ECサイトはオンライン販売の効率化と最適化を目的として、多くの企業に採用されています。しかしECサイト構築にかかる費用は構築方法によって数万円でおさまるものもあれば数百万円以上かかるものもあるなど、予算計画を適切に立てることが重要です。
この記事ではECサイト構築サービスの費用体系や相場を構築方法別に解説します。さらに、見積もり前に気を付けるべきポイントも含めて解説しているので、ぜひECサイト構築サービスの導入を検討する際の参考にしてください。
ECサイト構築サービスの費用体系と相場
構築方法 | 初期費用 | 月額費用 | カスタマイズ性 | 特徴 |
ASP型 | 0円~10万円 | 数千円~10万円 | △ | 費用を抑えて始められる
機能は限定的なため、カスタマイズには向かない |
ショッピングモール型 | 0円~10万円 | 数万円~10万円 | × | 初期費用や運用費を抑えられる
売上手数料が発生する |
オープンソース型 | 10万円~100万円 | 数千~10万円 | 〇 | 費用を抑えながら自社独自のECサイトを構築できる
専門知識が必要となる |
パッケージ型 | 100万円~ | 数万円~ | 〇 | 費用は比較的高い
自社独自のデザインや機能を追加できる |
フルスクラッチ型 | 500万円~ | 10万円~ | ◎ | 高額となる
自社の希望に合わせて柔軟にカスタマイズができる |
ECサイト構築サービスの費用相場は、導入しやすいASP型だと初期費用が0円~10万円、月額費用が数千円~10万円です。また本格的に構築できるパッケージ型の場合は、初期費用が100万円~、月額費用が10万円ほど、さらに細かなカスタマイズも可能なフルスクラッチ型では初期費用が500万~、月額費用も10万~と高額になります。
ECサイト構築にかかる費用は、ECサイトを構築する方法によって大きく変わります。以下では構築方法別に費用体系や相場を解説します。
ASP型
ASPカート型はクラウド上でECサイトを構築するサービスです。初期費用は通常不要か、必要でも10万円程度と比較的低額に抑えられます。月額費用は利用する機能やプランによって異なりますが、数千円から10万円程度が相場です。
クラウドサービスであるため自社でサーバーを用意する必要がなく、初期投資が少なく、月額費用も比較的安価であるため、小規模な事業者でも導入しやすいのが魅力です。ただし、ASP型サービスは機能が限定的な場合が多く、大規模なカスタマイズには向きません。
以下ではASPなどを用いて無料でECサイトを構築する方法を解説しています。
ショッピングモール型
ショッピングモール型のECサイト構築サービスは厳密にはECサイトを構築するのではなく大手ショッピングモールに出店する形態です。初期費用はほとんどかからず、必要でも数万円ほどです。また月額費用は数万円から10万円程度が相場となっています。
ここまではASP型と似たような費用体系ですが、大きく異なる点として、ショッピングモール型では出店料や売上手数料といった費用が発生します。出店料はモールによって異なりますが、数万円から数十万円程度が一般的です。売上手数料は販売価格の数%〜10%程度が相場です。また、モール内での競合も多数存在するため、価格競争に巻き込まれるリスクもあります。
ショッピングモール型は、初期投資と運用費を抑えつつ、大規模な集客を狙える点が魅力です。ただし、手数料負担や価格競争などのデメリットも考慮し、慎重に選定する必要があります。
オープンソース型
オープンソース型のECサイト構築サービスは、EC-CUBEなどの無償で公開されたオープンソースソフトウェアを利用して、自社でECサイトを構築する形態です。費用体系は、主に初期開発費と運用費で構成されます。初期開発費はサイトの設計・開発に必要な費用で、数十万円から100万円程度が相場です。運用費は、サーバーやドメインの維持費用で、数千円から数万円程度が一般的です。
ただし、オープンソース型ではサイトの構築やカスタマイズに専門的な技術が必要です。自社に開発リソースがない場合は、外部の開発会社に依頼する必要があり、その分の費用が発生します。また、セキュリティ対策やバージョンアップなどの運用・保守作業も自社でおこなう必要があるため、一定の技術力と人的リソースが求められます。
パッケージ型
パッケージ型のECサイト構築サービスは専用のパッケージソフトウェアを購入し、自社のサーバーにインストールしてECサイトを構築する形態です。パッケージ型は一般的にオープンソース型と異なりライセンス料が発生します。初期費用は100万円から500万円程度、月額費用は数万円から数十万円程度が相場となります。
