ミツモア

カスタマーハラスメントとは?企業が講じるべき対策を解説

ぴったりのCRM(顧客管理システム)をさがす
最終更新日: 2024年03月02日

近年増加しているカスタマーハラスメントとは、顧客から従業員・企業に対して行われるハラスメントです。具体的な事例や、カスハラが及ぼす悪影響について把握しておきましょう。カスハラへの事前対策や、発生後の対策についても解説します。

カスタマーハラスメントとは

カスハラ「カスハラ」とも呼ばれるカスタマーハラスメントとは、どのようなハラスメントなのでしょうか。カスハラについて詳しく解説します。

顧客や取引先からの悪質な要求やクレーム

クレームとは本来、顧客が企業に対し、品質やサービスの向上・改善を求め、要求や意見を伝える正当なものです。企業にとって、品質やサービスの改善の参考となる、顧客からの貴重な意見です。

一方でカスハラは顧客が優位な立場を利用し、企業に対して不当・悪質なクレームや、過度な要求をすることを指します。クレームと違い顧客自身の理不尽な要求を、企業に対し強引な口調や態度で押し通すものです。

嫌がらせ目的や、酔っぱらってクレームをつけるなど、理不尽な内容で従業員に言いがかりをつけます。

パワハラ、セクハラに次いで多い

厚生労働省の企業調査によると、過去3年間の相談件数の割合はパワハラ48.2%・セクハラ29.8%・カスハラ19.5%と、パワハラ・セクハラに次いで多く、問題になっています。

カスハラが増加している理由の一つに、企業側のサービスが挙げられます。他社と差をつけるためにサービスを追求した結果、サービスが過剰になり、それを当然とする顧客が増えたのです。同様のサービスを提供しない企業に対し、「どうしてお前の店はしないんだ!」とクレームをつけます。

現代社会では会社や家庭で、ストレスをため込む人が多く存在します。そのストレスを解消するために、顧客に逆らえない立場の従業員に、カスハラをするのです。

参考:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」

カスタマーハラスメントの事例

クレームカスハラにはさまざまなパターンが存在します。カスハラをよく知るために、どのような事例があるのか把握しておきましょう。

暴言や脅迫、長時間の居座りなど

カスハラとしてまず挙げられる行為に、暴言や脅迫があります。従業員を大声で責めたり、きつい口調で文句を言ったりする行為です。

ひどいときには店内で暴れて物を壊したり、店員に危害を加えたりすることもあります。クレームをつけるために頻繁に来店する、店内に長時間居座るなどのカスハラは、店員だけでなく他の利用者にも迷惑です。

「店の不手際をSNSやマスコミに暴露してやろうか」「慰謝料を払え」などという脅迫行為も、カスハラにあたります。

過度な要求やSNSへの投稿など

企業側の落ち度に対して、常識の範囲を超えた要求を行うことも、カスハラにあたります。「買った商品が不良品だった。今すぐ家まで持ってこい」「サービスが気に入らないから金は払わない」「謝罪するなら土下座しろ」などといったものです。

最初の問題から徐々に話がずれていき、話をすり替えて延々とクレームをつけ続け、対応する店員やオペレーターの時間をとります。

また従業員の個人情報を、SNSで暴露するカスハラもあります。「〇〇市にある〇〇店の、〇〇という名前の店員、対応が最悪!」のように、個人が特定できる情報を公開するのです

カスタマーハラスメントの悪影響

鬱カスハラを受けることによって、対応する店員やオペレーターが時間を取られるだけでなく、さまざまな悪影響があります。従業員にとっても企業にとっても深刻なものなので、把握しておきましょう。

従業員の労働意欲や健康の低下

カスハラに対応した従業員は、大きなストレスにさらされます。クレーマーに対して腹が立ったり、恐怖を感じたりするだけではありません。「なぜこんな仕事をしなければいけないんだ」「あんなことを言われてまで、この仕事をしたくない」など、労働意欲が減退することもあります。

またカスハラに対応すると、精神的にもダメージがあるので、夜眠れなくなったり、悪化すると通院や服薬が必要になったりすることもあります。体調を崩すことにより業務の質が低下したり、欠勤が増えたりと、業務に悪影響を与えることがあることも、把握しておきましょう。

