「経理にコストをかけたくないが、Excelや手書きの帳簿付けには限界を感じている」。そのような個人事業主や副業ワーカーにとって、無料の会計アプリは救世主となります。スマホひとつで日々の取引を入力し、確定申告書まで作成できる利便性は、かつて数十万円した業務ソフトの常識を覆しました。
しかし、一言で「無料」といっても、その中身には大きな違いがあります。期間や機能に制限がなく「ずっと無料」で使えるものと、便利機能は多いが「あくまで有料版の体験」として位置づけられるものの2種類です。
この違いを理解せずに導入すると、確定申告の直前になって「課金しないと書類が出力できない」という事態に陥りかねません。本記事では、あなたの事業形態や目的に合致する最適な会計アプリ選びをサポートします。
あなたに最適な無料会計アプリはこれ!目的別・選び方チャート
数ある会計アプリの中から自分に最適なひとつを選ぶのは容易ではありません。事業形態や重視するポイントによって、選ぶべきツールは明確に異なります。以下のチャートで、あなたの状況にマッチする最適解を確認してください。
会計アプリ選定フローチャート
- Q1.あなたは「青色申告」で65万円控除を狙いますか?
- いいえ(白色申告でOK・とにかくコスト0円重視)
- PCも使う → やよいの白色申告 オンライン
- スマホのみで完結したい → Taxnote
- はい(青色申告をしたい)
- Q2へ進む
- いいえ(白色申告でOK・とにかくコスト0円重視)
- Q2.簿記の知識はありますか?(借方・貸方がわかる)
- はい(知識あり・完全無料がいい)
- 広告表示があってもOK → 円簿会計
- Windows PCにインストールして使いたい → フリーウェイ経理Lite
- いいえ(知識なし・自動化したい)
- Q3へ進む
- はい(知識あり・完全無料がいい)
- Q3.将来的に有料化しても「入力の手間」を極限まで減らしたいですか?
- はい(効率重視・銀行/クレカ連携必須)
- スマホの使い勝手重視 → freee会計
- 連携サービス数重視 → マネーフォワード クラウド確定申告
- 初年度のコストを抑えたい → やよいの青色申告 オンライン
- いいえ(あくまで無料で・取引数少なめ)
- Androidユーザー → 快速仕訳
- 副業(雑所得)メイン → CalQ Share
- はい(効率重視・銀行/クレカ連携必須)
無料会計アプリの比較表
まずは全体像を把握しましょう。特に「ずっと無料でどこまでできるか」という視点が重要です。
| アプリ名 | 無料の性質 | 対応OS | 確定申告書作成 | インボイス対応 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| やよいの白色申告 オンライン | 完全無料 | iOS/Android/PC | 〇 | 〇 | 機能制限なしでずっと使える白色申告の決定版 |
| フリーウェイ経理Lite | 完全無料 | Windows | 〇 | 〇 | インストール型。期間制限なしで決算書作成可 |
| ちまたの会計 | 完全無料 | ブラウザ | × | – | 非営利団体(サークル・PTA)特化 |
| 円簿会計 | 完全無料 | ブラウザ | 〇 | 〇 | 広告表示ありで全機能無料。青色申告も対応 |
| freee会計 | 体験版 | iOS/Android/PC | △ | 〇 | 30日間無料。スマホUX最高峰 |
| マネーフォワード クラウド確定申告 | 体験版 | iOS/Android/PC | 〇 | 〇 | 1ヶ月無料。金融機関連携が強力 |
| やよいの青色申告 オンライン | 初年度無料 | iOS/Android/PC | 〇 | 〇 | 1年間は全機能無料。シェアNo.1の安心感 |
| Taxnote | 制限付き無料 | iOS/Android | × | △ | 月15件まで完全無料。入力の速さが圧倒的 |
| 快速仕訳 | 制限付き無料 | Android | × | △ | 登録不要で即座に使える。Android特化 |
| CalQ Share | 完全無料 | iOS/Android | 〇 | – | 副業(シェアビジネス)特化。家事按分対応 |

