建設現場ごとの原価情報をリアルタイムにまとめられず、適切な原価管理ができないと悩む企業は少なくありません。特有の原価計算方式が存在する点も、建設業の原価管理が難しいと言われるポイントです。
その点建設業向けの原価管理システムを導入すると、現場と経理部門双方にとって負担の少ない原価管理を実現できます。
そこで本記事では建設業におすすめの原価管理システムを厳選して5製品ご紹介。選び方や導入事例も併せて紹介します。ぜひ、原価管理システムを比較検討する際の参考にしてください。
建設業向け原価管理システムの選び方
建設業向け原価管理システムを選ぶ際は、以下の5つに注目しましょう。
- 工事進行基準に対応できる製品を選ぶ
- 「未完成工事原価」の処理に対応した製品を選ぶ
- 可視性の高い工事台帳と多角的なシミュレーションを用いた製品を選ぶ
- 工事間接費の配賦機能を搭載した製品を選ぶ
- スマホやタブレットで使える日報管理機能で選ぶ
建設業向けの原価管理システム選びなら、ぜひミツモアをご利用ください。欲しい機能などの各項目を画面上で選択するだけで、ぴったりの製品を最短1分で自動診断。理想の原価管理システムが見つかります。 |
工事進行基準に対応できる製品を選ぶ
「工事進行基準」を売上基準として採用できる製品を選びましょう。
工事進行基準とは年次・月次をまたぐ工事の途中で、収益と費用を複数回に分けて損益計算書に反映させる方式のことです。工事進行途中で売上を計上することになるので、工事における総売上と総原価、進捗度をあらかじめ正確に見積もれる場合のみ適用できます。
総売上や総原価、進捗度を客観的に数値化できる原価管理システムを選ぶことで、工事進行基準の体制を整えることが可能です。追加注文に対して早期段階で請求したり、長期工事における資材価格の高騰に対応したりと柔軟な売上管理を実現します。
「未完成工事原価」の処理に対応した製品を選ぶ
材料費や労務費、外注費、経費といった原価項目を「未完成工事原価」の考え方に基づいて計上できる原価管理システムを選びましょう。
「未完成工事原価」とは決算のタイミングで未完成の工事に対して、原価の計上を翌年度に繰り越しする計上方法です。
長期的な工事では売上の発生が翌年度以降になることが多く、年度内にすべての原価を計上すると、支出と収益に齟齬が生まれてしまいます。そこで、翌年度以降に繰り越して調整を行うのです。
原価管理システムを導入して「未完成工事原価」に対応することにより、業績の把握や財務諸表の作成を正しく行えるようになります。
可視性の高い工事台帳と多角的なシミュレーションを用いた製品を選ぶ
材料費や労務費、外注費、経費といった原価をミスなく入力できるよう、可視性の高い工事台帳を搭載した原価管理システムを選びましょう。
費目別や工事別に加え、年度別や部門別、発注者別で原価計算を行えるとさらによいです。根拠に基づいた正確な工事金額を算出して、請負工事の受注までの流れをスムーズに行えます。
また多角的なシミュレーションを行える原価管理システムを選ぶことも大切です。受注時の見積もり時点で原価削減を試みたり、工事完了時の赤字を防いだりできます。
工事間接費の配賦機能を搭載した製品を選ぶ
共通仮設費や現場管理費、一般管理費を含む「工事間接費」の配賦ができる製品を選びましょう。
工事間接費は施工内容と直接的に結び付けられず、原価管理においても可視化しにくい部分です。その点配賦機能を搭載した原価管理システムなら、施工に紐づけられない工事間接費も、一定の基準で工事や部門ごとに割り振って処理できます。
工事間接費の配賦方法には3つあり、自社に適した方法を搭載した原価管理システムを選ぶことも1つのチェックポイントです。
配賦方法 | 内容 |
一括配賦法 | 社内における工事間接費の配賦基準を全て統一する方法 |
グループ別配賦法 | 原価要素を共通項でグループ分けして、グループ別に配賦基準を設ける方法 |
費目別配賦法 | 費目ごとに個別の配賦基準を設定する方法 |
