を発行しないまま取引を行うケースもあります。
しかし、先に触れた請求書を発行することの重要性を踏まえると、一般的には発行することが望ましいといえます。請求書を発行することでビジネスの透明性が増し、信頼関係を築きやすくなるでしょう。
なお、推奨されている具体的な記載項目については国税庁のホームページで確認できます。
請求書の発行方式
請求書を発行するタイミングは、売掛方式と都度方式で異なります。また、発行日の決め方や到着期日の確認も押さえておきましょう。
ここでは、以下のポイントについて解説します。
- 掛売方式
- 都度方式
- 発行日の決め方
- 到着期日の確認
掛売方式
掛売方式は、継続的な取引がある場合に一般的に用いられる手法です。この方式では、定期的に請求書を発行することで、取引先とのキャッシュフローを安定させることが可能です。
たとえば、月末に請求書を発行し、翌月末に支払いを求める形です。取引先とのコミュニケーションをスムーズに行いつつ、安定したキャッシュフローを確保したい場合におすすめです。一定のルールを定めることで、自社だけでなく取引先も支払いの計画を立てやすくなります。
都度方式
都度方式は、取引が発生するたびに請求書を発行する方式で、新規取引先や単発の取引に適しています。都度方式では、取引が成立したタイミングで請求書を発行することが一般的です。
メリットとしては、取引が終わった時点ですぐに請求書を発行するため、支払いを早められる可能性があります。発行にかかる手間は増えますが、資金繰りをしやすくしたい場合は都度方式を取り入れるのも良いでしょう。
ただし、月に複数回の取引が生じる場合は、掛売方式を採用した方が作業負担を大幅に軽減できます。
請求書に関する取り決めの注意点
請求書に関する取り決めの注意点について解説します。ポイントとなるのは「発行日の決め方」と「到着期日の確認」です。
発行日の決め方
請求書の発行日は、取引先の締日に合わせることが一般的です。たとえば、「月末締め翌月末払い」といった契約条件がある場合、そのスケジュールに合わせて請求書を作成します。
取引先のルールに合わせることで請求書がスムーズに受理され、支払いが遅れるリスクを軽減できます。発行日は取引先との信頼関係を築く上でも重要なので、事前に確認しておきましょう。
また、季節や業界によっては、特定の時期に取引が集中することがあります。例えば、年末や年度末の時期は発行が立て込みやすいため、社内で早めに期限を設定するなど、発行頻度やタイミングを調整するようにしましょう。
到着期日の確認
取引先によっては発行日だけでなく、請求書の到着期日が厳密に決められていることがあります。大企業などでは独自のルールを厳しく定めていることが多く、1日でも期日を過ぎると入金が遅れる可能性があります。また、取引先の担当者の手間も増えてしまいます。
期日を過ぎると、支払いが滞るだけでなく、信頼関係にも影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。事前に取引先と確認し、適切なタイミングで発行することでトラブルを未然に防ぎましょう。
請求書の書き方
請求書を発行する際は、必須記載事項を記載することはもちろん、インボイス制度への対応も必須です。具体的な描き方については以下の記事でまとめているので、あわせて参考にしてみてください。
請求書を発行する際の注意点
ここからは、請求書を発行する際の注意点を解説します。
- 正確な情報記載が必要
- 消費税の取り扱いに注意する
- 請求書は適切に保管
- 電子化への対応が必須
それぞれについて見ていきましょう。
正確な情報記載が必要
取引先の正式名称や住所、商品名、数量、単価などが契約内容と一致しているか確認しましょう。また、適切な税率を適用し、端数処理にも注意が必要です。
発行前には必要に応じてダブルチェックを行うなど、ミスの起こりにくい運用体制を整えましょう。業界特有のルールにも注意を払い、正確な請求書発行を心がけることが大切です。
請求書は適切に保管
日本では、請求書は原則として7年間保管することが求められています。これは法律に基づいて定められたものであり、税務調査の際に必要な証拠書類として重要です。
また、保管期間が過ぎた場合でも、誤って重要な書類を廃棄してしまうことのないよう、しっかりと管理することが大切です。
納品書や領収書など、関連する書とまとめて保管したり、スキャンしてデジタル化したりするなど、保管方法も工夫しましょう。
電子化への対応が必須
2024年1月より、電子取引データ保存の義務化が始まりました。電子データとしてスキャナする場合、電子帳簿保存法の要件を満たした状態で保存しなければなりません。
紙で受け取った請求書についてはこれまで取り紙のままの保存で構いませんが、請求書を電子化する企業は年々増えているため、電子化への対応は必須であるといえます。
請求書発行を効率化する方法
請求書の発行を効率的に行うことで、時間やコストを削減しつつ、業務全体の生産性を向上させることができます。
以下の2つのポイントを押さえることで、請求書発行をスムーズに進めましょう。
- 電子化（ペーパーレス化）する
- 請求書発行システムを利用する
電子化（ペーパーレス化）する
電子化は、請求書発行の効率化において非常に重要です。
電子化された請求書は、キーワード検索が可能となるため、必要な書類をすぐに見つけられるようになり、業務効率が大幅にアップするでしょう。郵送や印刷の必要もなくなるため、人的リソースを削減できます。
請求書発行システムを利用する
電子化だけでなく、請求書発行システムを利用することもおすすめです。請求書発行システムを導入することで手作業での入力や管理から解放され、効率的な業務運営が可能になります。
多くの請求書発行システムには請求書の自動生成機能があり、顧客情報や取引内容を入力するだけで簡単に請求書を作成できます。サービスによっては、定期的に請求書を発行する場合は事前に設定しておけば、自動的に請求書を生成・送信してくれるものもあります。
また、電子帳簿保存法に対応した保存・管理を簡単に行えるものが多く、法改正があった場合もシステム側が対応してくれるため、複雑な手続きも不要です。
まとめ
請求書発行について、必要性から、発行のタイミング、具体的な書き方、注意点などを解説しました。請求書発行は義務ではありませんが、発行することでビジネスの透明性や信頼性を向上させられます。
発行のタイミングには「掛売方式」と「都度方式」があり、取引の性質に応じて選択しましょう。発行日や到着日は取引先の締日に合わせることが一般的なので、事前に確認しておきましょう。また、請求書には正確な情報を記載することも重要です。
請求書の発行件数が増えるほど発行業務の負担が増えるため、取引が増えた場合はシステムの導入も検討しましょう。請求書管理システムを使えば、請求書管理の手間を省き、業務の生産性を高められます。
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