月末になると、領収書を貼った申請書、Excelの交通費一覧、メールに添付されたレシート写真が一斉に集まってきます。金額を電卓で足し直し、経路を検索して差額を確認し、承認の印をもらうために席を立つ。ひとりの経理担当が数十人分をさばくと、それだけで数日が溶けていきます。
この手間は経費精算システムで解決できます。ただし「無料」で探すときには、ひとつ知っておきたい分かれ目があります。それは製品の優劣ではなく、経費精算のどの工程を任せたいかです。任せる工程によって、費用をかけずに済むかどうかが変わります。
解決したい課題ごとに、無料で使えるおすすめの経費精算システムを紹介します。

経費精算システム選びなら、ぜひミツモアをご利用ください。従業員数や欲しい機能などの各項目を画面上で選択するだけで、ぴったりの製品を最短1分で自動診断。理想の経費精算システムが見つかります。
経費精算システムは無料で使い続けられるか
結論からお伝えします。無料で使い続けられるクラウド型の経費精算システムはありません。「無料」として案内されているものは、30日から最大2ヶ月の試用期間です。
ただし、この期間に使えるのは有料プランと同じ機能です。読み取りの精度も、承認のしやすさも、費用をかけずに実際の業務で確かめられます。カードの登録が不要で、期間が終わっても自動では課金されない製品もあります。
つまり決めるべきは、どの製品が無料かではなく、限られた期間で何を確かめるかです。ここが決まれば、候補は3つほどに絞れます。
経費精算システムの3タイプ|無料期間で確かめることが変わる
経費精算システムは、得意な工程でみっつに分かれます。最も多いのは領収書の読み取りに強いAタイプを求めるケースで、電子帳簿保存法への対応が同時に宿題になっている会社がここに入ります。次に多いのが交通費のBタイプ、そして申請と承認の流れをつくるCタイプです。複数当てはまるなら、いま最も時間を取られている工程で判断してください。
Aタイプ|領収書の読み取りに強い
レシートや領収書の内容を人が打ち込み、原本を糊で貼って保管している状態です。ここを任せるなら、必要なのはAI-OCRと、電子帳簿保存法に適合した保存です。
効くのは、読み取り精度とあわせて法令要件の認証を取っている製品です。読み取れるだけでは足りません。スキャナ保存の要件を満たしているか、タイムスタンプが付与されるか、検索できる形で保存されるかまで対応していれば、原本の保管そのものをやめられます。
試用期間で確かめるべきことは、ひとつに絞れます。自社の領収書が実際に正しく読めるかです。手書きが混ざり、印字が薄く、宛名が抜けているものを通してみると、製品ごとの差がはっきり出ます。
電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証を2016年に国内第1号で取得しており、1ヶ月のトライアルはカード登録なし・自動課金なしでデータも引き継げます。
Bタイプ|交通費の自動化に強い
営業や現場の移動が多く、月末に経路と運賃の確認で時間を取られている状態です。領収書は月に数枚で、痛みの大半が交通費に集まっています。
この工程に効くのは、交通系ICカードの履歴をそのまま取り込める製品です。申請者が経路を思い出して入力する手間がなくなり、承認する側も金額の妥当性を調べ直さずに済みます。定期区間を差し引いた金額を自動で計算できると、確認作業がほぼ消えます。
試用期間では、実際に社員が持っているICカードで読み取れるかを見てください。交通系ICカードには種類があり、履歴の残り方も端末によって変わります。ここが通れば、あとは費用の絶対額が小さく収まる工程です。
ICカードを端末にタッチするだけで交通費と勤怠が同時に記録され、無料期間は申込月と翌月の最大2ヶ月と最も長く取れます。
Cタイプ|申請と承認の流れに強い
申請書を印刷して上司の席へ運び、承認の印をもらってから経理へ回す。担当者が不在だと止まり、いま誰の手元にあるのかも分からない状態です。
必要なのは高機能な読み取りではなく、申請から承認までを画面上で完結させるワークフローです。誰の承認待ちかが一覧で見え、スマートフォンから承認できれば、月末の停滞はほぼ解消します。承認の段数や経路を自社の規定に合わせて組めるかも確認しておきたい点です。
試用期間で確かめるのは操作の速さではなく、自社の承認ルートをそのまま再現できるかです。部長の代理承認や金額による分岐が組めないと、運用が始まってから紙に戻ります。
申請から承認までをシンプルな画面で完結でき、1人あたり月200円から、初期費用0円で最低契約人数の縛りもありません。
