「会社の残業を減らすにはどうしたらいい?」「周りの会社はどうやって残業を減らした?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
残業を減らすには「残業の事前申請制」や「ノー残業デーの導入」「業務の効率化」などさまざまな方法があります。
もう残業が当たり前の時代ではありません。多くの企業では残業削減のため退勤時間を設定するなど、残業させない取り組みを推進しています。
長時間労働は社員の健康に悪影響を与えるだけでなく、会社の売り上げ低下や社会的信頼を失う可能性もある課題です。
本記事では「残業をへらすための対策」をメインに、残業削減に成功した会社の事例、残業がもたらす問題点をたっぷり解説します。
残業を減らすためにできる8つの対策
社員一人ひとりの意識改革で残業を減らすにしても、まずは組織としての工夫を行うことが大切です。代表的な対策として次の8つが挙げられます。
以上のうち、1つだけ採用しなければいけないわけではありません。会社の現状に応じて複数の対策を採用し、残業削減を成功させましょう。
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①時間とタスクを照らし合わせたマネジメント
1日の流れを時間毎に区切り「いつ何をするのか」を明確に把握する仕組みを作りましょう。時間内に終わるように仕事の計画を立てられます。
上司が部下に1日の目標やスケジュールを聞き、管理するという取り組みが代表的なものに挙げられます。
漠然と仕事をしていた人も、上司に1日の流れを聞かれると自然に段取りを整理するくせが付くでしょう。
また、業務量の分配も部下を管理する上司が工夫したいポイントです。
個々のメンバーの得意不得意をしっかりと把握した上で、それぞれが行う業務と目標時間を決めていきます。
②ジョブローテーション化
業務をローテーションすることで、1人がさまざまな業務に携われるようにします。「ジョブローテーション」とは社員の能力開発を目的とした人事異動の施策です。
一定期間に部門間や部門内でさまざまな職務を経験させ、社員ができる仕事の範囲を広げます。
ジョブローテーションを取り入れると、メンバーは自分の担当以外の仕事をフォローできるようになり特定の社員に仕事が偏るのを防げます。
社員間のコミュニケーションも活発になり、職場の雰囲気もよくなるのがメリットです。結果として組織全体の効率が上がり、売上の向上も期待できるでしょう。
さらに、各部門に顔なじみが増えて部門間を超えた連携ができる、部門間の調整をしやすくなるという効果も見込めます。
業務の属人化を減らして業務全般の効率がよくなれば、残業をしなくても仕事が回るようになり、よい循環が生まれるのです。
③残業事前申告制度の設定
あらかじめ申請しなければ勤務時間を延ばせない「残業事前申告制度」は、なあなあで残業が多くなっている企業に効果的な制度です。
簡単に残業ができるようになっていると、ダラダラと仕事をしてしまう社員も増えてしまうでしょう。
取り組んでいる業務が時間内に終わらなくても、残業をすれば終わらせられるという心理が主な原因です。
メリハリを付けない働き方を会社が許容してしまうと、集中力やパフォーマンスが全社的に落ちやすくなります。限られた時間で終わらせようという意識がなければ、いかに効率よく業務をこなすかという考えも生まれません。
残る理由を上長が納得できるように伝える必要が出てくるため、本当に必要な残業以外で時間を延ばす人が減ります。
基本的に定時までしか働けないという意識付けにもなり、効率化の工夫も生まれやすくなるでしょう。
④ノー残業デーの導入
企業が特定の日付・曜日を「ノー残業デー」として定めれば、社員の中であらかじめ仕事量を調節する動きが生まれます。
会社に残る人がいない状況なら、空気を読んで残業することもないでしょう。
ただノー残業デーと称する日だけ作って、実際は誰も定時に帰らないという状況では意味がありません。
まずは上長が率先して定時で帰ったり、部下を帰らせる働きかけをしたりすることが大切です。
ノー残業デーは時間になったら事務所の電気を落とすといった取り組みも、残業削減に乗り出して間もないうちは必要になるでしょう。
給料日の前日や休日の前の曜日など、次の日の楽しみに向けて帰りたくなるような設定をするのが効果的です。
⑤インセンティブの支給
これまで支払っていた残業代をインセンティブに変えて支給するのも、残業削減につながります。
