チームでのプロジェクトを円滑に進めるためには、タスク管理の仕組み作りが重要です。業務にタスク管理を導入するメリットや具体的な方法にはどのようなものがあるのでしょうか。タスク管理の必要性や成功のコツ、おすすめの手法などについて解説します。
タスク管理はなぜ必要?
そもそもビジネスにおいて、タスクの管理はなぜ必要になるのでしょうか。タスク管理が必要な理由として、代表的な四つの理由を紹介します。
タスクの優先順位が明確に
タスク管理が必要な理由の一つ目は、タスクの優先順位が明確になるからです。
特にいくつものタスクを抱えている場合には「タスクをどのような順番で終わらせるべきか」が不明瞭なのはリスキーでしょう。対応漏れや期限の超過が発生したり、混乱が生じるたびにタスクの確認が必要になったりと、業務に支障をきたす可能性があります。
あらかじめ優先順位を明確にしておけば、あとは順番にタスクを片付けていくだけなので業務にも集中して取り組むことが可能です。
業務の効率化が図れる
事前にタスク管理をしておけば、どのような状況でもやるべきことが明確になります。「このタスクが終わったら次は何をしよう」といった業務以外の思考に時間と労力を削がれる心配もありません。
各タスクにどれくらいの時間が割かれるのかも一目瞭然のため、状況に応じて臨機応変に仕事を進められるでしょう。結果として効率的に業務をこなしていけるのです。
またタスク管理は期日への意識にもつながります。進捗の遅れが発生しにくくなるなど、生産性向上の効果も期待できるかもしれません。
仕事の全体像が把握できる
タスク管理をしていないと、目の前のタスクしか見えていない状況に陥る可能性が高く、仕事の全体像を把握できません。すると全体の進捗状況が分からず不安になったり、何から着手すべきかの判断ができなかったりといった業務の停滞や迷いが生じます。
長期の仕事を抱えている場合や、プロジェクトが大きい場合にはなおさらです。
その点、タスク管理を行えば大まかにとらえていた仕事を、より細かなプロセスとして認識できます。各プロセスに割くべき時間の把握がしやすくなり、心理的なプレッシャーもやわらぐでしょう。
チームのマネジメントもスムーズに
タスクは個々人が管理するだけでなく、同じプロジェクトのメンバー間で共有すると、チームのマネジメントがスムーズになります。
管理者はメンバーに業務状況をいちいち確認する手間が省け、誰がどれくらいのタスクを抱えているのか、素早くチェック可能です。進捗が遅れている場合にも、いち早く気づいて対処ができるでしょう。
またタスクの割当や部下の評価においても、より正確な判断が下せます。
メンバー同士も各々のタスクが視覚化されるため、互いのサポートがしやすくなり、チームの連携意識が高まります。
タスク管理を成功させるコツ
ではタスク管理の効果を最大限に引き出すためには、具体的にどのような方法でタスクを管理すればよいのでしょうか。タスク管理を成功させる三つのコツを紹介していきます。
タスクはできるだけ細かく分ける
タスク管理をするときは、それぞれのタスクをできるだけ細かく分けるのがポイントです。これにより業務の優先順位や進捗状況・期日などがより明確になり、抜け漏れの予防につながります。
例えば「プレゼンテーション用の資料を作成する」といったタスクも、必要となる一つひとつのプロセスに分解しましょう。リサーチ・構成を考える・テキスト部分の作成・グラフの作成・最終チェックなどに細分化できるはずです。
部内で複数の人が関与しているタスクの場合は漏れを防ぐことができ、チーム内にもプロセスを可視化できるメリットがあります。
優先順位をはっきりさせる
タスクを細かく分けられたら、次は優先順位を決めていきます。
このとき、ただやみくもに順番を決めてしまっては意味がありません。あらかじめ「優先すべきタスク」の具体的な判断基準をメンバー間で決めておくと、チームでの業務が円滑になるでしょう。
基準となる軸としては例えばタスクの「期限」と「重要度」が挙げられます。「期限に余裕があり重要度が高いタスク」と「期限が迫っているものの重要度が低いタスク」があるときは前者から着手するなど、ルールを決めておくと優先しやすいでしょう。
また重要度を基準にするときは、高中低など3段階でレベルを設定するのも一つの方法です。競合するタスクがあるときにより正確な判断を下せます。
期日や担当者を決める
複数人でこなすプロジェクトの場合、あらかじめ責任の所在を明らかにしておきましょう。「認識の食い違いにより誰も着手していないタスクが見つかる」といった事態を未然に回避できます。
