タイムカードがない会社では出退勤時刻を用紙に記入したり、Excelで打ち込んだりして提出する自己申告制がとられていることがあります。タイムカードがないこと自体は違法ではありませんが、適切に労働時間を申告しないと違法になる場合があります。
この記事では、タイムカードがない会社で考えうる問題点、違法かどうかの判断基準や適切な労働時間の管理方法を具体的に説明します。
タイムカードがない会社の問題点

タイムカードがない会社では、勤怠管理の面で複数の問題点があると考えられます。これらの問題を防ぐためには、出勤簿をつくるか勤怠管理システムを導入して勤務時間を記録し、労務管理をおこなうことが重要です。
就業管理がしにくい
タイムカードがないと正確な就業時間を管理できないため、残業時間を管理できなかったり、勤怠トラブルになったりする可能性があります。また、勤怠トラブルになった際に、確かな証拠がないことも問題を悪化させかねません。
就業時間の改ざんが起きやすい
タイムカードがない会社では、自己申告制にて出勤簿に記入が必要なケースがあります。その場合、退勤時間を実際よりも遅い時間にするなど改ざんする従業員が現れる可能性があります。また、反対に管理者が勝手に残業時間を消すこともまた改ざんにあたります。
生産性の評価が難しい
タイムカードがない会社では労働時間を正確に把握していない可能性があり、仕事の生産性を計測することができません。業務効率を上げて利益を高めるためにも生産性の向上は大事です。生産性が測れないと、従業員の正しい人事評価もできなくなってしまいます。
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タイムカードがない会社は違法?

タイムカードは労働時間を判断する手段でしかないため、タイムカードがなくても違法ではありません。しかし、労働安全衛生法第66条の8の3では、事業者に労働者の労働時間の把握を義務付けています。そのため、労働時間の管理そのものがなされていない場合は、違法とされています。
会社にタイムカードがある場合も、注意が必要です。使用ルールが形骸化し、正確な労働時間を把握できていないのなら法律に違反している状態となり得ます。
タイムカードがない会社の勤怠管理で違法になるケースとは?
タイムカードも勤怠管理システムもない会社では、勤務時間を自己申告させていることが珍しくありません。しかし、自己申告の際に不正をおこなうと法に抵触する可能性があります。
たとえば、従業員が実際の時間よりも長く勤務時間を申告すると詐欺罪にあたると考えられます。また、企業が従業員に実際の労働時間よりも短く申告させることは労働基準法違反です。
厚生労働省のガイドラインでは、自己申告制を採用する場合に会社がとるべき措置を定めています。
タイムカードがあっても違法になるケース

タイムカードを導入していても、就業時間の改ざんをおこなうと違法となる可能性があります。
会社側による残業記録の改ざん
従業員の残業代を会社が故意に減らすのは、不正行為です。会社がタイムカードの残業記録を改ざんした場合、労働基準法第37条違反となり、労働基準法第120条に基づき30万円以下の罰金を科されるおそれがあります。
改ざん後のタイムカードの記録を労働基準監督署へ提出することも、労働基準法第120条に反する行為となりえます。
本来支払われるはずの残業代が未払いとなっている場合、従業員が訴えを起こし、未払い分を請求されることも考えられるでしょう。労働基準法第114条に基づき、裁判所は従業員が本来受け取ることができるはずだった残業代に加え、同じ金額の付加金の支払いを会社に命じることが可能です。
従業員側による打刻時間の改ざん
記録上の残業代を増やす目的で、従業員がタイムカードの残業記録を改ざんした場合、刑法246条で定められている詐欺罪に問われ、10年以下の懲役刑を科されるおそれがあります。
また、会社の就業規則には、犯罪行為に対する懲戒事由について記載があるのが一般的です。従業員がタイムカードの改ざんをおこなった場合、不正に得た残業代を会社に返還したとしても、何らかの処分を受ける可能性が高いと考えられます。
従業員による残業記録の改ざんは、タイムカードを代理で打刻してもらったり、自己申告で虚偽の報告を行ったりした際に発生しやすくなるでしょう。
タイムカードを使うデメリット

