海外拠点の勤怠管理がExcelで集計ミスが多発している、あるいは国内の外国人従業員が日本語のシステムを使いこなせず打刻漏れや申請ミスが頻発している。こうした課題は、今や多くの企業にとって共通の悩みです。
このような環境下で勤怠管理を一元化してコンプライアンスを確保する鍵となるのが「英語対応の勤怠管理システム」です。この記事では自社に最適な英語対応の勤怠管理システムを選び抜くための「4つのタイプ分類」に沿って、選び方のポイントやおすすめ製品を紹介します。
自社に合う英語対応の勤怠管理システムは?4つのタイプを比較

「英語対応の勤怠管理システム」と一口に言っても、機能レベルによって4つのタイプに分かれます。まずは、海外拠点や外国人従業員の有無など自社の状況に応じて、どのタイプが最適かを確認しましょう。
早わかり比較表:自社の状況別 最適な「英語対応」タイプ
| タイプ分類 | 推奨企業 | 機能的特徴 | 代表的な製品 |
| 「複数言語+時差対応」型 | 海外に複数拠点があり、多国籍の従業員を管理したい企業 | 英語・ベトナム語・タイ語など多言語対応、タイムゾーン設定◎ | ジンジャー勤怠, ジョブカン勤怠管理, KING OF TIME |
| 「英語+時差対応」型 | 英語圏(北米、シンガポールなど)に拠点がある企業 | 英語対応、タイムゾーン設定◎ | 楽楽勤怠 |
| 「国内・複数言語対応」型 | 国内で、英語圏以外の多国籍な従業員を雇用している企業 | 多言語対応、タイムゾーン設定△(国内利用前提) | Gulf CSM 勤怠管理 |
| 「国内・英語のみ対応」型 | 国内で、英語が堪能な従業員を雇用している企業 | 英語対応、タイムゾーン設定△(国内利用前提) | kincone, e-就業OasiS |
「英語対応」で確認すべき3つの機能レベル
自社に合うタイプを見極めるには、単に「英語対応」という言葉だけでなく、以下の3つの機能レベルを具体的に確認する必要があります。
1. 表示言語の切替(どこまで対応か?)
従業員が利用する打刻画面や申請画面だけが英語対応なのか、それとも人事担当者や管理職が使う管理者画面も英語に対応しているのかは大きな違いです。また、従業員が個人ごとに表示言語を設定できるかどうかも、運用の手間に直結します。
2. 時差対応(タイムゾーン設定)
海外拠点を持つ場合、この機能は必須です。現地のタイムゾーンに合わせて打刻や集計ができなければ、結局は本社側で手作業の修正が発生し、システム導入の意味が半減します。北米やベトナムなど、複数のタイムゾーンをまたいで管理できるかを確認してください。
3. 英語でのサポート体制
システムは英語対応でも、導入時のサポートや日々の問い合わせ窓口が日本語のみというケースは少なくありません。海外拠点の現地担当者や、日本語が不得手な管理者が直接サポートを利用する可能性がある場合は、英語でのサポートデスクの有無が選定の決め手となります。
英語対応の勤怠管理システム12選【タイプ別】
英語対応の勤怠管理システム12製品を、「複数言語+時差対応」型、「英語+時差対応」型、「国内・複数言語対応」型、「国内・英語のみ対応」型の4タイプに分類して紹介します。

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タイプ1:「複数言語+時差対応」型【海外拠点・多国籍な従業員に最適】
海外に複数の拠点を持ち、従業員の国籍も多様な企業に最適です。時差(タイムゾーン)と多言語(アジア言語含む)の両方に対応できる、最も高機能なタイプです。
ジョブカン勤怠管理
ジョブカン勤怠管理は、日本語、英語、韓国語、中国語、タイ語、ベトナム語、スペイン語の7カ国語に対応している点が最大の強みです。
時差にも対応しており、アジア圏に拠点を持つ企業や、国内で多国籍な従業員を雇用する企業にとって、有力な選択肢となります。機能の柔軟性が高い一方で、初期費用0円、月額220円(税抜)から利用できるコストパフォーマンスも魅力です。
