近年注目されている「ノー残業デー」とは、どのようなものでしょうか。概要から、導入時のメリット・デメリットまで紹介します。従業員にも企業にも大きなメリットをもたらすノー残業デーを理解し、上手に導入して成功させましょう。
ノー残業デーの概要
近年は「ノー残業デー」を導入している企業が増えています。ノー残業デーとはどのようなものか、なぜ注目されているのかを解説します。
定時で仕事を終える企業の取り組み
ノー残業デーとは残業をせずに、定時で退社すると企業が設定した日を指します。「早帰り日」や「定時退社日」と企業によって呼び方は変わりますが、内容は同じです。
平成23年度に実施された、厚生労働省のアンケート結果によると、60.3%の企業が「時間外労働削減」の対策として、ノー残業デーを取り入れています。
ノー残業デーを何曜日にすべきという決まりはありませんが、水曜日に設定している企業が多くみられます。土日休みの企業の場合、勤務日の真ん中にあたる水曜日をノー残業デーにすれば、モチベーションや業務効率が上がるだろうという理由です。
ノー残業デーができた背景
近年注目され始めたイメージのノー残業デーですが、言葉自体は1970年代から存在します。
1955年以降の高度経済成長期は、仕事に熱中して残業時間が増える人が多く、労働時間が長くなっていました。国際社会の中で、日本人の労働時間が長いことが問題視され、残業を減らすためにノー残業デーが登場したのです。
以降1990年頃には、働き過ぎによる過労死が社会的に問題となりましたが、残業を肯定する風潮は残っていました。しかし近年の「働き方改革」推進により、労働時間短縮の取り組みとして、ノー残業デーが再び注目されています。
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従業員へのメリット
働き方改革の一環としてノー残業デーを導入すると、従業員にどのようなメリットがあるのでしょうか。ノー残業デーに対する、従業員の意識を高めるために、従業員へのメリットを把握しておきましょう。
プライベートの充実
「この日はノー残業デーだから、確実に定時退社できる」と分かっていると、終業後に時間の余裕ができ、予定が立てやすくなります。家族や友人と食事に行ったり、自分の趣味の時間に充てたりと、充実したプライベート時間を過ごせるでしょう。
プライベートが充実すれば、オンとオフの切り替えがうまくいき、メリハリがつきます。ストレス減にもつながるので、前向きな気持ちで、仕事に取り組めるようになります。
スキルアップの時間が作れる
取得したい資格や、勉強したい技術があっても、毎日残業に追われていては叶いません。ノー残業デーを取り入れて時間に余裕ができれば、勉強する時間が確保できます。
ノー残業デーによりスキルアップの時間ができ、資格取得や技術を身に付けることで、業務効率が向上したり、収入が増えたりする可能性が出てくるでしょう。仕事の生産性が上がり、労働時間が短縮されると、普段の残業を減らすことにもつながります。
企業側へのメリット
ノー残業デーは従業員に対してだけでなく、企業にも多くのメリットをもたらします。具体的にどのようなメリットがあるのかを解説します。
業務の効率化、生産性の向上
残業ができる状況では、「この仕事が終わったら帰ろう」という意識で、業務に取り組む従業員もいるでしょう。しかしノー残業デーは退社時間が決まっているため、「定時までにこの仕事を終わらせなければ」と考えます。
業務をどう進めるべきか、時間配分はどうすべきかを意識すると、業務の効率が向上します。その結果残業するよりも業務が進むことがあるので、従業員だけでなく企業にとっても、プラスになるのです。
従業員一人一人にタイムマネジメント能力が身に付けば、ノー残業デー以外の日も効率よく仕事が進み、生産性が上がる点が企業にとってのメリットです。
優秀な人物の確保につながる
仕事とプライベートのバランスが取れ、充実した状態を「ワークライフバランス」といいます。現在はプライベート時間を重視し、会社選びのポイントとして考える人も増えているため、ノー残業デーは重要です。
ノー残業デーを設定している企業は、従業員のプライベートを尊重していると判断されます。そのため多様な価値観や、経験値を持つ従業員が増え、優秀な人材の確保が可能です。
また従業員が「残業が多過ぎて、自分の時間が持てない」とストレスをためたり、「残業が少ない企業に転職しよう」と考えたりしなくなるため、離職のリスクを減らすことができます。
人件費を削減できる
人件費は企業のコストの中で、大きな割合を占めています。特に残業には、法定内残業を超えた場合は25%、月60時間を超える残業には50%の割増賃金が必要です。残業が多い企業は、ノー残業デーを設定するだけでも、人件費を抑えることができます。
タイムマネジメント能力の向上や、業務効率化ができれば、ノー残業デー以外の残業も減らせる可能性が高まり、大きなコスト削減になるでしょう。
また残業が多い企業は、残業を減らすことで、人件費だけでなく、残業時にかかる光熱費の削減にもつながります。