労働時間を大きく削減できた社員に対して金銭的な報酬を与えたり、表彰したりすると残業削減のモチベーションが上がるでしょう。
会社に評価される人は従業員の新たな規範となり、根付いていた残業称賛の文化をくつがえせる可能性があります。
しかし、労働時間にとらわれて残業を減らした分、成果が出ないと会社にとってはマイナスです。
労働時間を減らしても同様の成果となるよう、業務改善システムを取り入れるなどの生産性を向上させる工夫が必要です。
⑥ツール・システムの導入
ツールやシステムを導入して労働時間を把握して残業を見える化したり、社内連絡をスムーズにして業務効率を上げたりすることができます。
残業時間を可視化「勤怠管理システム」
勤怠管理システムで労働時間を正しく把握すれば、残業時間が多い従業員に対して個別に注意喚起できます。
また、労働時間を意識しながら仕事するようになるので、残業削減にも大きくつながるでしょう。
勤怠管理システムを使えば、打刻した時点でシステムに情報が自動入力されます。稼働状況が自動で記録されるため、時刻の記入ミスも不正もほぼ起こることなく、正確な時間がわかります。
勤怠状況をシステム上で管理できるので、現在の稼働状況を分析したうえで施策が立てやすいのもメリットです。
やり取りを効率化「ビジネスチャット」
ビジネスチャットを使えば従業員同士の連携がラクになり、稼働時間短縮につながります。
特にチームでの連携に手間をかけていた組織では、ビジネスチャットの導入で大幅に稼働時間を短縮できる可能性があるでしょう。
外出先から連絡を取りたいときでも、ビジネスチャットなら迅速に資料共有できたり、通話ができない状況でも連絡したりできるんです。
メールでも資料の添付はできますが、連絡するには宛先の入力・文章の作成と手間がかかる作業が多くなります。
チャットならメンション機能で相手のアカウント名を選ぶだけで、送信先の指定が可能です。個人宛の連絡もラクにでき、仕事のやりとりが円滑に進みます。
社内のコミュニケーションが円滑に進むと、連携が楽になり効率化につながるというメリットもあるでしょう。
また、ビジネスチャットは仕事を前提として作られているので、セキュリティ面に安心して使えるのもポイントです。
⑦作業の標準化
どの従業員が作業しても同時間で同品質の成果が出せるよう、業務内容や手順を共有しておけば業務効率が上がります。その結果、残業削減につながるでしょう。
作業の標準化を進めるには、作業の手順や時間が記載されたマニュアルが役立ちます。
実際にその仕事を担当している人が率先して作成し、画像や動画を用いて誰にでも理解しやすいものにすると、より効果的です。
また、外部データではなくクラウド上でマニュアルを管理するのもおすすめです。インターネットさえあればどこからでもアクセスできるので、手軽に活用しやすくなります。
⑧一部の業務を外部委託
労働時間に見合わない業務量を抱えている場合は、一部を外部委託するのも残業削減に効果的です。
例えば、電話対応やデータ入力などの事務作業は社外の人でも対応可能です。マニュアル等で社内の知識を身に付ければ、会社の従業員でなくてもできるでしょう。
外部委託をするとなると費用面が心配かもしれません。しかし従業員に支払う残業代を考えると、その分を委託料に回して生産性向上ができたら、会社にとってはプラスの結果となるでしょう。
残業が多くなってしまう組織の傾向
残業がなかなか減らない企業には、共通する問題点がいくつかあります。
- 無駄な作業が多い
- 特定の人員に頼りすぎている
- 残業を評価する風潮がある
- 業務を詰め込みすぎている
以上の特徴に会社が当てはまっていないか確認して問題を正しく認識したうえで、まずはそれに合った解決策をとるのが大切です。
無駄な業務が多い
企業活動のコアになる業務は人でが必要ですが、それ以外の業務が多すぎて本来必要のない業務も存在しているケースが多くあります。
例えば、何らかの書類を上長に承認してもらうとき、パソコンで作った資料を紙に印刷して上長が押印する企業もあります。
ペーパーレス化を進めていればシステム上だけで済む作業を、わざわざプリントアウトして行っているのです。
無駄と非効率的が多ければ、本来有能なはずのメンバーの生産性を下げてさらなる非効率を生む原因にもなりかねません。
「本当に必要なのか」「システムで効率化できないか」を問いただしながら、効率化を念頭に置いた働き方が必要です。
特定の人員に頼りすぎている
