ミツモアメディア

年金受給者のパート収入はいくらまで?損しないためのポイントを解説

最終更新日: 2022年11月14日

年金受給者がパート収入を得る上では「いくらまでなら稼いでもよいのか」を知っておく必要があります。なぜなら年金受給者のパート収入が多すぎる場合、厚生年金の支給が停止されることもあるからです。

今回は年金受給者がパート収入を得るうえで、損をしないポイントについて解説します。本記事を読めば、いくらまでならパート収入を得ても問題ないか理解することが可能です。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

ミツモアでプロを探す

年金受給者のパート収入はいくらまでなら損しないのか

ビジネスマン 幹部社員

年金受給者がパート収入を得る場合「在職老齢年金制度」との兼ね合いに注目する必要があります。

在職老齢年金制度は、厚生年金の受給額と給与の月額合計に応じて、厚生年金支給が一部もしくは全額停止されるルールが盛り込まれた制度です。

つまり年金受給者がパート収入を得る場合、収入額を調整し、厚生年金支給の停止を避けることが重要です。

下記では年齢ごとで、損をしないパート収入額について解説します。

【60歳以上65歳未満】年金と給与の月額合計が28万円まで

年金受給者が60歳から65歳未満で、厚生年金の受給額とパート収入の月額合計が28万円以下であれば、厚生年金を全額受給することが可能です。

厚生年金支給の停止を判断するうえでは、60歳から65歳未満の年金受給者の場合「支給停止調整開始額」である28万円が基準になります。

したがって厚生年金とパート収入の月額合計が28万円以下であれば、厚生年金の受給において損をすることはありません。

つまり60歳以上65歳未満の年金受給者は「28万円から厚生年金の受給額を引いた金額」を、パート収入による月間の限度額と考えましょう。

【60歳以上65歳未満】年金と給与の月額合計における計算例

  • 年金受給者の年齢:61歳
  • 厚生年金受給額:月額14万円
  • 月間のパート収入額:月8万円
  • 月間の年金受給額+パート収入額:22万円

上記の例では厚生年金受給額とパート収入額の月額合計が、支給停止調整開始額である28万円を下回りました。

したがって年金受給者は、厚生年金を全額受給することが可能です。

なお被扶養者かつ年金受給者でパート収入を得ている場合も、月額合計を28万円以下にすれば損をしません。

ただし控除後の年間所得を38万円以下におさえなければ、扶養から外れてしまいます。

2022年4月以降は年金制度改正で47万円までに緩和

2022年4月度以降は、年金制度改正により、支給停止の条件が緩和されます。

改正後は60歳以上65歳未満の年金受給者に適用される「支給停止調整開始額」が、28万円から47万円へ引き上げられます。

つまり「厚生年金の受給額とパート収入の月額合計が47万円まで」であれば、厚生年金は全額受給できるわけです。

したがって2022年4月以降は「47万円から厚生年金の受給額を引いた金額」を、年金受給者におけるパート収入の限度額だと考えましょう。

2022年4月以降、支給停止の条件緩和後の計算例

  • 年金受給者の年齢:64歳
  • 厚生年金受給額:月額15万円
  • 月間のパート収入額:月22万円
  • 月間の厚生年金受給額+パート収入額:37万円

上記の例では月間の厚生年金受給額とパート収入額の月額合計が、改正後の支給停止調整開始額である47万円を下回りました。

年金受給者は、厚生年金を全額受給できるので、損をしないと言えます。

なお65歳以上の年金受給者へ適用される「支給停止調整変更額」について、改正による変更はありません。

支給停止調整変更額は現行の制度において47万円であり、改正後も同様です。

【65歳以上】年金と給与の月額合計が47万円まで

65歳以上の年金受給者は、月額47万円の「支給停止調整変更額」との兼ね合いを確認する必要があります。

65歳以上の年金受給者の場合、厚生年金とパート収入の月額合計が47万円以下であれば、厚生年金を全額受給できます。

つまり65歳以上の年金受給者は「47万円から厚生年金の受給月額を引いた金額」をパート収入の限度額と考えましょう。

【65歳以上】年金と給与の月額合計における計算例

  • 年金受給者の年齢:65歳
  • 厚生年金受給額:月額15万円
  • 月間のパート収入:月額22万円
  • 月間の年金受給額+パート収入額:37万円

上記の例では、年金受給額とパート収入額の月額合計が47万円を下回ったので、厚生年金を全額受給できます。

厚生年金に加入せずに働いている場合は在職老齢年金の対象外

厚生年金に加入せず働いている場合、在職老齢年金との兼ね合いを考える必要はありません。

在職老齢年金制度は、あくまでも厚生年金加入者を対象とした制度だからです。

また年金受給者がパート収入を得るとき、以下の方法で厚生年金への加入を回避できます。

  • 労働時間、所定労働を正社員の4分の3以下におさえる
  • 2ヶ月以上の雇用契約を結ばない
  • 社員数5人以下の厚生年金加入義務が生じない企業で働く
  • 個人事業主のもとで働く

上記いずれかひとつの条件を満たしている場合、厚生年金に加入せず働くことが可能です。

パート収入が多すぎるとどうなる?年金支給月額の計算方法

ビジネスマン ?

年金受給者がパート収入を得る場合、金額が多すぎると損をすることもあります。

先ほど触れた支給停止調整開始額や支給停止変更開始額を超えてしまった場合、厚生年金の支給が一部停止されることもあります。つまり、年金支給月額が下がることで大きな損失を被るかもしれません。

下記では年金受給者の年齢や条件ごとで、厚生年金受給額の計算方法について解説します。該当する年齢と条件に基づいてパート収入額を調整し、損をしないようにしましょう。

60歳以上65歳未満の場合の計算方法

年金受給者が60歳以上65歳未満だった場合、年金支給月額は以下の金額を基準として計算される仕組みです。

  1. 基本月額:加給年金を含まず、厚生年金単体の年額を12で割った金額
  2. 総報酬月額相当額:毎月のパート収入と直近1年間に支給された賞与を合計し、12で割った金額

