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適格請求書(インボイス)とは|インボイス対応の要件や準備、発行方法など解説

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最終更新日: 2024年11月26日

インボイス制度に関する正しい理解と実務対応は、特に経理業務に携わる方にとって重要な内容となっています。2023年10月から本格的に開始されたインボイスこの制度は、取引の透明性を高め、より公平な課税を実現することを目指しています。

本記事では、インボイス制度の基本的な概念から実務での対応方法まで、企業の経理担当者や事業主が必要とする情報を体系的に解説していきます。

インボイス制度とは

会計ソフトに経費を入力する女性

インボイス制度は、正式名称を「適格請求書等保存方式」といい、消費税の仕入税額控除の方式を抜本的に見直すものです。インボイス制度は、2019年10月の消費税率の引き上げと軽減税率制度の導入を受けて、取引の税率や消費税額をより正確に把握するために導入されました。

従来の請求書等保存方式と比べて、より厳格な記載要件が求められ、特に複数税率に対応した正確な消費税額の計算と記載が必要となります。

参考:適格請求書等保存方式の概要|国税庁

インボイス制度導入の背景

インボイス制度導入の背景には、複数の税率が存在する中で、正確な消費税額の把握と、課税の公平性を確保する必要性がありました。

従来の制度では、取引の透明性が十分に確保できず、特に軽減税率の導入後は、取引における税率の適用や消費税額の計算において、より厳密な管理が求められるようになりました。事業者間取引における消費税の二重課税や、課税漏れを防ぐためにも、新たな制度の確立が必要とされていました。

インボイス制度のポイント

インボイス制度の最も重要なポイントは、適格請求書発行事業者としての登録制度の導入です。登録を受けた事業者のみが適格請求書を発行できるようになり、取引先は適格請求書の保存がなければ、原則として仕入税額控除を受けることができません。

適格請求書には、登録番号や税率ごとの消費税額などの記載が必要となり、取引の透明性が高まることが期待されています。

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適格請求書(インボイス)の要件

適格請求書は、取引における消費税額を正確に把握するための重要な書類として位置づけられています。従来の請求書に比べて記載事項が増え、より厳格な要件が求められるようになりました。

発行者の登録番号や税率ごとの消費税額の記載が必須となり、要件を満たさない請求書では仕入税額控除を受けることができなくなります。

記載が必須な項目がある

適格請求書には、発行者の氏名または名称、登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分して合計した対価の額、適用税率、税率ごとに区分した消費税額、受領者の氏名または名称を記載する必要があります。

登録番号は、法人の場合は「T+法人番号」、個人事業主の場合は「T+13桁の数字」となり、番号により適格請求書発行事業者であることが証明されます。

従来の請求書との違い

従来の区分記載請求書と比べて、適格請求書では登録番号の記載が新たに必要となったほか、税率ごとの消費税額を明確に区分して記載することが求められるようになりました。

取引における消費税の取り扱いがより厳密になり、正確な税額計算が可能となります。発行者が適格請求書発行事業者として登録されていることの確認も必要となりました。

適格簡易請求書の発行が認められている

小売業や飲食店など、不特定多数の者に対して取引を行う事業者については、記載事項を一部簡略化した適格簡易請求書の発行が認められています。適格簡易請求書では、取引の相手方の氏名または名称の記載が不要となるほか、税率ごとの消費税額の記載に代えて、適用税率のみの記載も認められています。

適格簡易請求書により、日々多くの取引を行う事業者の事務負担が軽減されています。

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インボイス制度への対応に必要な準備

インボイス制度への対応には、事前の十分な準備と体制整備が不可欠です。特に、適格請求書発行事業者としての登録手続きから、実際の運用体制の確立まで、計画的な準備を進める必要があります。

また、取引先との連携や社内の業務フローの見直しなど、様々な観点からの検討が求められます。

適格請求書発行事業者の登録

適格請求書発行事業者として登録を受けるには、所轄の税務署に登録申請書を提出する必要があります。登録申請は、書面による提出のほか、電子申請(e-Tax)による方法も可能です。

申請から登録までには一定の期間を要するため、余裕をもって手続きを進めることが重要です。登録後は定期的な更新手続きも必要となるため、管理体制も整えておく必要があります。

システムやソフトウェアを更新する

請求書発行システムや会計ソフトについては、インボイス制度に対応したものへの更新が必要となります。適格請求書の記載要件を満たした書類を作成できる機能や、取引データの適切な管理機能が求められます。

電子帳簿保存法への対応も含めて、デジタル化への対応を進めることで、業務効率の向上も図ることができます。

社内体制を整備する

インボイス制度に対応するためには、経理担当者だけでなく、営業部門や購買部門など、関連する部署全体での理解と協力が必要です。

そのため、社内研修の実施や業務マニュアルの整備、さらには取引先との連絡体制の確立など、組織的な取り組みが求められます。特に、適格請求書の作成から保存までの一連の流れについて、明確な手順を確立しておくことが重要です。

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インボイス制度での請求書発行はどうする?

