打刻とは「出退勤の記録をタイムカードやクラウド上に行い、管理すること」を指しています。
また、打刻を行う意味は、社員一人ひとりの健全な雇用を守るため。
従業員を管理する「使用者」は労働時間を正しく把握することが義務付けられています。打刻を正しく行うことで社員の心身の健康はもちろん、強いては会社の労働生産性が上がり多大な利益を生むこともあるでしょう。
本記事では打刻とは何かから、どのようにすれば正しい運用に結びつくのかなどを徹底解説。「打刻」を深掘りして正しい知識を身につけ、企業の労働生産性向上につなげる参考にしてください。
打刻とは出退勤の時刻を記録すること
打刻とは出退勤の時間を記録し管理することです。タイムカードはもちろん、近年では勤怠管理システムなどでデジタル管理する企業も増えてきました。
打刻の読み方は「だこく」で、「だっこく」ではありません。
手書きでタイムカードなど記入する行為は「打刻」とは呼ばない
打刻とはあくまで、出退勤のデータをPCの使用履歴やオフィスの出退館履歴と突合し、業務をした証拠として取り扱えるデータを指しています。
例えば手書きでタイムカードに記入したようなデータは、のちほど改ざんできると判別され、打刻とはしないのです。
打刻は英語で「punch in」または「clock in」
海外でも打刻制度は浸透しており、英語では「punch in」または「clock in」と言います。
かつてはタイムカードに穴を開けるという意味の「punch in」が多かったようですが、現在ではデジタルで記録するという意味の「clock in」の方が常用されているでしょう。
ちなみに同じ打刻でも出勤時は「clock in」退勤時は「colock out」と区別されいるので、注意が必要です。
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打刻をする意味と必要性
打刻は労働時間を正しく把握するために行います。給与計算や残業時間の把握のためにも、日々の打刻は欠かせません。
正しい労働時間を把握するため
打刻を行う最も大きな理由は、雇用者に従業員の労働時間を把握する義務があること。正確に労働時間を知り、管理をすることが労働安全衛生法で定められています。
そのためには、従業員自身に労働日ごとの労働時間を確認・記録してもらう必要があるのです。
厚生労働省が提起している「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、従業員が始業・終業時刻を確認及び記録する原則的な手段としてタイムカードや勤怠管理システムが示唆されています。
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
イ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。
正しく給与を計算するため
タイムカードや勤怠管理システムで打刻することは、正しく給与を計算し支給するためにも必要です。残業代や遅刻早退・欠勤の控除なども、勤怠が正確に記録されていないと給与に反映させることができません。
残業状況を把握するため
打刻によって従業員の労働時間が正確に把握できれば、雇用者は従業員の労働時間を適正に管理できます。過剰な長時間勤務により従業員が心身の健康を損なう事態を未然に防げるでしょう。
打刻はどうやってやるの?
ひとえに打刻と言っても、やり方は様々。打刻機が印字するタイプのタイムカードや、Web 上の勤怠システムなど様々です。例えば、以下のような打刻方法があります。
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予算やメリットデメリットを精査して、その企業にあった管理方法を見つけると良いでしょう。
タイムカード打刻
従業員自身が手書き、もしくはタイムレコーダーを使い業務の開始と終了時刻を打刻(記録)して、会社が後で確認する方法です。
ICカード打刻
交通系ICカードや社員証など、ICカードを使った打刻方法です。ICカードリーダーや読み取りに対応した共有タブレットなどの機器を出入り口などに設置すれば、あとはタッチするだけで打刻が完了します。
パソコン・Web打刻、スマホ打刻
パソコン・Web打刻は従業員がそれぞれのパソコンから打刻を行う、オーソドックスな打刻方法です。
IDやパスワードでマイページにログインした後、トップページに表示される「出勤」「退勤」などのボタンをクリックして出退勤の打刻を行います。
またスマホ打刻は、その名の通りスマートフォンを使って打刻する打刻方法です。勤怠管理システム専用のアプリを使う方法と、Webブラウザを経由してパソコンと同様にマイページからWeb打刻する方法の2パターンに大きく分かれます。
パスワード認証打刻
あらかじめ設定しておいた個別のパスワードを、従業員が共用パソコンに入力して打刻する方法です。
パスワード認証打刻では、パソコンをタイムレコーダーとして活用することで本人認証を行います。
生体認証打刻
指紋や静脈、顔などの生体情報を読み取って打刻する方法です。
カメラに顔を映したり、指をかざしたりすればすぐに打刻でき非接触認証が叶うため、コロナ禍における感染対策の一環としても注目されています。
それぞれの打刻方法の詳細やおすすめの勤怠管理システムは、以下のページでも詳しく紹介しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
打刻をきちんと管理しないとどうなる?