一括配賦法やグループ別配賦法を適用したい場合は、配賦基準のパターンを複数設定できる原価管理システムを選ぶとよいでしょう。
スマホやタブレットで使える日報管理機能で選ぶ
原価内訳や出来高、作業報告などを現場管理者が入力しやすいよう、スマホやタブレットで日報管理のできる原価管理システムを選びましょう。
多くの原価管理システムは、日報作成の時点で原価情報をリアルタイムに集計できます。現場担当者が使いやすい製品を選び負担を減らすことは、正確かつ速やかな原価管理の実現にもつながります。
他にも予算や完成予想原価、予算残額などを1つの画面で参照したり、従業員それぞれのスマホから勤怠報告ができたりする製品も。
日報管理機能が浸透すると、売上管理のために各拠点の報告書を本社に集めて入力するといったこともなくなります。共有しやすいかどうかも併せて、日報管理機能の内容はよくチェックしておきましょう。
建設業向けの原価管理システムおすすめ5選
数ある原価管理システムの中から、建設業におすすめの5製品を厳選してご紹介します。
「AMMIC/NetC」さまざまな切り口で原価をシミュレーション
- 期間・変動費を考慮した予算の算出ができる
- 原価の差異を詳細に算出可能
- 導入支援やアフターフォローも充実
AMMIC/NetCは予算生産計画を基に、生産実績データをシミュレーションできる原価管理システムです。導入により原料単価や固定費・稼働率の変動などによる、原価の変化をシミュレーションできます。
標準原価が設定されていれば、実際にかかった原価との差も算出可能です。詳しいデータを把握することでコストダウンにつなげられるでしょう。
加えて効率的な導入の提案やアフターフォローも行っているため、導入しやすいのも特徴です。
「建設原価ビルダー3」建設業に適した原価計上方法にしっかり対応
- さまざまな運用方法に対応できる柔軟さ
- 業務の内容を一目で把握できる
- 業務フロー単位で権限を管理
原価管理の運用方法は企業ごとにさまざまです。建設原価ビルダー3であれば、支払いを基準に原価計上する場合にも、現場への配賦を基準に原価計上する場合にも対応できます。
業務フローと作業内容を把握しやすいユーザーインターフェースも特徴です。機能がイラストで分かりやすく表示されている、タイルボタンを取り入れています。必要に応じて機能を集約している簡単メニューと、全機能を表示する高機能メニューを切り替えながら、使用可能です。
加えて総責任者・管理者・社員の3種類のパスワードを設定できる機能で、使用者に必要な権限を付与できます。
「レッツ原価管理Go2」シンプルでわかりやすい、現場に負担をかけない原価管理システム
- シンプルで分かりやすい入力画面
- 入力したデータは他の処理にもスムーズに反映
- 導入から運用まで安心サポート
原価計算を担当する経理部門はもちろん、その他の部門でも、使いやすく分かりやすい入力画面が魅力的なシステムです。複式簿記を使わないため、専門知識がなくても扱えます。
リレー機能により、1度入力したデータは自動的に次の処理へ送られるため、入力の手間がかかりません。公認インストラクターによる、導入支援を目的とした訪問指導サービスがあります。システムに慣れていない企業でも、スムーズに導入しやすいでしょう。
「どっと原価NEO」建設現場から経理担当、経営者まで誰もが使いやすい
- 業態・規模に合わせた製品を選べる
- ニーズに合わせた機能・構成を選択可能
- 外部ソフトとも簡単に連携できる
自社の規模に合わせた原価管理システムの導入を検討しているなら、どっと原価NEOが向いています。小規模企業向け・小中規模企業向け・中規模企業向けのシステムから、選択可能です。
運用の仕方に合わせオプションを選べば、自社のニーズに合わせたシステムを導入できます。運用に変化があったときのために、導入後のオプション追加にも応じています。
他のシステムやソフトとの連携による生産性向上も期待できるシステムです。