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失敗しない無料会計アプリの選び方!確認すべき3つのポイント
「無料」という言葉の裏には、必ずサービス提供側の意図やルールが存在します。導入後に後悔しないために、アプリごとに設定された3つの「制限」を正しく理解することが選定の第一歩です。
期間の制限はあるか(完全無料か初年度のみか)
最も注意すべきは「いつまで無料で使えるか」という点です。「やよいの白色申告 オンライン」や「円簿会計」のように、期間の定めなく完全無料で使い続けられるサービスがある一方で、「初年度(1年間)のみ無料」や「30日間のお試し期間」を提供するサービスも多く存在します。
お試し期間が終了すると、データの閲覧ができなくなったり、新たな入力ができなくなったりするケースがあります。一時的な利用なのか、長期的にコストを抑えて運用したいのかによって、選ぶべきアプリは根本から異なります。
機能・仕訳数の制限はあるか
無料で使える範囲が「月間の取引数」や「出力機能」によって制限されているケースです。例えば、スマホアプリの「Taxnote」は月間15件までの入力であればずっと無料で使えますが、それを超えると課金が必要になります。また、「マネーフォワード クラウド確定申告」の無料プランは年間50件という上限があります。
さらに、日々の帳簿付けは無料でできても、いざ確定申告書を出力・提出しようとすると有料プランへのアップグレードが必須となるアプリもあります。ご自身の事業の取引量と、最終的にどこまでの作業をアプリで完結させたいかを照らし合わせる必要があります。
対応デバイス・OSは合っているか
ご自身がメインで使用するデバイスに対応しているかも重要なチェックポイントです。多くのクラウド会計ソフトはPC(ブラウザ)とスマホアプリの両方に対応していますが、「フリーウェイ経理Lite」のようにWindows PC専用のインストール型ソフトも存在します。
また、スマホアプリの場合でも、iOS(iPhone)とAndroidの両方に対応しているものと、片方に特化しているものがあります。移動中のスマホ入力と、自宅でのPCによる詳細確認を組み合わせるなど、ご自身のワークスタイルに合った環境で動作するツールを選定してください。
完全無料で使える会計アプリおすすめ4選
期間の制限なく「ずっと無料」で使い続けられる貴重な会計アプリを紹介します。機能制限も少なく、コストを最優先する方にとっての最適解となります。
やよいの白色申告 オンライン
業界最大手の弥生株式会社が提供する、白色申告に特化したクラウド会計ソフトです。最大の特徴は、すべての機能が完全無料で提供されている点です。初期費用も月額費用も一切かからず、記帳から確定申告書の作成、提出まで完結します。
スマホアプリ「弥生 申告」を利用すれば、レシートをカメラで撮影するだけで日付や金額を自動で読み取り、仕訳データとして登録できます。インボイス制度や電子帳簿保存法といった最新の法規制にも完全対応しており、無料でありながらコンプライアンス面での安心感も兼ね備えています。経理初心者や、コストをゼロに抑えたい白色申告の個人事業主に最適な選択肢です。
フリーウェイ経理Lite
従業員数3人以下の企業や個人事業主であれば、期間の制限なく完全無料で使い続けられるWindows専用のインストール型ソフトです。クラウド型とは異なりPCにソフトを入れる形式ですが、インターネット環境がない場所でもサクサク動作する軽快さが強みです。
無料版であっても機能制限はなく、仕訳日記帳の入力から決算書・確定申告書の作成まで行えます。バージョンアップも無料で行われるため、税制改正への対応も万全です。スマホアプリはありませんが、簿記の知識があり、PCのキーボードを使ってスピーディかつ本格的に経理処理を行いたい小規模事業者や法人に適しています。
ちまたの会計
サークル、自治会、PTA、NPO法人などの「非営利組織」に特化して開発された、完全無料のクラウド会計サービスです。営利企業向けの複雑な機能(減価償却や決算書作成など)をあえて削ぎ落とし、現金の出入りを管理する「収支報告書」の作成に特化しています。
コミュニティベースで運営されており、利用者の声を反映しながら使いやすさを追求しています。会計担当者が持ち回りで代わるような団体でも、クラウド上でデータを共有・引き継ぎできるため、Excelファイルのやり取りによるミスや紛失を防げます。任意団体の会計担当者にとって、これ以上ないほどフィットするツールです。