打刻をきちんと管理できていないと、後々になって未払い請求をされたり、最悪の場合は国から罰則を科せられたりすることがあります。
後々未払い請求をされることがある
打刻は正確に行われることが前提です。しかし実際とは異なる労働時間を従業員が意図的に打刻し、未払い請求をされることがあります。
例えば不正打刻により実際の労働時間よりも長く働いたように見せかけて、賃金を多く受け取ろうとするケースです。もしくは遅刻したにもかかわらず他人に代理で打刻させて隠蔽し、人事評価が悪くなることを避けたりというケースが考えられるでしょう。
このような不正打刻は法律違反のため、懲戒解雇処分の対象となります。
また上司が部下に命じて定時退社したように打刻させ、長時間残業を隠蔽するケースも考えられます。残業させられていた当人が被害を訴えれば、未払い残業の請求がなされる可能性が高いでしょう。
国から会社に対する罰則が科される恐れがある
2019年4月より労働基準法が改正され、時間外労働の規制や年次有給休暇の義務が国によって新たに導入されました。そのためより細かで正確な勤怠管理を行わないと、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される恐れがあります。
1.時間外労働の上限規制
施行:2019年4月~(大企業)、2020年4月~(中小企業) |
残業時間の上限は原則として「月45時間・年360時間」とし、臨時的な特別の事情がなければ超えられない。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも「年720時間以内・複数月(2~6か月)平均80時間以内・月100時間未満」を超えることはできない。
2.年5日の年次有給休暇取得の確実な取得
施行:2019年4月~ |
全ての企業において、管理監督者を含む年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対し、年次有給休暇の日数のうち年5日は雇用者が時季を指定して取得させなければならない。
タイムカードにおける打刻時間と労働時間のズレを無くすには?
打刻時間があくまで出社時刻・退社時刻であるのに対し、労働時間は正確には仕事の開始・終了時刻です。つまり打刻時間には雑談時間やオフィスからタイムレコーダーまでの移動時間などが含まれている可能性があります。
そうした場合の対処法としては、
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などが考えられます。
【方法①】ズレが15分以上だった場合は理由を提出してもらう
タイムレコーダーと就業場所が遠くても、移動には一般的に15分もかからないことが多いでしょう。万一ズレが15分以上など大きすぎた場合は上長に理由を提出してもらうようにすれば、後で勤怠についての問題が起こりにくくなると期待できます。
【方法②】打刻時間=労働時間にする
打刻時間と労働時間を同じ扱いにしてしまえば、残業代の漏れや未払い問題は回避できるでしょう。ただしズレた時間をどう過ごしていたかが問題です。
そういった場合はズレを全て「固定残業代」として処理し、雑談したり喫煙したりしている時間をまとめて吸収してしまう方法があります。
【方法③】勤怠管理システムを導入する
効率や不正打刻の防止を強化したいのであれば、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
従業員が自身のアカウントでシステムにログインして打刻するWEBブラウザ型や、スマートフォン・タブレットなどから打刻するアプリ型は、個人のアクセス履歴が残るため不正がしにくく、管理もしやすいでしょう。
また打刻忘れを徹底的に防ぎたい場合には、社員証やセキュリティカードと連携させ、入退室の日時をそのまま打刻するICカード型や、指紋・静脈をスキャンする生体認証型が適しています。
従業員の打刻の手間も省けるうえ、より正確な勤怠管理ができるでしょう。
ただし新たに勤怠管理システムを導入すると、多少なりともコストが発生します。製品やサービスのグレードにもよりますが、初期登録費用や月額利用料、サーバー構築費用、保守費用が掛かるのです。
勤怠管理システムは会社の売上に直接かかわるものではありません。システム導入によってどれほどの業務効率化が見込めるのか、会社にとってどんなメリットがあるかについて上層部の理解を求める必要があります。
導入する勤怠管理システムを選ぶにあたっては、シフト勤務や時短勤務など従業員の勤務形態に適しているか、既存の給与システムと連携できるかにも注目しましょう。
【まとめ】打刻の必要性を周知して勤怠管理の手間を削減しよう
打刻は正しい賃金支給と適切な労働時間管理のために必要不可欠です。
こうした打刻の必要性・重要性を会社だけでなく、従業員自身が理解することが重要です。従業員の打刻に対する意識が変化すれば打刻忘れや残業超過といったトラブルが減り、勤怠を管理する側の業務の手間が省けるでしょう。
打刻忘れや不正打刻を防ぐために徹底したルールを作ることも大切ですが、勤怠管理システムを導入することも一つの手段といえます。システム導入により、業務効率化と正確な勤怠管理が可能になるでしょう。
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