タイムカードを使って出退勤時間を管理するデメリットは3つ考えられます。ほかの管理方法を導入するか検討する場合は参考にしてください。
人的ミスが起きやすい
タイムカードの打刻情報の集計は、担当者が手作業でおこないます。そのため、転記ミスが発生しやすい点がデメリットといえます。抜け・漏れがあれば従業員への支給額にかかわるため、重大な問題です。
また、従業員自身が打刻を忘れて正確な出退勤時刻がわからなくなるケースもあるでしょう。出退勤のラッシュ時にレコーダーが混雑していて後回しにすると、そのまま打刻を忘れてしまうおそれもあります。
本人以外の人が不正に打刻できてしまう
タイムカードは通常まとめて置いてある中から自分のカードを選んで打刻するため、不正打刻しやすい設計です。遅刻してくる従業員の代わりに他人が出勤時刻を打刻したり、残業をしていないことにするため他人に打刻を依頼したりすることも可能です。しかし、これは給与の不正受給や企業の労働基準法違反に抵触するおそれがあります。
管理する会社側としては、従業員にコンプライアンス研修をしっかりとおこなうなど、不正防止のための対策が求められます。
テレワークに対応できない
タイムカードは物理的な打刻が必要なため、出社する従業員しか対応できません。他人が代わりに打刻することも推奨できないため、テレワークの従業員のために別の出退勤管理方法を導入する必要があります。
また、外回りの仕事が多い従業員は、タイムカードで打刻できないケースも考えられるため、自己申告が増えてしまいかねません。
タイムカードがない会社で勤怠管理をおこなう方法

タイムカードのない会社で勤怠管理をおこなう方法は3通り考えられます。手書きの出勤簿とExcelやGoogleスプレッドシートでの管理、勤怠管理システムでの打刻です。
手書きの出勤簿で管理
従業員が毎日手書きで出退勤時間を記録し、管理者が確認する方法です。この方法は導入費用が低く、小規模な組織に適していますが、記録ミスや不正確さが問題になることがあります。また、データの集計や分析が手間となることも考えられます。
しかし、勤怠管理システムやタイムレコーダーに不具合がある場合でも運用できる点が強みです。
ExcelやGoogleスプレッドシートで管理
ExcelやGoogleスプレッドシートを活用した勤怠管理は手書きよりも精度が高く、柔軟性があります。従業員が各自出退勤時間を入力するため、フォーマットに従って集計や計算がおこなえます。この方法はデジタル化の第一歩として適しており、パソコンがあれば導入費用もかかりません。
しかし、手動入力が基本となるため入力ミスやデータ管理の手間が発生する可能性があります。また、データの一元管理やセキュリティ対策が重要となります。
勤怠管理システムを導入
勤怠管理システムの導入は、最も効率的で正確な方法です。システムは即時的に出退勤時間を記録し、データの集計や分析も可能です。クラウドサービスならオフィス外からもアクセスできるため、リモートワークの環境にも適しています。さらに、ほとんどのシステムは法令遵守にも対応しています。
一方で、導入費用や維持費用がかかる点がデメリットです。費用対効果を考えて導入を検討するとよいでしょう。
タイムカードがない会社で適切な勤怠管理をおこなおう

タイムカードがなくても勤怠管理ができていれば違法ではありませんが、労働時間そのものを管理していない場合は違法となり得ます。また、タイムカードの記録を不正に改ざんすることも違法です。
タイムカードは誰でも簡単に扱えることがメリットですが、ミスが起きやすいというデメリットもあります。不正行為によるリスクにも注意が必要です。
勤怠管理システムを導入すれば、タイムカードのデメリットやリスクを抑えられるといえます。タイムカードがない場合は、勤怠管理システムの導入も検討し、適切な勤怠管理をおこないましょう。
次の記事では勤怠管理システムについて解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。
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