計算において加給年金が関係せず、賞与は関係することに注意が必要です。上記ふたつの金額やその合計によって、年金支給月額を求める計算方法が異なります。

基本月額が28万円以下で総報酬月額相当額が47万円以下の場合

基本月額が28万円以下であり、総報酬月額相当額が47万円以下であれば、以下の計算式が用いられます。

基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2=年金支給月額

【計算例】

  • 基本月額:15万円
  • 総報酬月額相当額(年金受給者の給与やパート収入):40万円

上記を計算式に当てはめると、以下のとおりです。

15万円-(40万円+15万円-28万円)÷2=1.5万円

つまり1万5,000円が、年金受給者への厚生年金の年金支給月額となります。

基本月額が28万円以下で総報酬月額相当額が47万円超の場合

基本月額が28万円以下であり、総報酬月額相当額が47万円を超えていれば、以下の計算式が用いられます。

基本月額-{(47万円+年金月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}=年金支給月額

【計算例】

  • 基本月額:27万円
  • 総報酬月額相当額(年金受給者の給与やパート収入):48万円

上記を計算式に当てはめると、以下のとおりです。

27万円-{(47万円+27万円-28万円)÷2+(48万円-47万円)}=3万円

つまり3万円が、年金受給者への厚生年金の年金支給月額となります。

総報酬月額相当額が47万円を超える場合、年金支給月額は大きく引き下げられるので、損をしているといえるでしょう。

基本月額が28万円超で総報酬月額相当額が47万円以下の場合

厚生年金の基本月額が28万円を超えていて、総報酬月額相当額が47万円以下であれば、以下の計算式が用いられます。

基本月額-総報酬月額相当額÷2=年金支給月額

【計算例】

  • 基本月額:30万円
  • 総報酬月額相当額(年金受給者の給与やパート収入):45万円
30万円-45万円÷2=7.5万円

つまり7万5,000円が、年金受給者への厚生年金の年金支給月額となります。

基本月額が28万円超で総報酬月額相当額が47万円超の場合

厚生年金の基本月額が28万円を超えており、総報酬月額相当額も47万円を超えていれば、以下の計算式が用いられます。

基本月額-{(47万円÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}=年金支給月額

【計算例】

  • 基本月額:29万円
  • 総報酬月額相当額(年金受給者の給与やパート収入):50万円
29万円-{(47万円÷2+(50万円-47万円)}=2.5万円

つまり2万5,000円が、年金受給者に対する厚生年金の年金支給月額となります。

基本月額と総報酬月額相当額が基準を超過した場合の年金支給月額はきわめて少額であり、損をしているといえるでしょう。

65歳以上の場合の計算方法

年金受給者が65歳以上の場合「基本月額と総報酬月額相当額の合計が、支給停止変更開始額である47万円以上かどうか」によって、計算方法が異なります。

基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円以下であれば、厚生年金は全額支給されます。

【計算例】

  • 年金受給者の年齢:66歳
  • 厚生年金の基本月額:16万円
  • 総報酬月額相当額(年金受給者の給与やパート収入):26万円

上記の場合、基本月額と総報酬月額相当額の合計は42万円です。

支給停止変更開始額である47万円を下回ったため、厚生年金は全額支給されます。

基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円以上だった場合

年金受給者が65歳以上で、基本月額と総報酬月額相当の額合計が47万円以上だった場合、以下の計算式が用いられます。