仕事を属人化させてしまうと、一部の人に稼働が集中して残業時間が多くなります。ほかの人ではできないという状況であれば、担当者は残業を減らしたいからといって簡単には帰れません。
仮に担当者の異動があって、別の人が属人化された仕事を受け持つとします。仕事を進めるたびにさまざまな疑問を前の担当者に確認しなければならず、業務がはかどらないでしょう。
特定の人だけができる業務を作っている組織は、現在任せている人といずれ引き継ぐ人の残業どちらも増やしてしまう可能性を認識しなければなりません。
残業を評価する風潮がある
残業している姿は一見すると、遅くまで仕事を頑張っていて有能な人である証拠にも見えるかもしれません。しかし、実際は「残業すればよい」という意識で、自ら業務効率を下げているケースが多くあります。
このように会社が古い価値観でいると、上司が残業する部下を「やる気がある」と持ち上げるケースもあります。
長時間労働を評価する企業では、社員は当たり前のように残業する可能性が高くなるでしょう。
評価を上げるために時間内で終わるはずの業務を長引かせ、帰る時間を遅らせてしまうのが状況です。
さらに、残業に対してインセンティブを出す制度があるなら、収入を上げようと積極的に残業する人が増えることもあるでしょう。
自社で残業が減らないなら、まず企業の文化が長く働く姿勢を評価しすぎていないか振り返ってみましょう。長年根付いていた慣習や考え方を変えるには、相応の努力が必要になります。
業務を詰め込みすぎている
1人あたりの業務量が純粋に多ければ、残業時間は削減できません。社員のキャパシティではこなせない業務内容や業務量を、会社が与えている場合も同じです。
個々のメンバーに割り振られた作業量が多い組織は、原因として人手不足が考えられます。応募者が集まらない・採用でよい人材をとれないという理由で、既存メンバーの負担が大きくなっていないでしょうか。
社員それぞれの能力に見合った部署や配置を誤った場合も、作業をこなすのにかかる時間が多くなり残業が増えてしまいます。
適材適所で人員を使えていない企業は、本来力を発揮できる人間の能力を無駄遣いしているともいえるでしょう。
残業削減に成功した企業事例7社紹介
残業削減の取り組みで、実際に残業を減らすのに成功した7社の事例を紹介します。
周りの会社の施策を積極的に取り入れて残業を減らし、従業員にとっても働きやすい企業づくりをしていきましょう。
①トップの強力なコミットメント「カルビー」
カルビー株式会社では残業削減のほか、従業員が働きやすいように以下の取り組みを行っています。
- 事業所毎にノー残業デー設定
- 5時間ごとの席替え
- 落ち着かない環境づくり
働く環境がマンネリ化しないよう、できるだけ刺激の多い環境にすることで業務効率・生産性の向上も図っています。その結果として、残業削減を実現させたのです。
残業時間の削減にトップが強くコミットメントし、環境・制度面を率先して変えているのがカルビーの特徴であり、残業削減に成功したポイントです。
②労働時間を掲載「リクルートエージェント」
リクルートエージェントでは各従業員の労働時間を掲示することで「居残り」の意識を持たせ、残業が恥ずかしい雰囲気をつくっています。
「残業=頑張っている」という意識を捨て、いかに労働時間内で仕事を終わらせるかを重要視することで残業削減を実現させました。
人に見られることの恥ずかしさを利用することで、残業に対する意識改革を成功させたのです。
③深夜残業禁止、早朝勤務へのシフト「伊藤忠商事」
伊藤忠商事株式会社は2013年から深夜勤務を禁止し、会社方針を朝方勤務へシフトさせました。
- 20時以降の勤務は原則禁止
- どうしても残業したい場合は事前申請制
- 朝5時~8時の時間帯は割増賃金
- 朝8時前から勤務する従業員には軽食提供
夜に残業する分、朝早く出社して仕事させるようにするよう会社が徹底したのです。
導入前は20時以降の残業が約30%あったところ、2013年の導入から3年で約5%まで減少しました。
④残業チケット制度「ピコナ」
株式会社ピコナはアニメーションを始め、さまざまなコンテンツを制作している会社です。
ピコナでは「残業チケット」が月10枚配布され、残業するにはそのチケットを使わなければならない仕組みを作りました。チケットの回数制限があることで、時間の使い方にメリハリがつき、残業時間を減らすのに成功したのです。
残業をするにはチケットを使って事前に申請をする必要があり、6枚以上使った場合は会社独自のペナルティが科されます。
