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入力作業を削減する4つの方法と4つのステップをわかりやすく解説

最終更新日: 2025年10月24日

「日々の請求書や日報の入力作業に追われ、現場が疲弊している」「DXの必要性は認識しているが、何から手をつければよいか分からない」…そんな悩みを抱える中堅企業の管理者様は少なくありません。

実際に、バックオフィス業務担当者の47.3%が「デジタル化されていない業務に時間がかかる」と回答(※1)しており、中小企業の約74%がDXの初期段階で停滞しているというデータ(※2)もあります。

入力作業の削減は、単なるツール導入(点)ではなく、業務プロセス全体の最適化(線)で考える必要があります。この記事では具体的な削減方法の紹介に留まらず、「どの課題から着手すべきか」を判断するフレームワークと、投資失敗を回避するための「実践的ロードマップ」を徹底解説します。

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「ツールを導入したが『ツールの隙間』の手入力が終わらない」「請求書処理やデータ入力の属人化を根本から解消したい」そのお悩み、解決策の「診断」から見直しませんか?入力作業の削減には、「AIによる作業の自動化」と、「BPaaSで業務ごとプロセスを任せる」という2つの主要なアプローチがあります。

ミツモアは特定のツールに偏らない「中立的な立場」で、両者を組み合わせた最適な解決策を無料でご提案します。まずは専門コンサルタントにご相談ください。

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入力作業の削減は「4つの方法」と「4つのステップ」で実現できる

オフィスでパソコンを操作する女性

入力作業を効果的に削減するには、闇雲にツールを導入するのではなく、「業務改善」と「ツール活用」を組み合わせた体系的なアプローチが不可欠です。主要な方法は4つに分類され、成果を出す企業は例外なく4つのステップでプロジェクトを進めています。

入力作業を削減する「4つの主要な方法」

入力作業を削減する方法は、大きく4つのアプローチに分類されます。これらは、業務の「廃止・標準化」といった根本改善、「アウトソーシング」による外部委託、そしてRPAやAIを活用した「自動化・デジタル化」であり、課題の性質に応じて使い分けることが重要です。

  1. 業務プロセスの見直し: そもそも不要な入力作業の廃止、入力ルールの統一・標準化。
  2. アウトソーシング(BPO)の活用: データ入力業務そのものを外部の専門業者に委託。
  3. 定型作業の自動化(RPA/マクロ): PC上の繰り返し作業(コピペ、システム入力)を自動化。
  4. 非定型・紙業務のデジタル化(AI-OCR/システム連携): 紙帳票や手書き文字を読み取り、データ化。二度手間を根絶します。

失敗しないための「4ステップ・ロードマップ」

最も重要なのは「進め方」です。DXで「十分な成果が出ている」と回答した企業はわずか9.2%(※)に過ぎない現実からも、正しい手順を踏む重要性がわかります。

  • STEP 1: 現状の可視化と課題の「診断」: どの作業に時間がかかっているかを棚卸しし、「効果の大きさ」と「実行難易度」で優先順位を付けます。
  • STEP 2: 「0円」でできる業務改善: ツール導入の前に、フォーマット統一や入力ルールの徹底など、今すぐできる改善を行います。
  • STEP 3: ツールの「スモールスタート」: 優先度の高い業務で、RPAやAI-OCRなどのツールを限定的に導入し、費用対効果(ROI)を検証します。
  • STEP 4: 効果の評価と「横展開」: 小さな成功体験を基に、他部署への展開や、システム間連携(二度手間削減)へと進めます。

STEP 1:現状の可視化と課題の「診断」

多くの企業が失敗する最初の関門が、この「課題の特定」です。ここでは、ブラックボックス化した業務を可視化し、取り組むべき優先順位を「効果」と「難易度」の2軸で科学的に診断する方法を解説します。

課題の洗い出し:まずは「どこで」「誰が」「何を」入力しているか可視化する

最初のステップは、ブラックボックス化している業務の可視化です。バックオフィス業務の課題として「特定の人しかわからない業務がある(属人化)」が57.3%(※)にも上る通り、まずは全体像を把握しなければなりません。