基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)÷2=年金支給月額

【計算例】

  • 厚生年金の基本月額:22万円
  • 総報酬月額相当額(年金受給者の給与やパート収入):30万円

上記を計算式に当てはめると、以下のとおりです。

22万円-(30万円+22万円-47万円)÷2=19.5万円

つまりこのケースの場合、19万5,000円が年金受給者に対する厚生年金の年金支給月額となります。

年金受給者は確定申告するべき?

年金受給者は確定申告するべき?

そもそも公的年金制度は3種類あり、その方の働き方により年金制度が決まっています。日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金、会社に勤務する全ての方が加入する厚生年金、公務員や私立学校職員などが加入する共済年金があります。

また、退職時に支払われる企業年金もあります。これらの年金に加入していて、かつ確定申告が必要な方はどのようなケースを言うのでしょうか。

年金に関する言葉のおさらい

  • 【老齢基礎年金】20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた方は、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。40年間の全期間について保険料を納めていなくても、10年間以上納めていれば、納付期間に応じた額の年金が支給されます。
  • 【老齢厚生年金】厚生年金の被保険者期間があって、老齢基礎年金を受けるのに必要な資格期間を満たした方が65歳になったときに、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金が支給されます。
  • 【企業年金】企業年金は、会社が従業員の老後の生活をより豊かにするために公的年金に加えて選択的に設ける年金のことを言います。年金の積立方や給付方法も会社によって違いがあります。
  • 【基礎控除】基礎控除というのは所得控除の一種です。人1人分の所得税を減らす働きをすることを言います。
  • 【公的年金等控除】公的年金等控除とは、国民年金、厚生年金、共済年金の3つの年金を受給しているものに適用される控除です。

年金受給者も確定申告は原則必要!

これまで会社が年末調整をしてくれるために確定申告をせずに済んでいた人も、老齢年金をもらうようになると、確定申告が必要かどうかを自分で判断しなくてはなりません。

老齢基礎年金や老齢厚生年金、企業年金などの公的な老齢年金は「雑所得」とみなされますしたがって、公的年金の収入金額が公的年金等控除+基礎控除の合計額を上回った場合、本来は確定申告が必要になりますが、さらに年金受給者の「確定申告不要制度」がありますので、そちらに該当しないかどうかを判定する必要があります。

雑所得とは、10種所得のうち他の所得に分類されないものを指します。そこから、基礎控除により48万円(所得が2,400万円以下の場合)が控除され、それに加え、公的年金等控除が適用されることになります。

公的年金のうち、障害年金と遺族年金は非課税ですが、一定額以上の老齢年金は課税の対象となります。所得税の計算は、年金額から国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)や介護保険料などの社会保険料などの各種控除を差し引いたうえで税率(所得税率・復興特別所得税率)を乗じて計算します。

通常は年金額より所得税を特別徴収した額が支払われますが、年金以外にも所得がある方などは確定申告が必要となります。

■障害年金・遺族年金:非課税
■老齢年金     :一定額以上で課税対象
基準金額     :65歳未満:108万円以上 65歳以上:158万円以上

公的年金等控除とは、公的年金の金額に応じて定められている控除額を指し、公的年金の場合は、公的年金等控除の最少額+基礎控除48万円が、課税・非課税の境界線であり、確定申告が必要・不要の境界線になっています。