カスハラによって、対応した従業員の労働意欲や業務能力が低下するだけでなく、退職につながることもあります。

参考:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査」

企業の業務への支障

カスハラは企業にも深刻な悪影響を与えます。

カスハラに対応している従業員が、時間を取られることで、その従業員がすべき他の業務が停滞します。それだけでなく上長による謝罪対応や電話対応、社内で対応方法の検討など、カスハラ対応には多くの時間が浪費されるのです。

また代替品や返金対応などで、金銭的損失も発生します。さらにカスハラを受けた従業員の離職や、SNSでの誹謗中傷による企業のイメージダウンなど、カスハラの悪影響は企業にとっても深刻です。

他の顧客へのサービスの質の低下

従業員がカスハラに対応している間、他の顧客への対応が遅れることも多くあります。待ち時間が発生したり、サービスの質が低下したりと、他の顧客に不満がたまってしまうでしょう。

また従業員への暴言や店頭への居座りなどで、お店の雰囲気が悪くなってしまうと、他の顧客が離れてしまう可能性もあります。

カスハラは従業員や企業だけでなく、他の顧客にも迷惑をかけるものです。客足の減少は企業のダメージにつながります。

カスタマーハラスメント対策は企業の責任

ビジネス サポート顧客からの理不尽なクレームや暴言から、従業員を守ることは企業の責任です。企業としてどのようにカスハラに対策するべきか、見ていきましょう。

企業が負う安全配慮義務とは

従業員の健康と安全に配慮するのは、企業や組織の義務です。「安全配慮義務」として労働契約法の第5条に定められており、義務の範囲についても細かく記されています。

従業員が顧客に暴言を吐かれたり、精神的に追い詰められたりなどしているときに、企業がカスハラ対策をしないと、安全配慮義務違反にあたります。罰則は定められていませんが、違反した状態で従業員に損害賠償請求をされた場合、企業は応じなければならない可能性があるのです。

参考:厚生労働省「労働契約法のあらまし」

損害賠償責任が認められた裁判例もある

市立小学校の案件で、従業員が受けたカスハラに対して、学校側が不適切な対応を取り、賠償責任が認められた事例があります。一般企業でもあり得る事例なので、事件の概要を知っておきましょう。

原告である小学校の教諭が、担当クラスの児童の保護者から理不尽な暴言を受けました。それに対し校長は事実関係にそぐわない対応を取り、保護者に対して謝罪するように、教諭に指示を出しました。

これを甲府地判は不法行為と判断し、甲府市及び山梨県は損害賠償責任を負う判決が出されています。

参考:監査委員事務局「甲府市職員措置請求に係る監査結果」

企業が実施すべき事前対策

ハラスメント従業員をカスハラから守るために、企業はどのような動きを取ればよいのでしょうか。カスハラに対して企業が実施すべき対策法を解説します。

相談窓口の設置

従業員がカスハラ被害に遭ったときは、すぐに相談できる環境が必要です。

企業はカスハラ対策として、相談対応者を決めておいたり、パワハラ・セクハラなどハラスメント全般に関する相談窓口を設置したりしましょう。

またカスハラ相談対応者や相談窓口の存在を、従業員に広く周知することが大切です。相談を受けた人や窓口から、人事労務部や法務部と連携が取りやすいようなシステムを、整えておく必要もあります。

対応の仕方や手順を整備し徹底する

企業や従業員がいくら注意していたとしても、カスハラの発生を防ぐのは困難です。そのためカスハラに遭ったときの、対応の仕方や手順を整備しておく必要があります。

まずは企業として、カスハラに対する方針や姿勢を明確にしておきましょう。カスハラに遭ったときの対応方法をマニュアル化することで、いざ遭遇した場合に慌てることなく対応できます。

またカスハラに遭った後の対応方法まで、明確にすることが大切です。誰もしくはどこの部署に報告や相談をするのか、相談を受けた側はどのような指示や助言をするのかまで、決めておきます。

