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【引き落とし型納税】所得税の振替納税とは?【税理士監修】

最終更新日: 2019年10月03日

所得税や消費税等の確定申告は決算書の作成、申告書の作成、納税と何かと面倒で難しい作業です。そんな面倒な作業を少しでも楽にするのが、納税方法を「振替納税」に変更することです。振替納税をするには依頼書の提出が必要になるので、今回は振替納税への切り替え手続きやメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。

この記事を監修した税理士

EMZ国際投資税理士法人 - 東京都港区六本木

東京港区で、11年目を迎えた会計事務所です。公認会計士2名・税理士2名が所属しています。個人、法人問わず、税務顧問を始め、確定申告、 経理アウトソーシング、会社設立、相続、など会計事務所を主軸に会計・税務のみに留まらないサービスをお客様にお届けしております。海外財産、海外不動産、仮想通貨など、複雑な申告もお任せください。

所得税の振替納税とは

所得税の納付をするための納付書
所得税の振替納税とは

所得税の納付を「納付書を使った現金納付」にする方が多いですが、納付書を銀行などに持参する必要があります。税金の納付方法は納付書だけではなく、引き落とし型の振替納税もあります。楽な納税方法の振替納税について確認しましょう。

税金の納め方は4つある

税金の納付は複数あり、よく使われるのは「納付書を使った現金納付」ですが、他にも「ダイレクト納付やインターネットバンキング等を利用する電子納税」「延納や物納」「振替納税」の3つの納め方があります。税金の納め方についてまとめると以下のようになります。

税金の納め方 内容
納付書を使った現金納付 金融機関や税務署、コンビニに納付書を持参して納付
ダイレクト納付やインターネットバンキング等を利用する電子納税 e-Taxで申告書の提出等をし、届出書を提出すると電子納税で納付することができる
延納や物納 納付金額が多く一括で納付することが難しい場合、分割で納付したり物で納付することができる。延納は所得税、相続税や贈与税、物納は相続税で用いられる
振替納税 引き落とし日(振替日)に指定した口座から自動的に引き落としがされる

振替納税とは口座引き落とし型の納税方法

振替納税は、個人の所得税や消費税の確定した税金や予定納税を引き落としで納税する方法です。振替納税をすると、引き落とし日(振替日)に自分が指定した口座から引き落としされます。

引き落とし型なので、事前に納付金額を登録することや、インターネットバンキングなどで納付の度に納付手続きをする必要がないので楽です。引き落としされる口座に、納税資金を準備するだけで税金の支払いが完了します。

所得税と消費税で利用できる

振替納税は、納付手続きなどが必要なく便利な方法ですが、全ての税目で利用できるわけではありません。振替納税が利用できるのは、個人の所得税(所得税及び復興特別所得税)と個人の消費税(消費税及び地方消費税)のみに限定されています。

個人の所得税と消費税であれば、確定申告の税金だけでなく予定納税も振替納税が利用できます。

振替納税の申請方法

振替納税依頼書に押印
振替納税の申請方法

所得税や消費税の納税方法を振替納税に変更するためには、振替納税依頼書の提出が必要です。振替納税依頼書を提出すると振替納税が利用できます。しかし提出期間までに提出ができないと、振替納税ではなく納付書を使った現金納付などの納付方法になります。提出期間や提出方法さらに、口座を変更する場合の手続きについて確認しましょう。

振替納税依頼書が提出できる期間は?

振替納税を利用するには、振替納税依頼書(正式名称は「預金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」)を振替納税を利用したい国税の納付期限までに提出する必要があります。

例えば所得税の確定申告分(第3期分)から振替納税を利用するためには、年によって異なりますが通常は3月15日までに振替納税依頼書の提出が必要です。振替納税依頼書の用紙は、税務署から郵送される確定申告書の手引きの中にあります。

振替納税依頼書はどこに提出する?