<年金所得者での確定申告の必要な方>

  • 2ヵ所以上から年金を受けている方
  • 給与と年金を受けている方
  • 年金以外にもその他の所得がある方
  • 医療費控除や生命保険料控除を受ける方

年金受給者で確定申告が不要な場合

高齢者にとって細かい計算を必要とする確定申告は、大きな負担といえます。そこで、年金受給者の負担を減らすため、年金受給者には「確定申告不要制度」が用意されています。この制度によって、多くの年金受給者が確定申告をしなくても済むようになっています。確定申告不要制度の対象者は、以下の2つの条件に当てはまる場合となります。

  1. 公的年金等(老齢基礎年金、老齢厚生年金、企業年金、恩給など)の収入金額の合計額が400万円以下、かつこれらの公的年金等のすべてが源泉徴収の対象になっていること
  2. 公的年金等以外の所得金額(給与所得、一時所得、不動産所得、株式などの譲渡所得、公的年金等以外の雑所得など)の合計額が20万円以下であること

2つの条件を見てみると、1の「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下」については、現役時代に高額所得者だった方以外はクリアできます。

しかし、2の「公的年金等以外の所得金額の合計額が20万円以下」については注意が必要です。年金受給者の中には、年金をもらいながらアルバイトをしたり、株式などの投資で収益を上げたり、家賃収入があったり、生命保険の個人年金保険を受け取ったりしている方がいるからです。

  • アルバイト収入は給与所得や雑所得
  • 株式などの投資収入は譲渡所得や雑所得
  • 家賃収入は不動産所得
  • 個人年金保険の受取金は毎年受け取る年金タイプなら雑所得、一時金として受け取るなら一時所得

これら公的年金以外の収入金額を所得の種類別に分け、給与所得控除や特別控除、必要経費などを引いた金額が種類ごとの所得金額になります。この、種類ごとの所得金額を合計して20万円を超える場合は条件2をクリアできず、確定申告が必要になります。

所得の種類の分け方や所得の種類ごとの所得金額の計算方法などについては、国税庁のWebサイトをご覧ください。

参考サイト:所得税の確定申告が不要になる場合|国税庁

確定申告の必要・不必要のラインは年齢で異なる

給与所得控除があるように、公的年金の場合も、公的年金等控除の最少額+基礎控除48万円が、課税・非課税のラインであり、確定申告が必要・不要を区別する1つのポイントになっています。

具体的には、公的年金の収入が65歳未満の方で108万円(60万円+48万円)、65歳以上の方で158万円(110万円+48万円)が確定申告必要・不要のラインです。

年齢公的年金等の収入金額公的年金等の控除額雑所得の計算方法
65歳未満130万円未満600,0000円収入金額-600,000円
130万円以上410万円未満 収入金額×0.25+275.000円 収入金額×0.75-275,000円
410万円以上770万円未満収入金額×0.15+685.000円収入金額×0.85-685,000円
770万円以上収入金額×0.05+1,455,000円収入金額×0.95-1,455,000円
65歳以上330万円未満1,100,000円収入金額-1,100,000円
330万円以上410万円未満収入金額×0.25+275.000円収入金額×0.75-275,000円
410万円以上770万円未満収入金額×0.15+685.000円収入金額×0.85-685,000円
770万円以上収入金額×0.05+1,455,000円収入金額×0.95-1,455,000円

【65歳未満の方】年金収入が年150万円の場合の雑所得は37万円となり、確定申告が必要です。

150万円×0.75-27万5,000円-48万円=37万円

【65歳以上の方】年金収入が年150万円の場合は、雑所得は0円(マイナスは0円とみなされる)となるため、確定申告は不要となります。

150万円-110万円-48万円=△8万円

このように年齢で確定申告の要不要のラインが異なることを覚えておきましょう。

確定申告対象外でも還付金が受け取れる6つのケース

確定申告対象外でも還付金が受け取れる6つのケース

「還付金」とは、所得税の払い過ぎなどにより、納税者へ返還されるべき税額のことを意味します。 源泉徴収された所得税額、予定納税を行なった所得税額が、年間の所得金額から計算した所得税額よりも多い場合に、確定申告を行なうことで払い過ぎた所得税の還付を受けることができます。

