問い合わせ対応の業務負担が課題となっているホテルは、チャットボットの導入がおすすめです。スタッフの業務効率を改善できるうえ、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
本記事では数あるチャットボットの中からホテル向けの製品を紹介します。ホテルがチャットボットを導入するメリットや導入事例についても紹介するので、ぜひ製品選びの参考にしてください。
チャットボットとは
チャットボットとは、「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、テキストや音声を用いて自動で会話を行うプログラムのことです。ウェブサイトやメッセージングアプリ上で、ユーザーからの質問に24時間365日リアルタイムで応答します。
ホテル業界においては、宿泊予約の受付、施設に関するFAQへの回答、周辺の観光案内など、これまで人が対応していた業務を自動化するために活用されています。
チャットボットを導入することによって、顧客満足度の向上とスタッフの業務効率化を同時に実現することが可能です。
チャットボットの種類
チャットボットは大きく分けると以下の3種類です。
- シナリオ型(ルールベース型)
- AI型
- ハイブリッド型
シナリオ型はあらかじめ設定したルールやシナリオに沿って回答する仕組みで、簡単な質疑応答に向いています。導入コストも低いので、公式サイト内で完結するような疑問に対してはシナリオ型のチャットボットがおすすめです。
AI型は機械学習技術を活用し、複雑で幅広い質問に対し文脈を理解した自然な対話が可能です。導入コストは高額ですが、予約業務全般を自動化したいなど、高度で複雑な処理が必要な場合にはAI型チャットボットがおすすめです。
さらに、シナリオ型とAI型双方の長所を組み合わせたハイブリッド型もあります。ハイブリッド型は、シナリオ型で対応できない質問のみをAI型が引き継いで回答します。
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ホテルがチャットボットを導入するメリット
ホテルがチャットボットを導入することで、以下の3つのメリットが生まれます。
お客様にとっても、ホテルで働くスタッフにとってもメリットが大きいことが、チャットボット導入の特徴です。
多言語に対応できる
大半のホテル向けチャットボットは、日本語以外の言語でも翻訳をして回答が可能です。より多くの外国人観光客にスムーズな対応を実現できます。
インバウンドを積極的に受け入れているホテルの場合、多言語対応が必須です。スタッフが対応できてもチャットボットで対応できなければ、問い合わせの段階でユーザーが離脱してしまうかもしれません。
サービスの種類によって主要言語以外の外国語に対応しているケースや、言語を追加できるケースもあります。ユーザーの傾向に合わせて対応言語の種類を比較しましょう。
スタッフの業務負担が軽減する
ホテルの問い合わせ対応はフロントが行うケースが多いでしょう。しかしフロントは接客業務も行わなければならないため、問い合わせ対応に追われると、接客業務がおそろかになってしまいます。
そこでAIの定型回答で解決できる業務をチャットボットに任せれば、フロントへの問い合わせを削減でき、メイン業務に多くの時間を使えます。
またホテルは24時間稼働するため、初期設定やメンテナンスに時間や手間がかからないサービスを選びましょう。
顧客体験の向上につながる
ホテルでチャットボットを活用すれば、予約前の問い合わせだけでなく、宿泊前や宿泊中の簡単な質問にも回答できるようになります。
たとえばホテル内の施設について知りたい宿泊客から、フロントに電話がかかってくると、フロントスタッフが回答しなければなりません。
しかし宿泊客にチャットボットを案内しておけば、よくある質問の対応はチャットボットに任せられます。さらにホテル周辺のレストランや観光地も案内できるようにしておけば、顧客体験の向上にもつなげやすいです。
ホテル向けチャットボットを選ぶ時の比較軸
チャットボットを導入するときには、解消したい課題を明確にする必要があります。以下3つの観点から課題を洗い出し、どのようなチャットボットが最適かを見極めましょう。
国内客向けか、訪日客向けか
ホテルの顧客が国内客か訪日外国人客かによって、チャットボットに必要な機能は大きく変わります。
たとえば訪日客の比率が高いホテルでは、多言語対応機能が必須です。その際は対応している言語の数の他に、翻訳の質も重要な比較軸になります。機械による自動翻訳か、ネイティブスタッフが監修した自然な翻訳かによって、お客様が受け取る印象や満足度は大きく変わります。
施設のターゲット層を明確にし、求められる機能や品質に対応できるチャットボットを選ぶことが重要です。
旅行前・旅行中・旅行後のどの業務を効率化したいか
ホテルを利用するお客様の体験は「旅行前(旅マエ)」「旅行中(旅ナカ)」「旅行後(旅アト)」の3つのフェーズに分けられます。チャットボットを選ぶ際は、どのフェーズの業務を最も効率化したいかを明確にすることが大切です。
たとえば公式サイトからの予約を増やしたいなら「旅マエ」の疑問解消や予約エンジン連携機能が、滞在中のフロント業務を軽減したいなら客室のQRコードから館内案内や備品リクエストができる「旅ナカ」機能が有効です。
施設の課題がどのフェーズにあるかを見極め、最適な機能を持つサービスを選びましょう。
有人チャットへの切り替えがスムーズにできるか
高性能なチャットボットであっても、全ての質問に完璧に答えられるとは限りません。複雑な個別相談や緊急性の高いトラブル、クレームといった繊細な対応が求められる場面では、人間のスタッフによる対応が不可欠です。
チャットボットが回答できない場合に備えて、スムーズに有人チャットに引き継げる機能があるかは非常に重要です。サービスによっては24時間体制でオペレーターが対応を代行するものもあります。
お客様の宿泊体験を良いものにするためにも、チャットボットと有人対応の連携がスムーズにできるサービスを選びましょう。
ホテル向けチャットボット5選
ホテル向けのチャットボットを5製品紹介します。
「talkappi CHATBOT」観光分野に多数の導入実績