振替納税依頼書の提出は、「納税地の所轄税務署」または「振替依頼書に記載した金融機関」に提出します。振替納税依頼書を提出する依頼書には、「金融機関お届け印」を押印する箇所があります。指定する口座の銀行届出印を間違えないように注意しましょう。

口座変更の場合の手続き

振替納税依頼書は一度提出をすると、その後は引き続き振替納税を利用できます。引き落とし口座を変更したい時には口座変更をすることができますが、口座変更をするには、振替納税依頼書を新たに提出するだけで大丈夫です。口座変更するからといって、前回の振替納税の取りやめなどは必要ありません。

振替納税のメリット

振替納税のメリット
振替納税のメリット

所得税の振替納税を利用することで、どんなメリットがあるでしょうか。口座引き落とし型の納付方法なので、支払いがカンタンといったメリットが考えられますが、振替納税のメリットはそれだけではありません。振替納税には3つのメリットが考えられます。

支払期日が一か月先延ばしにできる

振替納税を利用すると支払い期日が一か月先延ばしされます。例えば平成30年分の確定申告の納付期限は平成31年(2019年)3月15日でしたが、振替納税を利用した場合の引き落とし日は平成31年(2019年)4月22日です。

振替納税は支払い期日が一か月先延ばしになるので、楽になるだけでなく資金繰りにも影響します。予想以上に税金が発生し、3月15日の納付期日までに納付が難しい時は、振替納税の手続きをするとよいです。

振替納税のイメージ
振替納税のイメージ

手数料がかからない

振替納税を利用しても、手数料がかかりません。インターネットバンキングなどを利用して納付しても手数料はかかりませんが、ATMやインターネットバンキングなどの利用手数料がかかることがあります。

銀行に行く手間が省ける

納付書による現金納付の場合、所得税だけでも確定申告分の1回、予定納税を含めると合計3回は銀行に行く必要があります。銀行で納付する場合、銀行までの移動時間や窓口の順番待ちなど多くの時間を費やします。さらに銀行の営業時間に銀行に行く必要があるので、煩わしいです。

振替納税は振替納税依頼書を一度提出すると、引き続き振替納税による納付ができるので、納付の都度銀行に行く手間が省けます。

振替納税のデメリット

振替納税のデメリット
振替納税のデメリット

振替納税は楽な納税方法ですが、メリットだけでなくデメリットもあります。振替納税依頼書を提出する前には、デメリットをしっかりと理解して振替納税の手続きをしましょう。特に振替納税は確定申告後に引き落とし日がくるので、引き落とし日を忘れてしまうことが考えられます。

残高が不足していると延滞税を支払わなければならない

振替納税は引き落とし日が1か月先延ばしになっていますが、納付期日が1か月先延ばしになっているわけではありません。そのため、引き落とし日に残高が不足し引き落としができない場合は、延滞税が発生します。延滞税は引き落とし日からではなく、納付期日の翌日から計算されるので注意しましょう。

振替納税の延滞税のイメージ
振替納税の延滞税のイメージ

移転・転居による所轄税務署の変更は再度振替納税依頼書の提出が必要

振替納税は振替納税依頼書を提出すると、振替納税がずっと続きますが、移転や転居の時には注意して下さい。移転・転居によって所轄税務署が変更になった場合には、振替納税依頼書を再度提出する必要があります。

指定している金融機関が変更になったわけではないので忘れがちになりますが、所轄税務署が変更になった場合には再度振替納税依頼書の提出が必要になります。振替納税依頼書を提出しないと振替納税にはならないので、納付期日がすぎると延滞税が発生することがあります。

領収書は発行されない

以前は振替納税をしていても領収書が発行されていましたが、平成29年1月以降から経費削減のために領収書が発行されなくなりました。所得税の領収書が必要な場合は、振替納税ではなく納付書による納付をしましょう。

振替納税は便利で楽な納税方法です。便利なので確定申告後に納税があることを忘れる、移転・転居した時に再度振替納税依頼書の提出を失念することがあります。納税を忘れて通帳の残高が不足していたりすると延滞税が発生することがあるので、通帳の残高の確認と引っ越しの時には手続きを忘れないようにしましょう。

監修税理士からのコメント

EMZ国際投資税理士法人 - 東京都港区六本木

国税の振替納税制度は、実際に利用してみると、一旦、申請すると、非常に楽で、便利な制度です。特に確定申告期限である3月15日までに納付しなければならない手間がなくなりますし、4月まで引き延ばすことができますので、資金繰り面でも有効です。口座残高に不安がない方はぜひ積極的に検討してみてください。

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