以下の項目で、社内の入力作業をすべて洗い出してください。

  • 部署名 / 担当者
  • 入力対象(例:紙の請求書、Excelの日報)
  • 入力先システム(例:基幹システム、会計ソフト)
  • 所要時間 / 月
  • 発生頻度(例:毎日、月末集中)

優先順位付け:「効果」と「難易度」のマトリクスで分類する

洗い出した作業を「効果」と「難易度」の2軸で分類し、取り組むべき順序を決定します。

  • 縦軸(効果): 削減できる時間、関わる人数の多さ
  • 横軸(難易度): 実行しやすさ(ルール変更の容易さ、関係部署の少なさ)
  1. 象限①【最優先:クイックウィン】(効果:大 / 難易度:低)
    • 戦略: まずここから着手します。現場の協力も得やすく、早期に成功体験を積むことができます。(例:特定の部署内だけで完結する定型コピペ作業)
  2. 象限②【計画的に実施】(効果:大 / 難易度:高)
    • 戦略: 全社的なルール変更やシステム導入が必要な本丸です。クイックウィンでROIを証明した後、経営陣を巻き込んで計画的に投資します。(例:全社共通の請求書フォーマット変更とAI-OCR導入)
  3. 象限③【後回し】(効果:小 / 難易度:低)
  4. 象限④【着手しない】(効果:小 / 難易度:高)

経済産業省の分析(※)でも、DX先進企業は「明確なKPI設定」や「挑戦を促す組織文化」を特徴としています。この「クイックウィン」から始めるアプローチは、まさに先進企業の成功パターンと合致するものです。

STEP 2:「0円」でできる業務改善

ノートパソコンをタイピングする男性の

高額なツール導入の前に、まずは「0円」で実施できる業務プロセスの見直しに着手します。入力作業そのものの「廃止」、フォーマットの「統一」、そしてExcel機能の活用による「効率化」という3つの視点が、後のツール導入効果を最大化します。

① 不要な入力・転記作業を「廃止」する

「そのデータ入力は、本当に必要か?」「Excelと基幹システムに二重管理されていないか?」を徹底的に見直します。

バックオフィス担当者が自動化したい業務の筆頭は「データ入力・転記」(51.8%)(※)です。この「転記」作業、すなわち「二度手間」こそが現場の最大のペインであり、真っ先に廃止を検討すべき対象です。

② 入力フォーマット・ルールを「統一」する

入力作業が残る場合、そのルールを標準化します。特に紙帳票のフォーマット統一は、後のAI-OCR導入時に読み取り精度を安定させる上で極めて重要です。

  • 取引先ごとにバラバラな請求書の受領方法(紙、PDF、EDI)を見直す
  • 社内の日報や報告書のフォーマットを統一する
  • 入力項目(全角/半角、日付形式)のルールを明確化し、可能な限りプルダウン選択式に変更する

③ Excel作業を「マクロ・関数」で効率化する

VLOOKUP関数やピボットテーブルによる集計自動化、あるいは入力フォームの作成によるミス防止など、Excelの標準機能やマクロ(VBA)だけでも大幅な効率化が可能です。

これらは初期費用・月額費用ともに「0円」から実行できる、最も手軽な「クイックウィン」施策です。ただし、作成者への依存(属人化)というリスクを内包しているため、あくまで局所的な改善と割り切るか、管理ルールを定める必要があります。

STEP 3:ツールの「スモールスタート」

STEP 1で診断した課題に基づき、ここで初めて具体的なツールの選定に入ります。RPAAI-OCRBPOなど主要な4つの方法を比較し、自社の課題解決に最適なソリューションを「小さく始めて大きく育てる」ための選定ポイントを解説します。

方法①:定型的なPC作業が多いなら「RPA (Robotic Process Automation)」

定型的なPC作業が多い場合、RPA (Robotic Process Automation) が最適です。これは、データ抽出、システム入力、コピペなどPC上の決まった操作をソフトウェアロボットが代行する技術です。

企業がRPAを導入する最大の理由が「手作業による業務が多い(入力・転記・登録など)」こと(※1)である通り、交通費精算のチェックや売上データの基幹システムへの転記といった業務に威力を発揮します。コスト感は、初期費用0円から数100万円、月額5万円程度からと幅があります。