経費精算システム12製品の無料期間と費用【比較表】
自分のタイプが決まったら、その群の製品から見てください。金額は公式サイトに記載があるものだけを載せ、非公開のものは要問い合わせと表記しています。
| 製品名 | 得意領域 | 無料で使える期間 | その後の費用 |
|---|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド経費 | 領収書の読み取りと法令対応 | 1ヶ月 | 50名以下で2,480円/月(年払) |
| バクラク経費精算 | 領収書の一括読み取り | 期間の記載なし | 月3万円から |
| 楽楽精算 | 経費精算業務の全体最適 | 期間の記載なし | 初期100,000円+月30,000円から、税抜 |
| ジンジャー経費 | 人事労務システムとの統合 | 1ヶ月 | 月300円から |
| invox経費精算 | 領収書の少ない会社の実費運用 | 当日から試用可 | 月1,980円+300円/人、税抜 |
| kincone | 交通費と勤怠の同時記録 | 最大2ヶ月 | 月220円/人、税込。5名から |
| 駅探BIZ | 交通費の経路精度 | お試し申込あり | 非公開、要問い合わせ |
| rakumo ケイヒ | Google Workspaceとの連携 | 期間の記載なし | 月300円/ユーザー |
| AI Expense | 少人数での低コスト運用 | 30日 | 月200円/人から、税抜 |
| ジョブカン経費精算 | 申請から承認までの標準化 | 30日 | 公式に記載なし、要問い合わせ |
| freee経費精算 | freeeでの会計処理との地続き | 無料デモ体験 | 基本料金+ID料金、要問い合わせ |
| Zoho Expense | 海外出張と複数通貨 | 14日 | 420円/ユーザー/月、年払時。最小5ユーザー |
無料で試せる経費精算システムおすすめ12選
ここからは12製品の中身を紹介します。前の章で判定したタイプごとにまとめているので、自分の群から読み進めてください。
Aタイプ|領収書の読み取りに強い
領収書の読み取りと、電子帳簿保存法に適合した保存を任せたい会社向けの製品群です。
マネーフォワード クラウド経費
領収書をスマートフォンで撮影するとOCRで内容が読み取られ、明細の自動取得と組み合わせて手入力そのものを減らせます。電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証を2016年に国内第1号で取得し、2021年には電子取引ソフト法的要件認証も取得しており、法令対応の裏付けが最も明確な製品のひとつです。
無料期間は1ヶ月で、クレジットカードの登録が不要、トライアル後に自動で有料へ移ることもなく、入力したデータはそのまま引き継げます。
バクラク経費精算
複数枚の領収書を1枚の写真に並べて撮ると、AIが自動で分割して読み込みます。まとめて溜めてから処理する運用と相性がよく、申請と承認の時点でスキャナ保存の要件に適合しているかを自動で判定してくれるため、タイムスタンプの付与によって原本の保存が不要になります。
無料で試す申込が用意されていますが、期間は公式に記載がないため申込時に確認してください。費用は月3万円からです。
楽楽精算

経費精算の申請から仕訳の出力までを一本でつなぐ製品です。AI-OCRによる領収書読み取りと交通系ICカードの取込を両方備え、JIIMA認証も取得しています。自社の承認規定や科目体系に合わせた設定の幅が広く、導入社数の多さから運用のノウハウが蓄積されている点も安心材料になります。
無料トライアルのほか、担当者が操作を説明しながら実際の画面を見せるデモも選べます。初期費用は100,000円、月額は30,000円からで、いずれも税抜です。
ジンジャー経費
勤怠や労務など、同じシリーズの人事システムとデータをそろえて運用できます。AI-OCRで領収書とICカードの情報を読み取り、電子帳簿保存法とインボイス制度にも対応済みです。
無料期間は1ヶ月で有料プランと同じ機能が使え、自動課金はありません。料金は利用する製品と人数で決まる月300円からの体系です。
invox経費精算
領収書の読み取りから経路検索、申請、承認、仕訳、支払いまでを一本でつなぐ製品です。特徴は無料枠の考え方で、契約したプランの中で領収書のデータ化がアクティブユーザー数×30件/月まで無料になります。