KING OF TIME
KING OF TIMEは勤怠管理システム市場において、利用ID数でシェアNo.1を獲得している実績があります。事業所ごとに時差を設定できるため、海外拠点の管理にも対応可能です。
顔認証やICカードなど多彩な打刻方法を備え、月額300円(税抜)で豊富な機能を利用できます。海外拠点への導入サポートについては、事前に対応範囲を確認することをおすすめします。
ジンジャー勤怠
ジンジャー勤怠は、特に東南アジア方面の言語と時差対応に強みを持っています。インドネシア、ベトナム、タイの時差(UTC+7)に対応し、現地端末での表示時間を調整できることが確認されています。
ベトナムなどアジア圏に拠点を持つ企業にとって、極めて具体的な解決策を提示できるシステムです。料金は利用機能に応じて変動します。
タイプ2:「英語+時差対応」型【英語圏の海外拠点に最適】
多言語対応は不要だが、北米やシンガポールといった英語圏の海外拠点の「時差」には確実に対応したい企業向けのタイプです。
楽楽勤怠
楽楽勤怠は、システム上の表記を英語に変更する機能と、設定したタイムゾーンに従って打刻される時差対応機能の両方を公式に備えています。まさに「英語+時差対応」型の代表的なシステムです。
料金はID課金制ではなく、月額30,000円(税抜)からの最低利用料金が設定されているため、ある程度の企業規模での導入に適しています。
WiMS/SaaS勤務管理システム
WiMS/SaaS勤務管理システムは、従業員数1,000名以上の大企業やそのグループ会社への導入実績が豊富な点が特徴です。
基本は英語対応であり、グローバルに展開する大企業の複雑な拠点管理ニーズに応えます。他の言語対応についても個別に相談が可能で、企業の状況に合わせたカスタマイズが期待できます。
タイプ3:「国内・複数言語対応」型【時差なし】
海外拠点はない(=時差対応は不要)ものの、国内の事業所で英語圏以外の多国籍な従業員を雇用している企業向けのタイプです。
Gulf CSM 勤怠管理
Gulf CSM 勤怠管理はマルチ言語対応で、外国人労働者でもすぐに利用できる点が特徴です。さらに、人事労務担当者にとって重要な「在留期限の管理」も自動で行う機能を備えています。
飲食や小売など国内の店舗などで多国籍なアルバイト・パートを雇用し、不法就労防止といったコンプライアンスを徹底したい企業に最適です。
タイプ4:「国内・英語のみ対応」型【時差なし】
海外拠点はなく、国内で雇用する外国人従業員も英語でのコミュニケーションが中心という企業に最適な、コストと機能のバランスが取れたタイプです。
One人事[勤怠]
One人事[勤怠]は、勤怠管理システムとしての英語対応に加え、「One人事[給与]」など他の人事労務システムと一体で運用できる点が特徴です。
勤怠管理を入り口として、将来的には人事労務システム全体を英語対応で統一し、データベースを一元管理したいニーズを持つ企業に適しています。
RocoTime
RocoTimeは、日英両言語に対応しているシステムです。最大の特徴は、クラウド型だけでなく、セキュリティ要件が厳しい企業向けにオンプレミス型(自社サーバー設置型)も選択可能な点です。
国内拠点での利用が前提で、かつ業界の規制などでオンプレミス環境が必須となる場合に有力な選択肢となります。
キンタイミライ
キンタイミライは、11年連続で大企業向け勤怠管理システム市場でシェアNo.1を獲得している実績があります。その強みは、大企業特有の複雑な就業規則や勤務形態に対応できる、柔軟なカスタマイズ性です。
国内拠点で、英語対応を含めた複雑な労務管理を実現したい大企業に適しています。
kincone
kinconeは、月額220円という低コストと導入の手軽さが魅力です。機能面では、従業員が「個人設定」から表示言語を英語に切り替えることが可能です。
ICカードやSlack・Teamsなどビジネスチャットからの打刻も可能です。まずは国内の外国人従業員向けに、低コストで手軽に英語対応を始めたい企業に最適です。