選定時は、スモールスタート向きの「クラウド型」か、大規模・高セキュリティ要件向きの「オンプレミス型」かという提供形態、そして現場主導か情シス主導かで求められる「操作性」がポイントになります。また、「生成AIとの連携」も、非定型業務への対応を見据えた最新トレンドです。

方法②:紙の帳票・手書き文字が多いなら「AI-OCR」

紙の請求書や手書きの日報など、アナログ帳票の入力作業がボトルネックであれば、AI-OCRが強力な解決策となります。これは、AI技術で紙やPDFの文字を99%に近い高い精度で読み取り、テキストデータ化するソリューションです。たとえば製造業では、請求書だけでなく、図面、部品表、品質検査記録書など多様な書類に活用されています。

コスト感は初期費用0円から100万円、月額3万円からと、読み取り枚数に応じた従量課金制が主流です。選定におけるポイントは、2024年1月に完全義務化された「電子帳簿保存法」や「インボイス制度」といった法制度への対応機能です。あわせて、自社で扱う帳票(特に手書き文字)の読み取り精度をトライアルで必ず確認し、RPAや会計システムとシームレスに連携できるかも見極める必要があります。

方法③:非定型だがパターン化できる作業なら「Excelマクロ/VBA」

RPAを導入するほどではないものの、Excel内で完結する複雑な集計レポート作成や、パターン化された定型メールの自動生成といった作業には、Excelマクロ(VBA)が有効です。

最大のメリットは、初期費用・月額費用ともに「0円」であり、社内に知見を持つ人材がいれば即座に着手できる点です。これは局所的な改善における「戦術的」な選択肢と言えます。

ただし、その手軽さゆえに、作成者本人にしか修正できない「属人化」のリスクを常に内包しています。全社的な標準化には向かないため、あくまで管理可能な範囲での局所的な効率化と割り切り、ガバナンスを効かせることが重要です。

方法④:専門性が必要・物量が多いなら「アウトソーシング (BPO)」

データ入力業務そのものを、外部の専門業者に委託する(BPO)のも有力な選択肢です。特に、繁忙期だけの大量入力や、専門知識が必要なデータ処理など、自社リソースでの対応が困難な場合に適しています。コストは初期費用0円から、業務量に応じた月額5万円程度からが目安です。

選定時は、機密情報を預けるため、PマークやISMS認証といったセキュリティ体制の確認が必須です。また、単なる安さだけでなく、業務の品質(ミス率や納期)も重視すべきです。

BPO事業者が作業代行に留まらず、業務フローの再構築やマニュアル作成まで行い、属人化の解消に成功している事例もあります。単なる「作業の手」としてではなく、こうした「改善のパートナー」となり得るかどうかも、重要な見極めポイントです。

STEP 4:効果の評価と「横展開」

パソコンを見ながら打ち合わせをするビジネスウーマン

プロジェクトの成否は、スモールスタートの「その後」にかかっています。「なんとなく楽になった」で終わらせず、削減効果を具体的な数値で「評価」し、その成功体験をテコに他部署へ「横展開」する方法論を解説します。

① 効果測定(ROI)を徹底し、経営陣を説得する

「クイックウィン」で得た成果を、必ず定量的に測定します。これが、次の投資(STEP 1の象限②)を引き出し、プロジェクトを全社的なものへとスケールさせるための、経営陣に対する最強の説得材料となります。

何を測定するか

導入前に設定した「削減目標時間」に対し、導入後に「実際に削減できた時間」を測定します。

どう説得するか

削減時間を金額換算します。

  • (例)サッポロビール株式会社: RPA活用で年間約5,700時間を削減。これは金額換算で約1,100万円に相当します。※1
  • (例)某製造業: AI-OCR導入で月200時間の作業を45時間に短縮(78%削減)。※2
  • (例)日野興業株式会社: RPA導入で月間170時間の作業工数を削減。※3
こうした具体的なROI(費用対効果)の証明こそが、プロジェクトを一過性で終わらせないための鍵です。