月々の領収書が数十枚に収まる会社であれば、読み取りの費用をほぼ気にせず運用できます。ミニマムプランは月1,980円に1人あたり300円を加えた形で、初期費用は0円です。
Bタイプ|交通費の自動化に強い
移動が多く、経路と運賃の確認に時間を取られている会社向けの製品群です。
kincone
交通系ICカードを端末にタッチするだけで、出退勤の打刻と交通費の読み取りが同時に終わります。申請者が経路を思い出して入力する工程がなくなるため、営業や現場のメンバーが多い会社ほど効果が出ます。
無料で使える期間は申込月と翌月の最大2ヶ月と、今回紹介する中で最も長く取れます。以降は1人あたり月220円、税込で、5名からの利用となります。
駅探BIZ

乗換案内を提供してきた駅探の交通費精算サービスです。ICカードの利用時に1円単位の処理へ対応し、申請された経路が社内規定に沿っているかを自動でチェックして結果を表示します。
既存のシステムを入れ替えずにAPIとして組み込む使い方もでき、動作確認のためのお試し申込が用意されています。料金は非公開で、利用者数やアクセス上限に応じた見積もりです。
rakumo ケイヒ
Google Workspaceのカレンダーに登録した予定から、経費の申請を組み立てられます。普段の予定管理がそのまま精算の入力になるため、二重入力が減ります。
無料トライアルが用意されており、期間は公式に記載がないため申込時に確認してください。利用にはGoogle Workspaceの有料版が必要で、料金は1ユーザーあたり月300円、初期費用は不要、契約は12ヶ月単位です。
Cタイプ|申請と承認の流れに強い
紙や押印の回覧をやめたいものの、費用は最小限に抑えたい会社向けの製品群です。
AI Expense
申請から承認、会計処理までをシンプルな画面で回せます。ビズトラから名称が変わった製品で、AI OCRや電子帳簿保存法・インボイス制度への対応が料金に含まれる構成です。
1人あたり月200円からで初期費用は0円、最低契約人数の縛りがないため3〜4名の規模でも無駄が出ません。30日の無料期間はカード登録なしで始められます。
ジョブカン経費精算
申請と承認の流れを標準的な形に整えることに向いています。ICカードからのデータ取込と経路の自動検索に対応し、金額の自動算出もできます。
電子帳簿保存法とインボイス制度にも対応済みで、無料お試しは30日です。料金は公式サイトに掲載がないため、見積もりを取ってください。
freee経費精算
freeeで会計処理をしている場合に、精算から仕訳までを地続きで扱えます。申込前に操作画面を無料のデモで体験できるため、現場のメンバーが迷わず使えるかを先に確かめられます。
料金は基本料金と利用人数に応じたID料金の組み合わせで、金額は料金表として公開されているため、人数を添えて確認するのが確実です。
Zoho Expense
複数通貨に対応しており、海外出張や海外拠点との精算がある会社に向きます。料金表には無料プランの列がありますが、登録に進むと14日間の無料トライアルの案内になります。有料プランはスタンダードが1ユーザーあたり月420円、年払い時の金額で、最小5ユーザーからです。
無料トライアルを判断に変える4つのステップ
無料の期間はおおむね30日です。ところが「触ってはみたものの、決めきれないまま期限が来た」という終わり方が起きやすいのもこの30日です。判断材料が残る使い方を4つの手順にまとめました。
| 時期 | やること | 手元に残るもの |
|---|---|---|
| 申込前 | 申請件数・領収書の枚数・関わった人数・締めから支払いまでの日数を数える | 比較の土台になる4つの数字 |
| 1週目 | 先月の実物で1ヶ月分を再現する | 読み取りに失敗した枚数 |
| 2週目 | 承認者1〜2名にスマートフォンで承認してもらう | 承認側で詰まる箇所 |
| 残り1週間 | 実数と処理時間を月額と並べる | 稟議に出せる1枚 |
試す前に今月の実数を数える
つまずきの多くは、試用が始まる前に決まっています。人数と領収書の枚数を把握しないまま触り始めると、「便利そう」という感想しか残らず、費用と比べる材料が手元にできません。
申し込む前に、直近1ヶ月の申請件数、領収書の枚数、精算に関わった人数、締めから支払いまでにかかった日数を数えてください。 4つだけで足ります。この数字があると、試用後に「月◯枚を◯円で処理できる」という形で比べられるようになります。
最初の1週間で自分の1ヶ月分を再現する