TeamSpirit 勤怠
TeamSpirit 勤怠は、英語表示に対応しつつ、36協定の遵守状況や有給休暇の管理といった、国内の複雑な労務管理機能が充実している点が特徴です。
月額24,000円からの料金設定となっており、国内拠点で英語対応と厳格な労務コンプライアンス管理を両立させたい中堅企業以上に適しています。
e-就業OasiS
e-就業OasiSは、英語表示機能をオプションで提供しています。このシステムの最大の強みは、導入前のヒアリングから初期設定、運用開始後まで専任スタッフによる手厚いフルサポートが受けられる点です。
「IT専任者がいない中でのシステム導入不安」をサポートで解消した実績があり、英語対応は必要だがシステムの複雑な設定に不安がある人事担当者にとって心強い選択肢となります。
失敗しない!英語対応の勤怠管理システムを選ぶ4つのポイント
最適な英語対応の勤怠管理システムを選ぶには、機能の対応範囲、言語切替の仕様、サポート体制、そして他システムとの連携性という4つの実務的なポイントを確認する必要があります。
ポイント1:「対応範囲」を(言語・時差)で確認する
これが最も重要なポイントです。「複数言語+時差対応」型、「英語+時差対応」型、「国内・複数言語対応」型、「国内・英語のみ対応」型、これら4タイプのうち、自社がどれに該当するかを明確にしてください。
例えば、ベトナム拠点があるのに「国内・英語のみ対応」型を選べば、時差や言語の問題を解決できません。逆に、国内の英語話者数名のために「複数言語+時差対応」型の高機能システムを導入すれば、オーバースペックで無駄なコストが発生します。
ポイント2:「言語切替」の仕様を確認する
「英語対応」の具体的な仕様も確認が必須です。確認すべきは「誰が、どこを」切り替えられるかです。
従業員本人が個人の設定画面で簡単に言語を切り替えられるのか、それとも管理者が一括で設定するのか。従業員向けの画面だけでなく、管理者が利用する設定画面やレポート画面も英語化されるのか。これらの仕様が、日々の運用負荷を大きく左右します。
ポイント3:「サポート体制」を(英語で)受けられるか
見落としがちな、しかし致命的になり得るのがサポート体制です。システムの表示画面が英語に対応していても、導入時の設定サポートや、運用開始後のヘルプデスクが日本語でしか対応していないケースは非常に多く存在します。
海外拠点の現地担当者や、日本語が堪能でない国内の管理者が直接ベンダーに問い合わせる可能性がある場合、英語でのサポート体制(メール、チャット、電話)が整備されているかは、必須の確認項目です。
ポイント4:勤怠管理以外の「連携性」はどうか
勤怠管理は、人事労務オペレーションの「入り口」に過ぎません。収集された勤怠データは、最終的に給与計算システムや人事データベースと連携してこそ、その価値を最大化します。
特に海外拠点の給与計算は、現地の通貨、税制、社会保険制度と密接に絡むため複雑です。導入を検討している勤怠管理システムが、現在使用している(または将来導入する)給与システムや人事評価システムと、API連携やCSV出力などでスムーズにデータを連携できるか、必ず確認してください。
英語対応の勤怠管理システムを導入する3つのメリット
英語対応の勤怠管理システム導入は単なる業務効率化に留まらず、工数削減、コンプライアンス強化、そして従業員エンゲージメントの向上という3つのメリットをもたらします。
メリット1:海外拠点・国内の勤怠管理を一元化できる(工数削減)
最大のメリットは、Excel集計や手作業の修正といった、非効率な業務から解放されることです。これは単に本社人事部門の工数を削減するだけではありません。日系企業の海外拠点では現地法人責任者が管理業務に追われ、本来のミッション(営業や開発)に集中できていないという共通課題があります。
適切なシステム導入は、本社と拠点の両方を管理業務から解放し、より付加価値の高い戦略的な業務にリソースを集中させることを可能にします。