円簿会計
広告収入モデルを採用することで、法人・個人を問わずすべての機能を完全無料で提供しているクラウド会計ソフトです。期間制限はもちろん、データ保存容量や仕訳数の制限も一切ありません。弥生会計のデータ取り込みにも対応しており、乗り換えもスムーズです。
画面上に広告が表示されますが、その分、青色申告決算書の作成など、他社では有料となる高度な機能まで無料で利用できます。もちろんインボイス制度や電子帳簿保存法にも対応済みです。簿記の知識があり、広告表示を許容できるのであれば、青色申告を行う個人事業主や小規模法人にとって最もコストパフォーマンスの高い選択肢となります。
高機能・制限付き無料の大手クラウド会計アプリおすすめ3選
次は、有料プランへの移行を前提としつつ、強力な自動化機能や手厚いサポートを提供する大手サービスを紹介します。体験版や初年度無料特典を賢く活用することで、圧倒的な業務効率化を実現できます。
freee会計
スマホひとつで確定申告まで完結できる、優れたユーザーインターフェース(操作画面)を持つクラウド会計ソフトです。「借方・貸方」といった専門用語を使わず、質問に答えていくだけで書類が完成する設計は、経理知識のない初心者から圧倒的な支持を得ています。
銀行口座やクレジットカードとの連携機能が非常に強力で、明細を自動取得してAIが仕訳を推測してくれます。30日間の無料体験版の提供で、実質的には有料利用の前段階という位置づけですが、その分、入力の自動化による時間短縮効果は絶大です。経理作業を極力自動化し、本業に集中したい方にとって、投資する価値のあるツールです。
マネーフォワード クラウド確定申告
2,300以上の金融機関やサービスと連携できる、国内最高レベルの連携網を持つクラウド会計ソフトです。銀行やクレジットカードだけでなく、Amazonや楽天などのECサイト、POSレジ、給与計算ソフトなどとシームレスにつながり、あらゆるお金の動きを自動で集約します。
AIが勘定科目を自動提案するため、使えば使うほど学習して入力精度が向上します。1ヶ月無料の体験版が提供されており、有料プランへの移行が前提となります。有料化してでも、徹底的な自動化による業務効率化と、経営状況のリアルタイムな可視化を求める層に最適です。
やよいの青色申告 オンライン
個人事業主の会計ソフトシェアNo.1を誇る弥生シリーズの青色申告版です。最大の特徴は、「セルフプラン」を選択することで、本来有料の高機能なサービスを初年度(最大1年間)完全に無料で利用できる点です。
老舗ならではの安心感に加え、e-Tax(電子申告)への連携もスムーズで、PCにカードリーダーを繋がなくてもスマホアプリでマイナンバーカードを読み取るだけで申告が完了します。2年目からは有料となりますが、業界最安水準の価格設定であり、初年度の立ち上げコストを抑えつつ、確実な青色申告を行いたい開業初年度の方に最強の選択肢です。
スマホ特化・簡易入力で手軽さ重視の会計アプリ3選
ここからは、とにかく「入力の速さ」や「手軽さ」に特化したスマホアプリを紹介します。複雑な機能よりも、日々の入力をサクサク終わらせたい方に適しています。
Taxnote
「会計アプリの入力は面倒」という常識を覆す、超高速入力に特化したアプリです。ログインや複雑な設定は不要で、インストールした瞬間から電卓やメモ帳のような感覚で使い始められます。片手でのスワイプ操作で勘定科目を選び、金額を入れるだけのシンプルさが多くのフリーランスやクリエイターに愛用されています。
無料版では月間15件までの仕訳入力が可能で、この範囲内であればずっと無料で使い続けられます。小規模な副業であればこれだけで完結しますし、取引数が多い場合でも、弥生やfreeeなどメインの会計ソフトへデータを送る「入力専用サブアプリ」として活用することで、経理の時間を大幅に短縮できます。
快速仕訳
Androidユーザーから高い評価を得ている、登録不要・完全無料の仕訳アプリです。直感的な操作で、勘定科目を選択するだけで複式簿記の形式で記帳が完了します。個人開発のアプリながら、貸借対照表や損益計算書の作成機能まで備えています。