その際にもタスクを細かく分解していれば、プロセスごとに担当者を決められるため、より柔軟なチームワークを実現可能です。
またタスクごとに「誰が担当するか」だけでなく、「いつまでに終わらせるか」を決めておくと、連携がしやすくなります。ただし当然ながらタスクをこなすスピードは担当者ごとに異なるため、メンバーの経験やスキルに合わせて柔軟に期日を調整しましょう。
タスク管理におすすめの手法
ではタスク管理を実際に導入する際には、どのような手法があるのでしょうか。タスク管理におすすめの代表的な手法を三つ紹介していきます。
ノートや付せんを使う
ノートや付せんを使って手作業でタスクをまとめるのが、最も簡単かつ即座にタスク管理をはじめられる手法といえます。
ポイントは単にタスクを並べるだけでなく、優先順位の番号を振ったり、重要度の高いタスクに赤色を使ったりと工夫することです。直感的にタスクの状況を把握できて便利でしょう。
チームでタスクを共有する場合には、ホワイトボードに付せんを貼るなどの利用方法があります。ただし人数やタスクが多い場合、すべてのタスクを列挙できない可能性もあるため、基本的には少人数向けの手法です。
Excelを使う
Excelをはじめとする表計算ソフトでタスク管理を行う手法もあります。インターネット環境があれば、ファイルのコピーによってチーム間の共有も簡単です。
特に業務の中ですでにExcelを利用している場合には、コストがかからない上に、操作方法を新たに覚える必要もありません。
検索をすればタスク管理用の無料テンプレートが見つかるため、すぐに導入できるのもうれしいポイントです。
ただし誤ってファイルを削除してしまったり、複数のファイルが乱立してしまったりすると管理に支障をきたす可能性があります。ファイルの取り扱い方法について、事前にルール決めをした上で運用しましょう。
管理ツールを使う
タスク管理を効率化したいのであれば、既存のタスク管理ツールを使うのも一つの方法です。
簡単にタスクの作成・管理ができる上に、チームでの共有管理を前提にしている場合がほとんどのため、使い勝手に優れます。
かゆいところに手が届くような便利な機能や、他のビジネス関連のシステムを搭載しているタスク管理ツールも少なくありません。工数管理・予算管理・顧客管理・営業管理などと一緒になっているツールを使えば、業務効率が飛躍的に高まるはずです。
タスク管理ツールの種類
代表的なタスク管理ツールは「インストールタイプ」と「クラウドタイプ」の2種類です。どちらがより最適かは予算や利用環境によっても異なります。それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
インストールタイプ
「インストールタイプ」は文字通り、サーバーまたはパソコンにアプリケーションを取り込むタイプのタスク管理ツールです。
インストールしたタスク管理ツールは、インターネット環境がなくてもチェックできます。そのため山間部や工事現場、移動中の利用に便利といえるでしょう。
外部サーバーへのアクセスをしないため、セキュリティ面の安全性が高いのも魅力です。
ただし利用範囲は社内に限られるため、社外の人とのタスク共有はできません。またパソコンのスペックやOSによっては利用できないケースもあるため、導入時やパソコンの買い換えの際には注意が必要です。
またシステムを最適化するためには小まめなアップグレードが必要になり、専門的な知識を要する可能性もゼロではありません。
クラウドタイプ
「クラウドタイプ」ではオンライン上にあるタスク管理ツールを利用します。インターネット環境があれば、パソコンからでもスマートフォンからでも、端末に縛られずに操作ができるタイプです。
セットアップの必要がないため、導入時には手間がかからず基本的に専門知識がなくても問題ありません。
また料金は月額制の場合がほとんどです。アップグレードも自社で行う必要がないため、インストールタイプと比べて導入費用とランニングコストが安く済むでしょう。
このような使い勝手のよさから、クラウドタイプは現在タスク管理ツールの主流となっています。特に小中規模のプロジェクトに向いています。ただしセキュリティ面にはやや不安があるため対策が必要です。
管理ツールを選ぶポイント
数あるタスク管理ツールの中から自社に最適なサービスを選ぶためには、どのようなポイントを重視すればよいのでしょうか。タスク管理ツールを選ぶ上での具体的な二つのポイントを解説していきます。
機能性・操作性で選ぶ