② 小さな成功を「横展開」し、全社的な成果につなげる

一つの部署での成功は、あくまでスタート地点です。その成功事例をモデルケースとして、他部署へ「横展開」します。

  • 現場のメリットを強調する: 横展開の際は、コスト削減効果(経営層向け)だけでなく、現場の定性的なメリットも併せて伝えます。「残業がゼロになった」「煩雑な作業ストレスから解放された」といった現場の声は、他部署の協力を得る上で強力な武器となります。
  • 推進体制を強化する: スモールスタートの知見を活かし、情シスや経営企画部が中心となって全社的な導入・管理ルールを策定し、ガバナンスを効かせながら展開します。

導入担当者が陥りがちな4つの失敗例と対策

最後に、DX推進企業の9割近くが成果に苦しむ現実を踏まえ、担当者が最も恐れる「投資失敗」を回避するためのチェックリストを提示します。ロードマップの各段階で、これらの「罠」に陥っていないか常に確認してください。

課題の特定があいまいで、高機能なツールを導入してしまう

DX推進の障壁として「予算の確保が難しい」は24.5%(※)を占めます。課題が曖昧なまま高機能なツールを導入することは、貴重な予算の無駄遣いに直結します。

〈対策〉

STEP 1の「課題診断」を徹底します。まずは「クイックウィン」(効果:大 / 難易度:低)の領域から着手し、小さな投資で確実な成果を出すことに集中してください。

現場の協力を得られず、「使われない」ツールになる

バックオフィス業務の最大の課題は「属人化」です。その業務を最もよく知る現場のキーマンの協力なしに、プロジェクトは成功しません。

〈対策〉

導入初期から現場のキーマンを巻き込みます。彼らの「手作業の辛さ」を理解し、ツール導入が「仕事を奪う」ものではなく、「煩雑な作業から解放する」ものであるというメリットを共有します。

自動化の対象業務が「頻繁に変更」され、ロボットが止まる

業務フロー自体が不安定なまま自動化を進めると、仕様変更のたびにロボットの修正が必要になり、かえって工数が増大します。

〈対策〉

まずは業務フローが安定・標準化されている業務から対象にします。これが、STEP 2(ツール不要の業務改善)を先に行うべき理由です。

「野良ロボット(属人化)」が生まれ、管理不能になる

手軽なExcelマクロや現場主導型RPAは、管理ルールがないと「野良ロボット」化します。作成者が退職した途端、誰もメンテナンスできなくなり業務が停止するリスクです。

〈対策〉

情シス(または推進部署)が、スモールスタートの段階から管理ルールを策定します。約6割の企業(※)がDX人材の大幅な不足を感じており、限られたリソースで管理するためにも、ガバナンスの仕組みが不可欠です。

まとめ:入力作業の削減は「診断」と「スモールスタート」から

パソコンを操作するスーツスタイルのビジネスパーソン

入力作業の削減を成功させる鍵は、いきなり高機能なAI-OCRやRPAのカタログを取り寄せることではありません。

  1. まず自社の課題を「診断」し、優先順位を決めること。
  2. ツール不要の「業務改善(標準化・廃止)」から着手すること。
  3. ツールは効果の出やすい領域で「スモールスタート」し、ROIを証明すること。
  4. 証明したROIを基に「横展開」し、プロジェクト全体のリスクを管理すること。

入力作業の削減は、単なるコストカットではなく、優秀な社員を付加価値の低い作業から解放し、彼らの創造性を引き出すための戦略的な一手です。この記事で紹介したロードマップが、生産性向上プロジェクトを成功に導く一助となれば幸いです。

入力作業の削減に向けた「次の一歩」を踏み出しませんか?

ガッツポーズを挙げるビジネスマンのイラスト

入力作業削減の成否は「STEP 1:診断」と「STEP 3:スモールスタート」にかかっています。

しかし、「SaaS間の『隙間作業』が残っているが、AIやRPAで自動化すべきか?」「業務が属人化しているが、BPO(BPaaS)で丸ごと委託すべきか?」この「ソリューション選定」こそが最も難しく、DX失敗の最大の分岐点です。

ミツモアの業務支援サービスでは「AIエージェントによる作業の自動化」と「BPaaSによる業務プロセスの外部化」両方の選択肢を、ヒアリングした貴社の課題から最適な解決策として無料でご提案します。まずは「自社の課題診断」から始めてみませんか?

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