もともと会社には、ピコナポイントというものがあり、そのポイントで娯楽施設の招待券や商品交換ができます。
残業チケットを6枚以上使うとピコナポイントが減ってしまい、結果として自分自身にマイナスとなるのです。
このように残業への意識改革と独自のペナルティを使うことで、従業員自らが時間効率を考えて仕事できるようになり、残業削減を実現させています。
⑤ワークハード・ライフハード「大和証券」
大和証券グループは「ワークハード・ライフハード」をモットーに19時前に退社させるルールを作り、従業員は遅くても20時までには帰るようになりました。
19時以降の残業は上司への申請が必要で、残業している場合は人事部から直接連絡が入る仕組みになっています。
勤務中は仕事に真剣に向き合い、平日の退社後や休日は個人で楽しめるような働き方を推進したことで、残業削減にもつながったのです。
⑥時間制限の設定「日本航空」
日本航空株式会社では退社時間だけでなく、連絡時間や会議時間の制限も設けることで、残業削減を徹底しています。
- 18:30以降および土日はメール・電話が原則禁止
- 会議時間は17時まで
- 遅くても20時までには退社
また、座席を自由化することで上司の顔を伺うことなく退社ができます。
業務に関わるものに時間制限を設けることで、常に時間を意識しながら働くようになり、残業時間の大幅な削減に成功したのです。
⑦マニュアルの定期更新「良品計画」
無印良品を運営する株式会社良品計画では、定期的にマニュアルを更新することで業務を効率化し、残業を減らすのに成功しました。
一般的にマニュアルは年単位で更新するもので、より効率化できる部分があってもすぐには更新されません。
そこで良品計画では社員の意見を積極的に取り入れ、業務が効率化できる点を随時マニュアルに記載していきました。
その取り組みの結果として業務が効率的になり、生産性も向上したことで残業時間を減らせたのです。
残業削減が企業にもたらすメリット
残業を減らすと会社と従業員どちらにもメリットがあります。
- 従業員の満足度と生産性を上げられる
- 健康的に長く活躍する人を増やせる
- 人件費や採用コストをカットできる
現時点では削減が難しいと感じる場合も、長期的なメリットが分かれば減らす計画を立てていく必要性を感じられるはずです。
従業員の満足度と生産性を上げられる
残業が少なくなると従業員のワークライフバランスが改善され、プライベートに割ける時間が充実します。
結果として働く人が会社に感じる満足度は向上し、生産性が上がる点がメリットです。労働環境がよくなって会社に対する愛着がわけば、離職を思いとどまる人も増えるでしょう。
残業の少ない環境が整備されると「プライベートの時間がない」という離職理由がひとつ減ります。
社員が定着すると業務に慣れた人手が増え、生産性は向上します。休息の時間も十分確保できれば、パフォーマンスの高い状態で働ける人も増えるでしょう。
健康的に長く活躍する人を増やせる
仕事の時間を減らし自炊や睡眠などに時間を充てることで、社員の健康を守れるのも残業を減らすメリットです。
プライベートが充実すればストレスを発散するための選択肢が増え、従業員の精神面にもよい影響が出ます。
さらに、いきいきと働く社員が長く定着して活躍してくれれば、会社の売り上げアップに期待が持てるでしょう。
残業が多くなり心身共に疲労が蓄積されると、仕事のミスが増え効率が悪くなってしまいます。まずは社員の健康を保つことで、最大限のパフォーマンスを引き出す意識が大切です。
人件費や採用コストをカットできる
残業時間を減らせば残業代にかかる人件費を抑えられます。また、労働環境が整って社員の定着率がアップすれば、即戦力を補てんするための採用コストもカットが可能です。
求人にかかるコストは広告費や求人媒体に支払う費用が主です。「残業時間が多い」というレッテルを貼られた企業は、いくら求人を掲載しても応募人数が増えません。
結果として採用にかかる費用だけがどんどんと膨らみ、支出に見合う結果は得られないでしょう。
逆に、労働環境の整った企業と認識されると、少ない求人で応募が殺到するケースも少なくありません。長い目で見ても残業を減らす努力は、企業にとって不可欠な時代といえそうです。
時間外労働(残業)の上限規制【残業が当たり前の時代は終わった!】
近年は国が働き方改革を掲げ、人々の労働時間を削減する法律も定められました。もはや残業が当たり前にあった時代は、終わりを迎えたといっても過言ではありません。