先述のように現在のタスク管理ツールには、さまざまな機能が搭載されている場合が少なくありません。どのような機能が使えるかは管理ツールを選ぶ上で重要なポイントといえます。
例えばタスクの状況を分析・グラフ化できる機能が付いているツールは、タスク管理の効果を高められておすすめです。またチャットツールなど他の社内ツールと連携ができる機能もあり、情報が一元化されて業務の効率化につながるでしょう。
同時に複数人が頻繁に使うツールでもあるため、操作性の高さも重視する必要があります。誰もが直感的に理解できるデザインが採用されているかはチェックしておくべきです。
機能の数がいくら多くても、自社にとって必要がなければ操作性がよいとはいえません。必要な機能だけが、できるだけコンパクトにまとまっているタスク管理ツールが理想です。
使用人数やコストで選ぶ
タスク管理ツールは種類や料金プランによって最適に使える人数が異なります。どれくらいの規模で使用できるのか、その場合にはどれくらいのコストがかかるのかは、導入前にしっかりとチェックしましょう。
タスクを個人で管理するだけならば、最低限の機能が付いた無料のタスク管理ツールでも十分かもしれません。
しかし大人数のプロジェクトでタスク管理をまとめて行うなら、それなりに機能性も重視しなければ情報共有がしにくくなります。
コストに関しては、例えばクラウド型のタスク管理ツールの場合は、一部機能に制限がかかっていれば無料というサービスもあります。
一方で、利用者の人数に応じて料金が上乗せされるケースもあり、注意が必要です。一定の人数を超過したらインストール型の方が安く利用できる可能性もあるため、いくつかの選択肢をしっかりと比較しましょう。
タスク管理ツールのおすすめ
タスク管理ツールは現在かなりの種類が存在するため、どれを選ぶべきか迷ってしまうという人も多いのではないでしょうか。
そこで特におすすめのタスク管理ツールを三つ紹介します。自社にぴったりなタスク管理ツールを選ぶ上で参考にしてみてください。
Chatwork「Chatwork」
ビジネスチャットツールとして数多くのビジネスパーソンに利用されている「Chatwork」には、タスク管理の機能も搭載されています。
タスクは担当者や期限を簡単に登録して、メンバー間で共有可能です。
またタスクの遂行後は完了ボタンをクリックすれば、完了メッセージがチャットに自動通知されます。毎回の報告の手間が省ける上に、タスクの対応漏れ予防にも効果的でしょう。
GmailやX(旧Twitter)、Googleカレンダーなど豊富なツールとの連携でき、UIもシンプルなため使い勝手は抜群です。
Chatwork
ヌーラボ「Backlog」
ヌーラボが提供するプロジェクト管理ツール「Backlog」では、タスクごとに担当者・期限・優先順位の個別設定ができます。また複数のタスクは一つのプロジェクトにまとめて一元管理も可能です。
ガントチャートで各タスクの進捗だけでなく、プロジェクト全体の達成率も把握できるため、チームマネジメントにも最適でしょう。
また直感的に使いこなせるシンプルなデザインのため、システムに不慣れな人でもスムーズに利用できます。
さらにファイル共有・Wiki・バージョン管理などの機能も搭載されており、コミュニケーションツールとしての利用も可能です。
Backlog
Asana 「Asana」
Asanaの「Asana」は豊富な機能が搭載されたオーソドックスなタスク管理ツールです。
タスクをチームごとにまとめて管理でき、優先度の高いタスクや期限なども一目で分かるようにリスト表示してくれます。今やるべきタスクも簡単に確認できるため、目の前の業務に集中して取り組めるでしょう。
各タスク間のワークフローや依存・重複などの関係もタイムラインで分かりやすく視覚化され、大量のタスクがあっても安心です。
またGoogleカレンダーやSlackなど200以上の外部ツールと連携できるのも魅力といえます。
Asana
タスク管理はツールも活用しよう
タスク管理には優先度を明確にして対応漏れを防いだり、チームの連携を高めて効率化を図ったりとさまざまなメリットがあります。タスクを細分化する、優先順位や担当・期限を明確にするといった点を心掛ければ、あらゆる職場で効果を実感できるでしょう。
おすすめの手法としては、手作業で書き込んだり表計算ソフトを使ったりする他に、既存の管理ツールを利用するのも一案です。
タスク管理ツールはいくつも種類があるため、機能性・操作性・利用人数・コストなどを基準に最適なサービスを選定します。
本記事の内容を参考にタスク管理を導入して、業務の生産性向上を目指しましょう。