患者の病状や施術記録をデータにして一元管理できる電子カルテ。近年ではオンライン上でデータ管理ができるクラウド型のシステムやAIを搭載したシステムなど、選択肢の幅が大きく広がっています。
そこでこの記事では、電子カルテの導入シェアを一挙ご紹介。シェア上位製品の特徴や機能も徹底比較します。ぜひ、比較・検討の参考にしてください。
電子カルテのシェア
m3.comが診療所勤務の開業医を対象に行った調査によると、電子カルテのシェアは「M3 Digikar(エムスリーデジカル)」が22.3%でシェア1位を獲得しています。
その後は「Medicom-HRf(メディコム-HRf)」が20.2%、「Qualis(クオリス)」が7.8%と続いており、上位3製品でおよそ半分ものシェアを占めていることがわかります。
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シェア上位の電子カルテ6選
シェア上位を獲得している電子カルテ6製品の特徴や機能を紹介します。
M3 Digikar(エムスリーデジカル)
- AIによる自動学習機能が付帯
- 検査機器や会計システムとの連携も可能
- 初期費用無料で導入できる
AI(人工知能)技術を応用した自動学習機能により、入力時間を大幅に削減できる電子カルテです。
シンプルで分かりやすい画面設計に加えて、AI技術による入力補助を利用できるので、クリニックの業務効率を改善できます。クラウド型なのでオンライン診療や訪問診療にも対応でき、各種検査機器や会計システムとの連携も可能です。
レセコンと電子カルテの一体型プランと、レセプトソフトORCAと電子カルテを連動させるプランのいずれかを選択できます。どちらも初期費用は無料です。提供会社による丁寧なサポートを受けられるので、初めて電子カルテを導入するクリニックも安心です。
Medicom-HRf(メディコム-HRf)
- オンプレミスとクラウドのハイブリッド型
- 入力ミスや算定漏れの防止機能
- セキュリティ機能も充実
カルテ入力時のリアルタイムチェック機能やエラー修正機能、病名予測機能などにより、クリニックの業務工数を削減できる電子カルテです。会計画面からでもカルテの記載内容を確認できるので、算定漏れを防ぎつつ必要なコストの自動計算もできます。
オンプレミスとクラウドのハイブリッド型のシステムです。普段は施設内のサーバーで運用し、サーバーの障害時にはクラウドアプリに切り替えるといった運用ができます。
ログイン認証やファイアーウォール、リアルタイムのウイルス駆除などセキュリティ機能も充実しています。
Qualis(クオリス)
- 診療アラーム機能で患者の診療スケジュールを管理
- ユーザーごとに独自の画面レイアウトを設定可能
- オンラインで検査を外注できる
ひと目で分かりやすい画面デザインが特徴の電子カルテです。必要に応じて、ログイン者ごとに3パターンの画面レイアウトが登録できます。
診療の内容と時期を登録できるので、備忘録としてはもちろん、事前に注意点を確認できるのが特徴です。さらにオンライン検査の外注も可能です。電子カルテの情報を依頼内容として送信できるので、入力ミスや漏れを防止できます。
提供会社によるリモートアクセスでのサポートが受けられるので、システムトラブルが起こっても迅速な対応が可能です。
Qualisはオンプレミス型のシステムですが、同社のクラウド型電子カルテ「Qualis Cloud」もあります。
Brain Box V3 / Brain Box Cloud(ブレインボックス V3 / ブレインボックスクラウド)
- カスタマイズ性に優れている
- カルテに文字や画像も簡単に貼り付けられる
- バックアップデータにより万が一のときでもデータを復旧できる
オンプレミス型であるBrain Box V3とクラウド型 のBrain Box Cloudは両者とも誰もが使えるような簡単な操作性を実現しています。また操作画面やデザイン、メニューなどは自由自在にカスタマイズできるため、自社で使いやすい電子カルテをつくれます。
電子カルテ上で文字はもちろん、過去のシェーマ画像などもドラッグ&ドロップで簡単に貼り付けが可能。カルテを作成する時間や手間を省けるでしょう。
インターネットVPNを通してカルテの情報を随時、データセンターに保存しているため、万が一クリニック内のサーバーが壊れてしまった場合でもデータはなくなりません。災害や停電といったトラブルでも安心です。オンラインによる無料デモがあるため、導入前に使い勝手を試すこともできます。