- 多言語対応でネイティブスタッフが丁寧に翻訳
- 公式アプリやLINE、Meta(旧Facebook)、WeChatなどとの連携機能が標準搭載
- 最先端AIによる質の高いサービスを提供
「talkappi CHATBOT」は多くのホテルでの導入実績がある、チャットボットです。日本語・英語・中国語・韓国語に対応しており、FAQ回答とコンテンツについては、ネイティブスタッフが丁寧に翻訳してくれます。
多チャネルとの連携が充実しており、公式アプリやLINEからでも手数料無料の直販が可能です。事前決済にも対応しており、新たな顧客を増やせるでしょう。
館内施設や周辺の観光地を、最先端AIが自動案内してくれる点も特徴です。質の高いサービスを提供できるため、顧客体験の向上につながります。
「TripEdia」自動翻訳でインバウンドに対応

- AIによる英語・韓国語・中国語の自動翻訳
- 問い合わせ内容の分析ができ、顧客ニーズを把握可能
- LINEなどのSNS連携が充実
「TripEdia」は日本語の回答を用意すれば、AIが英語・韓国語・中国語に自動で翻訳して、24時間対応をしてくれます。
管理画面から問い合わせ内容を分析でき、顧客ニーズを把握しやすいです。
多くのスマホユーザーが使っているLINEで利用できるため、顧客満足度の向上につながるでしょう。PepperやSotaなどのロボットにも対応可能で、汎用性も高いです。
「Cognigy」高機能な対話型AIプラットフォーム

- コーディング不要で、短期間のシステム開発が可能
- 主要言語はもちろん、20以上の幅広い言語を自動で翻訳
- AIが自動でFAQを生成
すぐにでもチャットボットを導入したい場合は、コーディングが不要で、短期間で開発が可能な「Cognigy」がおすすめです。初心者でも高機能AIを開発できます。
英語や中国語などの主要言語を含む、20以上の言語に対応。さまざまな国や地域からのインバウンドを受け入れているホテルに最適でしょう。
AIがFAQを自動生成する機能も便利で、既存の規約やマニュアル、自社独自のAIロジックを用意するだけで問い合わせ文と回答文が自動で作成されます。
「RICOH Chatbot Service」ExcelでFAQを簡単管理

- シナリオ型と辞書型のハイブリッドタイプ
- 宿泊業を含む幅広い業界に対応したボットを用意
- Q&AをExcelに入力するだけで導入できる
「RICOH Chatbot Service」はハイブリッドタイプのチャットボットです。シナリオ型と辞書型を組み合わせて、さまざまな内容の問い合わせに対応します。
幅広い業種や業界に対応したボットを用意しており、ホテルへの導入実績もあります。問い合わせ対応以外にも宿泊前後の情報提供に活用可能です。
Excelに入力するだけでQ&Aを導入、管理できるため、初心者でも扱いやすいでしょう。業種別パッケージを利用すれば、Q&Aのテンプレートを使用でき、導入の手間をさらに削減できます。
「tripla Bot」有人オペレーターへの即時切替