パッケージ型はこれまでの3つの構築方法に比べると比較的高額です。しかし、商品管理や顧客管理、決済処理等の機能を一通り揃えているため高機能なECサイトを構築できるだけでなく、カスタマイズも可能なため、自社の要件に合わせて機能を追加や変更することができます。ただし、ソフトウェアをサーバーにインストールするため、定期的なバージョンアップが必要となる点にはご注意ください。
フルスクラッチ型
フルスクラッチ型のECサイト構築サービスは、自社の要件に合わせて、ゼロからシステムを開発する形態です。初期開発費は、要件定義から設計や開発、テストなどに必要な費用で、500万円以上が相場で数千万円かかることもあります。月額費用である運用費は、サーバーの保守費用、セキュリティ対策費用、システムの保守・更新費用などで、数十万円以上が一般的です。
フルスクラッチ型のメリットは完全な自由度が得られる点です。自社の業務フローや商品特性に合わせて、最適なシステムを構築できます。ただし、自由度が高い反面、費用と開発期間が膨大になるというのがデメリットです。システムを一から開発するため、開発期間も半年から1年以上かかることが珍しくありません。
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ECサイト構築サービスの費用比較
構築方法 | サービス名 | 初期費用 | 月額費用 | 無料トライアル |
ASP型 | STORES
(フリープラン) |
0円 | 0円
支払手数料:5% |
– |
ASP型 | STORES
(ベーシックプラン) |
0円 | 2980円
支払手数料:3.6% |
〇(初月無料) |
ASP型 | MakeShop | 11000円~ | 12100円~ | 〇(15日間無料) |
オープンソース型 | EC-CUBE | 0円 | 要問合せ | – |
パッケージ型 | DG1 | – | 29700円~ | 〇(14日間無料) |
パッケージ型 | ebisumart | 300万円~ | 20万円~ | – |
STORESのようにASP型は無料で始めることができ、有料プランでも費用を抑えることができます。しかし、機能の幅は限られてしまうため、カスタマイズをしたい方はDG1やebisumartのようなパッケージ型のものを導入するとよいでしょう。また、無料トライアルを活用することでサービスの使用感を確かめましょう。
ECサイトの構築費用を抑えるコツ
補助金を活用する
ECサイトの構築費用を削減する方法として、補助金の活用が挙げられます。補助金は国や自治体が企業の経営を支援するために提供する資金援助制度です。ECサイト構築に関連する補助金を上手に活用することで、初期費用の負担を大幅に軽減できます。たとえば「小規模事業者持続化補助金」や「事業再構築補助金」などがあります。
補助金の活用は、ECサイト構築費用を抑える有効な手段ですが、申請から交付、報告まで、一定の手間と費用がかかることを理解しておく必要があります。さらに審査があることも多いため、必ずしも補助金を得られるというわけではありません。自社の体制や、事業計画に合わせて、補助金の活用を検討することが重要です。
内製化を検討する
外部の制作会社に委託するのではなく、自社の従業員が直接対応することで、費用を抑えられます。アウトソーシングにかかる人件費によって費用がかさんでしまうので自社で完結できる業務を見極め、できるだけ内製化できるようにしましょう。
しかし、内製化にもいくつか注意点があります。ECサイトの構築・運用には、一定の専門知識が必要です。自社に適切な人材がいない場合は、採用や教育に費用がかかってしまう可能性があります。また、内製化は業務負荷の増加につながります。
内製化とアウトソーシングは完全に二者択一ではありません。一部の業務を内製化し、一部の業務をアウトソーシングするといったハイブリッドな方法も考えられます。自社の強みを活かしつつ、弱みはアウトソーシングでカバーするという柔軟な発想も必要でしょう。
まとめ
ECサイト構築サービスの費用体系や相場について解説しました。
ASP型、ショッピングモール型、オープンソース型、パッケージ型、フルスクラッチ型などサービスの種類によって費用感やカスタマイズ性などが大きく異なります。
ECサイト構築サービスの選定は単なる費用の比較だけでなく、費用対効果を見極めることが肝要です。自社のビジネスモデルや、商品の特性、顧客のニーズなどを踏まえ、売上向上に最も寄与するサービスを選択すべきでしょう。補助金や助成金の活用、内製化の検討など、費用を抑える工夫も重要ですが、あくまでも費用対効果を最優先に考えることが大切です。
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