「経営格差工事クラウド」シンプルな設計と豊富な機能で建設業の課題を解決
- 中小零細建設業者のためのクラウド型原価管理システム
- 簡単操作で原価集計と原価管理を効率化
- 赤字工事の未然防止と法令対応のサポートが可能
経営格差工事クラウドは、中小零細企業の建設業者向けのクラウド型原価管理システムです。設定不要ですぐに利用を開始し、場所を選ばずどこからでもアクセスできます。
使いやすさを追求し、請求履歴や入金履歴、日報入力などが一つにまとまっています。見積書検索や原価集計機能が豊富で、工事台帳で費用分類別、月別、仕入先別の集計が簡単におこなえるでしょう。
赤字工事の予防、法令改正への対応、インボイス対応の請求書印刷、発注書や仕入明細の管理が可能です。導入後も操作指導とサポートが充実しています。経営格差工事クラウドを活用することで、建設業の課題解決に役立ちます。
建設業向け原価管理システムの導入事例
建設業向け原価管理システムを実際に導入した企業について、導入前の課題や導入効果に注目して事例を紹介します。
バラバラだった管理データを統一
建設業の上北建設(青森県十和田市)では、原価管理をデータベースシステムとExcelで行っていました。複数のシステムやソフトを利用していたため、入力に手間がかかっていたそうです。
業務効率化のために、データを一元管理できる原価管理システムを導入し、入力にかかる手間の削減に成功しました。仕入れにかかった費用の入力も、仕入先からCSVデータで受け取れば、取り込むのみで完了します。
複数回の入力がなくなり、正確なデータをもとにした資料を、スピーディーに作成できるようになったそうです。
技術者不足を解消し全社で情報の共有化・可視化
もともと使用していたシステムに対応できる技術者の不足により、建設業のNSK(東京都千代田区)では、原価管理システムの導入を検討し始めました。カスタマイズしながら使っていたシステムなので、バージョンアップ時の手間や、費用が膨らんでいたことも理由の1つです。
新たなシステムを導入した結果、全社で情報を共有できるようになり、可視化できました。案件の進捗をリアルタイムで確認できるようになった点や、作成した帳票の参照が可能になった点も、業務効率化につながっているそうです。
建設業向け原価管理システムで効率的な原価管理を実現しよう
建設業の会社で原価管理システムを導入することで、現場や経理部門の負担減少につながります。
建設業が原価管理システムを選ぶ際は、工事進行基準や未完成工事原価といった特有の計上方式に対応しているか確認することがポイントです。スマホやタブレットで使える日報管理を搭載した製品なら、拠点を超えた情報共有の迅速化にもつながります。
自社に合った建設業向け原価管理システムを導入して、現場や経理の業務負担軽減、および原価低減を実現しましょう。
以下の記事では、おすすめの原価管理システムを各サービスの特徴や料金で比較しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
ぴったりの原価管理システム選びはミツモアで
原価管理システムは製品によって特徴や機能もさまざま。「どのソフトを選べばいいかわからない・・・」といった方も多いのではないでしょうか。
そんなときはミツモアにおまかせ。最短1分の自動診断で、ぴったりの原価管理システムが見つかります。
ぴったりの原価管理システムを最短1分で無料診断
従業員数や欲しい機能などの項目を画面上で選択するだけで、最適な原価管理システムを最短1分で自動診断。もちろん費用はかかりません。
ぴったりの料金プランも一緒にお届け
希望条件に沿った料金プランも製品と一緒に診断します。実際にかかる金額を見積もりからチェックして、理想のプランを探してみましょう。
診断結果は最大5製品!比較・検討で最適なソフトが見つかる
最大で5製品の診断結果をお届けします。検討していた製品だけでなく、思わぬソフトとの出会いもあるかもしれません。
ミツモアなら、ぴったりの原価管理システムがすぐに見つかります。