従業員の教育・研修

カスハラに対する企業としての対応を決めたら、現場の従業員の教育も忘れてはいけません。

対応方法の周知のみで終わらせず、さまざまなカスハラのパターンを予想し、実践に活かせるよう研修を行うことが大切です。またカスハラ相談対応者や、相談窓口担当者の教育も必要です。

現場にいない経営層は、カスハラが従業員や企業に与える悪影響や、企業が負う安全配慮義務に関しての意識改革を図りましょう。外部講師による研修を行い、カスハラ対策や従業員を守る対応などに、積極的に取り組む必要があります。

カスタマーハラスメント発生後の対策

ハラスメント従業員や企業がカスハラを受けた後は、どのように対処すればいいのでしょうか。企業として行っておくべき対策を紹介します。

事実関係の確認

従業員からカスハラの報告や相談を受けたら、時系列で正確な事実関係を確認します。その後に顧客が何を求めているのか把握しましょう。サービスに過失があったかどうか、もしくは商品の状態を確認します。

顧客の主張が妥当で、要求手段や態度が一般的な常識の範囲内と判断できる場合は、返金や交換に応じます。この場合一人ではなく、複数名で判断することが重要です。

たとえ顧客に「すぐに対応しろ!」と言われていても、個別に判断することを避け、周囲や管理者などに相談することを徹底しておきましょう。

従業員のフォローと再発防止の取り組み

カスハラを受けた従業員は、精神的に疲弊しています。一度受けただけでも相当なダメージですが、くり返されるカスハラの場合は深刻です。一人の従業員に任せず、複数名もしくは組織的に対応するようにしましょう

カスハラに対応した従業員が体調不良を起こしたり、離職を考えるほど精神的に追い詰められたりしないように、しっかりとフォローする必要があります。

カスハラの再発防止の措置として、対応方法や手順は定期的に見直し、問題点があれば改善するなど、継続的にカスハラ対策の取り組みを行うことも大切です。

増加しているカスハラには適切な対策を

カスハラ対策品質やサービスに対し、改善や向上を求める正当なクレームに対し、理不尽な言いがかりや過度な要求を、強い態度で押し通そうとすることを、カスタマーハラスメントといいます。

カスハラは従業員にも企業にも悪影響を及ぼすため、企業として対策しておくことが重要です。カスハラに遭ったときのマニュアルを準備し、従業員に広く周知しながら、対応した従業員のメンタルケアも行いましょう。

近年増加しているカスハラに対しては、従業員に任せるのではなく、企業としてしっかりと対応することが大切です。

ぴったりのCRM(顧客管理システム)選びはミツモアで

ミツモアロゴ

CRM(顧客管理システム)は製品によって特徴や機能もさまざま。「どの製品を選べばいいかわからない・・・」といった方も多いのではないでしょうか。

そんなときはミツモアにおまかせ。最短1分の自動診断で、ぴったりのCRM(顧客管理システム)が見つかります。

ぴったりのCRM(顧客管理システム)を最短1分で無料診断

従業員数や欲しい機能などの項目を画面上で選択するだけで、最適なCRM(顧客管理システム)を最短1分で自動診断。もちろん費用はかかりません。

ぴったりの料金プランも一緒にお届け

希望条件に沿った料金プランも製品と一緒に診断します。概算金額を見積もりからチェックして、理想のプランを探してみましょう。

診断結果は最大5製品!比較・検討で最適なCRM(顧客管理システム)が見つかる

最大で5製品の診断結果をお届けします。検討していた製品だけでなく、思わぬ製品との出会いもあるかもしれません。

ミツモアなら、ぴったりのCRM(顧客管理システム)がすぐに見つかります。

ミツモアでCRM(顧客管理システム)を比較する

サービス提供事業者さま向け
ミツモアにサービスを
掲載しませんか?
ミツモアにサービスを掲載しませんか?

ミツモアは依頼者さまと事業者さまをつなぐマッチングサイトです。貴社サービスを登録することで、リードの獲得及びサービスの認知度向上が見込めます。 さらに他社の掲載サイトとは違い、弊社独自の見積システムにより厳選されたリード顧客へのアプローチが可能です。 もちろん登録は無料。 ぜひミツモアにサービスをご登録ください。