サンプルデータで一通り操作しても、判断はできません。実際の領収書は手書きが混ざり、印字が薄く、宛名が抜けていて、そこで読み取りの精度が試されます。
最初の1週間で、先月の実物を使って1ヶ月分を丸ごと入れてみてください。 きれいな領収書だけを選ばないことが大事です。読み取りに失敗した枚数を数えておくと、そのまま製品ごとの比較材料になります。
承認する側にも触ってもらう
経理担当だけが試して導入を決め、運用が始まってから現場と承認者が使わずに元のやり方へ戻ってしまう。これが最も多い失敗の形です。紙の申請書、Excel、メール添付のどれで回していても、同じ結果になります。
2週目までに、承認者を1〜2名巻き込んでスマートフォンから承認してもらってください。 通知が届くか、差し戻しの理由が伝わるかは、承認する側にしか分かりません。ここで詰まる製品を落とせると、導入後の停滞をあらかじめ避けられます。
残り日数を稟議の材料に変える
期限の直前になって、社内へ説明する材料がないと気づく。これで1ヶ月が空転します。
残り1週間を、数字をまとめる時間に充ててください。 最初に数えた実数と、試用中に測った処理時間を並べれば、削減できる工数が出ます。月額費用と並べて1枚にすると、それがそのまま稟議の資料になります。試用の記録は、決裁を通すための材料でもあります。
まとめ
- 無料で使い続けられるクラウド型の経費精算システムはありません。無料の中身は30日から最大2ヶ月の試用期間です
- ただし試用期間で使えるのは有料プランと同じ機能です。使用感は費用をかけずに確かめられます
- 決めるべきは、限られた期間で何を確かめるか。領収書の読み取り、交通費、承認フローのどれを任せたいかで候補が絞れます
月末に領収書とExcelを突き合わせる数日が消えて、締めの作業が数時間で終わる。承認待ちがどこで止まっているかは一覧で見えていて、原本のファイリングも必要ない。この状態は、無料の30日を正しく使えば手が届きます。
決めきれない理由は、たいてい情報が足りないからではなく、比べる軸が多すぎるからです。全部を比べる必要はありません。自社がいま一番時間を取られている工程はどれか。それだけ決まれば、候補は3つに絞れます。
今日やることをひとつだけ挙げるなら、先月の領収書の枚数と、精算に関わった人数を数えることです。 ここまで来れば、いちばん面倒な「何を基準に選ぶか」はもう越えています。あとは数字を当てるだけです。今年の月末は、電卓を置いて帰りましょう。
よくある質問
完全無料で使い続けられる経費精算システムはありますか
法人向けのクラウド型では見つかりません。料金表に「無料プラン」の列があっても、登録に進むと期間限定のトライアルになるケースがあります。申し込み前に、無料で使える期間と終了後の扱いを確認してください。
Excelのテンプレートで済ませることはできますか
申請書の様式をそろえるだけなら可能です。ただし電子帳簿保存法では、電子で受け取った領収書を要件に沿って保存する必要があるため、Excelだけでは対応しきれません。人数が数名で領収書もほとんど出ないうちは併用できますが、電子の領収書が届くようになった時点で見直しが必要になります。
個人事業主でも使えますか
使えますが、この記事で紹介した製品は法人での申請と承認を前提に設計されています。承認する相手がいない場合、ワークフローの機能が活きません。会計ソフト側の経費入力機能で足りることも多いため、まず手元の会計ソフトの機能を確認してみてください。
すでに会計ソフトを使っている場合はどうなりますか
多くの製品が主要な会計ソフトとの連携に対応しているため、仕訳データを取り込む形で併用できます。同じシリーズでそろえると設定の手間は減りますが、必須ではありません。トライアル中に、実際に仕訳が意図した形で出力されるかまで確認しておくと安心です。
無料トライアル中に自動で課金されますか
製品によります。マネーフォワード クラウド経費とジンジャー経費は、トライアル後に自動で有料プランへ移行しないと公式に明記しています。AI Expenseはトライアル時点でカードの登録が不要です。申し込み前に、カード登録の要否と終了後の扱いを確認してください。
ぴったりの経費精算システム選びはミツモアで

ミツモアなら、最短1分の無料診断で自社に合う経費精算システムがわかります。診断結果では料金プランも提示されるため、月額と削減できる工数を並べて比べられます。提案は最大5製品にしぼって届きます。
この記事で数えた人数と領収書の枚数を、そのまま診断に入れてください。比べる時間を、決め終わった時間に変えましょう。