入力したデータはCSV形式で出力できるため、PCの表計算ソフトで集計したり、他の会計ソフトに取り込んだりといった連携も可能です。Android端末をメインに使用しており、複雑なクラウド機能よりも、手元のスマホで日々のメモ代わりにサッと記帳したいというニーズに応えるアプリです。
CalQ Share
シェアリングエコノミー(配達員、民泊、クラウドソーシングなど)で収入を得ている副業ワーカーに特化した無料アプリです。副業特有の税務処理に強く、チャットボットの質問に答えていくだけで、確定申告に必要な書類作成が進んでいきます。
特筆すべきは「家事按分」の計算機能です。自宅の家賃や通信費のうち、事業に使った割合を経費として計上する計算をアプリがサポートしてくれます。本格的な会計ソフトは機能が多すぎて使いこなせないが、副業の雑所得や事業所得の申告を、スマホだけで迷わず終わらせたい会社員の方におすすめです。
無料会計アプリを利用するメリット・デメリット
無料アプリは強力な武器ですが、万能ではありません。導入によって得られる恩恵と、背負うことになるリスクの両面を理解しておきましょう。
メリット
最大のメリットは、やはりコスト削減です。年間数万円の固定費をゼロ、あるいは数千円に抑えられることは、利益率の低い事業にとって大きな助けとなります。また、スマホ対応アプリであれば、場所を選ばずに経理業務が可能となり、移動時間や待ち時間を有効活用できます。手書きの帳簿と違い、集計ミスが自動で防げる点も大きな利点です。
デメリット(注意点)
一方で、サポート体制の手薄さは覚悟する必要があります。多くの無料プランでは電話やチャットでの個別サポートが受けられず、不明点は自分でヘルプページを調べて解決しなければなりません。また、インボイス制度などの法改正への対応が有料版より遅れるリスクや、データの保存期間に制限がある場合もあります。
事業の成長に伴い、機能不足を感じて有料ソフトへ移行する際、データの移行作業が発生する手間も考慮しておくべきです。
ずっと無料で使い続ける?有料版へ切り替えるタイミング
「できればずっと無料で済ませたい」と考えるのは自然なことですが、経営的な視点に立つと、あえて有料ソフトを選ぶ方が「得をする」タイミングが存在します。
青色申告で「65万円控除」を狙うなら有料ソフトが得
青色申告特別控除(最大65万円)を受けるためには、複式簿記による正規の簿記の原則に従った帳簿作成と、e-Taxによる申告が必要です。これにより、所得税と住民税を合わせて数万円から十数万円の節税効果が生まれます。
この節税額は、有料会計ソフトの年会費(1〜2万円程度)を大きく上回ります。つまり、無料で白色申告を続けるよりも、有料ソフトを使って効率的に青色申告を行った方が、結果として手元に残るお金は増えるのです。売上が伸びてきたら、ツールへの投資対効果(ROI)を意識した切り替えを検討すべきです。
インボイス対応・電子帳簿保存法への対応が必要になった時
2024年以降、電子取引データの保存義務化やインボイス制度への対応は避けて通れません。これらをExcelや機能制限のある無料アプリだけで完璧にこなそうとすると、要件を満たすための管理コストや手間が膨大になります。
税務調査で否認されるリスクを抱えながら自力で管理するよりも、法対応が保証されたクラウド会計ソフトに任せる方が、安全かつ合理的です。複雑な法規制への対応が必要になったタイミングこそ、有料版への移行、あるいは法対応済みの弥生(白色)などの高機能無料ツールへの集約を図るべき時です。
まとめ:目的に沿った無料会計アプリで賢く経理を始めよう

本記事では、無料で使えるおすすめの会計アプリ・ソフト10選を紹介し、それぞれの特徴や選び方を解説しました。
重要なのは、「無料」という言葉だけで選ばず、「期間」「機能」「法対応」の3点を確認することです。コストを完全にゼロにしたい白色申告の方は「やよいの白色申告 オンライン」、将来的な青色申告や自動化を見据えるなら「freee」や「マネーフォワード」の無料プラン活用、副業の簡易入力なら「Taxnote」など、ご自身の事業フェーズと目的に合致したツールを選ぶことが、失敗しない経理管理の第一歩です。
まずは気になるアプリをダウンロードし、実際の使い心地を試してみてください。自分に合ったツールが見つかれば、面倒な経理作業は劇的に効率化され、本業に集中する時間を生み出すことができるはずです。
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