- 無人対応と有人対応を即座に切り替え
- 標準で5言語に対応しており、言語の追加も可能
- FAQの準備が不要で簡単にスタートできる
「tripla Bot」は旅館とホテルに特化しています。機械学習が可能なオリジナルAIを搭載し、最先端のテクノロジーを活用した高品質のサービスです。
標準で主要5言語に対応しており、必要に応じて言語の追加が可能です。AIが回答できない場合は、オペレーター対応に素早く切り替えられるため、ユーザーの離脱を防げます。
初期設定やメンテナンス、機械学習業務をサポートしてもらえる点も魅力です。またFAQを準備しなくても利用を開始できるため、担当者の負担を大幅に軽減できるでしょう。
ホテル向けチャットボットの導入事例
チャットボットが現場でどのように使われているのかを知れば、導入後の効果をイメージしやすくなるでしょう。ホテル向けチャットボットの導入事例を紹介します。
ホテルモントレ
全国にホテルを展開しているホテルモントレグループは、多言語化や問い合わせ急増といった課題を解決するため、2021年から全施設でtalkappi CHATBOTを導入しました。
従来スタッフが行っていた業務の多くをAIに任せられるようになり、従業員の労働時間削減につながりました。またLINE公式アカウントと連携し、新たにLINEからのユーザーを獲得しているそうです。
また情報の一元管理により、本社と各施設の連携が強化されました。本社が全国の各施設の現状を把握しやすくなった点もメリットに挙げています。
ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル
ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルはコロナ禍における業務の効率化、スリム化という課題を抱えていました。
talkappi CHATBOTを導入した後は、定型的な問い合わせをチャットボットで対応できるようになり、ホテルに直接届く問い合わせが減ったそうです。
また回答が不十分であると判断されたデータを分析し、ユーザーニーズの可視化や、案内の精度向上に役立てています。
ホテルでチャットボットを導入する際の注意点
ホテルにチャットボットを導入するときには、以下2点の注意点を忘れないようにしましょう。
チャットボットはとても便利なツールですが、運用方法を間違えるとお客様に迷惑をかけるだけでなく、ブランドイメージの失墜にも繋がります。チャットボットを導入してかえって手間が増えてしまった、ということにならないよう、事前の確認が重要です。
「おもてなし」をチャットボットに教える必要がある
ホテル業をはじめ、日本の観光業では顧客一人ひとりに合わせた気配りをする「おもてなし」が高く評価されています。しかし、チャットボットは機械なので「おもてなし」の心を理解できません。
たとえば予約業務をチャットボットに代行してもらう場合、予約を受け付けた段階でスタッフがその内容を確認し、観光の目的や宿泊者の属性に合わせて季節の銘菓やアメニティの補充などを行うことで、予約業務の負担を減らしつつ、質の高いおもてなしをすることが可能になります。チャットボットに任せるべき部分と、人が介入すべき部分を明確にすることで効率よく質の高いサービスを提供できます。
有人オペレーターを必ず配置する
チャットボットの知識では回答できない問題など、機械では対応しきれない事態が発生した場合は人間が対応する必要があります。
ホテルの電話番号やメールアドレス、有人サポートが可能な時間帯を案内し、お客様の疑問や質問を解消できるようにする必要があります。理想は24時間対応できるようにスタッフを配置することですが、緊急性の高い部門のみ24時間対応をするなど、重要度の重みづけをすることで過剰な人件費の高騰を抑えられます。
チャットボットでホテルの利便性を高めよう

ホテルでチャットボットを導入すれば、業務効率化につながります。今まで人の手で行ってきた仕事をAIに任せられるため、さまざまなシーンでスタッフの負担を軽減できるでしょう。
特に多言語対応や業務のスリム化が課題となっているホテルがチャットボットを導入すれば、顧客の利便性はさらに高まり、顧客満足度の向上が期待できます。
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