還付申告は、確定申告の期間と関係なく、還付の該当する年の翌年1月1日から5年間です。つまり、確定申告の必要がないと思って行なわなかった人が、控除について後から知った場合、この期間に申告書を提出すれば還付金を受け取ることができます。

医療費控除

「医療費控除」は、確定申告をしないと受けることができない控除です。一般的に医療費控除を受けられるのは、自己負担が年間で10万円以上となった場合とされています。しかし、所得金額が比較的少ない年金受給者の場合、医療費の自己負担が「(所得金額+申告分離課税の所得)×0.05」よりも多ければ、10万円以下でも医療費控除を受けることが可能です。

社会保険料控除

会社勤めをしていれば、社会保険料控除や生命保険料控除などは年末調整で受けることが可能です。しかし、年金受給者の場合は年末調整を受けることができないため、確定申告を行なって控除分の税金を還付してもらうことになります。

また、生計をひとつにしている親族の国民年金保険料を支払っているケースなどでも、確定申告によって社会保険料控除を追加控除することが可能です。

住宅ローン控除

住宅の購入やリフォームのために住宅ローンを借りた場合、一定の条件を満たすことで「住宅ローン控除」を受けることができます。

住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」で、バリアフリー改修工事や省エネ改修工事といった特定のリフォームのために住宅ローンを借りた場合は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」となります。

控除額は、年末の住宅ローン残高の1%分(特定増改築等の場合は2%分)、控除期間は10年間(特定増改築等の場合は5年間)です。給与所得者の場合は2年目からは年末調整で済みますが、年末調整がない年金受給者の場合は毎年確定申告をする必要があります。

人的控除(配偶者控除等)

公的年金等の源泉徴収票を見てみましょう。ここの「本人」欄や「控除対象配偶者の有無等」「控除対象扶養親族の数」「本人以外の障害者の数」欄に、追加や変更はありませんか?源泉徴収税額は、これらの欄の人的控除を反映したものになっています。したがって、これらの欄の人的控除に追加・変更がある場合は確定申告をしましょう。

寄附金控除

国への寄附金、都道府県・市区町村への寄附金(ふるさと納税)、公益社団法人・公益財団法人・認定NPO法人などへの寄附金、特定の政治献金などを支払った場合は、確定申告をすることで「寄附金控除」を受けられます。

災害損失控除

自分や扶養家族が、災害や盗難などによって住宅や家財に被害を受けた場合や災害関連支出をした場合は「雑損控除」を受けることができます。雑損控除も、確定申告をしないと受けられない控除です。この場合、「罹災証明」や「盗難届」といった書類の準備が必要です。

確定申告に必要なもの

確定申告に必要なもの

確定申告書は地元の税務署に提出します。パソコンに慣れている方は、国税庁の「確定申告書作成コーナー」で書類を作成することもできますが、最初は税務署に足を運んで、相談しながら作業すると良いかもしれません

税務署には「源泉徴収票」や、収支がわかる領収書やレシート、口座振替の状況がわかる銀行の通帳、印鑑などを持参しましょう。ただし、税務署職員も多忙ですので、丁寧な対応は望めないことが多いです。

確定申告の期間は、2月16日から3月15日ですが「医療費控除」などの還付申告の場合は、1月中から受け付けています。3月に入ると税務署は大変混み合うので、できるだけ早い時期に出向くのがおすすめです。

一度コツがわかれば、次回からは「確定申告書作成コーナー」で書類を作成できます。還付金という見返りのある、年に一度の仕事として習慣にすることをお勧めします。

年金受給者が確定申告の際に持っていくべき書類

年金受給者が確定申告の際に持っていくべき書類

2月16日から3月15日の確定申告の時期は、税務署の混雑が予想されます。必要な書類を忘れてしまったために、再度税務署へ足を運ぶことにならないよう、必要書類をあらかじめしっかりと把握しておきましょう。

税務署では確定申告の無料相談会というものを行なっており、その地域で開業している税理士が相談に乗ってくれます。無料相談会に書類さえ持っていれば、あとは税理士と相談しながら記入を進めていくこともできます。

年金収入だけの場合

年金を受け取った場合、その収入は「雑所得」として確定申告する必要があります。公的年金のみを受け取った方は、受け取り時に税金が差し引かれているため、確定申告の必要はありませんが民間の生命保険などの個人年金を受け取った場合などは確定申告をする必要があります。