ノー残業デーにはデメリットも
ノー残業デーにはメリットだけでなく、デメリットがあることも覚えておきましょう。ノー残業デー設定による、従業員や儀業へのデメリットを解説します。
他の日への負担が増える
ノー残業デーを設定しても業務効率化が進まないと、「無理をして定時に帰る日」になってしまいます。ノー残業デーに残った業務が翌日や翌々日に持ち越されてしまい、他の日への負担や残業が増えてしまうのです。
ノー残業デーに家に仕事を持ち帰ったり、仕事が残ることを負担に感じたりする従業員もいるでしょう。プライベート時間を楽しめないばかりか、ストレスがたまることになり、本来のノー残業デーの目的と逆効果になるでしょう。
収入が減少する
残業が常態化していると、従業員は収入を残業代込みで考えるようになります。ノー残業デーで残業時間が減ることは、収入の減少につながるため、不満を感じる従業員もいるでしょう。
またノー残業デーに終わらなかった業務を家に持ち帰ったり、サービス残業で対処したりする従業員にとっては、負担が増えているのに収入は減っていることになります。不満が高まり、離職につながる可能性も出てきます。
顧客対応への遅れが出る
ノー残業デーで定時以降に従業員がいないときに、取引先や顧客から問い合わせや仕事の依頼があった場合、対応が遅れてしまいます。普段は定時以降でも対応している場合、「なんで今日は対応してくれないの?」と、取引先や顧客は不満を持つでしょう。
担当以外の従業員が残っていても、対応の仕方が分からず、対応に支障が出てしまいます。「あなたが定時で帰ったせいで困った」や、「会社にいたのに、どうして対応してくれなかったの」と、従業員同士の不満がたまって、人間関係が悪化する可能性もあるでしょう。
取引先や顧客に悪影響をおよぼさないためにも、事前に「ノー残業デーを導入します」と説明し、理解してもらうことが大切です。
ノー残業デーをスムーズに導入するためのポイント
せっかくノー残業デーを導入するなら、最大限にメリットを活かしましょう。導入時に工夫すれば、デメリットを解消することができます。
社内へ定期的にアナウンスを行う
ノー残業デーを意識しやすい環境を作ることが大切です。そのためにも、前日・当日にメールや朝礼で案内したり、社内の目につく場所にポスターを貼ったりして、社員に定期的にノー残業デーを思い出してもらうように努めましょう。
アナウンスは、いつも同じ人が周知するよりも、社内や部署内で持ち回りにしたほうが形骸化しにくくなります。
交代制や別日に移動など柔軟に
ノー残業デーだからといって、全ての業務の残業を禁止することは困難です。業務に支障を出さないために、柔軟な対応が求められるでしょう。
例えば顧客対応が多い企業では、ノー残業デーを部署や従業員ごとに交代で設定すれば、顧客対応と定時退社が両立できます。交代制にするためには、特定の従業員しか対応できない業務をなくす、部署間の連携を取りやすくするなどの工夫が必要です。
またどうしても残業しなければならない業務がある、または緊急で発生した場合は、ノー残業デーを別日にずらせるようにしましょう。定時退社に無理がある繁忙期には、ノー残業デーを設定せず、他のタイミングにする柔軟性も必要です。
業務の内容を見直す
ノー残業デーの目的の一つに、業務の効率化があります。残業をしないために、業務連携や担当の割り振りなど業務の内容を見直しましょう。
担当者が一人の業務だと、担当不在時に業務が滞ってしまいます。複数の担当者を設定したり、マニュアルを整えたりしておけば、他の従業員がフォローできるので、業務の効率化が期待できるでしょう。
ノー残業デーを無理なく実施し、残業自体を減らすためには、業務自体の内容を見直す必要があります。残業が必要な業務かどうか、業務連携のあり方はどうするかなど、業務の効率化を企業全体で考えましょう。
残業できない環境を作る
残業が常態化している企業の場合、ノー残業デーでも残業をしようとする従業員もいるでしょう。上司や他の従業員が帰らないと、帰りづらいと感じている人もいます。
ノー残業デーは消灯を早めたり、自宅に仕事を持ち帰れない仕組みを作ったりと、ルールを作るとよいでしょう。また上司やリーダーなどの管理職が、率先して定時退社することも大切です。
ノー残業デーには残業できないルールや、従業員が帰りやすい環境を作りましょう。
ノー残業デーの導入を検討してみよう
ノー残業デーを導入すると、従業員にとってはプライベートの時間が充実し、スキルアップの時間が取れる点がメリットです。企業にとっては人件費削減や、業務の効率化につながります。
ただノー残業デーを設定するだけでは、他の日に負担が増えたり、従業員や取引先に不満が出たりしてりまう点がデメリットです。スムーズに導入するためには、柔軟な対応や、業務内容の見直しが必要です。
ノー残業デーの導入をきっかけに、業務の効率化をはかり、残業自体を減らすよう取り組みましょう。
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