適格請求書の発行は、取引の都度、正確な記載と適切な管理が求められる重要な業務です。税率ごとの消費税額の計算や登録番号の記載など、新たに追加された要件に注意を払う必要があります。

取引先との関係においても、適格請求書の発行や受領に関する取り決めを明確にしておくことが求められます。

適格請求書の作成手順

適格請求書の作成には、まず取引内容の正確な把握が必要です。商品やサービスの内容、数量、単価などの基本情報に加え、適用される税率の確認が重要となります。

軽減税率対象品目を含む取引の場合は、税率ごとに区分して金額を集計する必要があります。登録番号や取引先情報など、必須記載事項の漏れがないよう、チェックリストを活用するなどの工夫も効果的です。

登録番号の記載と確認

適格請求書発行事業者の登録番号は、取引の正当性を証明する重要な要素となります。自社の登録番号を正確に記載することはもちろん、取引先の登録番号についても、国税庁の公表サイトなどで定期的に確認することが望ましいです。

新規取引を開始する際には、取引先が適格請求書発行事業者として登録されているかどうかの確認を徹底する必要があります。

参考:『国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト』|国税庁

消費税額の計算と記載

税率ごとの消費税額の計算では、端数処理の方法に特に注意が必要です。インボイス制度では、一つの適格請求書につき税率ごとに一回の端数処理を行うことが原則とされています。

また、税率ごとの合計額と消費税額を明確に区分して記載することが求められるため、計算過程での誤りが生じないよう、十分な確認を行うことが重要です。

発行時の注意点

適格請求書の発行時には、記載内容の正確性に加えて、発行のタイミングにも注意が必要です。特に、月末締めの請求書発行では、対象期間内の取引すべてが漏れなく記載されているか確認することが重要です。

控えの保存も法定保存期間を意識して適切に行う必要があります。修正や訂正が必要な場合は、修正した適格請求書を改めて発行する必要があります。

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インボイス制度における請求書の保存

インボイス制度では、適格請求書の発行者、受領者ともに、一定期間の保存が義務付けられています。紙での保存か電子での保存かを問わず、法定の保存期間内は適切に管理し、税務調査等の際に速やかに提示できる状態を維持する必要があります。

電子保存を行う場合は、電子帳簿保存法の要件も満たす必要があります。

保存が必要な書類

保存が必要な書類には、発行した適格請求書の控えのほか、受領した適格請求書や、取引に関連する契約書、納品書などの証憑書類も含まれます。

仕入税額控除の適用を受けるためには、取引の事実を証明できる一連の書類をすべて保存しておく必要があります。また、電子取引の場合は、データの真正性を確保できる形式での保存が求められます。

保存期間と方法

適格請求書の保存期間は、その受領または発行した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間とされています。この期間内は、適切な保管場所で整理された状態を維持し、必要に応じて速やかに確認できる状態を保つ必要があります。

事務所の移転や組織改編などの際にも、適切な引継ぎと保管場所の管理が重要となります。

電子保存のメリット

請求書の電子保存には、保管スペースの削減や検索性の向上、災害時のデータ保全など、多くの利点があります。大量の取引がある事業者にとって、紙の保管に伴う物理的な制約から解放されることは大きな利点となります。

取引データの分析や集計が容易になり、経営判断に必要な情報の抽出も迅速に行えるようになります。テレワークなど場所を問わない働き方にも対応しやすくなるという副次的な効果も期待できます。

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インボイス制度に対応した請求書発行方法

インボイス制度に対応した請求書の発行方法には、手書きからクラウドサービスまで、事業規模や取引形態に応じて様々な選択肢があります。それぞれの方法には特徴があり、自社の業務フローや取引先との関係性を考慮しながら、最適な方法を選択することが重要です。

導入にあたっては、コストと効果のバランスも含めて総合的に判断する必要があります。

手書きでの発行

小規模事業者や取引件数が少ない場合には、手書きでの請求書発行も可能です。ただし、手書きの場合でも適格請求書としての記載要件をすべて満たす必要があり、特に消費税額の計算や合計金額の算出には細心の注意が必要です。

控えの保存や取引記録の管理についても、確実な方法を確立しておく必要があります。手書きでの運用を選択する場合は、記載事項のチェックリストを用意するなど、記載漏れを防ぐための工夫が重要となります。

エクセルなどを使用した発行

表計算ソフトを使用した請求書発行は、手書きよりも効率的で正確な処理が可能です。特に、計算式を組み込んだテンプレートを作成することで、消費税額の自動計算や合計金額の算出が容易になります。

データとして保存できるため、過去の取引履歴の参照や、取引データの分析なども行いやすくなります。ただし、データのバックアップや版管理には十分な注意が必要です。

インストール型ソフトウェアを使用した発行

インストール型の請求書発行ソフトを使用することで、インボイス制度の要件に完全に対応した請求書を、より確実に作成することができます。ソフトウェアには、取引先情報の管理や、請求書の一括作成、消費税計算の自動化など、業務効率を高める機能が搭載されています。

データベースとの連携により、過去の取引履歴の管理や、経理処理との連携も容易になります。

クラウドサービスを利用した発行

クラウド型の請求書発行サービスは、場所や時間を問わず利用できる利便性に加え、システムの保守や更新の手間が不要という特徴があります。取引先とのデータ連携や、会計ソフトとの自動連携など、より高度な機能を活用することで、業務全体の効率化を図ることができます。

セキュリティ面でも、専門事業者による管理が期待でき、データのバックアップも確実に行われます。

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まとめ

インボイス制度への対応は、単なる請求書の様式変更にとどまらず、事業者の経理実務全体に大きな影響を与えるものです。特に、適格請求書発行事業者としての登録や、取引先との関係整理、社内体制の整備など、多岐にわたる対応が必要となります。

しかし、これを機に業務のデジタル化や効率化を進めることで、より強固な経理体制を築くことができます。また、取引の透明性が高まることで、より健全な事業運営にもつながることが期待されます。

今後は、さらなる制度の定着や、電子化の進展により、より効率的で正確な請求書の取り扱いが可能になると考えられます。各事業者は、自社の状況に応じた最適な対応方法を選択し、着実な準備を進めていくことが重要です。

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