■必要書類:確定申告書Aと公的年金等の源泉徴収票

年金収入+給与所得がある場合

定年後に、年金を受け取りながら会社でも働き給料をもらっている方も多いことでしょう。年金と給与所得がある場合は、確定申告で年金と給与をそれぞれ申告する必要があります。

■必要書類:確定申告書A、公的年金の源泉徴収票、給与所得の源泉徴収票、社会保険料や生命保険料の控除証明書

その他(株や不動産所得)の場合

その他の収入として考えられるものに、株で得た所得や不動産所得(不動産を賃貸に出すことによって得られた所得)があります。これらがある場合は、青色申告書または白色申告書が必要になります。青色申告と白色申告の違いは、青色申告の申請を出したか出してないか、及び帳簿付けのレベルの差です。

手続きは煩雑で慣れないと難しいかもしれませんが、青色申告には、大きく以下4つの節税メリットがあります。

  • 特別控除65万円(簡易な簿記は10万円)を受けられる
  • 家族従業員に給料を支払える(「青色事業専従者給与」白色申告の場合は事業的規模で配偶者86万円、その他の親族50万円という上限金額が設定されていますが、青色申告の場合は適正額全額を控除できます。)
  • 貸倒引当金を設けることができる
  • 赤字を3年間繰越できる

■必要書類:確定申告書B

年金受給者の確定申告書の書き方を紹介

年金受給者の確定申告書の書き方を紹介

自分が「確定申告不要制度」の対象者になるかどうかを確認する方法は、まずは自分の「公的年金等の源泉徴収票」をチェックしてみましょう。

毎年1~2月になると、日本年金機構や企業年金の管理者などから「令和〇〇年分 公的年金等の源泉徴収票」という確定申告向けの書類が年金受給者宛に送られてきます。公的年金等の源泉徴収票の「支払金額欄」の金額が400万円以下かどうかがチェックポイントです。

確定申告で提出する申請書には「A」と「B」の2種類があり、申告する内容によってどちらを使うか選ぶことになります。

所得が年金と給与のケース

収入が年金だけの方と年金と給料の方は確定申告書Aを使用します。

参考記事:確定申告書Aを用いる場合|国税庁

所得が年金と給与、その他のケース

不動産や農業での収入がある方は確定申告書Bを使用します。

参考記事:申告書Bを用いる場合|会計ソフトfreee

監修税理士からのコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

年金の税制は意外に複雑です。申告が必要かどうかわからない場合は税理士に相談しましょう。また、社会保険の分野の専門家は社会保険労務士になりますので、年金受給額などで疑問点が出てきた場合は社会保険労務士に相談しましょう。
ミツモアでプロを探す

ミツモアで税理士を探そう!

簡単!無料の3ステップでぴったりのプロが見つかる!

税理士とのお付き合いは、そのときだけのものではなく、長期間に渡るものです。だからこそ、費用だけでなく、相性や対応の誠実さも、事前に十分に確認しておきたいですね。

そんな税理士選びにおすすめなのが、全国の税理士が登録しているマッチングサイト「ミツモア」です。地域と依頼したい内容に応じて、まずは見積もりが確認できます。その後、メッセージでのやりとりで担当業務の範囲やオプションなどを確認できるので、面談するのと同じように、税理士の人柄が見えてきます。

簡単!2分で税理士を探せる!

ミツモアなら簡単な質問に答えていただくだけで2分で見積もり依頼が完了です。

パソコンやスマートフォンからお手軽に行うことが出来ます。

最大5件の見積りが届く

見積もり依頼をすると、税理士より最大5件の見積もりが届きます。その見積もりから、条件にあった税理士を探してみましょう。税理士によって料金や条件など異なるので、比較できるのもメリットです。

チャットで相談ができる

依頼内容に合う税理士がみつかったら、依頼の詳細や見積もり内容などチャットで相談ができます。チャットだからやり取りも簡単で、自分の要望もより伝えやすいでしょう。

税理士に依頼するならミツモアで見積もり依頼をしてみてはいかがでしょうか?

ミツモアで見積もってみる

この記事の監修税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・CFP🄬)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格、2010年京都大学経済学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。
ミツモアでプロを探す