HOPE LifeMark-SX(ホープ ライフマークSX)
- 富士通の無床診療所向け電子カルテシステム
- WEB診療予約などのクラウドサービスを提供
- 入力支援ツールによりスピーディーなカルテ作成が可能
富士通が提供している無床診療所向けの電子カルテシステムです。カルテの作成速度にこだわった設計になっており、テンプレートや各種メディカルセット、チェックシートなどのツールを利用できます。診療スタイルに合わせてカスタマイズが可能で、シンプルで誰にでも見やすい画面デザインが特徴です。
また候補薬のリストアップ機能やドラッグ&ドロップでのDo入力など、細かい部分で作業効率をアップできる機能も数多く実装されています。
全国にある販売代理店や富士通の営業拠点などから、充実したサポートや、さまざまな情報提供を受けられるのも魅力です。なお富士通は、同製品の有床診療所版も提供しています。
Dynamics(ダイナミクス)
- 開業医が開発した電子カルテシステム
- 4,000件の導入実績あり
- ユーザー同士の交流が可能
開業医がクリニックの業務効率化や経費の削減、診療の質の向上を目指して開発した、レセコン一体型の電子カルテシステムです。全国で4,000件もの導入実績があり、パソコンとMicrosoft Accessを用意すれば、低コストでの導入が可能です。利用する端末数が増えても料金は変わりません。
レセコン一体型なので、クリニックの受付からレセプトの出力までの効率化が可能で、診療報酬の改定にも提供側が迅速に対応してくれます。ユーザー同士の情報交換や、交流の場も設けられています。
クリニック向け電子カルテを選ぶポイント
クリニック向けの電子カルテを選択する際には、以下のポイントをチェックしましょう。電子カルテは近年、数多くの製品がリリースされています。費用や機能性、使い勝手などの条件から環境に合ったものを選択することが大事です。
領域・規模に合わせて選ぶ
電子カルテの市場は、さまざまな観点から細かく分類できます。一般医療をはじめ歯科や精神科、訪問医療など、領域や規模によって使われている製品は変わってきます。
また大病院と中小規模の有床医療機関、さらにクリニックや診療所などの無床医療機関でも同じことがいえるでしょう。
自分のクリニックの規模や領域を基準として、導入する電子カルテを絞り込んでいくのがおすすめです。
種類と特徴を把握する
電子カルテは大きく分けて、院内のサーバーで運用するオンプレミス型と、インターネット経由で利用するクラウド型があります。前者は環境に合わせて柔軟にカスタマイズできますが、導入費用が高額な傾向にあり、後者はカスタマイズ性こそ高くないものの、導入費用が安いのが特徴です。
近年は導入コストの安さに加え、オンライン診療や訪問診療にも対応できることから、クリニックを中心にクラウド型の導入が主流となっています。ただしクリニックによっては、オンプレミス型の方が効率的に運用できる場合もあるので、双方の特徴を理解したうえで選択しましょう。
なお費用負担は大きくなりますが、レセコンと一体になっている電子カルテもあります。業務全体の効率化を考えているクリニックは、一体型の導入を検討してみるとよいでしょう。
料金設定を確認する
電子カルテの導入には初期費用と月額料金がかかります。実装されている機能やサービスと比較しつつ、コストパフォーマンスの高いものを選びましょう。
オンプレミス型の買い切りタイプは、月額費用こそ発生しませんが、導入に数百万円必要なケースも珍しくありません。一方クラウド型は初期費用が無料で、月額料金も数万円程度のものが多いため、小規模なクリニックや診療所におすすめです。
また費用や機能性に注目するだけでなく、操作性や管理画面の見やすさ、提供会社から受けられるサポートなどもチェックしましょう。
電子カルテの導入で業務効率化の実現を
クリニック向けの電子カルテを紹介しました。一言で「電子カルテ」といっても、診療科目や種類によって使われている製品が異なります。
導入形態や規模でマッチする製品が変わってくるので、シェア率に注目するのではなく、必要な機能が実装されているか、クリニックの規模に合っているかなどを確認しましょう。そして料金プランも検討しながら、クリニックの環境に合ったサービスを選択することが大事です。
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