残業に対して現在の労働者が持つ意識や、時間外労働を規制する法律を知って、残業削減の必要性を把握しましょう。
働き方改革で時間外労働の上限が設定
労働基準法第32条では、法定労働時間が次のように定められています。これを超える場合は「36協定」を締結する必要があるのです。
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以前は36協定を結んでいれば、法定外労働時間に上限はありませんでした。しかし働き方改革の一環として行われた法改正で、時間外労働に対しても上限を設けるようになっています。
【時間外労働の上限規制】
上限規制の原則 |
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特別条項(やむを得ない事情がある場合) |
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以上の上限を超えた場合は、事業者に対して罰則が科されることもあります。
残業時間にも上限規制がある現代では、いかに決められた時間内に必要な業務を終わらせるかが喫緊の課題といえるでしょう。
残業に対する意識の変化
時代が進む中で残業に対する意識にも、大きな変化が応じています。転職条件に「残業が少ない会社」を挙げる20代・30代が増えているのが現状です。
また、就職や転職に関して検索すると「ワークライフバランス」や、「残業削減」といったキーワードも目に付くようになりました。
バブル期は働いた分だけ給料が増えた時代で、「残業する社員=会社に貢献している社員」というような見方もされていましたが、現在は効率のよい働き方が求められているのです。
さらに、国でも働き方改革を掲げ、労働時間を削減する動きを示しています。
昨今の日本において労働に対する意識は変わってきており、残業を減らす努力は企業にとって欠かせないといえるでしょう。
長時間労働が引き起こす問題
残業が多くなりすぎると企業に罰則が与えられるだけでなく、次のように社員の健康や会社の利益にも影響が出る恐れがあります。
- 社員の士気やパフォーマンスが下がる
- 働く人の心や体に悪影響を及ぼす
考えられるマイナスをしっかり把握し、残業削減の意義を従業員に共有したうえで施策を打っていきましょう。
社員の士気やパフォーマンスが下がる
休む暇もなく毎日遅くまで働くと、社員の士気は低下してしまいます。そうなると必然的にパフォーマンスが低下し、会社の売上に悪影響がおよぶでしょう。
あまりにも長い残業で社員が限界を迎えると、転職や退職などの離職率が増加する恐れもあります。
勤めている会社をブラック企業だと認識すれば、この先もずっと働きたいと思う人は多くありません。
また、労働基準法に違反すると社会的信頼を失い、顧客や取引先が離れてしまう可能性もあります。実質的な損失が出てくる前に、企業側としては手を打っておきたいところです。
働く人の体や心に悪影響を及ぼす
長時間労働が改善されないと、社員が体を壊したり精神的に病んでしまったりする危険性があります。過労による心身の負担は、心疾患や脳の病気をも引き起こす要因です。
毎日夜遅くまで働くと、睡眠時間が少なくなってしまいます。睡眠は人の体をメンテナンスするだけでなく、ストレス物質の除去も行う重要な生命活動です。
長い残業が当たり前になっている環境が改善されないと、最悪のケースでは「過労死」という形で従業員を失ってしまう可能性もあるでしょう。
長く健康な状態で社員に働いてもらうには、早めに残業が多い環境を改善しなければなりません。
残業削減は生産性向上の実現につながる
日本では残業が美徳とされる時代から、国を挙げて残業を減らす風潮が強くなってきました。労働時間を減らして、ワークライフバランスを大切にしようという価値観が浸透してきた結果ともいえます。
会社から見ても残業を減らす努力には、人件費の削減だけでなく生産性の向上を期待できるメリットがあります。マネジメントの仕方を工夫する・制度面を見直すといった施策によって、残業の削減は可能です。
まずは、労働時間から仕事量を調整したり、上司が率先して早く帰ったりする小さな工夫から始めてみてください。優秀な人材の離職も防ぎ、生産性向上も目指しましょう。
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