メリット2:コンプライアンス違反のリスクを低減する
人事労務マネージャーにとって、これは工数削減以上に重要な「守り」のメリットです。例えば、労働基準法や出入国在留管理庁の指針では、雇用契約書や労働条件通知書は「外国人材本人が理解できる言語で交付することが原則」とされています。
「日本語が読めなかった」ために打刻ルールや休暇申請の不備が続けば、労務トラブルに発展しかねません。さらに、意図せずとも留学生の労働時間(週28時間)を超過させてしまうなど、「知らなかった」では済まされない「不法就労助長罪」のリスクも存在します。
本人が理解できる言語で適切な労務管理を行うことは、企業を法務リスクから守るための必須条件です。
メリット3:外国人従業員のエンゲージメントが向上する
働く当人にとって、言葉の壁は想像以上のストレスとなります。打刻や休暇申請といった日常的な業務が、母国語(あるいは英語)でスムーズに行える環境は安心感と「大切にされている」という認識を生み出します。
これは、優秀なグローバル人材を惹きつけ、定着させるためのDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)推進の具体的な第一歩です。働きやすい環境を整備することは、従業員のエンゲージメントと生産性の向上に直結する「攻め」の投資と言えます。
導入事例:英語対応システムでこう変わった
実際に英語対応システムを導入した企業が、どのように課題を解決したのか。海外拠点と国内多国籍従業員の管理、それぞれの事例を紹介します。
事例1:【海外拠点】複数拠点の管理を2名で実現(株式会社メルカリ / KING OF TIME)
フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリは、海外1拠点を含む1,650名の社員の勤怠管理にKING OF TIMEを導入しました。
注目すべきは、これだけの規模の勤怠管理を、各拠点の担当者と連携しながら、わずか2名で運用している点です。外国籍の社員からも「英語版があってありがたい」という声が上がっており、グローバル企業の複雑な勤怠管理を効率化し、従業員満足度にも貢献していることがわかります。
事例2:【国内多国籍】集計工数を大幅削減し、コア業務へ注力(ビュルケルトジャパン株式会社 / ジンジャー勤怠)
バルブ製作を手がけるグローバル企業、ビュルケルトジャパン株式会社は、従来、勤怠や年次有給休暇を手作業の「紙管理」で行っていました。その結果、担当者が集計作業に追われ、兼務している経理や採用といったコア業務に時間を割けない課題を抱えていました。
ジンジャー勤怠の導入により、この集計作業の工数が大幅に削減。創出された時間を、本来注力すべきであった経理や採用活動に充てられるようになるなど、人事部門の生産性向上に直結した事例です。
英語対応の勤怠管理システムで、グローバル人事戦略を加速しよう

「英語対応の勤怠管理システム」の選定は、単なるツールの比較・導入作業ではありません。それは、自社のグローバル化の現状(海外拠点、国内の多国籍従業員)を正確に把握し、将来の人事戦略を定義するプロセスそのものです。
この記事で示したように、「英語対応」には大きく4つの機能レベルのタイプが存在します。自社の状況に合わないシステムを選べば、機能不足で課題が解決しないか、過剰な機能でコストの無駄遣いに終わってしまいます。
重要なのは、機能の対応範囲を見極めることはもちろん、実務運用を支える「英語でのサポート体制」や、給与計算など他システムとの「連携性」といった、実務的な視点を持って選定することです。
外国人労働者数が増加して企業のコンプライアンス責任がますます重くなる中で、勤怠管理の整備は「待ったなし」の経営課題です。本記事で紹介した4つのタイプ分類と選定ポイントを参考に、自社のグローバル人事戦略を加速させる最適なシステムを選定してください。
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